へうげもの
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
この「へうげもの」は、まだ完結していない作品や番組に関する項目です。ある程度ストーリー・番組内容がまとまってから編集するようにしてください。 |
![]() |
ウィキポータル |
日本の漫画作品 |
日本の漫画家 |
漫画原作者 |
漫画雑誌 |
カテゴリ |
漫画作品 |
漫画 - 漫画家 |
プロジェクト |
漫画作品 - 漫画家 |
『へうげもの』(欧字表記はHyouge-mono)は山田芳裕による漫画作品であり、講談社刊「週刊モーニング」に連載中である。但し、本作品は隔週掲載となっている。
目次 |
[編集] 概要
織田信長、豊臣秀吉に仕えた古田織部を主人公とし、戦国時代を描いた作品である。この類の作品は合戦などの「武」を描いたものが多い中、へうげものは戦国時代に珍重された茶器などが多く描かれた「美(文化)」に重きを置いた作品である。
ちなみに「へうげもの」は「ひょうげもの」と読む。歴史的仮名遣いである。
単行本は講談社よりモーニングKCとして4巻まで刊行されている(2007年1月現在)。
[編集] 登場人物
登場順に記述。但し「登場」とは姿だけでなくその人物(物)が誰(何)であるか外見と名が一致した時点を指す。また、リンク先にて史実に基づいた記述がある場合は名前と独特の解釈の紹介にとどめる。
- 古田左介、後に古田織部 - 本作品の主人公。物欲と芸術をプロデュースする事に命をかける数奇者。その一方出世や戦国時代の武人としての本分もまっとうしようと考え、物欲との間で葛藤する。窃盗癖あり。
- 織田信長 - 派手で壮大な芸術文化を好み奨励する天下人。その壮大な世界は佐介ら同時代の武将・茶人達を魅了する。その一方やや身内を可愛がりすぎるきらいがあり、非織田有力家臣の反感を買っている。
- 羽柴秀吉 - 冷徹な野心家。周到に策を張り巡らし天下の覇権を狙う。一方数奇者としてのセンスはイマイチで、織部らに内心酷評される事が多い。天下を取るため利休と共闘するが、秀吉は次第に信長と同じ華を重んじ始め、わびの利休とは距離が生じ始める。なお、どういうわけか剣の達人でもある。
- 松永久秀 - 第1席(本作品における「第x話」の呼称)に登場。降伏の使者として現れながら、交渉そっちのけで名物「平グモの釜」に目を奪われる左介に対し、いずれ自分の生き方を決めねばならないと諭す。カツラ使用。
- 織田信忠
- 九鬼嘉隆 - 信長の命を受け黒く塗られた鉄製の軍艦を建造する。
- 津田宗及
- 今井宗久
- 千宗易 - 日本史上最も有名な茶人にして稀代の数奇者。豊臣政権の樹立に協力し、様々な陰謀に加担する。それは日本を、己の美学にマッチする理想国家へと作り変えたいとの野心故である。デカい。
- 中川清秀 - 織部の妻おせんの兄。生真面目な武人であり戦傷が絶えない。義弟織部を信頼しつつも、数奇に傾倒する事には不安を抱いている。
- おせん - 左介の妻であり中川清秀の妹。ものに動じないおっとりした性格で、よく出来た嫁さんと万人が認める。左介自身も相当な愛妻家である。
- 荒木村重 - 織部以上の物欲の権化。信長に対し反旗を翻し、敗色濃厚となるや己のコレクションのみ背負い、部下や家族を見捨てて逃亡する。病に冒され余命幾ばくもなくなってもその強欲ぶりは全く衰えず。信長に反逆した際一族は殆ど皆殺しにされているが、奇跡的に一児(後の岩佐又兵衛)が生き延びており、左介に己の生きざまを伝えてくれるよう頼む。
- 森乱丸
- 毛利元就 - 1コマのみの登場。
- 武田信玄 - 1コマのみの登場。
- 上杉謙信 - 1コマのみの登場。
- 明智光秀 - 思い悩む織田家重臣。野心家や強欲な人物が多い本作において珍しい無私の人として描かれ、信長のもと暴走し始める世を正さんと決起する。数奇者としてはわびを好む。
- 古田重定 - 左介の実父。数寄に傾倒する左介をドラ息子と公言してはばからない。
- 明智秀満
- 柴田勝家 - 織田家家臣筆頭。秀吉の実力と優勢を理解しつつも、織田家中のけじめとして秀吉に立ち向かう。数奇者としてのセンスは非常に悪く(そもそも世の流行に興味がなく)、長益も「織田でなければ光秀に付いた」と発言した。
- 織田長益 - 信長の弟。優れた茶人で織田家の人間らしく華を好む。織部とは気が合うのかちょくちょく行動を共にする。一見貴公子ぜんとしていながらちゃっかり者で要領がよく、過酷な戦国時代を巧みな処世術で生き延びてゆく。
- 正親町天皇
- 佐久間信盛
- 織田信雄
- 織田信孝
- 長次郎 - 陶匠
- お吟 - 千宗易の娘
- 山上宗二
- 毛利輝元
- 高山右近 - キリシタン大名で西洋の美にも造詣が深い。ハートマークや食肉などの西洋文化を織部に伝える。
- 細川忠興 - 名門細川家の若き当主。血の気が多い一方抜けている面も多々見られ、織部に「ホヒョン」等と評され弄られる。なお、光秀の娘のおたま(後のガラシャ)を妻としている。
- 細川藤孝 - 冷静沈着な大名。本能寺の変後の対応で血気にはやる息子忠興をKOしたことも。どういうわけか子孫の細川護熙似に描かれている。
- 加藤景延 - 美濃の陶匠。釜大将を務める。織部プロデュースによる、美濃の窯元を集めたプロジェクト「織部十作」の指揮を執る。
- 羽柴秀長 - 秀吉の種違いの弟。常に兄の影のように付き従い、その覇業を補佐する。他の重臣たちにも明かさない秀吉の陰謀も彼だけには打ち明ける事が多いなど、兄から絶対の信頼をおかれている。また、兄に比べ利休の侘びの美学への理解も深い。
- 島井宗室
- 仁科盛信 - 高遠城主。高麗茶器(の贋作)と口八丁を駆使して口説き落としにきた左介を、文字通り一蹴して叩き出した。
- 滝川一益
- 黒田孝高
- 蜂須賀正勝
- 徳川家康 - 信長と同盟している三河の大名。質素倹約を何より重んじ、家臣領民のためだけを考え政を行うべきだと考える生真面目な人物。必要以上の贅沢には怒りを露にする事もあり、華やかな安土城や大阪城の雰囲気に不快感を抱く。一方利休のわび茶や純朴さを失わない秀吉正室おね、万民の為に決起した光秀らには好印象を抱く。よい意味でも悪い意味でも田舎者で垢抜けておらず、使者として訪れた織部らを贅沢の意味を勘違いした接待で迎えた事も。
- 家鷹 - 鷹匠
- 不知火 - 家鷹が育てた鷹
- 弥助 - 信長に従う外国人。大きな体と黒人の身体能力を生かした無類の強さを誇り、度々織部を救う。義に厚い。
- 神谷宗湛
- 斎藤利三
- 服部半蔵
- 安国寺恵瓊
- 蒲生賢秀
- 蒲生賦秀
- 池田恒興
- 丹羽長秀
- 長丸
- 茶屋四郎次郎
- 上田左太郎 - 無骨な若武者、だったが織部の悪影響を受け次第に数奇に傾倒し始めている。
- 溝尾勝兵衛
- 随風 - 光秀を延暦寺に匿おうとした僧侶の一人。結果的に味方の裏切りにあい、致命傷を負った光秀の最後を見取る事になった。その後、間一髪の所を徳川の者に救われる。その後は徳川家に匿われ、様々な助言を行っているものと思われる。
- 石田三成 - 秀吉の側近。細かな数字にこだわり、愛想も悪く感情を殆ど表に出さないロボットのような人物として描かれている。一方ウソは言わないため秀吉には気に入られている。やや頭が固い。
- 茶々 - 信長の姪で秀吉の側室。派手好みの性格で地味にしている事が我慢ならない。
- 加藤清正 - 秀吉子飼いの武将。トラのたとえ話が好き。なぜか具志堅用高似。
- おね - 豊臣秀吉の正室。純朴な人柄で動きやすく地味で汚れてもかまわない衣服を好む。天下人の妻となっても百姓の女房のような態度を崩さない。
- 長谷川等伯 - 絵師。大名となった織部から屋敷の襖絵を依頼される。生活に苦労しているらしい。
- 丿貫 - 利休も認める侘び数寄者。茶席では半ば強引ともとれる手法で客の緊張を解きほぐす。
- 羽柴秀康
- 真田信繁(名前のみの登場)
[編集] 登場する名物・業物
作品中における読み仮名と簡単な紹介を記す。
- 蘭奢待(らんじゃたい) - 香木
- 平グモ(ひらぐも) - 茶釜
- 九十九髪茄子(つくもなす) - 茄子形の茶入
- 志野茶碗(しのぢゃわん) - 美濃の窯大将が作った茶碗
- 関の孫六兼元(せきのまごろくかねもと) - 業物の刀
- 荒木高麗(あらきこうらい) - 大名物の染付茶碗
- 南蛮漆器蒔絵箱(なんばんしっきまきえばこ) - 小箱
- 唐物熊川形青色茶碗(からものこもがいなりあおいろぢゃわん) - 茶碗
- 黒茶碗(くろぢゃわん) - 千宗易の依頼で長次郎が作った今焼の茶碗
- 新田(にった) - 肩衝形の茶入。天下三肩衝のひとつ
- 初花(はつはな) - 肩衝形の茶入。天下三肩衝のひとつ
- 楢柴(ならしば) - 肩衝形の茶入。天下三肩衝のひとつ
- 馬麟の雀絵(ばりんのすずめえ) - 馬麟作・雀が描かれた絵の掛軸
- 砧の花入(きぬたのはないれ) - 花入(今で言う花瓶)
- 朝倉肩衝(あさくらかたつき) - 肩衝形の茶入
- 大覚寺天目茶碗(だいかくじてんもくぢゃわん) - 茶碗
- 尼崎の天目台(あまがさきのてんもくだい) - 天目茶碗を置くための台
- 珠徳の茶杓(しゅとくのちゃしゃく) - 珠徳作の茶杓
- 鉄羽の火ばし - 文字通り火箸
- 高麗茶碗(こうらいぢゃわん) - 茶碗
- 珠光小茄子(しゅこうこなす) - 茶入
- 八角釜(はっかくがま) - 茶釜
- 牧谿の夏椿図(もっけいのかちんず) - 牧谿作・椿の絵の掛軸
- 勢高肩衝(せいたかかたつき) - 肩衝形の茶入
- 円座肩衝(えんざかたつき) - 肩衝形の茶入
- 万歳大海(まんざいたいかい) -
- 松本茶碗(まつもとぢゃわん) - 茶碗
- 引拙茶碗(いんせつぢゃわん) - 茶碗
- 七台(ななつだい) -
- 珠光茶碗(しゅこうぢゃわん) - 茶碗
- 珠徳象牙茶杓(しゅとくぞうげちゃしゃく) - 珠徳作の茶杓
- 竹茶杓(たけちゃしゃく) - 茶杓
- 蕪無花入(かぶらなしはないれ) - 花入
- 貨狄花入(かてきはないれ) - 花入
- 松島茶壺(まつしまちゃつぼ) - 茶壷
- 三日月茶壺(みかづきちゃつぼ) - 茶壷
- 宗達平釜(そうたつひらがま) - 茶釜
- 藤波平釜(ふじなみひらがま) - 茶釜
- 高麗火箸(こうらいひばし) - 火箸
- 紹鷗鉄火箸(じょうおうてつひばし) - 火箸
- 空海の千字文軸(くうかいのせんじもんじく) - 空海が書いた掛軸
- 古銅花生桃尻(こどうはないけももじり) - 花生
- 芋頭の水指(いもがしらのみずさし) -
- 瓢形青色花生(ふくべなりあおいろはないけ) - 花生
- 青木肩衝(あおきかたつき) - 肩衝形の茶入
- 落葉の大壺(らくようのおおつぼ) - 壷
- 霜夜天目茶碗(しもよてんもくぢゃわん) - 茶碗
[編集] その他雑学
- 荒縄の味噌汁
- 芋茎とは、サトイモの茎である。生のものを「ズイキ」干したものを「イモガラ」と区別する場合もある。ズイキは茹でておひたしにしたり味噌汁などで、イモガラは油揚げと共に煮るなどして現在も食べられている。作品中のように合戦に携行する際には保存が利くように干して乾燥させ、長くつないで縄のようにしたものを携行したため「荒縄」と呼ばれている。実際に縄として使用したとも思われる。
- 作品中では味噌で味付けをして味噌汁にしているが、最初から芋茎に味噌を塗って乾燥させ、味噌味の染み込んだ縄を作ることもあったようだ。この場合は適度な長さに切って湯に浸すだけで簡単な味噌汁ができあがる。現代でいうインスタント味噌汁のようなものであろう。
[編集] 刊行されている単行本
- へうげもの1服 - 2005年12月22日発行 ISBN 4-06-372487-5
- へうげもの2服 - 2006年4月21日発行 ISBN 4-06-372512-X
- へうげもの3服 - 2006年8月23日発行 ISBN 4-06-372545-6
- へうげもの4服 - 2007年1月23日発行 ISBN 4-06-372575-9
[編集] 外部リンク
- へうげもの official blog - 公式ブログサイト