錆取り列車
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錆取り列車(さびとりれっしゃ)とは、線路の表面に付着した錆を取り除くために走らせる列車のことである。本来は事業用列車の一種であるが、旅客車両を回送列車扱いで用いることもある。レール磨き列車とも呼ばれる。
[編集] 列車の必要性
直流電化線区の場合、架線から集電した電気を線路を通して返すようになっているが、線路に錆が出来るとそれが機能しなくなり、列車の運行が不可能になる場合がある。
また自動信号機や自動踏切を用いている場合も、軌道の回路は車輪を通すことで反応する仕掛けになっているため、同じく作動に支障を及ぼす場合が出てくる。
そのため定期的に列車が通過しない線区であっても、臨時列車が通る場合に備えて、1日1往復程度線路保持のために列車を走らせる場合がある。これが錆取り列車である。
たとえば2004年6月に休線となった関西本線貨物支線(阪和貨物線)の場合、阪和線における貨物列車の廃止により定期的に通過する列車はなくなっていたが、和歌山方面から奈良方面へ向かう団体専用列車が通過することがあったため、117系電車を用いて1日1往復、他の列車が通らない日は錆取り列車を走らせていた。
また駅での緩急接続や通過待ちなどがなく通常使用しない発着線がある場合に、1日に1~2本ほど意図的にその発着線側のホームで客扱いをする場合があるが、これも一種の錆取り列車といえよう。(大阪市営地下鉄堺筋線天下茶屋駅1番線、JR東北本線白岡駅・雀宮駅2番線など)
1975年11月26日から12月3日まで続いた公労協スト権ストでは当時の国鉄の組合である国労、動労がストライキに参加したため全国規模で国電など多くの電車、列車がストライキ決行中全面運休になった。しかし、スト解除後の運転再開に備えて労使合意の下ストライキ決行中にも関わらず錆取り列車が運転された。