マゼラン (機動戦士ガンダム)
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マゼラン級戦艦は、アニメ『機動戦士ガンダム』シリーズに登場する地球連邦軍の架空の宇宙戦艦。サラミス級巡洋艦と共に地球連邦軍の主力艦艇である。外観の特徴は船体前方にまではみ出した主砲砲身と後部四連推進口であろう。当時宇宙戦艦といえば宇宙戦艦ヤマトなどの現用戦闘艦スタイルの踏襲が常であって、この独特のデザインはリアルさを醸しだす画期的なものであった。
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[編集] 概要
宇宙世紀0070年代の軍備増強計画にて就役したマゼラン艦が原型となり、いくつかの種類がある。2連装メガ粒子砲7基(14門)や対空銃座など火力は充実しており、旗艦クラスとして扱われる。レーダーによる索敵と自動追尾戦闘を前提においており、外装から見てもジオン公国軍艦船に比較しレーダーが充実している。各門ほぼ毎秒1発という速度で長距離ビームを連射でき、前方に対してなら10門で毎分600発を発射できる。アニメでの扱いはともかく純軍事的には合理性を持った有効な兵器であった。
連邦軍連合艦隊はマゼラン級戦艦10隻とサラミス級巡洋艦40隻を標準編成としている。非ミノフスキー粒子下でなら基本的に遮蔽物がない宇宙空間では如何にモビルスーツといえどすぐに発見されてしまう。そしてモビルスーツが接近するまでの時間を3分間と仮定すると18000発のマゼラン級戦艦による長距離ビームの洗礼を浴びることになるのである。前記状況の場合、機動性を誇るモビルスーツが命中率1%にまで回避できたとしても180機が撃墜される計算となり、これにサラミス級巡洋艦40隻の長距離ビーム(同条件下なら21600発)が加わり、さらにセイバーフィッシュなどの戦闘機による誘導ミサイル網(同等のテクノロジーの場合、無人のミサイルのほうが搭乗員に対するGの影響がない分機動性が高い)があれば、戦前の連邦軍士官がジオン軍のモビルスーツ戦決戦思想を軽んじてしまったのもむべなるかなといったところであろうか。
初代ガンダムで、ブライト艦長が対空砲火要員に「ねらうのではなく弾幕を張れば向こうから当たってくれる」旨を発言したようにミサイルなどを回避できるほど機動性のある機体に対する場合、大量の火力で斉射する方法が一番有効である。劇中においてソロモン攻略戦時のティアンム艦隊はマゼラン級戦艦タイタンとサラミス級巡洋艦10隻である。隻数で言えば連合艦隊の約1/5であるが、接近してくるビグザムに対するビーム砲の雨(Iフィールドによりビームははじかれてしまったが)はすさまじいものがあった。連合艦隊ではあの5倍以上の濃度でビーム砲を放つことができるわけである。ジオン軍のジャブロー侵攻時にジオン軍某パイロットがその対空砲火のすさまじさに「お、降りられるのかよ。」と驚愕しているが、長距離ビーム39600発+ミサイル網+対空砲火の火力はその比ですらない。また、意外に知られていないが装備する対空砲の大きさを模型で比べてみるとモビルスーツの全長並みであり、推定ではあるが機関砲と言うよりもその威力はMS用バズーカの連射並であるのが本来であろう。
当時連邦軍ではミノフスキー粒子はせいぜい電波障害等ECMの代替程度でしか使われないと想定されていたため、想定を大幅に上回るジオン軍のミノフスキー粒子戦に対して本来の持ち味が全く発揮できない状況に追い込まれた。そのため本級は不本意にも時代遅れの大艦巨砲主義の感が拭えなくなってしまった。
ちなみにビンソン計画後に建造された本級は簡易的なモビルスーツ運用能力を獲得したが、その後のOVAスターダストメモリーではその運用能力をなくしており、軍事的には首をかしげる改修がなされたようである。
形状は海上艦に倣った形態(艦尾の推進動力部を除く)で、砲配置は超ド級戦艦形式である。ただし、艦体四面うち三面を上甲板とし、指揮所・砲塔をそれぞれに配置して上下(艦橋←→艦底方向)360度の射界を確保している。長距離ビームによる制圧に特化してしまった本級は、比較的小回りがきいてほどほど汎用性のあったサラミス級と対照的に時代が進むにつれて姿が見られなくなった艦艇でもある。連邦軍の大艦巨砲主義の象徴だと劇中でも言われる。
ネームシップの「マゼラン」という艦名は『宇宙戦艦ヤマト』シリーズに登場する宇宙戦艦「アンドロメダ」に対抗して付けられたものだといわれる。
[編集] 諸元
- 全長:327m、全幅:94.5m、基準排水量:41000t、満載排水量:62900t、主機:熱核ロケット×4発推進
- 兵装:連装メガ粒子砲×7、連装機銃×20、ミサイルランチャー×多数
[編集] 主な同型艦
- アナンケ
- ルウム戦役時の連邦軍第1艦隊旗艦
- 先のコロニー(アイランド・フィッシュ)落としを阻止すべく交戦した連邦軍第4艦隊の残存兵力等と第1連合艦隊を組み、指揮権がレビル中将にあったため連合艦隊旗艦となる。艦艇数や戦闘機数では勝っていた戦いであったが、ジオン軍モビルスーツの前に敗退。
- この会戦中、旗艦アナンケは第7師団モビルスーツ大隊所属の特務小隊、通称「黒い三連星」に撃破され、レビル中将も捕虜となった。
- タイタン
- ジオン公国の宇宙要塞ソロモン攻略時の連邦軍第2連合艦隊旗艦であり、ソロモン攻略戦(チェンバロ作戦)の最高指揮官ティアンム中将の座乗艦。
- ソーラ・システム照射によって連邦軍の勝利が決した直後、ドズル・ザビが操縦するビグ・ザムの大型メガ粒子砲の直撃を受け沈没。ティアンム中将も艦と運命を共にした。
- キリマンジャロ
- U.C.0088年、ティターンズ残党の青年将校によって結成されたニューディサイズの旗艦。改装によりモビルスーツの積載、運用能力が付加されている。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 劇中での活躍
『機動戦士ガンダム』作中では第4話「ルナツー脱出作戦」においてワッケイン司令の乗艦マゼラン級マゼランとして初登場する。ムサイからの攻撃に対応すべくルナツーから発進しようとするが、既に潜入していたシャア率いる特殊工作部隊が仕掛けていた機雷が爆発し、港口を塞ぐ形で擱座してしまう。その後この艦はホワイトベースが出港する折に破壊されている。
その後は主に宇宙での星一号作戦において登場。ビンソン計画によってサラミスと共に大量に作られていたこの時の艦はモビルスーツの搭載能力を付加されるなどした改修型で、ジオン艦艇と同等の戦力を持ちえたと言われる。(モビルスーツ発進口は船底部。艦の外にモビルスーツを括り付けて輸送した例もある) ソロモン攻略戦(連邦作戦名チェンバロ)時にティアンム提督が座乗したタイタン、ア・バオア・クー作戦時にSフィールドより20数隻の艦船を率いたルザルが確認できる。単艦性能ではジオンのグワジン級に劣る可能性があるものの、戦艦クラスの艦船を量産型として多数揃える事が出来たという絶対的優位は大きく、懸念材料だった対モビルスーツ戦もGM・ボールの護衛によってある程度解決。地球連邦宇宙軍の主力艦として一年戦争を戦い抜いた。
『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』においては、一年戦争当時のマゼランを改修したマゼラン改が登場している。しかしこの時の艦艇は一年戦争の教訓が生かされずモビルスーツ搭載能力を有していない。だが、上面1番砲塔と2番砲塔の間にMS用カタパルトと思われる施設と発進口がある。おそらくはビンソン計画時に係留または搭載スペース確保にすぎなかったMS運用面を改善し、簡易カタパルトを装備したものであると推定されるが、劇中で連邦軍の無能を強調するため、あえてMS運用能力をなくした設定にしたものと思われる。
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