BARレモンハート
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『BARレモン・ハート』(ばーレモンハート)は、古谷三敏のうんちく漫画。「漫画アクション」にて連載中。場末のボロビルにあるBAR「レモン・ハート」でのストーリーが描かれる。 内容は酒場で繰り広げられる数々の人間模様と、それに関係した様々な酒の紹介。
紹介される酒はウイスキー、ブランデー、バーボン、リキュール、スピリッツなどの一般的な洋酒(蒸留酒)のみならず、ワイン、ビール、シャンパン、カクテル、日本酒、焼酎、中国酒など多岐に渡っている。各話についても人情話あり、ドンデン返しの落ちあり、男のこだわりや生き様を紹介する話ありと、シンプルな画風ながら長年にわたり読者を飽きさせない作品となっている。
コミックスの第1巻は1986年に初版が出ており、以降20年にわたって現在も連載が続いている。もっとも20年の間に連載された雑誌は何度も変わり、マンガの雰囲気もキャラクターの容貌も1巻と22巻では多少異なってしまった。
毎号連載されていた時期もあったが、現在BARレモンハートは不定期連載。漫画アクション自体が隔週で発売されてるので、以前に比べ新刊コミックが出るスピードは大幅に下がった。
長期連載のため、作中でレモンハートの店自体も変わっている。工事を伴う大幅改装は一度あったが、それ以外でも気が付かないような変化もあった。店の形状は「港の近くの古ビル風」「ログハウス風」「普通の一店舗風」と、連載された時期によって微妙に異なっている。
西武池袋線大泉学園駅北口より徒歩2~3分の所に、作者である古谷三敏が経営している、漫画と同名の「BARレモンハート」がある。本人も時折顔を出すと言う。
[編集] 登場人物
- 薀蓄(うんちく)
レモンハートのオーナー兼マスター。四角い顔、ブタ鼻、小さい目。バーテンダーとしての腕もさることながら、頭の中にはあらゆる酒の知識が詰まっている。酒と酒場を愛し、酒とうんちく話を客に提供する事を無上の喜びとしている。だが話が長時間になる事も多く、逆に常連客などの反感を買う事もしばしば。
このマスターはレモンハートの店内に、世界中のほとんど全ての銘柄の酒をストックしている。そのためレモンハートの複数ある棚は電動式の二重構造になっていて、地下室にはワインやウイスキーの樽がいくつも保管されている(ワインのシャブリだけでも、常時100種類以上あるとの事)。
過去わずか一本の酒のために店を臨時休業にして、海外まで探しに出かける事もあった。まれにストックしていない酒を客にオーダーされると、不機嫌になったり(キングス・ランサムの回)悔し涙を流したり(アブサンの回)した。
マスターの本名は不明だが、一部の関係者からは「良ちゃん」と呼ばれている。酒以外の趣味は、気軽な一人旅とアウトドア。ファミリーコンピュータのドラゴンクエストに夢中になった事もあった。過去にド素人で押しかけ弟子の爺さんを使った事もあるが、レモンハートは基本的にマスターたった一人で切り盛りしている。
<若い頃のマスター>
大学卒業後に入社した会社を1ヶ月でやめて、定職もなくブラブラしていた。東北を旅行中たまたま仙台の国分町で、なにげなく一軒のBARに入った。そこのBARのマスターの一言に心を動かされ、その店で修業をする事になる。修業は非常に厳しかったが、苦労の末にバーテンダーの基本を習得する事ができた。その後の詳細は明らかにされてないが、一時期ホテルのバーに勤めていた事もある。
- メガネさん
レモンハートの常連。本名は不明。 一年中ソフト帽にトレンチコートを着て、昼でも夜でもサングラスをかけている。サングラスを取って素顔を披露した事は、未だかつて一度もない。(過去一度だけグラッパで泥酔し、サングラスがズリ下がった状態を写真に撮られた事があった。だが この時も両眼は閉じていて、彼の本当の顔は確認できなかった。)また、スポーツ新聞 ・競馬新聞も必須のアイテムだ。
常にハードボイルドを気取っているが、中身はそうでもない。自称、「スピリッツの鬼」。普段飲む酒はジンが多いが、酒全般の知識とテイスティング能力はマスター(薀蓄)に次いで優れている。レモンハートの客では一番の酒の飲み手として、マスターも一目置いている。
職業も不明だが、仕事で海外を飛び回る事が多い。英語とフランス語以外に、スワヒリ語にも精通。幼い頃に孤児だった彼はアメリカ人宣教師に育てられ、船乗りに憧れ、その後ロサンゼルスの大学を卒業した。一時、某国の外国人部隊に所属していた事もあるらしい。そのためか腕っ節は驚くほど強く、ギャングや外国人とのケンカでも引けを取らない。
- 松ちゃん(松田)
レモンハートの常連。職業はフリーライター。コピーライターでもある。トレードマークはチョビひげ。ブランデーやウイスキー、日本酒が何から造られているか知らないなど、自他共に認める酒オンチ。いつも「ウイスキーのウーロン茶割り(後述)」を注文し、マスターの不興を買っている。世界一酒が揃っているバーの、世界一酒の味がわからない常連客。ただ、以前に比べて最近は酒の知識も少しずつ増えてきた。
性格は気さくでお人よし。また、ズボラでスケベ。女性には可哀想なほど縁がなく、よくマスターやメガネさんにからかわれている。仕事関係の知り合いや大学の先輩・後輩が多いが、彼自身の兄弟や親戚も非常に多い。特に彼の甥や姪は、作中でも数多く出演している。
名前については、「松田二郎」「松田良平」「松田松吉」と異なる物が出ている。おそらく一つは本名で、他はペンネームであろう。実の兄弟や親戚からも「デコ松」や「松おじさま」と呼ばれているので、「松吉」が本名という説が有力。 最近は「松吉」の名前しか出ていない。
ほとんど毎晩通うような常連客は、基本的にメガネさんと松ちゃんのみ。出演が1回のみの、常連ではない客の方が人数は圧倒的に多い。以下は これまでBARレモンハートに3回以上登場し、今後も登場するであろう人物の紹介である。
- トシちゃん
本名は不明。おそらく客の中では一番若い。にきび面でキャップをかぶっている。 よくレモンハートに自分の彼女を連れてくる人物だが、その彼女の名前は(アケミ、ミユキ、ナオミなど)回によって異なる。
レモンハートに初めて来たときは、バーボンの知ったかぶりを気取っていたが、メガネさんから叱責され弟子(?)になった。バーボン小僧、スコッチ小僧など、その度に着目している酒は変わる。ワインのシャブリやカクテル(ダイキリ)などに興味を持った事もあった。性格は見栄っ張りで生意気だが、勉強好きで思いやりがあり素直な一面もある。
- チヨコ(岡野千代子)
松ちゃんの姪。トレードマークはボブカット(ワカメちゃんのような)ヘアー。通称、「オッチョコ・チヨコ」。「おいしい日曜日」という雑誌の編集者。松ちゃん同様に明るい性格だが、多少あわて者で酒の知識は松ちゃん以下である。松ちゃんの事を「松おじさま」と呼び、少なからず尊敬している。
- ブラック黒田
松ちゃんの知り合いの、小太りのフリーライター。サングラスに黒い帽子と黒いスーツを常用している。名刺も黒(文字は白抜き)。黒にこだわりがあり、黒っぽい酒と黒っぽいカクテルしか飲まない。自分の姪をレモンハートに連れてきた事もある。ちなみに、巨人ファン。小学校・中学校時代からの友人に、白が好きで阪神ファンの白井さんがいる。
- マガリ(横田)
松ちゃんの親戚の叔父さん。へそまがりのマガリ。あきれるほどのヘソマガリで、その例は枚挙に暇がない(とにかく曲がった物や事が大好きで、歩道橋は用事がなくても必ず渡る。愛用の腕時計は針が反時計回りをする。夏は熱燗で冬はビール)。酒も一風変わった物を好み、黄色いワインや大麻入りのビールに感激した。
- おでん屋の親父
本名は不明だが、「おでんの伝六」と呼ばれている。はげ頭の親父。よくレモンハートの近くに屋台を出している。酒にも詳しく、マスターの先輩格で良き相談相手。あまり自分の事は話したがらないが、過去にはバーテンダーをしていたと匂わせる節もあった。
[編集] 詳細
酒の紹介
一部の初期の作品は異なるが、ほとんどの場合はテーマの酒一本が1ページの大ゴマで紹介される。また、次のページに横長の解説メモが添えられるのが常となっている。
メモの内容は紹介された酒の製法や製作者の話、名前の由来やエピソードなど様々である。カクテルの作り方を紹介した事も多い。作品によっては紹介が省略される回もあった。また、酒とはまったく関係ないものが紹介された事もある(醤油、おむつ、ランプ用のオイル等)。
店内の雰囲気など
ゆったりした店内には、長いカウンターといくつかのボックス席がある。古いジャズやシャンソンが静かにながれ、壁にはリトグラフが飾られている。
TVモニターやカラオケなどは置いていない。店の出入り口は二つある。カウンター内はBARレモンハートの聖域とされており、常連といえども入る事はできない(ただし過去一度だけ、メガネさんがコックになるというエピソードがあった)。
営業時間は夕方から深夜まで。前述の通り地下室は貯蔵庫になっていて、ワインやウイスキーなどの酒樽が大量にある。店の2階は酒の本のための書庫になっており、マスターは仕事が終わった後に泊まる事もできるようだ。
ウイスキーのウーロン茶割り
文字通り、ウイスキーをウーロン茶で割っただけの飲み物。「ウーロン割り」も同じ意味。BARレモンハートで松ちゃんが毎回必ずオーダーする酒(カクテル?)で、松ちゃんの代名詞にまでなっている。冬用のホット・バージョンもある。
マスターにとって「一番出したくない酒」でありながら、このウーロン割りほど作中で数多く登場した酒はない。いつもは何も言わないマスターも、普段これしか飲まない松ちゃんに我慢できず怒った事が1~2度あった。
なぜ松ちゃんが(水割りではなく)ウーロン割りにこだわるのかは明らかにされてない。おそらく自分の中年太りに対し、ウーロン茶の多少のダイエット効果を期待しているのであろう。本人は「これが一番うまいから」と言っている。
BARレモンハートの名前の由来
作中でも明らかにされているが、レモンハートはラム酒の一つ。ポーランドのウォッカであるスピリタス等が出る前は、世界一強い酒だった。「レモンハート・ゴールデン・ラム」や「レモンハート・デメララ」など、いくつか種類がある。
古谷三敏がBARを開店しようとして店名を考えている時、突発的に強い酒を思いついた。それは「レモンハート」と 「ステシュクォーター」だった。「レモンハート」の方を飲んでみたら、アルコール濃度が高すぎて失神してしまった。そのインパクトが強かったため、「BARレモンハート」となった。
[編集] 備考
ダメおやじとBARレモンハート
この作品の元は、同作者が週刊少年サンデーに連載していた「ダメおやじ」。後期に登場していた主人公(天野ダメ助)の行きつけバー「ウンチク」が、別の作品「BARレモンハート」となり発展した。
この「ダメおやじ」には、マスターとメガネさんは現在と変わらない容貌で出演している。二人とも漫画「ダメおやじ」の「バー・ウンチク編」と最終回に登場している。だが、松ちゃんは一度も出てこない。ちなみに当時の(若い頃の)メガネさんは、現在よりも遥かにハードボイルドで性格もきつく、どことなく近寄り難い雰囲気があった。
過去一度だけだが、そのダメおやじの天野ダメ助もBARレモンハートにゲスト出演した。初めて店に来た恐妻家の客という設定で、妻のオニババ(冬子)も写真で紹介された。
レモンハート外伝
コミックとは別に、「レモンハート」の名がついた古谷三敏の本も何冊か出版されている。
- BARレモン・ハート酒大事典(古谷三敏著、双葉社)
- BARレモン・ハート酒楽食楽(古谷三敏著、双葉社)
- BARレモン・ハートカクテル大事典 -BARレモン・ハートSPECIAL VERSION-(古谷三敏,稲保幸 共著、双葉社)
「レモンハート」の名はついていないが、同じく古谷三敏の本。
- 知識ゼロからのシングル・モルト&ウイスキー入門(古谷三敏著、幻冬舎)
さらに会計の入門書として、下記のコミックが2004年に出版された。
- BARレモンハート 会計と監査(古谷三敏著、日経BP社)
酒やカクテルの紹介はまったくないが、マスター・メガネさん・松ちゃんは登場する。彼ら3人の会計の疑問に、たまたま客として訪れた会計士(奥山さん)が応えるというもの。他の会計士(女性)も登場する(監修:日本公認会計士協会)。
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