GSM
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GSM
GSM(Global System for Mobile Communications)は、FDD-TDMAの第二世代携帯電話(2G)の方式。2005年現在、欧州・アジア(日本、韓国を除く)アフリカ・オセアニア・ラテンアメリカ・北米の210以上の国や地域でサービスが行われ、デファクトスタンダードとなっている。
などの特徴をもつ。
GSMを採用した携帯電話キャリアは3G方式にW-CDMAを選択する傾向が高く、これを3GSMと呼ぶこともある。
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[編集] 歴史
各国で異なるアナログ方式でサービスが行われていた欧州において、1982年に欧州郵便電気通信主管庁会議(CEPT : Conference of European Postal and Telecommunications administration)が GSM (Groupe Speciale Mobile)でデジタル方式携帯電話の統一規格の策定を開始した。1987年に統一規格として採択され、1992年にドイツで初のサービスが開始された。
欧州各国で採用され、大量生産されたためシステムが安価となった。また、メーカー・欧州の標準化機関が一体となって他の地域でも採用されるように働きかけを行ったため、広く普及した。日本国内のみSoftbankとNTTDoCoMoの一部の機種がGSMネットワークの全ての周波数に対応しているため国際ローミングが可能(9シリーズのみ)となる。海外での発信時には2倍近くの料金が発生し着信時には半額分の料金が発生する。データ通信料は100円くらいかかる。
[編集] 周波数帯
使用される周波数帯には、主に次の3つがある。
最近になって米国で850MHz帯が追加された。また、中南米の一部の国ではもっぱら850MHz帯のみを使用している。
900/1800MHz帯に対応した携帯電話機をデュアルバンド (dualband) 機、900/1800/1900MHz帯に対応した携帯電話機をトライバンド (triband) 機、850/900/1800/1900MHz帯に対応した携帯電話機をクワッドバンド (quadband) 機と呼ぶ。 なお、北米向けでは850/900/1900MHzあるいは850/1800/1900MHzというものもあり、これもトライバンドと呼ばれることがあるが、一般的にはトライバンドといえば前記のものを指す。
日本と韓国以外の世界中で最低一つ以上の周波数帯域が割り当てられている。
上り (MHz) | 下り (MHz) | 間隔 (MHz) | 帯域幅 (MHz) | 地域 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
GSM400 | T-GSM380 | 380.2 ~ 389.8 | 390.2 ~ 399.8 | 10 | 9.6×2 | |
T-GSM410 | 410.2 ~ 419.8 | 420.2 ~ 429.8 | 10 | 9.6×2 | ||
GSM450 | 450.4 ~ 457.6 | 460.4 ~ 467.6 | 10 | 7.2×2 | ||
GSM480 | 478.8 ~ 486.0 | 488.8 ~ 496.0 | 10 | 7.2×2 | ||
GSM700 | GSM710 | 698.0 ~ 716.0 | 728.0 ~ 746.0 | 30 | 18×2 | |
GSM750 | 747.0 ~ 762.0 | 777.0 ~ 792.0 | 30 | 15×2 | ||
GSM800 | T-GSM810 | 806.0 ~ 821.0 | 851.0 ~ 866.0 | 45 | 15×2 | 中国 |
GSM850 | 824.0 ~ 849.0 | 869.0 ~ 894.0 | 45 | 25×2 | 北米 | |
GSM900 | P-GSM900 | 890.0 ~ 915.0 | 935.0 ~ 960.0 | 45 | 25×2 | アジア、アフリカ、オセアニア、欧州、中南米 |
E-GSM900 | 880.0 ~ 915.0 | 925.0 ~ 960.0 | 45 | 35×2 | アジア、アフリカ、オセアニア、欧州、中南米 | |
R-GSM900 | 876.0 ~ 915.0 | 921.0 ~ 960.0 | 45 | 39×2 | アジア、欧州 | |
876.0 ~ 888.0 | 921.0 ~ 925.0 | 45 | 4×2 | アジア、欧州 | ||
T-GSM900 | 870.4 ~ 876.0 | 915.4 ~ 921.0 | 45 | 5.6×2 | ||
GSM1800 | DCS1800 | 1710.0 ~ 1785.0 | 1805.0 ~ 1880.0 | 95 | 75×2 | アジア、アフリカ、オセアニア、欧州、中南米 |
GSM1900 | PCS1900 | 1850.0 ~ 1910.0 | 1930.0 ~ 1990.0 | 80 | 60×2 | 北米 |
[編集] 技術
PDC・D-AMPSと比較して、多重化チャネル数が多く基地局が安価である。また、単一搬送波でより高速なデータ通信が可能である。しかし、周波数帯域利用効率はやや劣る。
複数の半導体素子メーカーが安価なチップセットを大量に製造しており、端末の製造を容易にしている。また、多くの端末メーカーがあり競争が非常に激しい。
[編集] 音声
- RPE-LTP方式フルレート13kbps
- VSELP方式ハーフレート5.6kbps
- ACELP方式エンハンスドフルレート12.2kbps
[編集] 回線交換データ通信
[編集] CSD
CSD(Circuit Switch Data)。GSMの回線交換データ通信9.6kbps。オプションで14.4kbps。
[編集] HSCSD
HSCSD(High Speed Circuit Switch Data)。GSMの高速回線交換データ通信、最大57.6kbps。1つ9.6kbpsまたは14.4kbpsの回線交換スロットを4つまで束ねる事ができる。
[編集] ECSD
ECSD(Enhanced Circuit Switched Data)。HSCSDを拡張した規格。最大384kbps。3倍程度高速化された1つ48kbpsの回線交換スロットを8スロットまで束ねる事ができる。
[編集] パケットデータ通信
[編集] GPRS
GPRS(General Packet Radio Service)。GSMのパケットデータ通信、最大スループット171.2kbps。1つ21.4kbpsのパケットスロットを8スロットまで束ねる事ができる。
[編集] EGPRS
EGPRS(Enhanced GPRS )もしくはEDGE(Enhanced Data Rates for GSM Evolution])と呼ばれるGRPSを拡張したパケット通信規格。最大スループット473.6kps。3倍程度高速化された1つ59.2kbpsのパケットスロットを8スロットまで束ねる事ができる。
[編集] 関連項目
- 移動体通信 : 方式間の比較、周波数帯域など
- GPRS・Enhanced Data Rates for GSM Evolution : GSMのデータ通信拡張規格
- Vertu