仏陀
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仏陀(ブッダ、buddha)は、仏ともいい、インドのサンスクリット語で「目覚めた人」「体解した人」「悟った者」などの意味。
一般的に日本では仏教の開祖、釈迦を仏陀と見ている、あるいは釈迦の尊称として仏陀が用いられている。しかし、インドなどでは釈迦独りが仏陀と規定されているわけではない。
仏教文献では、仏陀をさまざまな表現で呼んでいる(十号)。
- 如来(にょらい、tathaagata (sanskrit)) - 多陀阿伽度と音写されている。真実のままに現れて真実を人々に示す者。
- 応供(おうぐ、arhat (sanskrit)) - 阿羅訶、阿羅漢と音写されている。煩悩の尽きた者。
- 等正覚(とうしょうがく、samyak-saMbuddha (sanskrit)) - 三藐三仏陀と音写されている。一切智を具し一切法を了知する者。
(ここまでは一般に悟った人に対する尊称として使われる。ここから後は仏教の釈迦にのみ対する尊称) - 明行足(みょうぎょうそく、vidyaacaraNa-saMpanna (sanskrit)) - 宿命・天眼・漏尽の三明の行の具足者。
- 善逝(ぜんぜい、sugata (sanskrit)) - 智慧によって迷妄を断じ世間を出た者。
- 世間解(せけんげ、lokavid (sanskrit)) - 世間・出世間における因果の理を解了する者。
- 無上士(むじょうし、anuttra (sanskrit)) - 惑業が断じつくされて世界の第一人者となれる者。
- 調御丈夫(じょうごじょうぶ、puruSadaMyasaarathi (sanskrit)) - 御者が馬を調御するように、衆生を調伏制御して悟りに至らせる者。
- 天人師(てんにんし、zaastaa-devamanuSyaaNaam (sanskrit)) - 天人の師となる者。
- 仏(ぶつ、buddha (sanskrit)) - 煩悩を滅し、無明を断尽し、自ら悟り、他者を悟らせる者。
- 世尊(せそん、Bhagava.t (sanskrit)) - 人天の尊敬を受ける栄光ある者。真実なる幸福者。
仏教経典の中で釈迦に対して、漢訳では一般に「世尊」と呼びかける。パーリ語・サンスクリット語経典での呼びかけは「ブッダ・バガヴァーン」が一般的である。つまり「目覚めて幸せな者よ」という呼びかけである。ここに、仏教における釈迦に対する見方がある。ひいては、衆生の目指す目標もまた、無明の闇から目覚めて、ゆるぎない幸福を求めることが目標となっている。
また、釈迦は自分の教説のなかで輪廻を超越する唯一神(主催神,絶対神)の存在を認めなかった。その一方、経典のなかでは、従来は超越的な神(deva,天)としてインド民衆に崇拝されてきた存在が仏陀の教えに帰依する守護神として描かれている。その傾向は時代を経ると加速され、ヴェーダの宗教で神(deva,天)と呼ばれる多くの神々が護法神として仏教神話の体系に組み込まれていった。また仏滅500年前後に大乗仏教が興隆すると、人々は超越的な神に似た観念を仏陀に投影するようにもなった。
なお、仏陀は自分の姿を記録したり崇拝することを許さなかったが、死後300年頃より彫像が作られはじめ、現在は歴史上もっとも多くの彫像をもつ実在の人物となっている。しかし死後300年を過ぎてから作られはじめたため実際の姿ではない。仏陀の顔も身体つきも国や時代によって異なる。 多くの仏教の宗派では、ブッダ(仏陀)は釈迦だけを指す場合が多く、悟りを得た人物を意味する場合は阿羅漢など別の呼び名が使われる。
悟り(光明)を得た人物をブッダと呼ぶ場合があるが、これは仏教、ことに密教に由来するもので、ヴェーダの宗教の伝統としてあるわけではないと思われる。
一般には釈迦と同じ意識のレベルに達した者や存在をブッダと呼ぶようになったり、ヴェーダの宗教のアートマンのように、どんな存在にも内在する真我をブッダと呼んだり、仏性とよんだりする。場合によれば宇宙の根本原理であるブラフマンもブッダの概念に含まれることもある。
近年になって仏教が欧米に広く受け入れられるようになって、禅やマニ教の影響を受けてニューエイジと呼ばれる宗教的哲学的な運動が広まり、光明を得た存在をブッダと呼ぶ伝統が一部に広まった。
[編集] 関連項目
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