高塚猛
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高塚猛（こうづか たけし、1949年1月28日 - ）は、東京都出身の実業家で元プロスポーツ経営者。ソフトバンクに買収される前の福岡ダイエーホークスをはじめとするダイエーによるいわゆる「福岡3点事業」の実質的な経営責任者であった。元福岡ダイエーホークス代表取締役社長・オーナー代行。
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[編集] 来歴・人物
当時は進学校であった東京都立一橋高等学校からリクルート入社。高塚は一流大学を卒業した「エリート」ではなく、リクルート入社後の活躍で地位を築きあげてきた「叩き上げ」であるといえる。
岩手県内にあるダイエー関連ホテルの経営再建に成功した手腕を買われ、1999年よりホークス球団、福岡ドーム、ホークスタウンの再建に乗り出した。
平成16年5月19日、国土交通省により、「観光カリスマ」の一人として選ばれた([1]その後辞退)。
その後、下記の強制わいせつ事件で刑事訴追され、「社会の秩序を乱した最も許しがたい犯罪」として懲役3年、執行猶予5年の判決を受けた。
[編集] 業績
[編集] 前期（福岡3点事業再建など）
多額の有利子負債を抱える3点事業の再建を託された高塚は、これまでの経営方針を一新し、全国区の企業展開という観点からこれまで消極的であった九州・福岡に密着した経営戦略に転換。ホークスの名前を広めることがより得策であるという視点からロゴマークの著作権フリーという画期的な手法に取組んだ。さらに松中信彦、城島健司といった地元・九州出身のスター選手が育ってきたこともあって、彼ら九州出身選手が中心となったチームを前面に打ち出したPRを展開。ファンの心をつかみ、現在のように実数発表ではなかったが、チーム成績が好調なこともあり、福岡ドームに多くの観客を呼ぶことに成功したと高塚はアピールした。1989年の福岡移転以来、パリーグではダントツの観客動員数を誇っていたホークスだったが、福岡ドーム移転以後はチームの低迷もあり平日などは空席が目立つ状態であった。福岡のファンのおかげで、福岡ドームや隣接施設建築により生じた44億円の赤字を抱えていた3点事業を15億円の黒字に転換することに成功したが、高塚の名が「平成の再建請負人」としてアピールされるようになった。
これまでのダイエー球団は、1988年の南海からの球団買収から携わってきた瀬戸山隆三球団代表（現千葉ロッテ）が「大阪から本拠地を移すにあたっては、福岡ではなく神戸でもよかった」と話しているように、地元・九州に根ざした球団を必ずしも志向しておらず、1989年のドラフトでは前田智徳、新庄剛志といった九州出身の有望選手を編成サイドでは早くからマークしておきながら、全国区人気の野茂英雄、元木大介の指名にこだわり彼らを他球団にさらわれてしまうような失態を繰り返してきた。地元出身の選手獲得には積極的でないのに、1994年に在京球団入りを熱望していた駒大・河原純一投手に対する異常なまでの執着ぶりは九州・福岡の野球ファンに失望される有様であった。なお、この年1位指名された城島健司は事実上、河原の「外れ1位」であった。地元密着を推進する高塚の登場は、球団の抜本的な改革を望むファンのニーズにマッチしたものでもあった。
一方で1999年に日本シリ-ズMVPを獲得しキャプテンとして日本一に貢献した人気者秋山幸二を減俸し、世間を驚かせた。秋山は毎年オールスターにファン投票で選ばれ続け、福岡での観客動員力も非常に高かったにもかかわらず起きたできごとであった。さらに同年、工藤公康との次期年俸交渉の際に「君の登板する火曜日には観客の入りが悪い」と語ったことがマスコミにより悪意的に報じられ、巨人へのFA移籍を決定的なものにしたばかりか、ファンの心証を害することになった。「ない袖は振れない」と高塚本人が語っていたが、99年の8月以降、優勝が近付いたことから福岡ドームは満員が続いており、新人獲得には裏金を含め驚くほどの巨額の金を払っていた。工藤側と純粋に金銭面・条件面での折り合いがつかなかったことと、38歳という高齢の工藤に投資するよりも、有望な若手選手に投資したほうがいいという経営者としての計算があったものと思われる。
また、九州出身選手優遇の傍ら、これまで幹部候補と目されていた浜名千広が2001年オフに戦力外となりヤクルトへ去り、翌オフにはFA権を取得した若田部健一も権利を行使した上での残留を球団から拒否され、怒りの退団となった。生まれ故郷である横浜へ移籍することになった若田部は「九州生まれの選手がそうであったように、地元で熱い声援を受けたかった」と福岡の街とファンが好きだった彼の本心とは思えない、古巣の九州出身選手優遇に対する皮肉を込めたコメントを残して福岡を去った。ちなみに高塚退団後はその反動もあり、2004年ドラフトでは現中日の北九州市立大・中田賢一投手争奪戦からあっさり離脱するなど、以前のように九州出身選手を優先的に獲得することはなくなっている。
当初は秋山ら功労者への冷遇や工藤の放出もあってファンの印象が芳しくなかった高塚だったが、一方でバラエティからお堅いトーク番組まで至るまで、地元メディアに積極的に姿を見せ、前面に立って陣頭指揮をとり、福岡にホークス球団を根付かせようというその姿を見せるようになった。また、限られた予算の中でも多くのファンを獲得するため営業面では陣頭指揮をとり、地元福岡県の飲食店などに無料でステッカーを配って「それぞれの店舗で『ホークスが勝ったらキャンペーンを行って欲しい』と懇願。その他、二軍戦もビジネスになると考えた高塚は、2002年に「二軍戦を福岡ドームで行う」と宣言。大々的に宣伝し、「二軍選手を超満員の観客の中でプレーさせてあげて、皆さんの力で彼らを伸ばしてあげてください」とファンに懇願。当時の公式発表で30000人を超える観客を動員するなど、成功を収めた。
[編集] 後期（小久保事件など）
このようにメディアを通じて経営者として自らをアピールすると同時に、次第に専横ぶりが目立つようになり、意見の合わなくなった瀬戸山球団代表がロッテへ去ったのをはじめ、コーチ・スカウトとして長年貢献してきた大田卓司、古賀英彦などの有能な人材が相次いで球団を離れていった。また、自身の成功を記した著書をシーホークホテル&リゾート全室に置く・関係者以外入れないベンチに第三者を引き連れてくるなど、次第に会社・球団の私物化も指摘されるようになった。
もっとも象徴的だったのは2003年、突如発表された小久保裕紀の巨人への無償トレードである。営業面においてもチームの顔である小久保の貢献度は高く、公傷が認められたとしても年俸は大幅減とすることが可能であった。右膝に大怪我を負った小久保は公傷を認めてもらおうとしていたが、高塚側から「予算が無いから」との理由で公傷を認められず、アメリカでの治療費も自費で払うこととなった。それまでの経緯も含め、小久保は大変な不信感をフロントに持ち、放出を懇願していたとされる。
高塚は元々解雇（自由契約）の方向で考えていたとされる。その後、当時のオーナーであり小久保の大学の先輩でもある中内正は、この年シーズンを通して膝の怪我により活動できず、来季以降の怪我の状況もその時点では不透明だったため仮に自由契約になったとしたら、上記のように年俸の大幅な減少は避けられなかった小久保を案じて巨人に「小久保選手に今季と同じ額の年俸を払ってほしい」と無償トレードを要請した。
2004年9月にホークス球団を除く福岡3点事業はコロニー・キャピタル傘下となった。高塚は当初、役職に留まることになっていたが、親会社のダイエーに内緒で出版社「ダイヤモンド社」の社長に就任していた、ホークスタウンで高塚の書籍1万冊を「営業用消耗品」として購入させていたなど、さまざま不祥事が発覚してその約束は履行されず、対決姿勢を示そうとした矢先の10月に女性社員への強制わいせつが発覚し同容疑で逮捕され、ホークス球団経営を含む3点事業の経営から完全に退くことになった。
[編集] 著書
『高塚猛と北川正恭の革命論』致知出版社、2002年5月、ISBN 4-88474-622-8
