通商破壊
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通商破壊(つうしょうはかい)とは戦時に、通商物資や人を乗せた商船を攻撃することによって、海運による物資の輸送を妨害すること。主に潜水艦により行なわれたものが有名であるが、航空機や戦艦、武装商船(仮装巡洋艦)などでも行う。
なお、通商破壊に対する護衛・防御のことを通商護衛(つうしょうごえい)と呼ぶ。
また、通商破壊に対抗するために生み出された戦法が護送船団である。
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[編集] 通商破壊の目的
戦争当事国が主に海運による物資にたよっている場合において行われるものであり、古来から行われてきた。食料や産業活動に必要な原材料の輸送を海運に依存している国家において、海運による通商活動が停止することは、産業活動の崩壊・国家の崩壊に結びつくため、通商破壊活動は、そのような国家に対する作戦行動として非常に有効となる。
また、通商破壊作戦は、相対的に弱小な海軍においてもゲリラ的に実施できるため、そのような海軍においてよく実施される。
対して、海運が重要な国家における海軍に求められることは通商路(シーレーン)の維持・防衛となる。その方策としては、通商物資を搭載した商船に船団を組ませ、それを軍艦などで護衛する護送船団方式や、ほかに通商破壊を行う敵部隊・根拠地を直接攻撃する方法が二つがある。しかし、このシーレーンの維持・防衛は、戦時においては現地主義の弊害から、後方支援として重要度を低くしてしまうため、優秀な指揮官があたることは少なく、また、兵士も戦闘員ではなく輸送員と化してしまう士気の低下など、それを成功させることは困難である。通商破壊を実施する側は、ゲリラ的に作戦を実施可能であるのに対して、その防衛には各戦艦の連携や情報の更新、護衛と同時に撃退を行うなど、非常に多くの戦力が必要となるためである。
[編集] 通商破壊の効果
商船を拿捕しまた沈めてしまえばその国家の海運から直接その船の分の輸送力を永続的に奪うことになるが、間接的にも大きい効果を及ぼすことができる。すなわちある航路が安全でないとなれば、低速の独航船は出発港に引き返すか最寄りの港に避難してしまい、数カ月にわたってその航路の効率を落とすことになる。また多くの通商破壊艦のために船団方式をとれば、港湾は出帆の準備が早く整った船も最後の船の準備ができるまで港内で待たざるを得ず、船の運用効率が落ちる。出帆すれば船団で一番遅い船の速度に全船が合わせねばならない。目的港に到着すれば港湾の荷揚げ施設は急に忙殺される。
少数の通商破壊艦でもその出現によっておびただしい影響を与えることができるため、相手国の海軍では船団護衛のためだけでなく、通商破壊艦を狩り出して航路から脅威を除くためにも軍艦を割いて相当な燃料を消費しながら探し回らなくてはならない。
[編集] 歴史
20世紀においては、第一次世界大戦においてドイツがイギリスに対して、第二次世界大戦においてはドイツがイギリスに対して、アメリカが日本に対して行った。
2度の世界大戦を通じてイギリス海軍はアメリカ軍の援助を受けながらもシーレーン防衛については最大限の努力を払った。このことは宿敵であるドイツ海軍の作戦行動能力がイギリスに対して低かったことを考慮したとしても非常に大きなものであった。それに対し、第二次世界大戦における日本海軍は艦隊決戦のための海軍であり、シーレーン防衛についてはほとんど顧みられることがなかった。そのために日本本土と占領地そして資源産出地とを結ぶシーレーンは戦況が悪化するごとに寸断され補給も資源の輸送もままならない状況となり、終戦時には石油を始めとする各種物資の欠乏に陥り、産業活動がほぼ停止するに至り、降伏した。
[編集] 第一次世界大戦
第一次世界大戦においては、主に大西洋・地中海・北海において、ドイツが連合国(主にイギリス)に対して通商破壊作戦を行った。
大西洋・地中海・北海においては、主に潜水艦(Uボート)による通商破壊が行われた。太平洋・インド洋方面においては、軽巡洋艦エムデンによる通商破壊活動が有名である。
[編集] 第二次世界大戦
第二次世界大戦においては、主に大西洋・地中海・北海において、ドイツが連合国(主にイギリス・アメリカ)に対して通商破壊作戦を行った。また、太平洋・南シナ海・東シナ海において、アメリカが日本に対して通商破壊作戦を行った。日本も連合国に対し、僅かではあるが、通商破壊作戦を行っている。
[編集] ドイツ
主に群狼作戦などの潜水艦による通商破壊活動を行った。このほか、戦艦、仮装巡洋艦、航空機でも積極的に活動を行っており、その活動範囲は、北海・北大西洋を中心に、地中海、カリブ海、インド洋、太平洋までおよんでいる。
[編集] アメリカ
アメリカ軍は、特に戦争後半において、日本に対し通商破壊作戦を行っている。その主力となったものは、オーストラリアやハワイを基地とした潜水艦である。潜水艦3隻を一組とし、ウルフパックと名付け太平洋をはじめ、南シナ海、東シナ海、さらには日本海で作戦を行った。また、1944年には空母機動部隊の艦載機も南シナ海で作戦行動を行い、多数の商船を撃沈している。
そのほか、B-29は日本や朝鮮半島の港湾に機雷を投下し、艦船の運航を妨げている。
[編集] 日本
潜水艦による通商破壊活動は、一部の例外を除き行われなかった。商船改造の特設巡洋艦、愛国丸・報国丸で構成された第24戦隊が1941年から1942年にかけて、インド洋で活動を行ったことが有名である。
[編集] 関連項目
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