向谷実
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向谷 実(むかいや みのる、1956年10月20日 - )は、日本を代表するフュージョンバンド、カシオペアのメンバーであり、キーボーディストである。また、株式会社音楽館の代表取締役でもある。東京都出身。血液型A型。ライブでは、MC(司会)も担当しシカイヤミノルの異名を持つほど喋りが達者で、それがカシオペアの魅力の一つとなっている。
鉄道ファンとしても知られ、シミュレーション・ゲームソフト「Train Simulator」の制作者としての顔も近年有名である。自らを「鉄タレ(鉄道系タレントの略)」と呼び、鉄道を扱う番組にも頻繁に出演している。
また、2001年より名古屋芸術大学音楽学部音楽文化応用学科の新設と共に専任教授に就任。現役の音楽家・実業家の視点から、実践的に音楽制作のノウハウを指導している。
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[編集] 略歴
幼少の頃からピアノを習い初め、10歳頃には多くのクラシック曲が弾け、自分で作曲もしていた。その後にエレクトーンに移行。東京都立大学附属高校を卒業後、寝坊のため大学の試験を受けられず、浪人中に大学進学を目指すかどうか進路に迷っていたところ、演奏の腕を活かすことに目覚めてネム音楽院のエレクトーン科に進学。その在学中に友人を介して野呂一生に誘われてカシオペアに参加、一緒にプロデビューを目指した。
1979年にカシオペアはレコードデビューをするが、それ以前の1977年にカシオペアが出場したアマチュア・バンド・コンテストの審査員、鳴瀬喜博らに気に入られ、プロとしての仕事に度々誘われるようになり、この当時から家庭を持ち始めたこともあって自活のためにスタジオ・ミュージシャンやコピー譜の採譜作業をするようになる。
カシオペアの活動が軌道に乗ると、先述の雇われ仕事からは手を引くようになるが、レコーディング・スタジオ設計と経営に興味を持ち、1984年に仕事で知り合ったスタッフらとスタジオ・ジャイブ(東京都世田谷区)を建設して運営に参画した(なお、後述する「Train Simulator」を作り出す会社、「音楽館」はもともとこのスタジオのために設立された関連会社)。このスタジオで向谷は亜蘭知子、松原みきなどのアルバムをサウンド・プロデュース。 また、自らのソロアルバム2枚もこのスタジオを使って録音した。カシオペアも1985年のアルバム『HALLE』から国内録音はここをホームグランドとして現在に至るまで使っている。
鉄道と並行して電化製品にも並々ならぬ興味の持ち主で、とくにパソコンは1980年代初めから使い始め、友人の安西史孝の影響で1984年には早くもMacintoshに手を染める。1980年代後半から1990年代前半にかけては、最もコンピュータに強いミュージシャンとして名を馳せる。こうして音楽活動を中心に使い続けていたが、1993年、へビーユーザーから転じて、カシオペアを素材に使った初の市販ソフトを制作。これで培ったノウハウを投入して、1995年に幼少の頃からの夢であった鉄道の運転を疑似体験出来るゲームソフト「Train Simulator」を制作開始。マニアックかと思われた鉄道ソフトは多くの同人の想いを喚起して異例のヒットを記録して続々とシリーズを展開。2001年にはそれまでパソコン用のみだった同ソフトを、プレイステーション2用に初めて制作してプレイヤーの裾野をひろげる。この頃から、鉄道ファン&ソフト制作者としての向谷の顔が一般に広く知られるようになった。2004年には九州新幹線の業務音楽(発車音楽や車内音楽)を担当し、ますます鉄道と音楽の融合を図る。2006年、東京急行電鉄の運転士訓練用の業務用シミュレーターを制作するなど、かつて好奇心から始めた「Train Simulator」はプロの現場からも注目されるようになる。
鉄道ファンとしてテレビ番組に頻繁に出演していて、フュージョンファン、鉄道ファン以外からも知られるようになった。なかでも「タモリ倶楽部」(テレビ朝日系)の鉄道ネタの回には、常連ともいえるほどの頻度で出演。番組司会のタモリとはカシオペアがデビュー当時同じアルファレコード所属であり、制作スタッフも一緒であった。その縁でカシオペアがタモリのラジオ番組にテーマ曲を提供したり、またタモリがカシオペアのコンサートパンフレットに寄稿するなどして昔から親交がある。
近年は鉄道関係の面ばかりがクローズアップされているが、音楽面でも動向があり、カシオペアのデビュー前後から親交がある三枝成彰の実験的なコンサートにも参加している。
[編集] ディスコグラフィー
- 『ミノル・ランド』 (WELCOME TO THE MINORU'S LAND , 1985年)
- シンセサイザーと打ち込み(シーケンサー)を多用した楽曲中心。
- 『ティクル・ジ・アイボリー』 (TICKLE THE IVORY, 1993年)
[編集] 著書
- 『フュージョン狂時代』 (1995年) ISBN 4636209311
- 『オンチは楽器がうまくなる』 (2006年) ISBN 4794215010
[編集] 関連項目
- 音楽館(向谷により1985年に設立された株式会社)
- ポップンミュージック 「Train Simulator」のテーマ曲「Railroad Force」を提供。初出は13カーニバル
[編集] 外部リンク
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