ドン・ドラキュラ
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『ドン・ドラキュラ』は、手塚治虫が秋田書店『週刊少年チャンピオン』に連載した漫画。後に、じんプロダクションによりアニメ化、1982年4月5日~4月26日にテレビ東京で毎週月曜日の19時~19時30分に放映され、現在はアニメの方が有名である(理由は後述)。
漫画の正式題は『ドン・ドラキュラ』、アニメの正式題は『手塚治虫のドン・ドラキュラ』(てづかおさむ-)だが、実際にはアニメのタイトルロゴも手塚治虫を付けず『ドン・ドラキュラ』で表示されていた。この事から現版では項目名を『ドン・ドラキュラ』とし、『手塚治虫のドン・ドラキュラ』はリダイレクト名として転送している。
目次 |
[編集] ストーリー
現代社会に生きるドラキュラ伯爵の姿をコミカルに描く。
[編集] キャラクター(声の出演)
- ドン・ドラキュラ伯爵(内海賢二)
- その名も高きドラキュラ伯爵。だが実はかなりドジな性格である。主題歌にも書かれている事から練馬に屋敷を持っているようだ。魔物として人間に恐れられる存在であろうとするのだが、文明社会である現代においてはただの変わった人と道化扱いされてしまうのが悩みの種。人間を嫌ってはいるがその実美女には弱い。身体が消滅してしまうため、日光と水にも弱い。また、ひょんな事から人助けをしてしまったりも。娘のチョコラには厳しくあろうとするも、根本的には溺愛しているので、父としての威厳はいささか通用しない様である。原作単行本の手塚のあとがきによると、ルーマニアにあったドラキュラの屋敷が日本人に買い取られ、日本に移築されたのが、日本に移住した理由だったらしい。アニメでは原作にない顔として、『ダッシュ勝平』の主人公・勝平の様なデフォルメ顔が頻繁に登場するが、西洋人調のワシ鼻が消える為、漫画と比べると違和感は残る。
- チョコラ(島津冴子)
- 伯爵の娘。人間社会に興味を持ち、人間の中学校(夜間学校)に通っている(アニメでは高田馬場という具体的な地名に設定されたが、手塚プロダクションがある為と思われる)。伯爵はそれを快く思っていないのだが、彼女のワガママに押し切られ渋々認めている。日のあたる場所に長くいられないのだが、つい長居をして灰になってしまい復活させてもらう事もしばしば。父親と違い、水に濡れても消滅しない(これは狼女の血のため)。アニメでは耳を尖らせるという変更が行われた。
- イゴール(大山高男)
- 伯爵の召使のせむし男。醜い外見だが忠実でよく気の付く性格。
- ブロンダ(片岡富枝)
- 伯爵が日本で初めて血を吸った外国人女性。かつてはスリムな美人であったが、今はラーメンの食べすぎで…その過去は漫画・アニメとも劇中で明らかになる。高血圧のため血を吸われても平気らしく、伯爵に血を吸ってもらおうと付きまとう。
- リップ・ヴァン・ヘルシング教授(滝口順平)
- 吸血鬼退治を使命とする、オランダから来た伯爵の永遠のライバル。キャラクター自体は手塚のオリジナルでなく、ドラキュラを有名にした小説からの翻案である。持病のイボ痔がよく発症するのが欠点。アニメでは演出や声優の功績もあり、漫画以上にキャラが立っていた。
- コウモリ安兵衛(肝付兼太)
- アニメ版オリジナルキャラの狂言回し役。
- 村井警部(池田勝)
- ヘルシングの寄行を見るたび怪しいと思い、衝突する警察官。アニメでは『天才バカボン』のおまわりさんの様に、けん銃を乱射する破天荒キュラとなった。
- カーミラ
- 原作にのみ登場する狼女。ドン・ドラキュラの元妻で、チョコラの実母。次々に人間を殺してしまう彼女に対し、ドン・ドラキュラは「血こそ吸うが殺してはならない」と考えたため2人の価値観が食い違い、数百年前離婚した、チョコラが赤ん坊の頃に離婚に至る。「自然破壊を進め、戦争を止めない人間こそが化け物だ」とチョコラに教えた。ネーミングは名前部のショートカットを参照。
[編集] 漫画版
前述した『少年チャンピオン』の手塚漫画では、チャンピオン黄金時代の『ブラック・ジャック』が知られているが、本作はその一本後に連載された。
『ブラック・ジャック』がシリアスだった為か、手塚漫画にしてはコメディ色が強く、ラストシーンも殆どがギャグである(この点はアニメでもそのまま表現されている)連載中の人気は単行本の巻数から知れると思われるが、手塚自身は良い意味で肩の力を抜いて描いていた様で、シリーズ進行に迷い等は見られない。サブタイトルも「やっぱりドラキュラ」「なんちゅうかドラキュラ」などくだけたものばかりである。最終回も完結や特別な盛り上がりでなく、いつものドタバタで終了した。
なお『ブラック・ジャック』連載中に黄金時代を誇った『チャンピオン』は、当時の強力な連載作家達が、皆揃って二発目のジンクスでヒット作を出せなかった為(続いたのは水島新司一人だけだった)1980年代には暗黒時代に転落するが、手塚作品も『ブラック・ジャック』の後は『ミッドナイト』で少々盛り返すまで、当作をはじめなかなか長期連載が定着しなかった。ただし暗黒時代の本格的な到来は、当作終了より後である。また当作の連載中および後も『ブラック・ジャック』が不定期に発表されたが、お馴染みのスターシステムにより、ドン・ドラキュラがゲストで登場したエピソードが存在する。
[編集] 単行本
- 秋田書店 少年チャンピオンコミックス 全3巻
- 講談社 手塚治虫漫画全集 全3巻
[編集] アニメ版
日本で、最も早く打ち切りになってしまったアニメと言われている。1年前から製作が開始され、脚本は21話まで完成していたものの、広告代理店の都合(資金繰り悪化)により僅か数話で放送終了となってしまった事で有名な作品(項目「打ち切り」の中の「スポンサーの都合による打ち切り」に相当する)であるが、10回にも満たないと言うのはアニメ全体においても非常に稀なケースと言えよう。東京では第4話、地方局では第6話(構成を担当した小山氏によれば、九州では第8話)迄放送された。その後、完成していた第8話迄を収めたビデオとDVDが発売された。これ以外の関連商品にはボードゲームが製作・発売されていることが確認されている。
なお、この作品の打ち切りについては、「原作者の手塚治虫が、作品の出来のあまりの悪さに激怒して打ち切りを命じた」などとという説が各所で語られているが、正しくは上述の通りでこの手塚命令説は間違いである。「手塚は打ち切りに激怒して抗議した」という話があり、『鉄腕アトム』の某話エピソードや『ビッグX』の出来の悪さに激怒した話と、混同されているのではと思われる。
この他にやはり前述のスターシステムの一環として、24時間テレビ『愛は地球を救う』で放映された長編アニメ『海底超特急マリン・エクスプレス』にも、ドン・ドラキュラが登場している。
[編集] 制作スタッフ
- 原作:手塚治虫
- 制作:池田公雄
- 企画:虫プロダクション、三京企画
- 構成・脚本:小山高生
- 演出:野村和史、二階堂敏行、平林淳、笠井達也
- 作画監督:内山正幸
- 美術監督:下川忠海
- 音響監督:鳥海俊材
- チーフディレクター:落合正宗
- プロデューサー:鳥海俊才、丹羽純一、由井正俊
- 協力:グリーンボックス
- 制作:じんプロダクション
[編集] 主題歌
- 「パラダイスドラキュラ」
- 作詞:高田ひろお
- 作曲:クニ河内
- 編曲:武市昌久
- 歌:内海賢二、こおろぎ'73
- 「お父さんは吸血鬼」
- 作詞:小山高生
- 作曲:武市昌久
- 編曲:武市昌久
- 歌:新倉よしみ
[編集] 放送リスト
ちなみに全て原作からのエピソードで、アニメオリジナルは無い(展開が変更された話は存在する)
- 1982年4月5日 - ドラキュラ殺しがやってきた
- 1982年4月12日 - ヤバイゼ!吸血鬼ツアー
- 1982年4月19日 - 悪魔に魂を売った巨人
- 1982年4月26日 - 襲撃!ヌード怪人たち
- 大成功!?カンニング大作戦
- 怪奇!学習塾に住む幽霊
- 同じ命だパンダも虎も
- にんにく・十字架・歯医者も怖い
[編集] 参考資料
[編集] 外部リンク
- 史上最短四話で放送打ちきり - 脚本とシリーズ構成を担当した小山高生が明かす裏話
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