P1.EXE
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P1.EXE(ぴーわんえぐぜ)は、デービーソフトが開発・販売していた日本語ワープロソフトの名称である。
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[編集] 概説
DOS時代において管理工学研究所の「松」、ジャストシステムの「一太郎」に知名度は劣るものの機能が充実していた知る人ぞ知るワープロソフトであった。後述の特徴的な機能を多く備えており、ジャストシステム製の一太郎、花子では連動していたとはいえ、二つのソフトを切り替えなければならなかったのに比べ、P1はその操作が必要なく、シングルタスクのDOS上では非常に使い勝手が良かった。 またデービーソフトとビーユージーが共同開発したDFJと言うFEPも付属しており、こちらの評価もなかなかであった。 一太郎Ver.4では、当時高価であったハードディスクドライブやEMSメモリが実用的な動作のためにほぼ必須であったのに対し、P1.EXEではフロッピーディスクドライブ2台のみで実用的な動作が可能であったため、一太郎Ver.3からVer.4にバージョンアップせずにP1.EXEへ流れてきたユーザーもいた。
しかしARUGA(あるが)以降、細かなバージョンアップが行なわれるものの、Windowsへの対応の動きが見られないまま90年代半ばからWindows時代に突入、競合他社の製品に大きく水をあけられることとなる。ようやく発売されたWindows版P1のP1.Publisher(ぴーわんぱぶりしゃー)は簡易DTPソフトでありワープロソフトを望んだユーザーは離れていった。PublisherがP1.EXEおよびARUGAの文書データを読み込むことが出来ないのもユーザー離れを加速させた。また別製品の春望というワープロで辞書盗用問題が発覚し会社そのものの経営がゆきづまりP1シリーズの開発・販売・サポートは打ち切られた。
[編集] 特徴的な機能
- 一太郎Ver.4.3とほぼ同等のメニューでの操作が可能だった。
- DOS上で楷書体と行書体の毛筆フォントが使用可能だった。
- 簡単な描画を行なえるビットマップ図形、線画図形の描画機能を搭載していた(搭載していないバージョンもある)。
- COPYキーを押すとカーソルが二つになり、コピーカーソルを任意の場所に移動させReturn(Enter)キーを叩くと1文字づつコピーができた。
- デフォルトでアナログ時計が常駐していた。これは別ソフトであり他のソフトに常駐させることもできた。
- 機能拡張により、数学記号の描画や、同社のフラッピーなどのゲームを組み込んでプレイすることができた。
- これらの機能を備えていたがDOSバージョンは、印刷の際フォントディスクとシステムディスクを入れ替える必要があったものの、すべてフロッピーディスク3枚で運用可能であった(DOSの知識があればハードディスクへのインストールも容易に可能)
- 日本語入力ソフト(FEP)はDFJ、DFJ2、後にWindowsに対応しDFJ2/WINとなった。
- ファイル形式は、テキスト情報と属性情報が別ファイルとして保存される形式で、テキスト情報はテキストエディタで参照可能であった。
[編集] ラインナップ
- P1.EXE(Ver.1)
- 1988年発売。以後、ARUGA V3までがPC-9800シリーズのMS-DOS上で動作する製品である。
- P1.EXE PLUS
- P1.EXEでは拡張機能として別売りであった線画図形機能が同梱されたバージョン。
- P1.Sprits
- P1.EXEからビットマップ図形描画機能などを省略し、ワープロに特化したソフト。フロッピーディスクドライブ1台+RAMドライブが主流であった当時のノートパソコンにおいても軽快に動作するよう考慮されていた。
- ARUGA(P1.EXE Ver.2)
- P1.EXEの後継ソフト。起動の際にレーザー光線で描くようなARUGAの文字のデモが特徴的。線画図形機能が標準搭載された他、細かなバージョンアップが行なわれハードディスクにも対応しやすくなった。また、日本語入力がDFJ2になった。
- ARUGA V3(P1.EXE Ver.3)
- ARUGAのバージョンアップ版。特に特化された機能はなかった。
- P1.Publisher(P1.EXE for Windows3.1)
- 簡易DTPソフトのP1 for Windows。テンプレートが不足していたため使い勝手が悪かった。機能的にはMicrosoftの同名ソフトと変わらず独自色は無かった。日本語入力がDFJ2/WINになった。
[編集] 関連項目
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