PDC
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PDC (Personal Digital Cellular) は、日本で開発され、日本国内で利用される、FDD-TDMAの第二世代携帯電話の通信方式の一つである。
[編集] 概略
1991年4月に電波システム開発センター(RCR、現電波産業会(ARIB))によって標準規格が定められた。この頃はJDC(Japan Digital Cellular)と呼ばれていた。1993年3月にNTTドコモがPDCを採用したmovaのサービスを始め、その後、ソフトバンクモバイル(旧デジタルホン、デジタルツーカー、J-フォン、ボーダフォン)、IDO・DDIセルラーグループ・ツーカーグループでも採用された。2006年11月末の時点で3297万人の利用者がある。
事業者各社は、FDD-CDMAの第三世代携帯電話に移行しつつあり、PDC方式は段階的に廃止されることが決まっている。
KDDIのauは2003年3月31日を以てPDCによるサービスを終了したが、2005年10月1日、ツーカーグループがKDDIに吸収されたことにに伴い、KDDIによるPDC方式の携帯電話サービスが復活した。(ただし、ツーカーからauへの乗り換え手続きを開始しており、2006年6月30日をもってツーカーの新規受付を終了し、2006年12月31日にはツーカーの機種変更も中止となり、2008年3月31日にサービスが停止されauに一本化される予定。)
また、NTTドコモも、800MHz帯周波数再編が完了する2012年をめどにサービス終了を表明している。
開発当初NTTドコモはPDC方式を世界共通の通信規格として普及させようと考えていたが、NTT法(NTTの海外進出を規制する法律)により、結局PDCは日本のローカル規格となり、日本国外ではGSM方式が広く普及している。
2006年現在でもまだPDCが主流のソフトバンクモバイル(SoftBank 6-2)も、2008年3月31日を持って、新規受付を停止することを発表。新規受付の停止であり、サービス自体の終了時期は未定だが、新規端末の開発はすでに停止しており、着実に移行が進んでいる。
2006年10月24日実施の番号ポータビリティでは、ソフトバンクモバイルへの移管者に対して3Gだけ認める(PDCへの番号ポータビリティを利用した移管はできない)。同制度ではツーカーへの転入もできないことから、他ネットワークから同制度を使いPDCに移行できるのは、NTTドコモだけである。
[編集] 技術
PDCは、北米標準の1つである、D-AMPSと搬送波周波数間隔と通信速度以外はほぼ共通の技術を使用している。
800MHz/1.5GHzの周波数で使用され、50kHz(25kHzインタリーブ)×2の帯域でπ/4DQPSKデジタル変調の1つの搬送波をFDD-TDMAで使用する。音声通話の符号化方式は、誤り訂正符号を含めて11.2kbps・3チャネルのフルレートVSELP、対応機種相互間や固定電話・PHSなどどの間で使われるより高音質なエンハンスドフルレートCS-ACELP(NTTドコモ)/A-CELP(ソフトバンクモバイル)、5.6kbps・6チャネルのハーフレートPSI-CELPの3つがある。
また、データ通信は、回線交換9.6kbps、パケット通信はタイムスロットを3つまとめて最高28.8kbpsが可能である。
端末(電話機)は、送信と受信とを同時に行わず、またGSMと比較して多重化数が少なく、最大瞬時空中線電力も小さい。また、基地局に位置登録された端末を送信時間別グループに分け、そのときのみ待ち受け端末が受信状態となる間欠通信も行っている。そのため、電池の容量当たりの待ち受け時間や通話時間を長くすることが容易である。