Uボート
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Uボート(ウーボート)は、ドイツ海軍の潜水艦を指す。ドイツ語で潜水艦を Underseaboot と呼び、短縮形が U-Boot である。日本では英語読みのユーボート(U-boat) が一般に知られている。
目次 |
[編集] 戦役
第一次、第二次の両世界大戦におけるUボートの主目的は通商破壊戦であり、主な標的となったのはイギリスと植民地とを往来する商船であった。第一次世界大戦にアメリカが参戦した後は標的にアメリカからヨーロッパへの物資・兵員を積んだ商船が追加され、第二次世界大戦においては援ソ船団も加わっている。
[編集] 第一次世界大戦
1915年5月、ドイツのU20が、英国郵船(RMS)のルシタニア号を撃沈した。1,198人が死亡し、内123人は、アメリカ市民であった。有名な舞台演出家やヴァンダービルト家の一人も含まれていた。この出来事が、アメリカ世論を反ドイツへと揺り動かし、連合国側に立って戦争に参戦する重要な要因となった。1917年1月31日、ドイツがUボートによる無差別攻撃を宣言すると、アメリカは連合国側に立って参戦した。
[編集] 第二次世界大戦
第二次世界大戦においては、終戦に至るまでUボートの主戦場は大西洋であった(大西洋の戦い)。イギリス首相ウィンストン・チャーチルは「私が本当に怖れたのは、Uボートの脅威だけである」と述べた。また、ドイツ潜水艦隊司令カール・デーニッツは「300隻のUボートがあれば、イギリスとの戦いに勝てる」と宣言していた。
第二次大戦の開戦直後は、Uボートは57隻が配備されているだけだった。しかし増産が続けられ、航洋型潜水艦のみに限っても最終的に1,162隻が建造された。緒戦ではUボート部隊は大西洋を大いに暴れまわり、連合軍輸送船に対し大きな被害を与えている。
しかし1942年に入ると、連合軍はUボートに対して
などあらゆる対策を実行する。これらが進展するにしたがって、大西洋の戦いはUボート部隊に不利となっていく。ドイツも対空兵装の強化、シュノーケルの装備などで対抗し、一時的に戦果の低下を防ぐことができたが連合軍のUボートによる被害が低下するのに反比例してUボートそのものの損害は増加し、結果的に大戦全期を通じたUボートとその乗組員の損失は、743隻、約3万人を数えている。
[編集] 種類
[編集] 第一次世界大戦
[編集] 第二次世界大戦
- Uボート (I型)
- Uボート (II型)
- Uボート (V型)
- Uボート (VII型)
- Uボート (IX型)
- Uボート (X型)
- Uボート (XI型)
- Uボート (XIV型)
- Uボート (XVIIB型)
- Uボート (XXI型)
- Uボート (XXIII型)
- Uボート (XXVII型)
以下、型式番号なし
[編集] 第二次世界大戦後
[編集] 文献
- 総論
- Wolfgang Frank(著)、実松譲(訳)、Non-fictions、『Uボート作戦』、図書出版社、1970年
- レオンス・ペイヤール(著)、長塚隆二(訳)、Non-fictions、『大西洋戦争(全2巻)』、早川書房、1981年
- レオンス・ペイヤール(著)、長塚隆二(訳)、Non-fictions、『潜水艦戦争1939-1945』、早川書房、1983年
- カール・デーニッツ(著)、山中静三(訳)、回顧録、『10年と20日間;デーニッツ回顧録』、光和堂、1986年、ISBN 4-87538-073-9
- Robert C.Stern(著)、津久部茂明訳、『UボートVII型:ドイツ潜水艦テクノロジーの全貌』、1995年、ISBN 4-499-22656-2
- Edwyn Gray(著)、秋山信雄(訳)、Non-fictions、『潜水艦の死闘;彼らは海面下で戦った』、光人社、1997年、ISBN 4-7698-0830-5
- 学習研究社編集部 (Pictorials) :『大西洋戦争』、学習研究社、1998年、ISBN 4-05-601784-0
- Uボート艦長
- Edwyn Gray(著)、種子島洋二(訳)、小説、『Uボート西へ』、白金書房、1975年
- Heinz Schäffer(著)、横川文雄訳、Non-fictions、『U-ボート 977』、朝日ソノラマ、1984年、ISBN 4-257-17038-7
- アレクサンドル・コルガノフ(著)、内藤一郎(訳)、Non-fictions、『Uボート、出撃せよ』、早川書房、1993年、ISBN 4-15-050098-3
- Peter Kremer(著)、井坂清(訳)、回想録、『Uボート・コマンダー:潜水艦戦を生き抜いた男』、早川書房、1995年、ISBN 4-15-050181-5
- Rothar-Günther Buchheim(著)、松谷健二(訳)、 『Uボート(全2巻)』、早川書房、2000年、ISBN 4-15-040616-2
- ギュンター・プリーン(著)、濱野修(訳)、『スカパ・フローへの道;ギュンター・プリーン回想録』、中央公論新社、2001年、ISBN 4-12-003174-8
- Jordan Vause(著)、雨倉孝之(訳)、Non-fictions、『Uボート・エース:The Story of Wolfgang Lüth』、朝日ソノラマ、1997年、ISBN 4-257-17317-3
- ヘルベルト・A・ヴェルナー(著)、鈴木主税(訳)、回想録、『鉄の棺 Uボート死闘の記録』、中央公論新社、2001年、ISBN 4-12-003108-X C0098
- 連合軍の反撃
- D.A.Rayner(著)、鎌田三平(訳)、小説、『眼下の敵』、西武タイム、1985年、ISBN 4-8275-1233-7
- Kenneth Poolman(著)、矢嶋由哉(訳)、Non-fictions、『シーハンター』、朝日ソノラマ、1986年、ISBN 4-257-17071-9
- Geoffrey Jones(著)、土屋哲朗・光藤亘(訳)、Non-fictions、『狼群作戦の黄昏』、朝日ソノラマ、1990年、ISBN 4-257-17222-3
- 軍服
- Gordon Williamson(著)、U-Boat Crews 1914-1945, Osprey Militay, 1995, ISBN 1-85532-545-4
[編集] 関連項目
[編集] Uボートを題材にした映画
- 『眼下の敵』(原題:The Enemy below、ディック・パウエル監督、1957年、アメリカ)
- 『鮫と小魚』(原題:Haie und kleine Fische、フランク・ヴィスバー監督、1957年、西ドイツ)
- 『U-47出撃せよ』(原題:U-47 Kapitänleutnant Prien、ハラルト・ラインル監督、1958年、西ドイツ)
- 『U・ボート』(原題:Das Boot、ヴォルフガング・ペーターゼン監督、1981年、ドイツ)
- 『ザ・ラストUボート』(原題:The last U-boat、フランク・バイヤー 監督、1993年、日独合作)
- 『U-571』(原題:U-571、ジョナサン・モストウ監督、2000年、アメリカ)
- 『Uボート 最後の決断』(原題:IN ENEMY HANDS、トニー・ジグリオ監督、2003年、アメリカ)
[編集] 外部リンク
カテゴリ: ドイツ第三帝国の兵器 | ドイツの潜水艦 | 第一次世界大戦 | 第二次世界大戦