NOIR
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NOIR(ノワール)
- フランス語で黒という意味。
- 2001年に放送されたテレビアニメ作品。本稿で後述。
- 小説、映画の一分野。闇社会を題材にとったもの。あるいは犯罪者の視点から書かれた小説。日本では馳星周などが代表的作家。また馳は東野圭吾の「白夜行」をノワールの傑作と評した。
NOIRは2001年4月5日より同年9月27日までテレビ東京で放送されたテレビアニメ作品。全26話。フィルム・ノワールをイメージしており、そこから「ノワール」をとったといわれる。全編を通して、やや暗いイメージの作品だが、美術・音楽的に人気が高く、現在でもファンが多い。昔からミュージッククリップ的なBGMと映像の使い方を提唱してきた真下耕一にとっての成功作でもある。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] ストーリー
パリで暗殺代行業を営むミレイユ・ブーケは、ある日、夕叢霧香と名乗る日本の女子高生から不思議なメールを受け取る。そのメールから流れてくるオルゴールの曲を耳にして、ミレイユは驚愕した。その音楽こそ、かつて家族が惨殺された日、殺害現場で流れていた曲だったからである。ミレイユは霧香にオルゴールの曲について尋ねるために日本へと飛ぶが、霧香は過去の記憶を失っていた。そして、記憶を失いながらも、霧香が類まれなる戦闘能力を有していることを目の当たりにしたミレイユは、霧香をパリへと連れて行き、2人で暗殺ユニット「NOIR」を結成する。初めはぎくしゃくしていた2人の関係だが、様々な依頼をこなすうちに2人は利害を超えた真のパートナーとしての絆に目覚めていく。
しかし、そんな彼女達の前に秘密組織ソルダの影が忍び寄る。ソルダの最高幹部の一人、アルテナが子飼いのクロエを2人のもとに送り込んできたのだ。ソルダとは一体何なのか?その正体は?そしてクロエが口にする「真のノワール」という言葉の意味とは…?
[編集] 登場人物
[編集] 「真のノワール」候補
- 神奈川県立椿高校に通う普通の女子高生だったが、第1話でミレイユと共にパリに渡り、ミレイユと共同生活を送りながら、暗殺代行業に従事するようになる。過去の記憶を失っていたが、後に自分こそがブーケ一家惨殺の実行犯であったことを思い出す。普段はおとなしい無口な少女で、人を殺めると涙を流す心優しい性格だが、時に非情な性格に変貌することがある。その時は目つきが鋭くなる。武器は銃で、イタリア、ベレッタ社製の銃ベレッタM1934を用いる。銃器類のみならず、様々な戦闘技術に秀でる。
- ミレイユ・ブーケ (声優:三石琴乃)
- 暗殺代行業者。コルシカ・マフィアの有力者の家に生まれるが、幼児期に一家を惨殺され、母方の叔父のクロードに育てられる。霧香と出会った後、暗殺ユニット「NOIR」を結成するが、霧香が一家暗殺に関係があると考えており、当初は冷たい態度で接していた。しかし、次第に霧香に心を許すようになり、霧香が家族の敵と知った後も、霧香との絆を断ち切ることはなかった。そして、霧香と共に全ての元凶であるアルテナに立ち向かっていく。武器は銃で、ドイツ、ワルサー社製ワルサーP99を使用している。
- クロエ (声優:久川綾)
- アルテナに育てられた少女。戦闘能力は高く、霧香とほぼ同等。幼い頃から霧香に憧れを抱いており、霧香と共に「真のノワール」に選ばれ、アルテナから愛されることを目標にしている。日頃は冷静沈着な性格だが、ミレイユに心を傾ける霧香を見て、ミレイユに対して嫉妬心をぶつけたこともある。また、アルテナの前では子どもっぽい表情を見せることが多い。武器は刃物で、ナイフを主用する。
[編集] ソルダ
- アルテナ (声優:TARAKO)
- ソルダの最高幹部の一人で、次期司祭長候補。女性神官またはシスターを思わせる、落ち着いた印象の女性。スペインとフランスの国境付近にある「荘園」と呼ばれる地で、中世さながらの生活を送りながら、クロエに指示を送っている。ソルダの原点回帰(「グラン・ルトゥール」)を主張し、ソルダ内で多くの支持者を得ているが、敵も多い。目的のためであれば味方をも切り捨てる非情さも併せ持つ。「愛で人を殺せるのなら、憎しみで人を救えもするだろう」という言葉が彼女の思想を端的に表している。
- レミ・ブレフォール (声優:銀河万丈)
- ソルダ内部に存在する反アルテナ派の1人。ソルダ評議会の遣いでノワールを自分の勢力に組み込もうとする。ミレイユたちにある程度同情的。
- ソルダ最高評議会の構成メンバーたち。最高評議会は反アルテナ派の牙城で、「真のノワール」結成を妨害し、「グラン・ルトゥール」を阻止しようと企む。霧香がアルテナの元に戻ってしまった後は、ミレイユを利用してアルテナに対抗しようとした。
- ボルヌ (声優:勝生真沙子)
- アルテナ側近の女性。アルテナと同じように神官またはシスターと思われる格好をしている。アルテナから真意を聞かされ、逆上してアルテナを射殺しようとして、返り討ちにされる。
- マレンヌ (声優:篠原恵美)
- アルテナ側近の女性。アルテナと同じように神官またはシスターと思われる格好をしている。アルテナを倒しに来た霧香とミレイユに立ち向かっていき、敗れる。
[編集] その他
- シルヴァーナ・グレオーネ (声優:冬馬由美)
- シシリアに幽閉されていたシシリアのマフィアの後継者。「イントッカービレ」(侵すべからざる者)や「世界一凶暴な姫君」などの異名で知られている。マフィアの規律を大事にしており、それを乱すものは父親でも容赦なく裁く。幼い頃のミレイユと知り合いで、大人になっても恐怖で取り乱すほどミレイユは幼い頃シルヴァーナに対し恐ろしいイメージを持っていた。武器は剣。
- シャオリー (声優:高乃麗)
- ミロシュ・ハベル (声優:関俊彦)
- チェコスロバキア出身の元外国人部隊兵士。ギアナで勲功をあげた後、パリで絵を描きながら悠々自適の生活を送っていた。絵を通じて霧香と仲良くなるが、ミレイユに恨みを持つ人間がミレイユの相棒である霧香を襲った際、巻き込まれて殺される。ミレイユ以外で霧香が心を許した数少ない人物。
- クロード・フェデー (声優:大塚芳忠)
- ミレイユの叔父。オデットの弟。ブーケ一家惨殺事件の後、ミレイユを連れてコルシカ島を脱出する。ミレイユを養育し、暗殺技術を教え込んだ。ソルダの命令で霧香を暗殺しようとして、姪のミレイユの手にかかる。
- オデット・ブーケ (声優:三石琴乃)
- ミレイユの母。アルテナの「愛で人を殺せるのなら、憎しみで人を救えもするだろう」という考えに反対し、自分を殺そうとしている霧香に対して「憎しみで人を救うことはできない」と説いた。
[編集] 用語解説
- ソルダ
- 1000年以上存在する謎の組織。現在では世界の中枢を陰ながら支配し、世界そのものと化している。組織が発展していく内に、原点を忘れて当初の理想とは別の組織になってしまったと考えるアルテナを中心とする原理主義的なグループと現状維持を望む最高評議会を中心とする現実主義的なグループが対立している。組織の長は司祭長と呼ばれ、アルテナが次期司祭長となることがほぼ確実視されていた。
- 真のノワール
- 固い絆で結ばれ、闇の世界で生きることを誓い合った2人の乙女。死を司ると言われている。かつては荘園で少女たちが生死をかけた闘いを繰り広げ、生き残った2人が任命されていたようだが、現在では真のノワールを選出する儀式はおこなわれなくなっている。アルテナ派は真のノワールを選出する儀式の復活をソルダの原点回帰の象徴としようと考え、霧香・ミレイユ・クロエを真のノワールの候補に選んでいた。しかし、アルテナの狙いは、ソルダをも含む不条理な世界に対して反逆し、これに立ち向かっていく2人の乙女を生み出すことにあった。
- NOIR(ノワール)
- かつては真のノワールを指す言葉だったが、次第に本来の意味は忘れさられ、裏社会では半ば伝説的な存在となった。そのため、これにあやかってNOIRと名乗る殺し屋が続出するようになった。霧香とミレイユがNOIRを名乗った理由も当初は伝説にあやかったためであった。
[編集] スタッフ
- 原案・構成・脚本:月村了衛
- 企画:佐々木史朗
- プロデューサー:北山茂
- キャラクターデザイン:菊地洋子・芝美奈子・宮地聡子
- メカニカルデザイン:寺岡賢司
- 色彩設計:片山由美子
- 特殊効果:村上正博
- 美術監督:小山俊久
- 撮影監督:森下成一・武原健二
- 編集:森田清次
- 音楽:梶浦由記
- 音楽ディレクター:福田正夫
- アニメーションプロデューサー:江川功爾憲(えがわ くにのり)・神林名里
- 監督・音響演出:真下耕一
- 制作協力:M.S.C
- 制作:ビィートレイン
- 製作:ビクターエンタテインメント
[編集] 放映内容
- #1 黒き手の処女(おとめ)たち
- #2 日々の糧
- #3 暗殺遊戯
- #4 波の音
- #5 レ・ソルダ
- #6 迷い猫
- #7 運命の黒い糸
- #8 イントッカービレ acteI
- #9 イントッカービレ acteII
- #10 真のノワール
- #11 月下之茶宴
- #12 刺客行
- #13 地獄の季節
- #14 ミレイユに花束を
- #15 冷眼殺手 acteI
- #16 冷眼殺手 acteII
- #17 コルシカに還る
- #18 私の闇
- #19 ソルダの両手
- #20 罪の中の罪
- #21 無明の朝
- #22 旅路の果て
- #23 残花有情
- #24 暗黒回帰
- #25 業火の淵
- #26 誕生
[編集] 主題歌
- オープニングテーマ「コッペリアの柩」
- 作詞: 宝野アリカ、作曲: 片倉三起也/歌手: ALI PROJECT
- エンディングテーマ「きれいな感情」
[編集] DVD
個別に発売された物の他、2007年3月にコレクターズBOXが発売され、これには副音声で英語版が収録されている。ちなみに日本語主音声はステレオで、英語副音声は5.1チャンネルサラウンドである。
[編集] 外部リンク
- ノワール(ビクターエンタテインメント内)
テレビ東京 木曜25:15~45枠 | ||
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