雄勝峠
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
雄勝峠(おがちとうげ)とは、山形県最上郡真室川町と秋田県湯沢市の間にある峠である。標高304m。
[編集] 概要
国道13号が走っており、古来より羽州街道の一部として参勤交代の道として使われていた。この峠の歴史は、8世紀の大野東人の東征の際に残された文書に「雄勝」の名が記されており、この頃に開削されたと思われる。現在の山形県と秋田県を結ぶルートとしては、一部区間が秋田県道・山形県道73号雄勝金山線になっている「有屋峠」、女甑山の山裾を越える「甑峠」があったが、江戸時代になると、久保田藩(秋田藩)が参勤交代の道として、馬や籠が通れるように雄勝峠を整備した。以後、江戸時代を通じ、久保田藩や津軽藩など東北諸藩の参勤交代路として大いに賑わい、峠の両側に、新庄藩と久保田藩の関所と、及位宿・院内宿が置かれた。それでも、雄勝峠は「箱根の如き難関」と称されていた。
明治時代になると、山形県初代県令になった三島通庸は、山形県発展のためには道路建設が欠かせないとして、関山峠や萬世大路の開削などを次々行ったが、雄勝峠についても、秋田県との物流の拡大、特に院内銀山からの鉱物の輸送の便を図るために、これまでの荷駄がせいぜいであった峠から大量輸送が可能な馬車が通れる峠にするために「金山新道」(もしくは「雄勝新道」)を開いた。
さらに、時代が下り自動車社会が到来すると、それに対応すべく1955年(昭和30年)に旧雄勝トンネル(235m}が開通した。しかし、狭少の旧雄勝トンネルとその前後区間の線形の悪さから、急増する物流に対応できなくなり、1981年(昭和56年)に、現在の雄勝トンネル (1,375m) が開通した。
現在、山形・秋田両県で東北中央自動車道が建設中であり、雄勝峠の周辺部では東北中央自動車道に並行する国道13号湯沢横手道路や主寝坂道路の供用が始まっている。2005年(平成17年)には、山形・秋田県両知事が両県間の高速道路結合を推進することで合意しており、近いうちに新トンネル計画が具体化する見込みである。
[編集] 関連項目
- 「日本奥地紀行」の中で、彼女自身も馬から下り、馬車を押し上げねばならなかった峠の厳しさを記している。
- 雄勝峠は加無山県立自然公園内にある。甑峠についてはこちらに記載。
カテゴリ: 日本の地理関連のスタブ項目 | 日本の峠 | 秋田県の地理 | 山形県の地理