ULi
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ULi(宇力電子:ULi Electronics:ユリ・エレクトロニクス)は、台湾の半導体メーカー。半導体メーカーALiの100%出資の子会社。主にPC/AT互換機向けのチップセットを開発、製造していた。2006年2月にNVIDIAに買収完了、消滅した。
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[編集] 沿革
- この頃のALiは、マルチメディア関連の製品は好調であったものの、新しいチップセット開発の遅れとNVIDIAやATIなど、新参入メーカーの台頭でチップセットの需要が減っており、その開発と生産を縮小していた。
- 2005年12月、ULiはNVIDIAに買収された。2006年2月に買収完了したが、しばらくは従来の顧客向けにULiブランド製品の出荷やサポートは続けられるという。今後は、NVIDIAブランドのアジア市場をターゲットにしたマーケティング戦略に貢献するという事である。
[編集] チップセット
2003年、Intel向けのM1683(マーキングはALi表記)が事実上最初の製品である。それまでの製品の多くはノースブリッジとサウスブリッジ間がPCIで接続されていたが、この製品はHyperTransportで接続されており、ノース・サウス間のボトルネックが解消された。M1683のサウスはM1563と接続された。
そしてAMDのK8向けであるM1689はメモリコントローラを省く事が出来た為、ノース・サウスが1チップに収まった。低コストながら性能も良くファンレスで動作することから、これを採用したマザーボードメーカーが増えた。尚、M1689の一世代前の製品であるM1687はAMD8151のOEMである。サウスはM1563と接続された。
同じくAMD向けのM1695はHyperTransportとPCI Expressトンネルチップであるが、M1689の転用であるサウスチップM1567との接続により、PCI Express x16とAGPのビデオカードのネイティブ接続を実現させ、更にNVIDIAのnForceシリーズより低発熱で安価である事から、マニア層から話題を呼んだ。2005年9月に発売された、M1695+M1567搭載マザーボードのASRock社製939Dual-SATA2は日本の自作パソコン市場では珍しく大ヒット商品となり、2006年にもマイナーチェンジ版である939Dual-VSTAが発売されるなど、ロングセラー商品となっている。
次期AMD向け製品のM1697はPCI Expressのみのサポートで、M1575のサウス機能を1チップに収めた仕様である。 M1697搭載、ASRock社製939SLI32-eSATA2,939SLI-eSATA2は、NVIDIA非公認であるものの、SLIをサポートしている。 939SLI32-eSATA2はM1695を追加することでnForce4 SLIx16に匹敵する機能を有する。このマザーボードはSLIアダプターが付属し、廉価でSLIが構築出来るという構成となっているが、現在のGeForce用ドライバではこのマザーボードでSLIを使用することが出来なくなっている。
PCI ExpressサウスブリッジのM1573/M1575は、ATIチップセットのノースブリッジを支援する形で普及が進んだが、ULiがNVIDIAに買収された事により今後供給が無くなる可能性が出てきたため、ATIでは純正サウスブリッジの問題の修正が急務とされている。 また、トランスメタ社のCPU『Crusoe』『Efficeon』搭載のノートPCのサウスブリッジには、ULi(ALi)製のものがほぼ独占状態で採用されている。しかし、ULiがNVIDIAに買収されたことにより供給が無くなるのを危惧されているが、トランスメタではこの事について「問題ない」と発言している(Efficeon用のサウスブリッジが、現在もALiのマーキングとなっているためかと思われる)。
M1689以降のチップセットは廉価で比較的扱いやすいとされ、自作ユーザーの固定ファンも少なくなく、ULiがNVIDIAに買収されてからは新製品が出なくなった事を惜しむ声も多い。