阪急百貨店
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種類 | 株式会社 |
市場情報 | |
略称 | 阪急百 |
本社所在地 | 530-8350 大阪府大阪市北区角田町8番7号 |
設立 | 1947年3月7日(注1) (創業は1929年4月15日) |
業種 | 小売業 |
事業内容 | 百貨店業 |
代表者 | 新田信昭(代表取締役社長) |
資本金 | 177億9600万円(2006年9月30日現在) |
総資産 | 2,051億1,900万円(2006年9月30日現在) |
従業員数 | 2,975名(2006年9月30日現在) |
決算期 | 3月末日 |
主要株主 | 阪急百貨店共栄会 17.51% 日本トラスティ・サービス信託銀行 5.67% 東宝 5.16% 三菱東京UFJ銀行 3.42% 阪急阪神ホールディングス 3.00% |
主要子会社 | 阪食、ペルソナ |
関係する人物 | 小林一三(創業者) |
外部リンク | www.hankyu-dept.co.jp |
特記事項:注1:京阪神急行電鉄株式会社(現在の阪急阪神ホールディングス株式会社)から新設分割により百貨店事業を継承。 |
株式会社阪急百貨店(はんきゅうひゃっかてん、Hankyu Depertment Stores, Inc.)は、小林一三が創業した日本の百貨店の一つ。阪急阪神東宝グループの一翼を担う「阪急百貨店グループ」の中核企業でもある。
2007年3月26日に、当社が2007年10月1日付で阪神百貨店を株式交換により完全子会社化し、当社の百貨店事業を新設の「株式会社阪急百貨店」に譲渡(新設分割)して当社は「株式会社阪急百貨店・阪神百貨店ホールディングス(仮称)」に商号変更する計画が発表された。この計画どおりに実施されれば、阪急百貨店と阪神百貨店が経営統合し、かつ、阪急阪神ホールディングスが当社株式の22%(同社完全子会社の阪神電気鉄道株式会社保有分も含む)を保有する持分法適用会社となる予定である(なお、2007年3月26日時点での阪急阪神ホールディングスの当社株式保有比率は3.00%)。
目次 |
[編集] 概要
設立にあたって、百貨店運営のノウハウを吸収するために当初は日本橋白木屋を招致して開店させ、その後に自社直営に切替える形で開業した日本初の電鉄系百貨店。また、百貨店食堂の走りとしてライスカレー・ソーライス等を庶民に提供したり、沿線の行楽に向かう人々への弁当販売を手がける等、今日のターミナルデパートの雛形となった存在としても知られる。
今日でもうめだ本店は沿線の豊かさを背景に関西一の売上を誇る。本店(大阪市北区角田町)の他に大阪府豊中市([千里ニュータウン]内)、大阪府堺市北区(北花田)、兵庫県神戸市(ハーバーランド)(中央区東川崎町)、川西市、三田市、宝塚市、京都府京都市(下京区四条河原町)、有楽町(東京都千代田区)、都筑(横浜市都筑区)に店舗がある。
また、健康・スポーツ・旅をテーマとする「イングス館」(大阪市北区、梅田本店の別館)や食料品のみを扱った「大井阪急食品館」(東京都品川区)がある。
2008年には阪急西宮スタジアム跡地に建設される「阪急西宮ショッピングセンター(仮称)」の核テナントとして新店舗を開店予定である[1]。 また、2011年には福岡県のJR九州博多駅新駅ビルの核テナントとして地上8階~地下1階部分に新店舗を開店予定である[2]。
[編集] うめだ本店の大規模な建て替えプロジェクト
1929年に創業した地上9階~地下1階のうめだ本店(梅田阪急ビル)は、老朽化に伴ったことや2011年問題をにらみ、耐震性を高めた複合ビル(新梅田阪急ビル)として全面的に建て替えることが決定され[3]、2006年7月現在、店舗の北側半分を残す形で営業と建て替え工事が並行して行われている。そして、2006年7月より南側部分の取り壊しが始まっており、工事の完了は2011年春に予定されている。建て替え後は、地上41階~地下2階(高さ187メートル)、延べ床面積が25万2千平方メートルとなる予定であり、うめだ本店が同ビルの低層階部分(地上13階~地下2階)に再入居することで、営業面積を6万平方メートルから8万4千平方メートルへと拡大する予定となり、これによって日本最大級の百貨店になる。また、地下1階部分の不自然な盛り上がりや、周辺通路との段差(いずれも建設時期の関係によってできたもの)も解消される。
これに先立ち、シャンデリアや伊東忠太による壁画など優美な装飾で約75年にわたり親しまれた、1階旧阪急梅田駅地上駅コンコース天井が、2005年9月13日限りで歴史に幕を下ろした。シャンデリアと壁画は取り外した上で保管され、新ビルにモニュメントとして使われる他、新ビル自体にかつてのコンコースを髣髴させる空間を設置するという情報もある(朝日新聞大阪版2007年4月7日付「ぷらっと沿線紀行」など)。なお、シャンデリアは建設当時のものではない(当時の写真等より)。
[編集] 阪神百貨店との関係
同業他社である阪神百貨店とは、大阪梅田で道路を挟んで対面する位置関係にあることなどから、長い歴史の中で「高級感ある阪急、庶民的な阪神」「ブランドの阪急、デパ地下(食料品)の阪神」の確立に代表されるとおり、単なる競争と言うよりもむしろ、互いに異なる店作りが行われてきた。
一方、阪急電鉄と阪急百貨店は、互いに資本関係によるつながりは薄いものの、小林一三をルーツとする文化的なつながりが深く、阪急東宝グループを形成してきた経緯がある。この阪急電鉄が、2005年に持株会社「阪急ホールディングス」へ移行したのち、2006年には、阪神電気鉄道(阪神百貨店の親会社)を傘下に収め、「阪急阪神ホールディングス」となった(いわゆる阪急阪神の経営統合)。このとき、阪急東宝グループと旧阪神グループを引き継いだ「阪急阪神東宝グループ」が発足。阪急阪神ホールディングスグループとなった阪神百貨店は、阪急阪神東宝グループのもとで、阪急百貨店グループ中核企業の阪急百貨店とグループ会社になった。
その後、この経営統合を機に、老朽化している阪神百貨店梅田本店の改築が検討され始めるようになった。これは、隣接する旧阪急側の施設を借用することで阪神百貨店の営業を続けながらの改築が、経営統合により可能になったことが挙げられる。この改築を円滑に進める目的、あるいは(近年相次いでいる小売業界の再編と同様に)業務の効率化や資本力の強化などをはかる目的、近隣に相次いで誕生する大型商業施設や百貨店との競争で優位に立つ目的などにより、阪急百貨店と阪神百貨店が経営統合に向けて協議中であるとされる。ただし、阪急百貨店と阪神百貨店とは資本関係が薄く(阪神百貨店親会社の阪急阪神ホールディングスが阪急百貨店と資本関係が薄いことによる)、さらに阪急百貨店は公開企業であるため、既に阪急阪神東宝グループどうしである両社ながら、この経営統合は、一般の百貨店どうしの経営統合並みに大変なものと考えられていた。
しかし、2007年10月をめどに阪神百貨店と経営統合(阪急百が阪神百を子会社にした上で持株会社設立。商号は変更せず)を予定し、また、阪神梅田本店が2012年度着工をめどに全面建て替えられることも決定した(朝日新聞2007年3月22日付)。阪神梅田本店建て替え工事中に発生する余剰店員は、阪急で活用することが予定されている。
[編集] 店舗
- 関西
- うめだ本店(梅田駅前)-地元や雑誌等では、「うめだ阪急」を略して「うめ阪(はん)」とも呼ばれている。「東の伊勢丹・西の阪急」と言われる程ファッションやコスメ・ビューティー関連の商品力においては関西隋一と言われ、特に女性ファッションの流行発信基地として、幅広い年齢層の女性に人気の高い店舗である。
- 神戸阪急(JR神戸線神戸駅前、神戸ハーバーランド内)
- 四条河原町阪急(阪急京都線河原町駅前)
- 宝塚阪急(阪急宝塚線宝塚駅前)
- 川西阪急(阪急宝塚線川西能勢口駅前)
- 千里阪急(北大阪急行電鉄千里中央駅前、千里ニュータウン内)
- 堺 北花田阪急(大阪市営地下鉄御堂筋線北花田駅前、ダイヤモンドシティ・プラウ内)
- 三田阪急(JR宝塚線・神鉄三田駅前、キッピーモール内)
- 関東
[編集] 沿革
- 1925年6月1日 - 阪神急行電鉄梅田駅(現・阪急電鉄梅田駅)に隣接した阪急ビル(梅田阪急ビル)に阪急直営マーケットを開業。
- 1929年4月15日 - 世界初のターミナルデパート、阪急百貨店(うめだ本店)を創業した。
- 1936年4月11日 - 阪神急行電鉄神戸駅(現・阪急電鉄三宮駅)ターミナルビルに神戸阪急が開店。
- 1947年3月 - 京阪神急行電鉄より分離独立し、株式会社阪急百貨店設立(初代社長に京阪神急行電鉄の清水雅が就任)。同年4月1日に株式会社阪急百貨店として開業。
- 1953年11月23日 - 国鉄大井町駅(現・JR大井町駅)前に大井阪急が開店。
- 1956年5月29日 - 数寄屋橋阪急(東芝銀座ビル内)が開店。
- 1970年3月11日 - 北大阪急行電鉄千里中央駅隣接地に千里阪急が開店。
- 1976年10月15日 - 阪急電鉄河原町駅隣接地に四条河原町阪急が開店。
- 1982年10月8日 - 阪急電鉄梅田駅東側に阪急イングスが開店。
- 1984年10月6日 - 国鉄有楽町駅(現・JR有楽町駅)前に有楽町阪急が開店。
- 1989年4月4日 - 阪急電鉄川西能勢口駅前に川西阪急が開店。
- 1992年10月1日 - 神戸ハーバーランドに神戸阪急が開店。これを機に、三宮駅にあった神戸阪急は三宮阪急となる。
- 1993年4月15日 - 阪急電鉄宝塚駅新ターミナルビル内に宝塚阪急が開店。
- 1995年1月17日 - 阪神・淡路大震災により三宮阪急が被災(そのまま閉店)。
- 2000年3月17日 - 横浜市営地下鉄センター北駅前に都筑阪急が開店(モザイクモール港北同時開業)。
- 2000年4月25日 - 阪急大井町デイリーショッパーズ開店(大井阪急閉店後、跡地のショッピングセンターに大井阪急食品館として再入居)。
- 2004年4月19日 - 阪急イングスがうめだ阪急イングス館としてリニューアルされる。
- 2004年8月31日 - 数寄屋橋阪急が閉店(10月8日、モザイク銀座阪急となり、阪急ショッピングセンター開発に運営移行)。
- 2004年10月28日 - 北花田駅前のダイヤモンドシティ・プラウに堺 北花田阪急が開店。
- 2005年8月19日 - うめだ本店が増床オープン(サン広場館)。
- 2005年9月13日 - 旧阪急梅田駅地上駅コンコース(うめだ本店前、梅田阪急ビル1F)の天井装飾の公開を終了。翌日より覆いがなされる。
- 2005年9月14日 - うめだ本店南側半分の解体・新築工事に着手。
- 2005年9月15日 - JR宝塚線・神鉄三田駅前の三田駅前一番館に三田阪急が開店。
- 2006年7月11日 - うめだ本店南側部分の取り壊し開始。
- 2006年9月1日 - 阪急オアシス、阪急ファミリーストア、阪急ニッショーストアなど計8社を完全子会社とする中間持株会社「阪食」を設立し、阪急食品工業と分担して阪食の株主となる。
- 2007年 - 阪急西宮スタジアム跡地に新店舗が開店予定。
- 2007年秋 - うめだ本店の南側半分が竣工予定。残る北側半分の解体・新築工事を開始予定。
- 2011年春 - うめだ本店が新ビル(新梅田阪急ビル)内で全面開店予定。JR博多駅新駅ビル内に新店舗が開店予定。
[編集] 関連会社
- 阪急阪神ホールディングス
- 東宝
- 阪急食品工業(阪急フーズ・阪急デリカ・豆狸)
- 阪食(2006年9月1日設立。阪急百貨店と阪急食品工業が全株式を持つ持ち株会社)。
- 阪急オアシス
- 阪急ファミリーストア
- 阪急ニッショーストア(元は医療機器大手ニプロの関連企業だった)
- 阪急ショッピングセンター開発
- ペルソナ
- グランデュオ(JR立川駅南口にある駅ビル。運営会社のジェイアール東日本商業開発株式会社は阪急百貨店とJR東日本とルミネの合弁会社。)
[編集] 脚注
- ^ 関連する外部リンク
- 2008年秋、西宮阪急(仮称)誕生
http://www.hankyu-dept.co.jp/kessan/gp10/nishinomiya.html
- 2008年秋、西宮阪急(仮称)誕生
- ^ 関連する外部リンク
- 2011年春、九州初上陸~博多出店~
http://www.hankyu-dept.co.jp/kessan/gp10/hakata.html
- 2011年春、九州初上陸~博多出店~
- ^ 関連する外部リンク
- プレスリリース:梅田阪急ビル(阪急百貨店うめだ本店)の建て替えについて
http://www.hankyu-dept.co.jp/kessan/pdf/news/2004/050207.pdf - うめだ本店建て替えプロジェクト
http://www.hankyu-dept.co.jp/kessan/gp10/umeda.html
- プレスリリース:梅田阪急ビル(阪急百貨店うめだ本店)の建て替えについて
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
日本の大手百貨店 |
伊勢丹 | 西武百貨店、そごう(セブン&アイ系) | 大丸 | 高島屋 松坂屋 | 三越 |阪急百貨店(阪急百貨店グループ系) 日本の百貨店のページで「全国的に展開」とされているものを掲載。 |