風力
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風力(ふうりょく)とは、風の速さを表す風速に対して、風が物体に与える力を定義したものである。
風力を定義したものとしては、イギリスの海軍提督であったフランシス・ビューフォート(1774-1857)が1806年に提唱した風力階級が有名である。ビューフォートは風力を0から12までの13段階で表し、それに対応した海上の様相についての表を作成した。その後、より客観的な風速と風力階級も対応付けられた。この風力階級表は1964年に世界気象機関の風力の標準的な表現法として採択され、現在、ビューフォート風力階級といえば通常はこの世界気象機関で採択された風力階級表を指す。 日本の気象庁の採用している気象庁風力階級はこのビューフォート風力階級を翻訳したもので内容は同一のものである。
[編集] ビューフォート風力階級
風力階級 | 地上10mでの風速(m/s) | 地上10mでの風速(ノット) | 陸上の様子 | 海上の様子 |
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0 | 0~0.2m/s | 0ノット | 煙はまっすぐ昇る。 | 水面は鏡のように穏やか。 |
1 | 0.3~1.5m/s | 1~3ノット | 煙は風向きが分かるくらいたなびく。 | さざ波が立つ。 |
2 | 1.6~3.3m/s | 4~6ノット | 顔に風を感じる。木の葉が揺れる。 | 白いさざ波がたつ。 |
3 | 3.4~5.4m/s | 7~10ノット | 木の葉や小枝が揺れ続ける。 | 波頭が砕ける。 |
4 | 5.5~7.9m/s | 11~16ノット | 砂埃が立ったり、小さなゴミや落ち葉が宙に舞う。 | 小さな波が立つ。 |
5 | 8.0~10.7m/s | 17~21ノット | 葉のあるかん木が揺れ始める。 | 水面に波頭が立つ。 |
6 | 10.8~13.8m/s | 22~27ノット | 木の枝が大きく揺れ、傘がさしにくくなる。 | 泡や白波が飛ぶ。 |
7 | 13.9~17.1m/s | 28~33ノット | 大きな木の全体が揺れ、風に向かって歩きにくい。 | 波が重なり、しぶきが飛ぶ。 |
8 | 17.2~20.7m/s | 34~40ノット | 小枝が折れる。風に向かって歩けない。 | 波高が高くなり高波になる。 |
9 | 20.8~24.4m/s | 41~47ノット | 屋根瓦が飛ぶ。建物に被害が出始める。 | 水の泡が筋を引く。 |
10 | 24.5~28.4m/s | 48~55ノット | 根こそぎ倒される木が出始める。 | のしかかる様な高波。白い泡がはじけ飛ぶ。 |
11 | 28.5~32.6m/s | 56~63ノット | 被害が大きくなる。稀に起こる暴風。 | 海面が白い泡で覆われ、しぶきで視界が悪くなる。 |
12 | 32.7m/s以上 | 64ノット以上 | ごく稀な大暴風。被害がとても甚大になる。 | 海面が真っ白になり視界が失われる。 |
[編集] 海上警報
海上の風力が8以上になっている場合、または今後24時間以内に8以上に達すると予想される場合、海上警報が発令される。風力7の場合、風警報、風力8または9の場合は強風警報(GW:Gale Warning)、台風で風力10または11の場合・温帯低気圧で風力10~12の場合には暴風警報(Storm Warning)、台風で風力12の場合には台風警報(TW:Typhoon Warning)が発令される。