ゴジラ (1984)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『ゴジラ』は1984年に公開された日本映画で、ゴジラシリーズの第16作である。ゴジラ誕生30周年記念映画でもある。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] 概要
9年ぶりに製作され、『ゴジラvsデストロイア』まで続く新しいゴジラシリーズのスタート作品となった本作品は、1985年の正月映画として1984年年末に公開されたため、年の表示は1985年とされることもある。映画のキャッチコピーは「いま 壮大なロマンの目覚め!」。
劇中では1954年のゴジラ出現から30年後に再びゴジラが出現する設定になっており、俗に『昭和ゴジラ』と呼ばれるシリーズ第2作から第15作までは無かったことになっている。
1973年の映画『日本沈没』や1980年の『地震列島』に代表される災害映画の流れを汲んでおり、「生物災害」をリアルに表現するため、政府や自然災害など、各方面の専門家を特別スタッフとして招いている。
当時の国際情勢を反映し、ストーリーには日本近海におけるソ連原子力潜水艦の脅威やアメリカの戦略防衛構想に影響を受けた点が散見される。
1954年版のゴジラを初代ゴジラ、1984年版を新ゴジラとし、作品や造形の比較をする場合がある。登場する怪獣はゴジラ、小型のフナムシ怪獣ショッキラス。原点に回帰し、「怖いゴジラ」として登場した。また、新宿の高層ビルに合わせて体長も50メートルから80メートルに巨大化した(尻尾の長さは108メートル)。
主要襲撃地点は静岡(井浜原子力発電所)、東京(晴海、有楽町、新宿)、伊豆大島。人類は陸上自衛隊の新兵器、スーパーXでゴジラに対抗する。
歴代ゴジラ作品の中で新幹線破壊シーンが登場する唯一の作品でもある。なお、最終的にはゴジラの帰巣本能を刺激する音波を利用して伊豆大島にある活火山の三原山に誘導し、人為的に山頂の一部を爆破してゴジラを火口に落とすということで締めくくっている。しかし、2年後の1986年11月15日、本当に三原山が噴火して全島民が避難する事態になってしまい、一部のファンの間では「ゴジラの祟りでは・・・」と言う噂も流れた。
[編集] ストーリー
伊豆諸島の大黒島で巨大な噴火が発生。噴火から三ヶ月後、大黒島付近で操業していた漁船・第五八幡丸が嵐によって航行困難となり、次第に島へと吸い寄せられていく。その時、突如として島が光り崩れ、巨大生物が雄叫びをあげて出現した。一夜明け、付近をヨットで航行していた新聞記者の牧は、遭難していた第五八幡丸を発見する。船内で彼はミイラ化した船員の遺体を発見、直後に1メートル程の巨大なフナムシに襲われるが、唯一の生存者である奥村に助けられる。
奥村は大黒島が光り崩れた際に見た巨大生物のことを牧に語る。そのことを聞いた彼の大学の研究室の教授である林田は、奥村に見せた写真からその巨大生物がゴジラであると確信する。ゴジラ復活の報道は国民の動揺に繋がると考えた政府は一時報道を封鎖するが、ソ連の原子力潜水艦が撃沈されるという事件が発生。アメリカは攻撃を否定したが、ソ連はアメリカの攻撃と考えたため両国は臨戦態勢に入る。東西関係に緊張が走る中、海上自衛隊のP-3C哨戒機が原潜が撃沈された付近の海面写真を捉えた結果、原潜の撃沈はゴジラの攻撃によることが判明。このことを受けた政府はゴジラの報道を全面解禁した。
その直後、静岡県の井浜原子力発電所にゴジラが出現。原発施設を破壊し、原子炉の中の放射能を全て吸収して海へと去っていった。ヘリコプターで現地へ赴いていた林田は、近くを飛んでいた渡り鳥にゴジラが反応したと考え、ゴジラの体内にある磁性体を利用し、超音波によってゴジラを三原山へと誘導、人工的に三原山を噴火させて火口に落とすという作戦を政府に提案する。一方、アメリカとソ連はゴジラに対して核兵器の使用を強く要請するものの、首相の三田村はそれを頑なに拒み続ける。また自衛隊も首都防衛移動要塞「スーパーX」を始めとする対ゴジラ兵器の準備に着手していた。日増しにゴジラ東京上陸の確率が強まり、東京中がパニックに見舞われる中、遂にゴジラが晴海埠頭に出現。待ち構えていた自衛隊の航空部隊を熱線で打ち落とし、陸上部隊のミサイル攻撃や戦車の砲撃をいとも簡単に蹴散らして東京へと上陸。30年前(1954年)の悪夢をたどるかのごとく、ゴジラは街を破壊していく。さらにゴジラ上陸の影響で誤作動したソ連の戦略ミサイルが東京に向けて発射してしまう・・・。
[編集] スタッフ
[編集] 本編
- 製作総指揮、原案:田中友幸
- 監督:橋本幸治
- 脚本:永原秀一
- チーフ助監督:大河原孝夫
- 音楽:小六禮次郎
- 撮影:原一民
- 特別スタッフ:竹内均、青木日出雄、大崎順彦、クライン・ユーベルシュタイン、田原総一朗
- 協力製作:田中文雄
[編集] 特殊技術
[編集] キャスト
- 三田村清輝(内閣総理大臣):小林桂樹
- 牧吾郎:田中健
- 奥村尚子:沢口靖子
- 奥村宏:宅麻伸
- 上条(カメラマン):林家しん平
- 武上弘隆(内閣官房長官):内藤武敏
- 神崎(大蔵大臣):小沢栄太郎
- 江守誠一(外務大臣):鈴木瑞穂
- 毛利(防衛庁長官):織本順吉
- 磯村(自治大臣):金子信雄
- 笠岡(通産大臣):加藤武
- 加倉井(統幕議長):御木本伸介
- 大河内(国土庁長官):森幹太
- 梶田(科学技術庁長官):山本清
- 日高(環境庁長官):田島義文
- 辺見昇(内閣調査室長):村井国夫
- 石丸(内閣調査室員):浦田賢一
- 伍堂(東都日報編集長):佐藤慶(当初は平田昭彦が演じる予定であった)
- 喜多川(東都日報デスク):江本孟紀
- 第五八幡丸船長:江幡高志
- 第五八幡丸漁労長:田原千之右
- 第五八幡丸無線局長:加藤茂雄
- 秋山(スーパーX空幕幹部):橋本功
- スーパーX副官:福田健次
- 宇野(技術士官):風中臣
- 井浜原子力発電所職員:石坂浩二
- 東海道新幹線乗客:ムッシュかまやつ
- 自衛隊ヘリ通信基地オペレーター:潮哲也
- ゴジラ非常緊急対策本部オペレーター:渡辺賢酔
- バラシューボ号船員:テリー・ソンバーク
- ソ連ミサイル原子力潜水艦副長:ナイジェル・リード
- ソ連ミサイル原子力潜水艦艦長:デニス・ファルト
- クレイマー(アメリカ大使):ジョー・ラズナック
- ローゼンバーグ(アメリカ特使):ウォルター・ニコルス
- ザシーモフ(ソ連大使):ジョセフ・グレース
- チェフスキー(ソ連特使):アレキサンドル・カイリス
- カシリン大佐(ソ連政治工作員):ルーク・ジョンストン
- ニュースキャスター:森本毅郎
- 明美:田中由美子
- 南博士:小泉博
- 浮浪者:武田鉄矢
- 林田信:夏木陽介
- ゴジラ:薩摩剣八郎