陸上無線技術士
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陸上無線技術士(りくじょうむせんぎじゅつし)は、無線従事者免許の1つ。総務省管轄。かつては無線技術士と呼ばれていた。
無線通信に用いる設備の技術操作を行うための資格であり、特に放送局などの無線局の事業者においては必置資格、業務独占資格と言える。第一級陸上無線技術士を略して「一陸技」または一技という。
なお、似た名前の資格として「陸上特殊無線技士」があるが、これは陸上無線技術士よりも下位の操作範囲に属する、操作範囲がより簡易なものに限定された資格である。放送局などの設備を扱うことは出来ず、教員免許取得などの特典も無い。
技術士法に基づく技術士の資格とは異なる。(資格所有により技術士一次試験の科目免除が受けられる場合はある)
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[編集] 種別
第一級と第二級に分かれ、第一級は無線設備の技術操作(目的・範囲を問わず、全ての無線局が対象)、第二級は取り扱える空中線電力と周波数に制限がある。通信操作を行うことはできない。
- 第一級
- 無線設備の技術操作
- 第四級アマチュア無線技士の操作の範囲に属する操作
- 第二級
- 次に掲げる無線設備の技術操作
- 第四級アマチュア無線技士の操作の範囲に属する操作
特に、第一級は無線通信の技術操作に関して最高の資格であり難易度も高い。第一級総合無線通信士と並んで無線従事者免許の最高峰である。第一級総合無線通信士の資格だけでも第一級陸上無線技術士以外のすべての無線従事者免許の操作が可能であり、第一級総合無線通信士と第一級陸上無線技術士の2つの資格を持っていれば、他の無線従事者免許の操作範囲を全て包含する。
一般的に試験のレベルは大学の電気工学関係学科の卒業程度と言われるが、第一級陸上無線技術士の出題範囲、出題傾向は他の大学卒業程度の無線従事者国家試験とかなり異なっており、無線工学A、無線工学Bの実質的な難易度は最高とされている。
なお、資格取得後の実務経験で教員免許(「高等学校教諭1種免許状(教科・工業)、他に中学校教諭も可」)が取得できる。有資格者は職業訓練指導員 (電子科)、工事担任者試験、第一級は技術士1次試験など多くの資格試験で科目免除が受けられることが、この資格の難易度を示す目安となっている。
有資格者は第一級、第二級合わせて5万人程度である(平成16年度末現在)。有資格者の職場として、
などがある。
- (余談ではあるが、多くの放送局で、スイッチャー、カメラマン、ミキサーなどの放送技術職の採用を電気・電子・通信工学系卒業者に限定しているのは「単位取得による科目免除」により将来の資格取得が見込まれる為)
第一級、第二級共に、第四級アマチュア無線技士の操作範囲も運用出来る(通信操作に関しては第三級アマチュア無線技士の方が無線技術士より格上の扱い)。
総合・1~3級海上・航空無線通信士、第一級海上特殊無線技士、アマチュア無線技士と違い日本独自の免許である。例外として、英文表記の無線従事者免許証記載事項証明を取得して免許証と併せ持つことにより、アマチュア無線従事者免許証と同様、相互運用協定締結国においてアマチュア無線局の運用を目的にのみ、国外でも有効となる。英文資格名はFirst(Second)-Class Technical Radio Operator for On-The-Ground Servicesとなる。
[編集] 資格取得方法
国家試験に合格するか、所定の資格所有及び業務経歴があれば申請により得られる。
[編集] 国家試験
国家試験は年2回実施され(実施は日本無線協会)、4科目を3年間で合格すれば合格となる。(科目合格有効が3年間)。
[編集] 試験科目
- 第一級
- 無線工学の基礎
- 法規
- 電波法及びこれに基づく命令の概要
- 無線工学A
- 無線設備の理論、構造及び機能の詳細
- 無線設備のための測定機器の理論、構造及び機能の詳細
- 無線設備及び無線設備のための測定機器の保守及び運用の詳細
- 無線工学B
- 第二級