ワールドミュージック
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ワールドミュージック (World music) は、クラシック音楽・ポピュラー音楽(ジャズ、ロック、etc)のように、世界的に広く愛聴されている音楽に対して、地域(あるいは民族)的に愛聴されているが、世界的に愛好者・演奏者が広まっているわけでもない多くの音楽を総称して指す言葉である。特定の音楽のジャンルを指す言葉ではない。
この言葉はもともと「ワールドミュージック」というレーベルからきたものであって、そのような特定の分野の音楽はない。いわゆる「ポップス、ロック、あるいはクラシックの範疇に入りにくい民族色・地域色の強い音楽」を表現するの便利であるため、現在では愛好者側も使い出し、徐々に市民権を得てきた言葉といえる。
1960年代、あるいは1970年代初頭までの日本で上記のような意味合いの音楽といえば、戦後に一世を風靡した、ルンバやチャチャチャ、タンゴといったラテン音楽、あるいは、70年代に「コンドルは飛んでゆく」が大ヒットしたフォルクローレとほぼ同義語であったが、この同じく70年代のビートルズやローリング・ストーンズ、レッド・ツェッペリンをはじめとするロック・ミュージシャン達のインド音楽や中近東音楽への傾倒、80年代のポール・サイモンの「グレイスランド」の世界的ヒットなどの影響を受けて、日本でも、80年代に入ってから、アジアやアフリカの音楽のレコードが発売されたり、コンサートが行われる機会が増えた。
1982年には、ピーター・ガブリエル が主宰したウォーマッド (WOMAD, World of Music, Arts and Dance) フェスティバルがヨーロッパで大成功をおさめたこともあり、ブルガリアン・ボイスやレディスミス・ブラック・マンバーゾ、マドレデウスなども日本で話題となり、CMなどにも登場した。これらの勢いに乗って、ウォーマッドは日本でも開催されている。
折しも、1980年代後半から1990年代は日本ではバブル経済期に当たったため、ワールドミュージックの公演に企業スポンサーがつきやすかったという事情もあり、この時期は、無名時代のアストル・ピアソラやシエラ・マエストラを含め、かなりの数の音楽家が日本公演を行っている。
さらに、ボーダレス時代の現在では世界各国・各民族の音楽をそれぞれ楽しむ人が増えているといえる。 最近では、ブエナビスタ・ソシアル・クラブの世界的なヒットにより、舞台となったキューバへのメディア取材や日本から同国への観光客が激増するなど、マイナーとは言い切れない社会現象的な側面も出てきている。
ヨーロッパでは、夏場のバカンスシーズンに、各地(多くの場合、リゾート地)で、ワールドミュージックのフェスティバルが開催されている。
もっとも、ワールドミュージックがメジャー化するにつれ、いわゆる「仕掛けられたもの」すなわち、西洋音楽を基礎として、味付けに、西洋音楽以外の民俗音楽、伝統音楽を換骨奪胎して(西洋音楽の楽典に強制的にあわせて)使っているもの、現地では存在しない過度なエスニック風味の味付けや物語性をほどこしたものも見受けられる。
なお、日本からみた世界の音楽の意味であるため、日本でこの言葉が使用される際には、民謡とか演歌とかは、定義に合致するものの、通常はワールドミュージックに含めることはない(ただし、世界的には、ワールドミュージックには日本の邦楽も含まれる)。とはいえ、琉球音楽については含まれることも珍しくない。
なお、比較音楽学者の柘植元一は、「民族音楽」「エスノミュージック」という言葉のもつ弊害を憂慮し、これを「ワールドミュージック」と総称したらどうかという提案をしたことがあったが、広まらず、かえってその弊害を増長するような意味において使われることとなってしまっている。
「ワールドミュージック」という言葉をそのまま訳した、「世界音楽」という言葉を用いることもある。
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