ロッキー (映画)
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ロッキー Rocky |
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監督 | ジョン・G・アヴィルドセン |
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製作総指揮 | ジーン・カークウッド |
製作 | アーウィン・ウィンクラー ロバート・チャートフ |
脚本 | シルヴェスター・スタローン |
出演者 | シルヴェスター・スタローン タリア・シャイア バート・ヤング バージェス・メレディス カール・ウェザース |
音楽 | ビル・コンティ |
撮影 | ジェームズ・グレイブ |
編集 | リチャード・ハルシー |
配給 | ユナイテッド・アーティスツ |
公開 | ![]() ![]() |
上映時間 | 119分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
制作費 | 110万$ |
興行収入 | ![]() |
次作 | ロッキー2 |
allcinema | |
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IMDb | |
『ロッキー』(Rocky)は、1976年のアメリカ映画。また、「イタリアの種馬」の異名を持つ同作品の主人公の名前でもある。配給会社はユナイテッド・アーティスツで、監督はジョン・G・アヴィルドセン。主演・脚本はシルヴェスター・スタローン。第49回アカデミー賞 作品賞ならびに第34回ゴールデングローブ賞 作品賞受賞作品。また、2006年に米国連邦議会図書館がアメリカ国立フィルム登録簿に新規登録した作品の中の1つである。
目次 |
[編集] 概要
映画のオーディションに50回以上落選していたスタローンはポルノ映画への出演や用心棒などをして日々の生活費を稼いでいた。長い極貧生活を送っていたある日、彼は世界ヘビー級タイトルマッチ「モハメド・アリ対チャック・ウェプナー」の試合を観戦。アリは当時世界最強と言われていたのに対し、ウェプナーはスタローン同様繰り返す転職の中で日銭を稼いでいた。誰が見ても勝ち目がないウェプナーであったが予想外の善戦を展開。試合はアリが勝利したものの、繰り出したパンチがわき腹を直撃しダウンを奪い、対戦後に「二度と対戦したくない」と言わしめたのである。アリをダウンさせたその瞬間、ウェプナーは偉大なボクサーとなり人々の心に永遠に刻まれると考えたスタローンはこの出来事を基に僅か3日で脚本を書き上げプロダクションに売り込んだ。
プロダクションはその脚本を気に入り7万5千ドルという破格の値をつけたものの、製作の条件として「主演にポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード、アル・パチーノといった有名スターを起用する」ことを挙げて譲らなかった。「貧乏とはうまく付き合うことが出来る」スタローンもまた脚本料に固執せず、自分が主演を兼任することに徹底的に拘り双方の長きに亘る交渉の末、
- ギャランティーに関しては、監督は普段の半分、スタローンは俳優組合が定める最低金額、プロデューサーはなし
- 制作費はテレビシリーズ1本分(約100万ドル)
- 36万ドルまで高騰した脚本料を2万ドルに減額
という条件の下で製作が開始された。
公開当初、無名俳優の書いた脚本をB級映画出身の監督が製作するという背景から作品に対する視線は冷ややかだったが、不器用で口は悪くも根は優しいロッキーと、ボクシングジムのトレーナーであるミッキー・親友のポーリー、そしてポーリーの妹で後に恋人となるエイドリアンが織り成す人間味溢れるドラマや、ビル・コンティ作曲の『ロッキーのテーマ』(原題:『Gonna Fly Now』。なお邦題は現在では『ロッキーのテーマ』と表記されることが多いが、最初に発売されたシングルレコードでの表記は単に『ロッキー』だった)が確実に観客の心を掴み、瞬く間に全米だけで1億ドルの興行収入を記録。同年のアカデミー賞で作品賞を獲得するなど国内外の映画賞において群を抜く数の映画賞を受賞した。
映画の主人公ロッキーが生き甲斐を持てずに彷徨い続ける日々から一夜にして栄光を掴んだように、主演と脚本を担当したスタローンが無名俳優から作品の大ヒットで一躍スターダムに上り詰めた快挙は映画ファンの間で20世紀最大の奇跡と評された。「愛」「友情」「努力」を社会的弱者の立場から描いた同作品は世界中の若者に計り知れない影響を与えたという見解も決して過言ではない。また、ベトナム戦争への軍事介入を機に台頭したアメリカン・ニューシネマにより、ハッピーエンドや英雄へのアンチテーゼが最盛を極めたが、本作品の出現が「個人の可能性」「アメリカン・ドリーム」への憧憬を再燃させ、アメリカン・ニューシネマの終焉を決定的なものとした。ジャンルはスポーツ・ラブロマンス・ヒューマンドラマなど多岐に分類されるが、それらを超越して広く親しまれる映画の代表作であることは多くの者が認めるところである。
[編集] キャスト
※括弧内は日本語吹替版を担当した声優
- ロッキー・バルボア(Rocky Balboa)・・・シルヴェスター・スタローン(羽佐間道夫)
- エイドリアン(Adrian)・・・タリア・シャイア(松金よね子)
- ロッキーが通うボクシングジムの近くにあるペットショップで働いている、人見知りの激しい女性。極端な恥ずかしがり屋で、男性とはまともに目を見て話すこともできない。
- ポーリー(Paulie)・・・バート・ヤング(富田耕生)
- エイドリアンの兄でありロッキーの親友。精肉工場で働いているがその収入に満足できないらしく、ロッキーにガッツォの元で働かせてくれるように持ちかける。自らも冴えない男でありながら、いつまでも独りで暮らす妹のエイドリアンを散々罵倒し、彼女に好意を抱くロッキーを奇異に思いながらも感謝している。
- ミッキー(Mickey Goldmill)・・・バージェス・メレディス(千葉耕市)
- 1920年代初頭バンタム級の世界チャンピオンとして活躍。引退後はジムを経営し、そこで10年前にロッキーと出会いボクシングを教えるも、結果を出せないうえに自堕落な生活を送る彼に業を煮やし「お前は傷んだトマトだ」と罵り、育成を放棄してしまう。
- アポロ・クリード(Apollo Creed)・・・カール・ウェザース(内海賢二)
- 現在の世界ヘビー級チャンピオンで、口汚いが本物の実力を持っている。自分の知名度を上げるため無名のボクサーに、チャンピオンに挑戦させる権利を与える。
[編集] スタッフ
- 監督:ジョン・G・アヴィルドセン
- 脚本:シルヴェスター・スタローン
- 音楽:ビル・コンティ
- 撮影:ジェームズ・グレイブ
- プロデューサー:アーウィン・ウィンクラー/ロバート・チャートフ
- 編集:リチャード・ハルシー
[編集] ストーリー
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
フィラデルフィアの場末に暮らす自称「三流」ボクサーロッキー・バルボアは本業のボクシングによる賞金だけでは生活していくことができず、知人の高利貸しの取立人を請け負いながら日銭を稼ぐというヤクザ気質な生活を送っていた。素質はあるのにこれといった努力もせず、所属するボクシングジムのトレーナーであるミッキーからもその落ちぶれた様に愛想を尽かされ追い出されてしまう。そんな自堕落な生活を送っていたロッキーにも生きがいがあった。近所のペットショップで働くエイドリアンの存在である。ロッキーの親友で、精肉工場で働くポーリーの妹であるエイドリアンにロッキーは恋心を抱き、毎日ペットショップへ足を運んだ。内気で人見知りが激しいエイドリアンに好意を寄せていることをポーリーは感謝している。ロッキーとエイドリアンは不器用ながらも距離を縮めやがてお互いになくてはならない存在になっていく。
そんなある日、建国200年祭のイベントの一環として開催される世界ヘビー級タイトルマッチで、世界チャンピオンであるアポロ・クリードの対戦相手が負傷。代役探しに奔走したアポロらは、ロッキーが「イタリアの種馬(Italian Stallion)」というユニークなニックネームをもつというだけの理由で対戦相手に指名する。ロッキーは両者の実力の差が歴然としていることや自分がサウスポーであることから申し出を断るが、人気獲得のためにも何とかして試合を開催したいアポロは半ば強制的に試合の開催を決定する。そしてロッキーの戦いは始まった。
スポンサーを名乗り出るポーリーや、自身の豊富な経験からマネージャーになることを希望するミッキー、そして1つの生きがいであるエイドリアンがロッキーに自分が決して孤独ではないことを気づかせた。「今の自分には確かに人生の目的や愛、支えてくれる人たちがいる。」今まで経験したこともないような過酷な特訓をロッキーは耐え抜いた。試合前日の夜、ロッキーは「絶対勝てない」と弱音を吐いた後に呟く。「もし最終15ラウンドまでリングの上に立っていられたら自分がただのゴロツキではないことが証明できる。」
そして試合当日、無名のボクサーと史上最強の世界チャンピオンの対戦。賭け率は50対1。アポロの優勢は誰の目にも明らかであった。ついにゴングが鳴った。挑発を交えながら攻めるアポロに負けじと喰らい付くロッキー。ロッキーの予想外の善戦に場内の雰囲気も異様な盛り上がりを見せ始めた。第14ラウンド、アポロの強烈なパンチを受けたロッキーはダウンする。ミッキーは起き上がらないように指示するがロッキーには昨夜の誓いがあった。両者共に瞼から出血し汗にまみれるという死闘はついに判定に縺れ込んだ。結果は微妙な判定によりアポロのタイトル防衛となった。試合の結果に喜ぶアポロとは対照的にロッキーはただひたすら愛するエイドリアンの名を呼び続けた。エイドリアンは、壮絶な試合に酔い痴れる観客の中を掻き分けロッキーのもとに辿りついた。結果として試合には負けたロッキーだが、本来の「15ラウンドまで戦い抜きゴロツキではない事を証明する」という自身の目的を果たしたロッキーには敗北の悔しさは無く、幸福な達成感に包まれながら愛するエイドリアンと熱い抱擁を交わすのであった。
[編集] 続編/テレビゲーム
[編集] 続編
- 『ロッキー2』(Rocky II、1979年)
- 『ロッキー3』(Rocky III、1982年)
- 『ロッキー4/炎の友情』(Rocky IV、1985年)
- 『ロッキー5/最後のドラマ』(Rocky V、1990年)
- 『ロッキー・ザ・ファイナル』(Rocky Balboa、2006年12月公開・日本での公開は2007年4月20日)
[編集] テレビゲーム
- ロッキー(セガ・マークIII、1987年4月19日、セガ)
- ROCKY(ロッキー)(プレイステーション2、2003年11月13日、サクセス)
[編集] パチンコ
- CRロッキー・ザ・ムービー(2005年8月、豊丸産業)
[編集] パチスロ
- ロッキー(2000年3月、高砂電器産業)
- ロッキー3(2000年7月、高砂電器産業)
- ロッキー1-30(2000年9月、高砂電器産業)
- ロッキー・バルボアG(2006年11月20日、ビスティ/フィールズ)
[編集] 音楽
『ロッキーのテーマ』を始め、シリーズの中で使用された音楽に対する評価は高く、以下のとおり様々な場面で使われている。
[編集] 格闘家・ボクサーの入場曲
- 角田信朗:『CHALLENGE YOUR WAY』『HEARTS ON FIRE』(シリーズ四作目)
- 百田光雄:『ロッキーのテーマ』
- 剛竜馬:『Eye of The Tiger』(Survivor/シリーズ三作目)
- 高田延彦:『Training Montage』(シリーズ四作目)
- 亀田興毅:『Burning Heart』(Survivor/シリーズ四作目)
[編集] その他
- 東京ディズニーシーのミュージカルショー『オーバー・ザ・ウェイブ』(『ロッキーのテーマのイントロ)
- アニメ『学園アリス』のBGM(『ロッキーのテーマ』を長調にアレンジし、鍵盤ハーモニカアンサンブルで演奏。演奏時には、必ず「Mr.ベア」というキャラクターが登場する。)
[編集] 受賞
- 第49回アカデミー賞
- 受賞・・・作品賞/監督賞/編集賞
- ノミネート・・・主演男優賞/主演女優賞/助演男優賞/脚本賞/歌曲賞/音響賞
- 第31回英国アカデミー賞 作品賞/主演男優賞/監督賞/脚本賞ノミネート
[編集] その他
- 第34回ゴールデングローブ賞 ドラマ部門作品賞
- 第42回ニューヨーク批評家協会賞 助演女優賞
- 第2回ロサンゼルス批評家協会賞 作品賞(『ネットワーク』との同時受賞)
- 第1回日本アカデミー賞 最優秀外国作品賞
- 第20回ブルーリボン賞 外国作品賞
- 第51回キネマ旬報賞 委員選出外国語映画第1位/読者選出外国語映画第1位
[編集] 関連項目
- フィラデルフィア美術館(撮影地)
[編集] 外部リンク
1961: ウエスト・サイド物語 | 1962: アラビアのロレンス | 1963: トム・ジョーンズの華麗な冒険 | 1964: マイ・フェア・レディ | 1965: サウンド・オブ・ミュージック | |