アナベル・ガトー
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アナベル・ガトー(Anavel Gato)は、OVA『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』の登場人物。ジオンの残党であるデラーズ・フリートの一員であり、一年戦争時に「ソロモンの悪夢」と恐れられ、連邦軍の現代戦史の教本にも載ったエースパイロット。一年戦争時の階級は大尉。後にデラーズ・フリートに参加し少佐に昇進した。0083年時点の年齢は25歳。(声:大塚明夫)
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[編集] 一年戦争時代
一年戦争においては、ドロス級空母二番艦ドロワ所属の第302哨戒中隊隊長として、ソロモンを中心とした宙域で活躍していた。
ソロモン撤退戦ではア・バオア・クーへ撤退する艦隊の殿を務め、連邦軍追撃艦隊に多大な損害を与えた(この時、「ソロモンの悪夢」の異名がついたとされ、この戦闘で8隻の戦艦を撃沈したと言われている)。なお、この時の搭乗機はリック・ドム(ビーム・バズーカ装備)若しくはゲルググ(大型ビームライフル装備)のどちらかと言われているが、ゲルググに搭乗していた説が強い(なお、リック・ドムはソロモン攻略戦で使用。撤退戦の際にゲルググに乗り換えたと言われている)。PS2版 機動戦士ガンダム めぐりあい宇宙では、専用機と思われるリック・ドム(ビーム・バズーカ装備)に搭乗しているシーンが収録されている。
ア・バオア・クー防衛戦には青と緑のパーソナルカラーに塗り分けられた専用ゲルググで参戦していたが、戦闘中に乗機の右腕が流れ弾に被弾(小説による)。修理を受ける為、偶然近くに居たエギーユ・デラーズの乗艦、グワジン級戦艦グワデンに着艦するが、デラーズは戦闘宙域からの撤退を決定していたため修理を受けられず、止むを得ず艦のドックに残されていた試作型リック・ドム(デラーズ専用機)に乗り換えて再度出撃しようとするが、デラーズに説き伏せられ、彼と共にア・バオア・クーの戦線より離脱する。
その後暫くは、月で潜伏生活を送る。当時、月の企業連合体はジオン公国に好意的であり、彼等に匿われた公国軍残党は比較的快適な潜伏生活を送っていたとされる。このときにニナ・パープルトンと恋仲にあり、同様にフォン・ブラウン市に滞在していた戦友であるケリィ・レズナーとも交流があった模様である。
[編集] デラーズ・フリート時代
宇宙世紀0081年9月17日にデラーズ・フリートに復帰。0083年10月13日、地球連邦軍トリントン基地にバルフィッシュと言うコードーネームを使用し、ニック・オービルの乗るジープで潜入(平時とは言え余りに警備が手薄だった事に呆れていた)。同基地からMk-82核弾頭搭載のガンダム試作2号機を強奪し追撃の手を振り切りながら、アフリカ方面へ逃亡する。アフリカでのアルビオンとの戦闘の際には脱出用のHLVに乗り込んでいたため、戦闘には参加しなかった(というより出来なかった)が、ノイエン・ビッターの時間稼ぎもあり、宇宙に脱出する(この時、ビッターからブルーダイヤモンドを受け取る)。
その後、自身がガンダム試作2号機を駆りコンペイ島宙域で行われた連邦軍の観艦式を襲撃。密集して隊列を組んでいた艦隊の中心(バーミンガム)にその核弾頭を打ち込み、集結していた連邦軍艦隊の3分の2(=実質的に連邦軍艦隊の半数以上)を航行不能に陥らせた(この時発した「ソロモンよ、私は帰ってきた!!」はガンダムの歴史に残る名セリフとして有名)。核攻撃の直後、追撃してきたコウ・ウラキのガンダム試作1号機フルバーニアンとの一騎打ちに突入する。宇宙での機体性能差に加え、シールドを持つ左腕が故障していたために予想外の苦戦を強いられ、左腕などを破壊された結果相打ちとなりガンダム試作2号機は大破してしまう。その後、一年戦争時代からの部下であったカリウスに救助される。
その後、乗機をアクシズ先遣艦隊から提供されたノイエ・ジールに換え、デラーズ・フリートの最終目的である地球へのコロニー落としの為に、それを阻止せんと追い縋る連邦軍を蹴散らす。地球軌道上での戦闘では、連邦軍が切り札として展開していた、ソーラ・システムIIのコントロール艦を際どくも破壊、コロニー破壊を阻止。コロニー内部のコントロールルームに進入し、コロニーの最終軌道調整を自身の手で果たす。この時、ニナ・パープルトンと再会するが、コウにその隙を突かれ脇腹を負傷。ニナに助けられるも、彼女を巻き込まない為に気絶させカリウスに預ける。その後、連邦軍艦隊の包囲網から逃れるチャンスを無視し、コウとの最後の一騎打ちへと突入する。
戦闘はガトーの圧倒的有利に進むも、コウに撃たれた脇腹の傷とその出血により戦闘は長引き、ようやくガトーがコウにとどめを刺そうとしたその時、バスク・オムが味方の損害も無視したソーラ・システムIIの第二射を喰らう。この一撃により機体が中破。残存した味方部隊とともにアクシズ先遣艦隊へと到達するため連邦の包囲網を突破しようとするが、圧倒的多数による攻撃に加え、機体・心身ともに消耗が激しく、各所に被弾。味方機が次々脱落する中、雄叫びを上げながらサラミス級宇宙巡洋艦(0083版、小説版ではマゼラン級宇宙戦艦)に特攻を仕掛け壮絶に散っていった。
未熟な敵兵に対しては侮蔑にも似た感情を見せる彼だが、部下にとっては良き上官であり、軍人としても、人間としても尊敬されていた。しかし、作戦の遂行にあたっては隠密作戦中に信号弾を打ち上げるなど作戦そのものを反故にしかねない行動を取り、奪取した核兵器で連邦艦隊に対してテロ(星の屑作戦は非正規の武装集団によるテロリズムである)に及び、最終的に北米大陸へのコロニー落しを実行してコロニー落下による直接的被害およびその後の気候変動をもたらす等、その行動に非常に問題のある側面が強いことは事実である(現行の戦時国際法では、組織された武装集団は国家への帰属にかかわらず軍隊であり交戦者資格を持つので、彼の連邦軍艦隊への攻撃はテロとは呼ばれない可能性が高い。ただし宇宙世紀における戦時国際法の規定上、彼の行為がテロなのかどうかは不明である。ジュネーヴ条約ゲリラ参照)。 一方で、自らの信念に基づいて邁進する姿が多くのファンの心を動かしたこともまた事実である。ガンダムのキャラクターの中でも特にジオンへの愛国的態度の強いキャラクターであり、最期までジオンに忠誠を誓った。
[編集] その他
[編集] 技量について
ガトーはゲーム『SDガンダム GGENERATION』や『スーパーロボット大戦シリーズ』などでニュータイプでない人間(オールドタイプ)でありながら高い能力を持つ事から「ニュータイプを除いたパイロットの中では最強なのではないか?」、「オールドタイプの中では非常に高い戦闘力を誇る」といった意見がよく出る。 この事は、同じ宇宙世紀の人物であるヤザン・ゲーブルにも同じ事が言われていて、どちらが最強のオールドタイプであるか討論されることも少なくない。
これらの意見には当然ながら、肯定派・否定派の両方が存在する。まず否定派は
- ア・バオア・クー攻防戦時に当時ジオンの最新鋭機であったゲルググに搭乗しておきながら被弾した
- 最初の戦闘以外ではコウとほぼ同レベル
といった反論を行う。しかし、それに反論する肯定派は
- ア・バオア・クー攻防戦時の被弾は流れ弾である
- 2度目の戦闘で、コウはニナのシールドを狙う助言がなければ間違いなく撃墜されていた
- 10話で相打ちになったのはガンダム試作1号機フルバーニアンは宇宙での機動性に優れ、汎用性の高い機体だったが、ガトーが搭乗するガンダム試作2号機は核攻撃が前提で、尚且つ左腕が故障していたため相打ちになった
- コウとの最終決戦ではガトーは負傷していて、本来の技量が出せなかった
- ガンダム試作2号機強奪・観艦式襲撃の際にも、ビームサーベルとバルカン砲しか装備していない(アトミックバズーカは除く)ガンダム試作2号機で包囲網・警戒網を突破したり追撃隊・警備隊を壊滅させている
といった反論を述べる。
いずれにせよ、一度の戦闘で8隻の戦艦を撃墜したり(8隻という数字はアムロ・レイの一年戦争での船舶撃墜数より1隻少ない数)、ノイエ・ジールのオールレンジ攻撃には相当の技量が要求される事から、エースパイロットとしての相当な技量は持っていると考えられる。
[編集] 髪形について
シリーズのスタート当初、ガトーのポニーテールの髪形の「秘密」について、プロデューサーの植田益郎は、「今は言えないんだよね。今後に関わってくるんでね」と発言していた。が、結局ストーリー中その髪型の由来について明示的に語るエピソードは最後まで無かった。このためファンの間では、ガトーのキャラが「サムライ」だということを言いたかったのではないかとの説が有力となっている。劇中「生き恥」「英霊」「ジオンの精神」等といった甘美なセリフが彼のキャラクターを強烈に特徴付けており、多くのファンの心をとらえた。
[編集] 名前について
名前の由来は太平洋戦争の激戦地、ソロモン諸島のガダルカナル島(ガ島)であると言われているが、スペイン語で猫を意味するgatoが由来であるとも言われている。また、アナベルという名前が本来女性につけられる名前(彼はAnavel、女性名はAnnabel、Annabelle)であるためか、劇中でアナベルと呼ぶ者は居なかった(但し、カミーユ・ビダンのように自分の名前に対してコンプレックスを抱いているという事は無い)。
[編集] 主な搭乗機
- MS-09R リック・ドム (ビームバズーカ装備タイプだったと言われている)
- MS-14A ゲルググ(先行量産型のS型との説もある)
- RX-78GP02A ガンダム試作2号機(サイサリス)
- AMA-X2(AMA-002) ノイエ・ジール
[編集] 関連項目
- ガンダムシリーズ登場人物一覧
- ケリィ・レズナー
- メタルギアシリーズ
- ケロロ軍曹
- アニメ版のガルル中尉の声はアナベル・ガトーと同じく大塚明夫が担当している。作中では「ゲロモンの悪夢」の異名を持つ。「ソロモンの悪夢」のパロディでありガルル自体もガトーのパロディ。決め台詞はもちろん「ゲロモンよ、私は帰ってきた!」。
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