世界日報 (日本)
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世界日報(せかいにっぽう)は日本で発行される統一教会(世界基督教統一神霊協会)系列の 保守系新聞。統一教会の関連会社、「世界日報社」が発行している。1975年1月1日創刊。代表取締役社長兼主筆は木下義昭。「世界日報社」の初代会長は統一教会と「国際勝共連合」の会長を兼任していた久保木修己である。
日刊紙は関東地方の一部、及び沖縄県の一部を対象に、また全国を対象とした週刊新聞『サンデー世界日報』、月刊雑誌『ビューポイント』、各種書籍を出版している。
また、日本で初めてインターネットによる電子新聞サービスを開始した。
韓国の全国紙『世界日報』や、統一教会傘下の「ニューズ・ワールド・コミュニケーションズ」社が発行する『ワシントン・タイムズ』紙(当然ながら両紙とも統一教会系である)と提携している。
なお、太平洋戦争(大東亜戦争)終戦直後の日本に同名の新聞が存在していたが、これは本項目において述べている新聞とは全く無関係な経済専門新聞であった。その後『夕刊世界経済新聞』となったが、1951年1月を持って産業経済新聞(現・産経新聞)と紙面統合し終刊した。
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[編集] 紙面・論調
冷戦時代の真っ只中で創刊された『世界日報』は、一貫して親米・保守・反共主義の路線をとってきた。これは、発行母体の政治姿勢を踏襲しており、現在も「共産党担当デスク」という連載がある。その一貫性は、保守系言論紙のなかでも突出している。
この新聞は、教科用図書検定で「侵略」を「進出」と書き換えさせたことが『朝日新聞』の誤報であるといち早く報道する等に代表されるような、右派・保守派の利益となる報道(下記の主なスクープ参照)に精力を注ぐことでも知られる。姉妹紙であるアメリカで発行している『ワシントン・タイムズ』も保守系言論紙として共和党の政策を一貫して支持し来ている。『世界日報』においても、国連での合意を経ずにイラク戦争を始めたアメリカへの批判が強かった頃も、一貫してブッシュ 政権のイラク政策を正当であると論じてきた。
また、母体である統一教会の影響から、その関係者・関連団体の活動が記事にされることがある。また新宗教に親和的な内容がしばしばみられるのは日本の保守系紙としては異例である。 新宗教の擁護の一例として、同紙は1994年9月25日と10月30日付の二回、「文春『オウム真理教攻撃』のウソ」と題して、資産家拉致・監禁事件(後にオウムによる資産目当ての犯行であると判明)にオウム真理教信者が関わったとする『週刊文春』の報道を批判し、実際は被害者であった長女夫妻や四女らによる資産目当ての 犯行と論じ、オウム真理教を擁護した参照 (『「オウム真理教」追跡2200日』(江川紹子著、文藝春秋、1995.7)第三章参照)。 さらに地下鉄サリン事件を機に当時の政権が提案した「宗教基本法案」に対する反対キャンペーンを展開した(結局同法案は廃案となった)。 また、近年においては、統一教会を初め、キリスト教根本主義勢力から支持されていると言われる「インテリジェント・デザイン」(ID)理論に肯定的な記事もしばしば載せている。
教育問題については、幼少期からの科学的な見地に基づく性教育について過激であるとして反対し、伝統的家庭の価値観を重視し、ジェンダーフリーや高等学校での男女共学化について、一部の過激性教育論者らによるものであるとして反対するなど、復古的な道徳・倫理観を称揚する紙面作りがなされている。この部分は、保守系紙であることに加えて、統一教会が行っている純潔運動との関連性がある。
一方、女性天皇問題においては、日本紙が女系天皇容認に対して反対を主張したのに対し、韓国紙は女性天皇を認めるべきと主張するという“ねじれ現象”が生じた。
なお、この新聞の最大の特徴は、国際報道の重視(韓国、北朝鮮などのアジアの記事が多い)である。また、海外の新聞などの記事を掲載していることから、政界、学界、財界などにおいて、情報源となっていると言われている。しかし、韓国および韓国が関わる北朝鮮の記事は、反共である基本論調にもかかわらず好意的に紹介している。これは、韓国は統一教会の本拠地であり、また統一教会が1990年代以降に北朝鮮との関係を強化していることが背景にある。こうした事情があるため、右派メディアではあるが必ずしも日本の右翼団体は評価しているわけではない。
また世界日報の読者でつくる世日クラブというものがあり、講演会を行っている。そこでは八木秀次や高橋史朗、小林正、中西輝政などの著名な保守系の評論家らが壇上に上がっている。
[編集] 主なスクープ
- 「侵略」を「進出」と教科用図書検定で書き変えさせたというマスコミの報道が誤りであることを報道
- 作家・森村誠一と共産党機関紙「赤旗」の下里正樹・特報部長の著書『悪魔の飽食』の「細菌戦研究のための生体解剖写真」に無関係の写真があることを報道(森村はこのことで右翼の攻撃を受ける)
- ソ連亡命将校レフチェンコの証言から日本のエージェント名を暴露
- 沖縄一坪地主の名簿を公開
- 2005年9月16日付の雑誌『週刊金曜日』が、衆議院議員選挙に関して、共同通信社や時事通信社配信の記事を無断転載し、自社独自取材の総括記事として掲載していた問題を報道
- (『週刊金曜日』はこの事実を認め、問題の記事を執筆していたライターとの契約打切りと、社長の引責辞任を発表した)
[編集] 世界日報事件
1983年10月1日、当時の編集局長らが教会色を薄め、一般紙を志向する路線を会社の乗っ取りであると反発を覚えた「国際勝共連合」理事長、梶栗玄太郎ら約百人が「世界日報社」に押しかけて社内を占拠し、社員を監禁、暴行した。 この事件で追放された元編集局長(統一教会の広報局長でもあった)副島嘉和と営業局長井上博明は連名で『文藝春秋』 1984年7月号に「これが『統一教会』の秘部だ―世界日報事件で『追放』された側の告発」という手記を発表。統一教会の思想が韓国中心主義である事、霊感商法のマニュアルや資金の流れなどを暴露した。中でも統一教会会長の久保木修己が、天皇陛下の身代わりで、世界各国の元首“代理”の幹部たちと共に文鮮明に拝礼する秘密儀式があるという内容に、勝共連合を反共の同志と考えていた民族派や右翼が激怒し反発した。
同誌発売直前の1984年6月2日、副島は、帰宅途中の路上で暴漢に「韓国の空手を使ったような」(副島本人による)技で全身をメッタ刺しにされ、危うく命を失いかけるほどの重傷を負った。(「副島襲撃事件」)
一新聞社の元編集長が内部告発の後に殺されかけるというこの事件を「読売」、「朝日」、「毎日」の各紙が報じたが、『世界日報』は記者が病院に駆けつけていながらこの事件を一切報道しなかった。結局、犯人を特定できないまま、この事件は時効を迎えた。この影響で、それまで『世界日報』に執筆していた文化人たちの中にも距離を置く者が少なからず出た。その後は統一教会の責任役員・石井光治、国際勝共連合理事長・梶栗玄太郎氏の二人を社長とした体制で再刊されたが、以前より統一教会色が強い新聞となった。
[編集] 発行所
- 世界日報社 東京都渋谷区桜丘町18番6号
- 印刷工場
- 東京都板橋区
[編集] 主な海外支局
- 北米:ワシントン、ニューヨーク、ロサンゼルス
- 南米:サンパウロ
- 中東:エルサレム、カイロ
- 欧州:ロンドン、パリ、ベルリン、ウィーン
- アジア:ソウル、香港、バンコク、マニラ
- ロシア:モスクワ
- アフリカ:ヨハネスブルク
[編集] 世界日報社が発行するその他の新聞・雑誌
- 週刊新聞『サンデー世界日報』
- 月刊誌『ビューポイント』
[編集] 姉妹紙
- ワシントン・タイムズ(米国)
- 世界日報セゲイルボ (韓国)
- ティエンポス・デル・ムンド(アルゼンチン)
- ミドルイースト・タイムズ(エジプト)
- ノーティシャス・デル・ムンド(米国)
- ウルティマス・ノティシャス(ウルグアイ)
- 週刊インサイト(米国)
- 月刊ワールド・アンド・アイ(米国)
[編集] 契約通信社
[編集] 寄稿者たち
[編集] 関連項目
- 世界日報 (韓国)
- ワシントン・タイムズ
- 世界基督教統一神霊協会(統一教会、統一協会)
- 国際勝共連合
- 文鮮明
- 副島嘉和
[編集] 外部リンク
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