防石鉄道
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防石鉄道株式会社(ぼうせきてつどう)は、かつて山口県防府市と佐波郡徳地町(現山口市)の間を結んでいた鉄道路線を運営していた鉄道事業者である。
社名の由来は周防と石見を結ぶ目的からつけられたもので、津和野を通り益田へ抜け、山陽と山陰を結ぶ鉄道として計画されたが、第一次世界大戦開戦による物価高騰により資金調達と工事がはかどらず、やがて国鉄山口線が全通したため陰陽連絡の夢は破れた。その後、津和野や海岸方向の中関地区への路線延長も計画されたが実現せず、防府~堀間を開業したのみに終わり、1960年代のモータリゼーションの進行に勝てず廃止となった。
会社はその後バス事業者に転換したが、1992年に地場大手の防長交通に吸収合併され、消滅している。
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[編集] 会社沿革
- 1914年(大正3年)5月3日 - 石三軽便鉄道株式会社として設立。
- 1916年(大正5年)5月29日 - 防石鉄道株式会社に社名変更。
- 1964年(昭和39年)7月1日 - 鉄道事業から撤退。バス会社となる。
- 1992年(平成4年)4月1日 - 防長交通に吸収合併され消滅。
[編集] 保有路線
[編集] 路線データ
※廃止直前のデータ。
[編集] 運行形態
1930年4月1日改正当時
- 旅客列車本数:日6往復
- 所要時間:下り58分、上り54分
[編集] 歴史
- 1919年(大正8年)7月5日 - 三田尻~上和字間(11.3km)開通。
- 1920年(大正9年)9月23日 - 上和字~堀間(7.4km)開通。
- 1958年(昭和33年)3月20日 - 堀駅改築により営業キロを0.1km延長。
- 1962年(昭和37年)11月1日 - 国鉄駅の改称に合わせ、三田尻駅を防府駅に改称。
- 1964年(昭和39年)7月1日 - 防府~堀間全線廃止。
[編集] 駅一覧
※廃止直前のデータ。
防府駅 - 周防宮市駅 - 人丸駅 - 真尾駅 - 奈美駅 - 上和字駅 - 岸見駅 - 奥畑駅 - 伊賀地駅 - 山根駅 - 沖ノ原駅 - 堀駅
[編集] 接続路線
- 防府駅:山陽本線
[編集] 現況
路線跡は佐波川沿いの大部分が山口県道184号三田尻港徳地線に転換され、防府市と徳地地区を結ぶメインルートの一つとなっている。
なお、上和字駅跡にはホーム跡と車輪を外された車両が残され、ミニ資料館となっている。
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