Macintosh
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Macintosh(マッキントッシュ)はアップルコンピュータが開発および販売を行っているパーソナルコンピュータ。
リンゴの品種名 (McIntosh) から命名されたが、オーディオ製品メーカーMcIntoshとの争いを避けるために、Macintoshという綴りが選ばれた(Son of を意味するMac-とMc-は等価な接頭語である)。
通称は、Mac(マック)、リンゴ。
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[編集] 概説
Macintoshは、デザイン・出版 (DTP)・音楽 (DTM) など、表現の分野でのコンピュータとして、よく利用されてきた。
アメリカでは、昔から教育分野で強かったが、特にOSがUNIXから派生したBSDの流れを汲むMach系の Mac OS X に移行して以来、カスタマイズ及びUNIX系ソフトの移植の容易さ、Xcodeなどの強力な開発環境が無料で提供され、気軽に使える完成度の高いGUIを併せ持つところなどから、理学・工学研究の分野での採用例が増えつつある。OSとしてのコア部分Darwinは完全に公開されていることもあって、UNIXユーザーに好まれる場合が多い。
[編集] 沿革
1979年、開発チームのジェフ・ラスキン (Jef Raskin) が、当時の会長であるマイク・マークラに自分が好きな林檎の品種名から着想して綴りを変えた名称の「Macintosh」という製品のアイデアを話したことに始まる。本来の林檎の品種ではMcIntoshの綴りだが、主に同名のオーディオ製品と区別するために「a」を入れたことによって現在もそのまま用いられている。ジェフ・ラスキンがはじめた「Macintosh」プロジェクトにおける設計案は、現在知られる「Macintosh」とは、基本ソフトウェアの側面で似つかぬコンピュータであった。
1980年以降、創業者スティーブ・ジョブズらがPARC を訪問した際に、PARCで動作していたアラン・ケイの描くDynabookを具現化したAltoのSmalltalkに甚く感銘を受けたのがきっかけで、ジョブズが陣頭指揮を執るLisaのプロジェクトに大きな影響を与えることになる。その後にPARCから技術者を入れたこと、さらにLisaプロジェクトから外されたジョブズがMacintoshプロジェクトをのっとったことにより、Smalltalkの流れを汲み、 Lisa へと続くソフトウェアデザイン思想に、舵の方向が大きく切られることになった。その思想をもとに1984年1月24日に初代Macintoshが発売された。発売当時の価格は2,495ドルであった。
ジェフ・ラスキンは、それ以前にアップル社でApple IおよびApple IIのマニュアル作成を行っていた際、技術用語や命令口調の排除、カラー写真及び画像の多用、背綴じでなくリングを使った綴じ方を採用し[1]ユーザが操作をしながら参照し易いようにする、などの配慮を怠らなかった。これらは当時のコンピュータ業界では新しい試みで、NASAの宇宙開発プロジェクトからヒントを得たとされている。彼は、これらマニュアルデザインの方向性、プロジェクト自体の立ちあげ及び名称の発案という点においては、発売後の「Macintosh」時代に足跡を残したといえる。
そのほか、後述するMacの先駆的な設計、カウンターカルチャーを背景に持つ創業者のカリスマ的な伝説、競合会社との差異を強調した自由な雰囲気をかもしだす広告戦略などは、現在にいたるユーザー層を形成した。
[編集] 現状
Macintoshのメーカであるアップルコンピュータは、別OSを採用した他の無数のパーソナルコンピュータメーカ全てと対比されるためにシェアの少なさが目立ってしまうが、これを単に個々のメーカに分けて比較する場合には、むしろアップルは長年にわたり世界トップクラスの売上を計上し続けてきている。また旧機種であっても使い続けるユーザは多く、企業などで死蔵されているPCを除いた実稼働シェアでは統計よりも遥かに高いともいわれる。ハードウェアとしてのMacは一時期の互換機路線(パイオニア、AKIA、UMAXなどが互換機を製造した)を除けば、ほとんど単一メーカの製品であり、それが他の無数に存在する(PC/AT互換機)メーカ全ての対抗馬として意識され続けてきた事実がある。
2000年代以降、アップルは圧倒的シェアを誇るWindowsユーザ向けにもiPodとiTunesを提供し、アップル独自の洗練された使い勝手に親しんでもらうことによってMacintoshへの移行を促すという戦略をとっており、近年のシェア向上に一役買っている。
日本では、会社の事務作業を持ち帰って自宅でこなすことがパソコンの購入目的の大きな部分を占めており、会社で使っているWindowsマシンと環境が違うことが多くのユーザにMacが敬遠される(というより検討対象にもならない)ことの理由にもなっている。
アップルとの業務提携を結んだマイクロソフトはMac向けにもMicrosoft Officeを提供し、Windowsとのデータ互換性も極めて高くなっているものの、Mac版Microsoft OfficeはWindows版Officeとアプリケーションのバージョンが異なり、レイアウトなどにおいて完全には一致しない場合がある(Windows環境同士ですらアプリケーションのバージョンが違うと完全に一致しない場合がある)。
WindowsマシンとMacintoshを併用するユーザーも少なくないことから、2006年にはアップルから「Boot Camp」が無償配布され、今日ではIntelMac上でWindows XPでの起動もできるようにもなっている(ただし、IntelMac上でのWindowsの使用についてアップルによるサポートは一切ない)。
Mac OS 9 からMac OS Xへと移行を始めた当初3年間ほどは、Mac OS XがUNIXから派生したMachベースのものであることから、UNIXユーザの注目を集めた。アップルは映像関係のアプリケーションを積極的にリリースして映像業界の市場を開拓した。一方、印刷・出版・デザイン・音楽関係などの古くからのユーザーは Mac OS 9 以前のバージョンのOSを使用し続けていることが多かったが、現在ではそれらの業種でもMac OS Xが主流になりつつある。ただしDTP用途に用いる業種では、不況で収益が悪化した企業が多く、既に新規設備投資や新環境に対応できる人材確保を行うことが難しい状況になっており、移行が難航している場合がある。
[編集] 互換性に対する二面性戦略
アップル社は、Mac以前の製品Apple IIや本格的なDTP時代の到来をもたらしたMacintosh IIシリーズのように、高い拡張性をそなえ、ボードの交換などで旧機種との互換性を保ち製品の陳腐化を避け、長寿命を実現した製品を発表してきた。その一方で、簡潔なデザインに到達するために、「過去との互換性は画期的な製品進歩の抵抗である」(創業者であるジョブズの発言)として大胆に切り捨てるのも、よく知られた同社の伝統である。初代Macintoshで見られたような追加ボードを挿すためのスロットが設けられなかったことを再現するかのように、iMacにおけるSCSIやフロッピーディスクドライブの廃止や、iBookにおけるPCカードスロットの不採用などの大胆な見直しが行われれた。
実際、当時の同業他社はフロッピーなどのデバイスを依然として標準採用していたが(Windows自体がシステムの再インストールを行う際に、フロッピーデバイスを必須としていたことなどが理由の一つ)、フロッピー誕生時と異なり、画像・映像など大容量のデータを扱うことが多くなったコンピュータユーザーに、遅くて低容量なフロッピーの不便を押しつけない決断は、ひとつのデザイン的な思考であった。同様の理由で、ジョブズがアップル復帰以前に率いていたNeXTコンピュータでも、リード・ライトが遅いフロッピーデバイスを搭載せず、高容量の光ディスク(5インチサイズのMO)をNeXT Cubeで採用していた。とはいえ、この当時、ドキュメント分野においてはフロッピーは依然として重要なメディアであり、またQuarkXPress 3.3等古いソフトのインストールのためのキー・ディスクが必需品であるなどの理由で、外付けドライブを購入したユーザーも少なくなかった。
拡張性のためのスロットがiMac・iBookで採用されなかったことは、最初のMacintoshからの伝統の再現にすぎないが、PowerBookやPower Macなどの拡張性の高い機種でハードの拡張を行うことによって、随時OS等の進歩についていくことが容易になる一方、ハードウェアの高性能化に追随するには内部拡張を行うより買い替えてしまったほうが割安な場合もあることから、Mac購入時には、拡張性を期待するか否かという視点をもって製品ラインを選択する必要がある。かつての低価格路線であるPerformaやLC、Classic等のシリーズでは拡張スロット(バス)が1基ないしは2基採用されて来たが、iMacやiBookではFireWireやUSBによる外部拡張のみとする設計思想が明確になった。
一時期、ハードウェアの製造ライセンスを他社(日本国内企業ではパイオニア、AKIAなど)に与えて互換機が登場したこともあったが、ジョブズ復帰後の方針転換により、現在では認められていない。その理由としては、Macの市場占有率の低下、Macと互換機によるシェアの共食いになってしまったことなどが考えられる。互換機路線はジョブズ追放中にとられたものであり、「ハードとOSが一体になった、斬新で魅力的な製品開発」を唱え続けてきた彼が、これを廃したことは当然といえよう。後方互換性を重視せずに先進的と銘打つOSと、コストをかけて生み出した質の高い外観デザインを統合し、強力なブランド性を持つ製品を世に送り出すことが、現在のジョブズとアップル社の基本姿勢といえる。
[編集] 名称
特定の機種を指す狭義の「Macintosh」という名称を持つ機種は初期のもの(いわゆるオリジナルの「128k」や「512k」と呼ばれるもの)にしかないが、機種ごとに、「Quadra」「Centris」「Performa」「Power Macintosh」「iMac」「eMac」「iBook」 など、Apple社より発売された Mac OS/Mac OS X を搭載したシリーズ、機種(下記)をすべて含めて「Macintosh」あるいは「Mac」と称する。
当初、「Power Macintosh」(または「Power Mac」)の「Power」は、PowerPCを搭載しているという意味であった。 しかし、1997年時点で全ての機種にPowerPCが使われていることや、ノート型の「Macintosh」の名称には、PowerPCが搭載される以前のモデルから「PowerBook」が用いられていたことから、「Power」という接頭語は、共通してプロフェッショナル向けの上級の「パワフルな機種」を指すような意味で用いられるようになった。
「Power Macintosh」以前のデスクトップ機種である「Quadra」や「LC」「Classic」「Centris」の場合、上位機種の「Quadra」は搭載CPUのMC68040にちなんだ「4」を意味するラテン語のQuadからの造語、「LC」は低価格でカラー表記が可能な「ローコストカラー」の略で「LC」を意味すると言われている。「Classic」はMacintoshのローエンド機種として最も基本的な機能をそなえた機種であることから、「Centris」はQuadraとLCの中間のミドルレンジにあたる機種であり、「中間」を意味する「センター (Center) 」をもじったものであると思われる。
また「iMac」「iBook」「iTunes」「iPod」などの「小文字iの次に大文字からはじまる単語」の組み合わせは、特に初心者にとっての明快さや低コストを重視して、多くの人に親しまれるハードやソフトに使われる名前として定着している。
インテルCPUへの移行に伴い、PowerBookの後継機として「MacBook Pro」、iBookの後継機として「MacBook」、先行して「Mac mini」が登場。後にPower Mac G5の後継として「Mac Pro」が登場し、サーバモデルの「Xserve」もインテルCPUに移行したことから、(iMacを除く機種では)下位モデルにはMacの名をそのまま用いた名称を名付け、その上位に当たるモデルに「Pro」の名を与えている。
長らく上位機種として存在していたPower Macintoshシリーズだが、実際の名称では青白のG3シリーズまでを「Power Macintosh 〜」と称し、グラファイト化がなされたG4シリーズ以降は全て「Power Mac G4」または「Power Mac G5」と名称変更がなされた。今までは愛称(もしくは略称)だった「Power Mac」が正式な名称として用いられるようになった。
[編集] 先駆的な外観設計
Macは外観設計思想の側面からも先駆的である。1980年にMacintosh開発に加わったジョアンナ・ホフマン (Joanna HOFFMAN) は、各々の言語に依存した部分を設計の基本から分離するという国際化マルチリンガルの思想を導入した。それを具現化したのはブルース・ホーンと言う人物で、リソースという概念を提唱した。最初はROMに基本的なユーザインターフェースのルーチンを埋め込むなどの工夫がされていたが、ハードウェアデザインにも同様な思想が導入され、コネクタの識別用には、文字でなくアイコンを用いるようにした。
また従来のノート型の機種では、キーボードが手前にあるものが多かった時代、最初のPowerBookである100シリーズ(PowerBook 100、140、170)では、既にキーボードの位置を奥に移動することにより、パームレスト(手前に手のひらが休める部分)を設けていた。
そのPowerBookで用いられていたのがトラックボールである。当時、各社が様々な入力デバイスを考案する中、マウスをひっくり返したようなそのトラックボールは、キーボードからそれ程手を離す事無くポインターを操作することができ、特別な操作を必要としないことから大いに歓迎され、他社も同様のデバイスを採用していった。
しかしそのトラックボールはマウス同様、機械的な動作を読み取ってデータに置き換えていたことから、塵や埃によって動作が妨げられるマイナス要因も持ち合わせていた。その上に、年々薄さや重さがノートパソコンのキーポイントとされてきたことも重なり、機械的な構造で厚みがあるトラックボールは徐々に敬遠されがちになって行く。(しかし、近年までパナソニック製の一部のノートPCは、このトラックボールを採用し続けた)
そしてアップルは新たな入力デバイスとして、PowerBook 500シリーズから「トラックパッド」へ移行することとなる。そのトラックパッドは4×5cm四方程のパッド(板)状のもので、そのパッドの上を指でなぞることによって、その動きをそのままポインターの動きとして変換するようなデバイスであり、信頼性の高さと薄型化に有利な特性から、その後他社も追随した。
しかしながら、Power Macintosh 9500/8500等になって初めてMacに搭載されたPCIスロットをはじめ、IDE、AGPなど、PC/AT互換機で既に実装され、いわば「枯れている」ハードウェア機構がMacintoshに導入された。これらの機構はハードウェアでも独自路線を進もうとしたAppleが路線を変更し、開発コスト(当然、購入価格にも影響する)の上昇やパーツ導入の困難化を避けるために導入した妥当な判断といえる。ハードウェアにトラブルが起きがちと云われるようになったのもSCSI→IDE(ATA)、NuBus→PCI/AGPといった基本パーツの変更を行った頃とほぼ重なっており、Appleは次々に「機能拡張ファイル」を更新/追加することで対応していった。
iMac・iBook以降はハードウェアの独自仕様はほぼなくなり、汎用規格のみを採用するようになった。Intel Macに移行した現在では、主要部品もほとんど汎用品を採用している。
[編集] ワンボタンマウス
ワンボタンマウスは、Macintosh独特のインターフェースとして知られている。これには、Macintosh発売以前のコンピュータの一般的方法であったコマンドによる操作 (CUI) では、単純なこと(例えば、ファイルの移動やコピーなど)さえできなかった人々であっても、「迷う余地がないほど単純なこと(ワンボタンマウスの操作)さえできれば、複雑なこともできるようになる」というアップルの主張が含まれている。元々、"The Computer for the rest of us"「(CUIでは使えない)残された人達のためのコンピュータ(であるMac)」を掲げて来たアップルにとって、非常に大きな意味を持たせていたのだった。
IBM互換機とWindows陣営は長らく2ボタンマウスを採用して来たことから、Mac OS 8以降ではWindowsの右ボタンに相当するコンテクストメニューを採用するようになった。このコンテクストメニューはキーボードの「Control」(コントロール)キーを押しながらマウスボタンを同時に押すことによって対応するが、Mac OS X以降はアプリケーションによってはボタンを少し長めに押すことでも対応可能となり、文字通り「ワンボタン」で対応できるようになった。
このワンボタンマウスは、独特な基本ソフトウェア (OS) Mac OS と一体になって使いやすさを生み出していた。画面最上部の定位置に常に現れるメニューバーにプルダウンメニューを盛り込み、ソフトウェアを作る者と使う者それぞれの意識が集まるように仕向けることで、メニューの整理・統一、試行錯誤による学習若しくは動作検証の容易化、及びヘルプもしくはマニュアルの記述の単純化、などの種々の効果を生み出している。
ワンボタンマウスの採用によって与えられる恩恵は、複数ボタンマウスでの多機能を前提とした複雑な操作体系とデザインの氾濫による混乱を避けられることにも繋がる。このワンボタンマウスはMac用ソフトの操作性に一貫性を持たせ、エレガントで使いやすいと言われる由縁でもある。
とはいえ、効率的な操作を行うために、他のOSで慣れ親しんだコンテクストメニューは必要なものであると感じるユーザーが多かったことも事実で、アップルは2005年には多ボタン機能を持つ、Mighty Mouseを発表した。このMightyMouseは、ハードウェアによるスイッチ機構を採用せず、マウス全体のある部分(通常クリックは左側、コンテクストメニューは右側と言った具合に)を押すことで多機能を実現している。 トラックパッドと似た機構をマウスの上蓋に実装し、任意の箇所の動作状況を検知することで「ボタンをクリックした」状況と同じ感覚をソフトウェアにて提供している。このMightyMouseはソフト的にボタン位置と割り当てる操作体型をユーザー自身が切り替えることが可能なため、すべての検知ポイントで同一の「左クリック動作」を設定すれば、ワンボタンマウスと同じ操作ができる。 現状のラインナップではこのMightyMouseが標準で付属している。
しかし、Macは素地としてあった操作の心理的明快さ、単純さ、使いやすさ、という価値を継承しつつ、より効率の高い操作方法をとりこもうとして変化を続けているが、多機能マウスを標準とした現在の状態には賛否両論あり、現在の設計では操作体系において矛盾を解消できないという見方も可能ではある。
[編集] 拡張子とマルチユーザ
Macにおいて、ユーザは原則的に拡張子を意識せずとも良い状況が作られて来た。それは新旧のMac OSで一貫して言えることであり、ファイルを開く時は拡張子に頼らず、そのファイルを編集したアプリケーションが起動する仕組みになっている。それは、ファイル自身に、そのファイルを編集したソフトがクリエーター属性として自動的に記録されるためである。
この機能を継承しつつも、Mac OS Xへの移行に伴い拡張子の扱いも見直され、拡張子の表示と非表示は切り換えることができるようになった。Mac OS Xの基礎となったMach(UNIX系OS全般)も元来拡張子を特別扱いしない(拡張子はなくても良い)OSであるが、アプリケーションの中には拡張子を判断するもの(例:Java)があるため、この機能はMacと他OSとの互換性を考慮した結果とも言える。
拡張子の他に、他のOSが採用している一般的な流儀としてMac OS X(Mac OS 9では疑似)より採用された、ログインユーザごとに分けられたホームディレクトリにみられるマルチユーザ機能がある。Mac OS X v10.3 Pantherからはファーストユーザスイッチという機能が搭載され、より簡単にユーザを切り替えることができるようになった。単独でMacを使っているユーザにも、別のユーザディレクトリを持つことで、本来の環境への影響を最小限にして X Window System などを試してみることもできるという恩恵がある。スイッチの際に表示されるアニメーションを楽しむためだけにアカウントを複数作り、ファーストユーザスイッチで遊ぶ者もいる。
[編集] CPUの変遷と計算速度
[編集] MC680x0時代
発売当初の機種は、モトローラのMC68000系CISC・CPU(アップルやモトローラはMPUと呼称)を搭載していた。これは創業者であり、Macプロジェクトを率いていたジョブズの思惑であると言われる。
元々、アップルの躍進に役立ったApple IやApple IIは、当時の流行であったインテルのx86チップの前身となる8086チップを採用しておらず、その後のLisaでも採用することはなかった。当初の理由はAppleシリーズの設計者であるスティーブ・ウォズニアックがMOS Technologyの6502チップを使用していたことによるもので、その流れから当時は高価だったが処理能力の高さに長けるMC68000がジョブズの目に留まったと言える。また、x86では1Mバイト以上のメモリ空間を扱う際に特殊なプログラミングが必要とされた一方、MC68000はアドレスバスが24ビットであったことから2の24乗バイト=16Mバイトのメモリ空間をRAM・I/Oポート等、メモリアドレスによって使い分ける必要がないという簡便なプログラミングが可能だったことも導入理由とされる。 そのMC68000は、当初はジョブズがプロジェクトを率いていたLisaで採用され、同じくジョブズがプロジェクトを率いた初代Macintoshでも採用された。このMC68000 (MC680x0) 系チップは多種多様なコンピュータで採用され、後にジョブズが設立するNeXTのNeXT CubeとNeXT Station、Sunや、コモドールのAmiga等で採用された。日本ではSONYのNEWSワークステーションやシャープのX68000等で採用された。
またMC68000チップは、1985年にアップルが発売した世界初のレーザープリンタである、初代「LaserWriter」でも採用された。これにはAdobeが開発したPostScript言語を解析する機能が実装されていた。
[編集] PowerPC時代
1991年に、アップルとIBM、モトローラが提携を発表し、3社によるRISCチップのPowerPCが開発されることとなる。このPowerPCはMC680x0シリーズとは互換性がなく、今までのソフトウェア資産を利用するにはMac OS側でMC68LC040チップ相当へダイナミックリコンパイル(CPUのエミュレーションではない)をしなければならなかった。
System 7.6からMac OS 8.1にかけて徐々にシステム側を改良しPowerPCコードを増やしていった結果、Mac OS 8.5以降はPowerPC搭載モデルのみが動作対象となった。次第にPowerPCとMac OSのマッチングは向上し、ジョブズ復帰後にはPowerPC G3(PowerPC 750)を搭載するPower Macintosh G3シリーズを発表する。G3はこれまでPower Macで採用され続けてきたPowerPC 604e (604ev) シリーズではなく、どちらかといえばPowerPC 603シリーズの流れを汲むもので、省電力と低発熱、低価格そして高速処理を実現したチップである。動作速度の遅いiMac、iBookの初期モデルでは発熱量の低さを武器に電動ファンレスの静音機種としていた。PowerPC G4 (PowerPC 7400) となってからのPower Mac G4 Cubeでもファンを採用しなかったことから、G3/G4の発熱量から来る利点の一つであったとされた。
その後2003年には広帯域のCPUバスと強力な浮動小数点演算機能をもつ64ビットのPower Mac G5(PowerPC 970)が登場した。これは一般向けのパソコンでは初となる64ビットCPU搭載マシンであった。OSの64ビット化はハードウェアよりもかなり遅れ、2005年のMac OS X v10.4 Tigerでようやく部分的に64ビット対応となる。Power Mac G5は九つの可変速ファンを採用、筐体内部の空気流動を効率化させることで冷却効率の最適化を図ったものの、モデルによってはG5チップを水冷式ラジエータで冷却する仕様もあった。Power Mac G5のファンの数が多く、負荷をかけるとファンが高速で回るのは、PowerPC G5の消費電力と発熱が従来のPowerPC G4よりも遥かに大きかったためである。iMacはG5を搭載したシステムを液晶ディスプレイとともに、厚さわずか5cmの筐体に収めたが、発熱が問題となり、iSightを搭載したG5最後のモデルで大幅な設計変更を行い、ようやくG5の内蔵と静音化を両立させた。
そんな折、バージニア工科大学は1,100台のPower Mac G5 Dual 2GHz(2004年〜2006年現在は1,150台のXserve G5 2.3GHz Clusterモデル)を繋げて並列計算させることにより、世界第3位の計算速度を記録するスーパーコンピュータとして2003年11月16日にTOP500 Supercomputer sites が発表した。約520万ドルというスーパーコンピュータとして破格の安価であった。(当時第1位のスーパーコンピュータ地球シミュレータの開発費は5億ドル以上)
[編集] IntelMac時代
2005年6月6日、開発者向けのイベントWWDC 2005 において、1年後以降の消費電力あたりの性能向上が著しいことを理由に、2006年半ばよりCPUをPowerPCからインテルx86系のものへと順次切り替えていくことがアップルより発表された。2006年1月10日に前倒しでIntel Core Duoを搭載したiMacおよびMacBook Proが発表された。PowerPCベースのソフトはトランスレーションソフト(エミュレータとは違いコードをPowerPC用のものからIntelプロセッサ用のコードにリアルタイムで訳して使う)"Rosetta"(ロゼッタ)を使うことでインテルプロセッサ上での動作が可能となる。また、PowerPCでもIntel Coreでも動作するUniversal Binaryもある。最初のIntel Core(Core Duoも含む)は32ビットであったが、64ビット版のIntel Core 2やXeon 5100シリーズのリリースとともにPower Macの後継となるMac Proでは64ビット版インテルチップが搭載されることとなった。
インテルのプロセッサを採用しているが、Microsoft Windows XPがインテル搭載Macの採用するファームウェア"EFI"に対応していないことから既存のWindows XPを動作させることは疑問視されていたが、アップル社からFirmware UpdateとBoot Campベータ版の提供が開始されたことにより、IntelMac上でWindows XP SP2を動作させることができるようになった。Boot Campは次期OS Leopard(Mac OS X v10.5)で標準機能として含まれることが発表されている。
Apple社は他社製OSを意図的に排除しない方針をとるが、逆にMac OS Xを他社製ハードウェアで起動させることにはライセンス違反を防ぐために強力なプロテクトをかける方針をとる。 ブートローダをEFIに対応させたLinuxなどの一部のOSでは起動が確認されている。
[編集] 機種
[編集] MC680x0時代のMacintosh
[編集] 一体型筐体(Original、Plus、SE、Classic、LC xxx…)
CPUとディスプレイが一体となっているMac。
- Macintosh 128K
- 初代。その大きさはオフィスにおける電話のサイズから作られた。OSの性能にくらべ、RAM領域が128Kと狭く、実用性に乏しいものであった。MC68000CPUを採用し、400KBフロッピードライブ内蔵。筐体デザインはよくフロッグデザインと誤解されるが、ジェリー・マノック(アップル社)の手によるものである。
- Macintosh 512K
- 初代128Kのメモリを512Kに増強したもので、通称Fat Macと呼ばれる。
- DynaMac
- 日本のキヤノン販売により、Macintosh 512Kに漢字ROMを搭載し日本語(JIS第一水準)を扱えるようにした機種。
- Macintosh 512Ke
- 512kの内蔵フロッピーディスクが800KBに強化したもの。
- Macintosh Plus
- SIMMメモリースロットを採用し1MB (最大4MB)となる。SCSIを標準で搭載。この為スペースの関係上、シリアルポートのコネクタ形状がD-sub 9ピンから丸型DIN 8ピンに変更された。(この機種ではまだADBが用いられていない)日本語が使えるようになった初めてのMac。
- Macintosh SE
- フロッグデザインの一体型。この機種からADBが用いられている。ダイレクトスロットを持ち、拡張性を持つ。内部増設用SCSIコネクタを持ち、フロッピーを2基、もしくはハードディスクとフロッピーをそれぞれ1基搭載可能。後期型は内蔵フロッピーディスクが2HD対応のSuperDriveになった。
- Macintosh SE/30
- SEのCPUをMC68030にした他、030プロセッサダイレクトスロット(030PDS)などを持つ。ダイレクトスロット用にさまざまなオプションが発売された。メモリー最大搭載容量も128MBに達した。
- Macintosh Classic
- スッキリした外見に変更され、米国では1000ドルで販売されるなど大幅な値下げを実現しヒットした。
- Macintosh Classic II
- ClassicのCPUをMC68030に変更したもの。ただし、拡張性についてはSEシリーズに劣る。
- Macintosh ColorClassic
- 一体型初のカラーディスプレイ化を行ったものでSONYのトリニトロン管を採用している。従来のフロッグデザインとは異なった丸みを帯びたスタイルは賛否両論あったが、後のMacintoshではこちらを継承している。CPUはMC68030。PostPetに登場するひみつメカのモデルになったことでも有名。
- Macintosh Color Classic II
- カラー化に伴って貧弱だったColorClassicのCPUを強化し、メモリを72ピンSIMMに変更したモデル。最後のコンパクトMac。別名でPerforma 275、LC275等が存在するが、それらはColor Classic IIと同様である。
- Macintosh LC520
- LCシリーズのディスプレイ一体型機。同様の機体としては他にLC550、LC575があり、520と550はMC68030を、575はMC68LC040を搭載していた。ColorClassic同様のトリニトロン管を持つが、サイズが14インチに変更されている。
- Mac TV
- 日本では未発売だったTVチューナーユニット搭載のモデルで、LC575ベースで筐体が黒く塗られていた。
- Performa 520
- 別名でPerforma 520、Performa 550、Performa 575等が存在するが、それらはLC520、LC550、LC575と同様である。
- Macintosh Performa 588
- Performa 588はLC575ベースでより低価格を追求したもので、モニターがトリニトロン管ではなくシャドーマスクに変更され、ColorStyleWriter2200とセット販売されたこともある。68k CPUを搭載した最後の一体型Mac。
[編集] ノートブック型筐体(Portable、PowerBook xx0、PowerBook Duo 2x0…)
- Macintosh Portable
- フロッグデザインとの共同デザインによるMacintosh初のポータブルマシン。アクティブマトリクスTFTモノクロ液晶、左右交換可能なトラックボールまたはテンキー、10時間以上動作可能な鉛バッテリ(鉛蓄電池)を搭載。デスクトップモデルと比較しても遜色のない機能を誇った。妥協を許さない設計がなされていたが、高重量高価格となってしまった。MC68000(Portableは日立製MC68HC000 )搭載機種で使える内蔵RAMは基本的に4MBまでであるが、この機種では8MBまで利用できた(なお、MC68000の項目を参照すれば分かるとおり、この容量制限はMC68000プロセッサに起因するものではない。MC68000自体は224=16Mバイトのメモリアドレスを扱うことができる)。これらの基本設計は後のPowerBook 100に受け継がれている。
- Macintosh PowerBook 100
- SONYが開発・製造に関わった当時最小モデル。同時発売のPowerBook140、170とは別デザインの筐体を持っている。フロッピードライブを外付けとしていたため、持ち運びに便利な軽量さが売りであった。CPUはPortable譲りのMC68HC000で、(PowerBook 100シリーズ全般的には)Porttableでも採用されたトラックボールを採用し、世界に先駆けてパームレストを備えていたのが大きな特徴。100シリ−ズ全般に言えることだが、歴代PowerBookの中でも最高のキーボードであったと言う人は多く、後述のPowerBook Duoのキーボードとは相反する評価を得ている。本国同様のUS配列が採用されていたこともあり、PowerBook 500以降は日本製PCとは違った独自のJIS配列に変更されてしまったことも理由の一つだと言える。
- Macintosh PowerBook 1x0
- フロッピードライブを搭載したため、同時発売のPowerBook 100よりも一回り分厚くなったモデルで、STN、TFT、グレー・スケール(16階調)、モノクロ液晶を搭載し、フル機能を備えた最初のPowerBookと言える。140と170はクロックの違いと液晶STN、TFT、の違いで分けられており、それぞれMC68030搭載している。PowerBook 170には、500台限定のJLPGA Special Colorモデルが存在し、 イタリアンカラーの赤・黄・緑・青に白を加えたパネルに変更されている。これをベネトンモデルと呼ぶのは間違いである。このJLPGA Special Colorモデル用パネル自体がマニアの間で高値で取り引きされている上、それに見立てて塗装した170が存在したこともあった。その後DSTN液晶の145B等の廉価版モデルも販売される等、MC68030を搭載した多くのモデルが存在する。
- Macintosh PowerBook 1x0c
- グレー・スケール(15階調)、モノクロ液晶の100シリーズを補完する意味で、PowerBookにはカラー液晶モデルも存在した。最初に登場したのは165cでSTN液晶を持っているが、このSTN液晶の動作の遅さと画面領域の狭さから不満が出る結果となり、ハイスペックを求めるユーザーは170等のモノクロ上位モデルを購入した例が多い。その後に165cの不満を解消する意味で180cが登場する。TFT液晶に変更され、165cよりもほんの少し大きめな液晶を持っているのが特徴だが、価格の高さとTFTの電力消費が激しかったことを理由にそれほど売れなかった。
- Macintosh PowerBook 5x0、5x0c
- 角張った100シリーズから一新して丸みを帯びたデザインに変更される。CPUはMC68LC040を搭載している。電力消費量が激しいカラー液晶に対応すべくデュアルバッテリー搭載を可能にしている。これはパームレスト下のバッテリー搭載部分を左右ともモジュール化し、このモジュールにはフロッピーディスクドライブやオプションのPCカードスロット等を入れ替えることができるもので、その左右にバッテリーを搭載することによってデュアル駆動を可能にしている。このモジュール化の試みは最後のPowerBook G3まで続けられ、G3でも同様のデュアルバッテリー駆動が可能になっている。この500シリーズから、グレイスケール液晶搭載モデルとカラー液晶搭載モデルの2種類がしっかりとラインナップに据えられ、それぞれ520、520c、540、540cが存在する。日本使用のPowerBookには、500シリーズ以降、JIS配列のキーボードが搭載されるようになった。従来からのユーザのなかには落胆した者が多く、USキーボードを個人輸入した者や、並行輸入する販売業者も現れた。2001年にアップルストアにおいてUSキーボードのBTOが可能になるまで、日本向けにUSキーボードモデルが用意されない状態が続く。またこの500シリーズからトラックパッドを採用し、これ以降の全世界のノートPC全体の標準となっていった。しかし、この500シリーズではトラックパッド手前のクリックボタンの埋没が起きやすく、劣化し内部が折れて沈み込んだクリックボタンの存在がかなり多かった。
- Macintosh PowerBook 550c
- 540cをベースにした日本限定モデルで、真っ黒な筐体とMC68040、一回り大きな10.4インチLCDを採用していたことが特徴である。通称ブラックバード。
- Macintosh PowerBook 190、190cs
- 後述のPowerBook 5300シリーズはPowerPC 603eを搭載しているが、その5300の廉価版としてMC68LC040の33MHzを搭載しているのが違う点。まだ当時はPowePCが高価だったことと、PowerPCの安定度を心配するユーザーや初心者向けとされていたが、実際には安価な190よりも5300の方が売れていた事実があった。グレイスケールとカラーのDSTN液晶モデルの二つが存在し、5300cや5300ceで使われていたTFT液晶が採用されなかったことも売れなかった理由の一つだった、それは100シリーズ時代とは違い、安価とは言え、わざわざグレイスケールの液晶を購入しようとする人は相当少なかったからだと言える。(256色表示程度ならばグレイスケール256色の方が色合いが良い、というマニアも居た)それ以上の問題として、液晶付け根のヒンジ部分の弱さが目立ち、“骨折”(または“捻挫”)した190(含む5300)が多かったことから不満が続出した。しかし良い面として、PowerBook 500シリーズから始まったドライブのモジュール化がこの190(含む5300)シリーズからは一層に活発化し、付属の純正フロッピードライブ以外に入れ替えれるドライブとしてZipドライブ、MOドライブ等が多くのサードパーティーから発表され、ユーザーの使いたいドライブを持ち歩く際の利便さができた。後に190/5300の不満点を解消すべくPowerBook 1400cが登場し、この190は最後の68kチップを積むPowerBookとなった。
- Macintosh PowerBook Duo 2X0、2X0c
- DuoDockドッキングステーションと併用することによって、PowerBook自体には外部接続ポートを全く持たせなかった(モデムポートのみ)モバイルサブノートMacである。このPowerBookはドッキングステーション(DuoDock)と組み合わせて使うことからDuo(デュオ)と呼ばれ、PowerBookを携帯したいユーザーに対してのアップルの答えと言える。しかしDuo単体では印刷等ができないためこの不便さを解決するためにシリアルポ−トとSCSIポートを備えたMiniDockが同時に登場し、同様のドッキングステーションがサードパーティーから発売されたこともあり、デスクトップマシンとしても使えるDuoDockの意味が失われつつもあった。またアップルからはフロッピーアダプターも発売され、PowerBook 100のフロッピードライブを接続するHDI-20ポートを備えたものも存在したが、このフロッピーアダプターは売られていても100のフロッピードライブが置かれていることは少なく、サードパーティーから出ていたドライブを購入せざるを得ない状況すら有った。そしてこのDuoも、同時期のPowerBook 500と同様にグレイスケールとカラー液晶搭載モデルの2種類がラインナップに据えられ、CPUにはMC68030が採用された210、230、270cとMC68LC040を採用した280cとがあった。なおこのDuoシリーズは全般的に(ほぼ)同じキーボードを採用しており、キーが少々沈み込むことから、PowerBook史上最悪のキータッチであると酷評する人も多い。前述の500と同様にクリックボタンの埋没(クリックボタンが疲労により内部が折れ沈み込んでしまう)も解消されていなかった。最初のDuoシリーズが発売されたのがPowerBook 100シリーズの末期だったことから、この68k CPUを積むDuoでは更に小型のトラックボールを採用しているのが特徴。
[編集] 大型筐体(Macintosh II、Quadra 9X0…)
NuBusスロットが六つあるMacのこと。Macには拡張性がないとされていたことに対して、市場が要求したアップルの回答のひとつである。登場した当時はワークステーションとの比較がなされることが多かった。
- Macintosh II
- Macintosh 初の完全32ビット機。16MHzのMC68020 MPUとMC68881 FPUを搭載し、オプションのMC68851 PMMU (Paged Memory Management Unit) を追加することで仮想記憶にも対応できた。フロッピーディスクは2DD(後に2HD対応のアップグレードが出た)。30pin SIMMスロット8本で内蔵RAMは最大128MB。
- Macintosh IIx
- Macintosh IIのプロセッサをMC68030に、FPUを68882に強化したモデル。フロッピーディスクが2HDになった。
- Macintosh IIfx
- MC68030搭載の機種では最速のマシンとして用いられていた。増設用のRAMが特殊であり(このころの他機種は30pinが標準であったがこの機種に関しては64pin、LaserWriter II NTX-Jと同じ)、高価であった。
- Macintosh Quadra 900
- 25MHzのMC68040を搭載したモデルで、このタイプから縦置き用のデザインになる。IIシリーズ以降、初めて追加ドライブを搭載することが可能になり、鍵によるセキュリティーもなされるようになった。
- Macintosh Quadra 950
- 900のクロックを33MHzにアップした機種。900の発売からわずか数ヶ月後に販売が開始されたため、900のユーザーから不満が出た。オプションでCD-ROMドライブ搭載も可能だった。
[編集] 中・小型筐体(Macintosh IIxx、Quadra xx0、Centris xx0…)
Nu-BUSスロットが三つあるMac。IIシリーズは、ほぼ同様の電源ユニットを備えているのが特徴。
- Macintosh IIcx
- スロットの数以外はほとんどIIxと同じ。Macintosh IIci、Quadra 700へのハードウェア・アップグレードキットも準備された。"スノーホワイト"コンセプトであるがフロッグデザインではない。
- Macintosh IIci
- IIcxのビデオ回路内蔵モデル。25MHzのMC68030 MPUおよび MC68882 FPUを搭載し、性能と拡張性のバランスがよく、高価にもかかわらず好調な販売を記録した。Quadra 700へのハードウェア・アップグレードキットも準備された。
- Macintosh Quadra 700
- IIciを縦型に改めたデザイン(実際にはどのモデルも縦置き・横置き共に可能)。筐体の美しさから人気があった。25MHzのMC68040 MPUを搭載し、VRAMをメインRAMとは別のバスで操作することでシステムバランスの低下も防いでいた。
- Macintosh IIvi
- MC68030搭載モデル。性能が過去の機種IIcxにも劣るために不評であり、初めて金属を露出した小型筐体で、IBM互換機のようなデザインに賛否が分かれた。以降、Power Macintosh 7100まで同デザインが使われる。初のCD-ROM内蔵モデル。
- Macintosh IIvx
- IIviと並んでMacintoshでは初のCD-ROM内蔵モデルであったが、非搭載モデルもあった。
- Macintosh Centris 650
- MC68040/25MHz搭載でIIvi、IIvxと同様の筐体。
- Macintosh Quadra 650
- MC68040/33MHz搭載でIIvi、IIvxと同様の筐体。
- Macintosh Quadra 800
- MC68040/33MHz搭載で、Quadra 700以降のミニタワー型筐体となる。以降Power Macintosh 8500まで同デザインが使われる。CD-ROMドライブ搭載モデルもあり、Quadra 900以下のサイズでありながら追加でドライブを搭載できるのが特徴であった。
- Macintosh Quadra 840AV
- Quadra 800と同デザインで、MC68040/40MHzが搭載されたもの。Quadra 660AV同様、初のDSP搭載Macである。
[編集] ピザボックスタイプ(LC x、LC475、Quadra 605、Centris 6x0)
筐体が宅配ピザのパッケージのように薄いことから、純正の12インチディスプレイと合うサイズ。LCとはローコストカラーのことである。LCシリーズ用の専用の拡張ボードが発売される。無骨なパソコンが発売されていた時代には非常にスタイリッシュであった。このシリーズも、Appleの他のシリーズ同様に上位モデルへのアップグレードサービスが行なわれた。
- Macintosh LC
- 16MHzのMC68020を搭載し、カラー表示と場所を取らない薄型・コンパクトなデザインが好評だった。コストダウンのためかシステムバスが16ビット幅だったため、MC68020の性能を生かすことができなかった。専用バスに挿入するApple II互換カードが販売され、Apple IIからの乗り換えも多かった。
- Macintosh LC II
- LCのプロセッサをMC68030に強化したモデル。内蔵RAMが増えたにもかかわらずメモリコントローラの仕様が原因で、最大RAM容量はLCと同じ10MBのままだった。
- Macintosh LC III
- このモデルから一枚単位で拡張できる72ピンSIMMに変更された。RAM容量は最大36MB。バスがようやく32ビット幅になり、25MHzに強化されたMC68030とともに、LC IIで問題となっていた性能上の弱点が解消された。また、この筐体を用いてPowerPC 601を搭載した機種がApple社内において試験的に用いられていた。
- Macintosh LC475
- 25MHzのMC68LC040(MC68040から内蔵FPUを省略したもの)を搭載したモデル。それまでのLCシリーズの筐体はほとんど同じデザインのものが用いられていたが、この機種においてはサイズはそのままに、それまでの直線主体のデザインから曲線を生かしたデザインにリファインされた。CPUを載せ換えるPowerPC (601) プロセッサアップグレードカードに対応。
- Macintosh Quadra 605
- 日本未発売機種で、後述のCentris 610よりも若干幅が小さいピザボックス筐体を採用しており、LC475のCPUをFPU内蔵のMC68040に変更したものである。このころのApple社の戦略としてはFPUの搭載・非搭載で1つの機種を構成しているものが多い。LC475同様、PowerPCプロセッサアップグレードカードに対応。
- Macintosh Centris 610
- MC68040/20MHz搭載で大型ピザボックス型筐体を採用しており、NuBUSとPDSのどちらかのスロットを使うことができた。このデザインは以降のPower Macintosh 6100まで採用される。
- Macintosh Centris 660AV
- Centirs 610と同デザインの大型ピザボックス型筐体で、MC68040/25MHzを搭載している。Quadra 840AV同様、初のDSP搭載Macである。
[編集] その他(Macintosh IIsi、LC630、DuoDock x)
- Macintosh IIsi
- 20MHzのMC68030を搭載。システムクロック、バスクロックともに20MHz。メモリは30ピンのSIMMを4枚まで搭載可能。搭載OSは漢字Talk 6.0.7で、NuBus(またはPDS)カードスロットが一つ。標準のシステム構成の場合、グラフィックメモリはメインメモリと共有するアーキテクチャとなっている。IIcxよりも手軽なIIシリーズとして販売されたが、ピザボックススタイルのLCシリーズとも似つかない、中途半端なサイズであったために人気は出なかった。
- Macintosh LC630
- 33MHzのMC68LC040またはMC68040(本国仕様のみ、名称はQuadra 630となる。)を搭載したモデルで、普及型のLCシリーズにおいて初めてCD-ROMドライブを内蔵したモデルである。また、Macintoshとして初めて内部補助記憶装置との接続インターフェイスにIDEが採用された。(ハードディスクのみ。CD-ROMドライブとの接続インターフェイスは従来同様のSCSI接続)内部の構成は非常にシンプルなもので、ロジックボードを裏蓋より簡単に引き出すことができ、専用のTVチューナーやビデオ入力装置を搭載することも可能だった。このデザインは後のPower Macintosh 6200、6300、Performa 6210、6260、6310まで採用されることになる。ロジックボードの構成が後のPerforma 52X0系や62X0系と同様のため互換性が高く、電源部の電圧変更で6300/6400系のロジックボードも搭載が可能である。以上のことから同一筐体を用いた派生機は非常に多い。
- Macintosh DuoDock
- 前述のPowerBookDuoシリーズと組み合わせて使うことが前提で、D-sub15ピンでディスプレイに接続して外部出力をし、ADBポートでマウスとキーボードを接続することによってデスクトップMacintosh並みの威力を発揮するものである。このDuoDockには数種類あり、モノクロ液晶Duoしか挿入できない初代DuoDock、カラー液晶Duoも挿入できるDuoDock-II、PowerPC化がなされたPowerBookDuo2300c/100(後述)も挿入できるDuoDock-Plusが存在する。SCSIポートを持っているのでSCSIポートにCD-ROMドライブを接続したり、シリアルポート経由でプリントアウトやLocalTalkに接続することができ(10Base-TのEthernetポートはDuoDock2以降の採用)、コ・プロセッサ(FPU)スロットも備えているのでFPUを追加でき、VRAMも追加できた。VRAM追加では飽き足らないユーザーは、(NuBusスロットも備えているので)グラフィックカードを刺してフルカラー表記をさせていた。
[編集] PowerPC搭載以後のMacintosh
ハイエンド、もしくはミドルレンジのPowerPC 601/603/604系CPUを搭載したMac
[編集] 初代 Power Macintosh(6100、7100,8100)
PowerPC 601搭載のMacintoshで、68k時代の筐体にPowerPC用ロジックを搭載している。PowerPC G3が「Generation 3」の略であることから、このPowerPC 601搭載MacはG1-Power Macとも呼ばれている。
- Power Macintosh 6100
- 薄型で、Centis610の流れを汲むピザボックス筐体が採用される。PDSスロットのみを装備し、NuBusへの変換基板が付属する。SIMMスロットは二つである。
- Power Macintosh 7100
- 小型デスクトップ型でIIviの流れを汲むデザインを持つ。NuBUSスロットは三つで、SIMMスロットは四つである。
- Power Macintosh 8100
- ミニタワー型でQuadra 800の流れを汲んでおり、7100同様にNuBUSスロットは三つで、SIMMスロットは四つである。この頃から、小型デスクトップ型とタワー型の境界線が徐々に小さくなっていく。
- 拡張スロットはPCIではなくPDSとNuBusを採用しており、Quadra/Cenrisからの互換性が留意されている。この点が後のPower Macintoshと大きく異なる点である。
- NuBusを採用している唯一のPower Macであることから、俗にNuBus-Power Macと呼ばれる。(6100のように、PDSスロットのみのPower Macintoshは、Performaと同機体の5200系、6200系、6300系がある。)
- 当然ながらAppleはハイエンド機に位置づけたが、予想に反して(特に安価な6100は)飛ぶように売れてしまい、結果的には68kMacの終息が加速化されてしまう。
- 当初よりAV機能付のものが発売されたが、Quadra 660AV/840AVで生じた互換性の問題はほぼ解消していた。
[編集] 2代目 Power Macintosh(9500、8500、7X00、9600、8600)
PowerPC 604、もしくは603搭載のMacintoshで、拡張スロットがPCIとされた点が特徴。PowerPC G3が「Generation 3」の略であることから、このPowerPC 603/604搭載MacはG2-Power Macとも呼ばれている。
- Power Macintosh 8500
- Quadra 800の流れを汲むミニタワー型デザインを持つ。Power Macintosh 8100ではAVシリーズのみが備えていたビデオ入出力回路を、オンボードに実装しているのが特徴。CPUはPowerPC 604(もしくは604e)で、ドーターカード形式でロジックに刺さっている。PCIスロットは三つで、5V駆動のDIMMスロットは三つ備えており、そのロジックボードの開発コードは「Nitro」である。
- Power Macintosh 9500
- Power Macintosh 8500とは違ってオンボードにグラフィック回路を持たず(下位機種の9500/120にはPCIバスにささる形でビデオカードが搭載されていた)、IBM互換機並みにオプション類で強化して使用することを前提としたハイエンドマシンである。そのためにPCIバスを六つ装備し、Quadra 900系に次ぐ巨大な筐体となった。その筐体は8500を縦長にしたもので、CPUは8500同様のPowerPC 604(または604e)を搭載。
- Power Macintosh7500
- 8500と同時に発売されたミドルレンジの小型デスクトップ型マシンで、IIviやPower Macintosh 7100とは異なる筐体デザインを採用しており、前述のMacでは不評だった金属筐体を廃止している。ドライバーを使わずに内部にアクセスできる構造と、小型デスクトップでは初めて追加ドライブを搭載するベイが用意され、高い安定性、手頃な価格で高い評価を受けたが、8500との差別化のためか、PowerPC 601を搭載していた。ロジックボードの「T.N.T.」は前述の8500の「Nitro」とほぼ同じ設計である。
- Power Macintosh 7200
- 7500の廉価版として登場したため、PowerPC 601をオンボードで搭載していたのが特徴。主にオフィスでの仕様が前提で、下位モデルではクロックが90MHzのものも存在した。
- Power Macintosh 7600
- 7500の後継機としてドーターカード形式のPowerPC 604(もしくは604e)を搭載したミドルレンジのMacである。AV入出力機能を備えた点は8500と同様で、性能と価格のバランスが秀逸で大好評だった。
- Power Macintosh 7300
- 7600のAV機能省略版(入力のみ)で7200の後継機にあたる。7600の後期に並行して製造・販売がなされ、アップルの屋台骨の一翼となった。PowerPC 604eを搭載し200MHzモデルも存在したが、その割りには安価かつ高性能だったため、良く売れた。
- Power Macintosh 8600
- Quadra 800以来、筐体からロジックボードを取り外さない限り、メモリスロットや拡張スロットにアクセスできないという欠点を抱えていたことから、7500のように新デザインのドライバーレスケースに変更した。六つのPCIバスは高速・低速(従来)の2種類が存在し、仕様によって使い分けることになっている。その他の点では9500、8500に準じるが、CPUには二次キャッシュへのアクセススピードを向上させたPowerPC 604evを採用している。それ故、8500や7300と同様のドーターカード形式ではあったが、それ以前のモデルのドーターカードとは互換性がなかったのが特徴。しかし、しばらくして安価で高性能な上に低発熱・低電力消費のPower Macintosh G3(DT・MT)が発売され、低クロックながら性能が逆転したためにその役目を終えてしまう。Zipドライブモデルも存在する。
- Power Macintosh 9600
- 8600同様の筐体を持っているが、9500のようにオンボードグラフィック回路を持たない、更にハイエンドに特化したものであった。UltraWideSCSIのPCIカードがオプションで存在し、350MHzモデルまで存在したが8600同様、G3の登場によってその役目を終えてしまう。8600同様、Zipドライブモデルも存在する。
[編集] デスクトップ筐体(Power Macintosh/Power Macintosh PrivateSeries/Performa)
PowerPC 603/603e/603ev搭載のMacintoshで、LC (Performa) 5X0/6X0無き後の低価格Macのこと。68kロジックから派生したMacで、Power Macintoshとは名ばかりのモデルすら存在する。PerformaがなくなってからはPrivateSeriesが登場し、Performaの欠点を補ったMacとなっている。基本的にはPowerPC 603系CPUを採用していることから、604/604e/604ev搭載のPower Macとは差別化が図られている。
- Macintosh Performa 62X0/6310
- PowerPC搭載後初の低価格型Mac。PowerPC 603/603eを搭載し、LC-PDSとCSスロット、従来の流れを汲む72ピンSIMMメモリーを採用しているロジックで、安価なLC630 (Performa 630) をベースに開発されている。ロジックだけでなく、搭載するドライブ構成は基本的にLC630と同等で、ハードディスクはIDE、CD-ROMドライブはSCSIとされている。LC630同様にテレビチューナーを搭載できる。Performa 6210、6260,6310が存在し、6210は603の75MHz、6260と6310は603eの100MHzを搭載しており、どの62X0/6310もディスプレイとセットで売られていた。
- Power Macintosh 6200/6300
- Performa 6210/6310系のホーム向け機能省略版。6200はPerforma 6210をベースにHDDが500MB(6210は800MB)のモデル。6300はPerforma 6310をベースにクロックが120MHzの6300/120と、ロジックは後述のPerforma 54X0/64X0と同様で、Power Macintosh 8500等と同様の5V作動168ピンDIMMを採用し、Power Macシリーズと同様のPCIバススロットを一つ持つAlchemyロジックを搭載している6300/160がある。このPCIスロットバスに刺せるカードは、筐体構造の問題からハーフサイズ6インチ長のカードに限られた。62X0/63X0同様にPower Macintoshとは名ばかりで、Performa 54X0/64X0と比べても仕様変更が何もなされていないことから「名ばかりのPower Mac」と言われる。
- Performa 64X0
- Performaシリーズでは初のミニタワー型筐体で、PowerPC 603eを搭載している。筐体上部には隠された専用5インチベイが存在し、本国ではこのベイ専用のマウントが存在した。ロジックは前述のPower Macintosh 6360と同様にAlchemyを搭載しているが、この64X0も筐体構造の問題からハーフサイズ6インチ長のカードに限られた。名称はクロックによって分けられており、6410は180MHz、6420は200MHzとされていた。6420ではトリニトロン管の17インチディスプレイが付属していたが、グラフィック性能の悪さからフルカラー出力ができないお粗末なものであった。(6410は15インチか17インチを選択できた)
- Power Macintosh 6400/6500
- Performa 64X0系のホーム向け機能省略版で、CPUも同様の603eを搭載している(6500は603evの225MHz~300MHzを搭載)。62X0/63X0同様にPower Macintoshとは名ばかりで、Performaと比べても仕様変更が何もなされていないことから「名ばかりのPower Mac」と言われる。日本では未発売であった。
- Power Macintosh PrivateSeries 4400/200
- Mac OS 8セールス用の廉価機で、Performa亡き後のラインナップを埋めるため、苦肉の策でできたのがこの「Power Macintosh PrivateSeries」であり、このシリーズは後述の一体型Macである5500/225の二つしか存在しない。ただPerformaよりもグラフィック性能が大幅に向上しているのが特徴で、拡張性以外は7600/200と同等以上としたMacである。本国では7220の名でも販売されたが、7300と比べると更に質素で、低コスト化を図るために、当時のMacintoshラインナップでは唯一の金属製筐体であった。PC/AT互換機を思わせるデザインはMacユーザーの心を動かすことはなかったようで、多少高くても7300や7600を買うユーザーの方が多かった事実は否めない。デスクトップ型Macにしては珍しくフロッピードライブが左側についており、違和感を持つユーザーも少なくなかった。日本では、タブレットや画像処理ソフトが付属していたグラフィックモデルも存在していた。ロジックや電源はIBM互換機のATX規格に近いもので、その4400のロジックは「Tanzania」と呼ばれるMac OS互換機用として供給されていたもので、CPUにはPowerPC 603eの200MHzを搭載し、PCIバスは二つ、専用の168ピンDIMMメモリースロットは三つである。
[編集] 一体型筐体(Power Macintosh/Performa/TwentiethAnniversaryMacintosh)
PowerPC 603/603e/603ev搭載のMacintoshで、LC (Performa) 5X0/6X0無き後の低価格の一体型Macのこと。基本的には前述のデスクトップ筐体62X0、63X0、64X0を一体型にしたものとも言える。
TwentiethAnniversaryMacintoshは完全な新設計で、当初は完全な予約販売の製品であったため、前述のPerforma/Power Macとは完全に流れが違っている。
- Macintosh Performa 52X0
- PowerPC搭載後初の一体型。PowerPC 603eを搭載し、LC-PDSとCSスロット、従来の流れを汲む72ピンSIMMメモリーを採用しているロジックで、安価なLC630をベースに開発されたPerforma 62X0/6310と共通化されている。ロジックだけでなく、搭載するドライブ構成は基本的に62X0/6310と同等で、ハードディスクはIDE、CD-ROMドライブはSCSIとされていることから6200/6300の一体型とも言える。LC630同様にテレビチューナーを搭載できる。Performa 5210、5220、5260、5270、5280が存在し、シャドーマスクCRTのサイズや603eのクロック、2次キャッシュの有無等が違う。
- Macintosh Performa 54X0
- PowerPC 603e搭載の一体型Mac。52X0と共通デザインで、ロジックも前述のPower Macintosh 6400 (Performa 64X0) と同様のAlchemyロジックを搭載しているが、この54X0も筐体構造の理由から、PCIバスに刺せるカードはハーフサイズ6インチ長のカードに限られた。前述のPower Macintosh 6400 (Performa 64X0) と共通の部品構成で、ハードディスクはIDE、CD-ROMドライブはSCSIとされていることから6400の一体型とも言える。Performa 5410、5420、5430、5440が存在し、5420と5440は黒く塗られていたことから「黒Mac」と呼ばれている。
- Power Macintosh 5400, 5420
- 一体型Performa 54X0系のホーム向け機能省略版で、日本では未発売であった。6200/6300同様に、Performaと比べても仕様変更が何もなされていないことから「名ばかりのPower Mac」と言われる。
- Power Macintosh PrivateSeries 5500/225
- Paforma54X0系と同じ筐体だが新設計のロジックボードとなり(前述の4400/200のベースになっている)、PowerPC 603e/225MHzを搭載していることによって本家のPower Mac 7300/7600並みの性能に近付けたものだと言える。4400同様、Performaシリーズの弱点であったグラフィック性能が大幅に見直されたのも特徴。Mac OS 8の準備用として開発されていたが、発売はMac OS 8より先である。
- Twentieth Anniversary Macintosh (20thAnniversaryMacintosh)
- アップルの創業20周年を記念するMacintoshとして登場した。開発コードネームは「Spartacus(スパルタカス)」で、長い名称であることからそのままスパルタカスと呼ばれることも多い。CPUはPowerPC 603eを更に省電力化させた603evの250MHzを搭載し、PerformaとPowerBookの良い点を併せ持ったロジックボードを持つ。一見すると液晶モニタに見えるような薄型の筐体は、本体機能が組み込まれているとは思えない独創的なデザインを有している。前面にCD-ROMドライブを搭載していることから察せるように、随分なコンパクト化が計られている。キータッチが良いとされるPowerBook1400のキーボードとトラックパッドを組み込み、革張りのパームレストを備える独特なキーボードユニットを備えている。予約購入者にはPerforma 5420等で用いられた黒色マウスが付属した。電源ユニットを兼ねたBOSE製のオーディオシステムを採用していることも特徴であるが、完全予約制による手厚いサポートとオーナーシップ込みの分、高額な価格設定であった。1997年3月の発売当初は7,499ドルで販売されたが、1年以上後には通常サポートみのとなり、1,999ドルでアップル自身から在庫処分される結果となってしまった。後に二次キャッシュスロットに挿すタイプのPowerPC G3カードがSonnet社より発売されている(もともと搭載されていた二次キャッシュは外す)が、残念ながらMac OS 9.1までしかサポートされていない。PCIスロットが一つしか装備されていないため、CS-IIスロットにEthernetカードを挿すユーザが多かった。発売当時のCEOギル・アメリオは非常に気に入っていたおり、創業者である二人のスティーブ(ジョブズとウォズニアック)にもシリアルNo1とNo2がそれぞれプレゼントされた。しかしジョブズのお気には召さなかった様子で、窓から放り投げたという噂もあるが真偽は定かではない。
[編集] ノートブック型筐体(PowerBook)
- Macintosh PowerBook 5300, 5300c, 5300ce, 5300cs
- 初のPowerPC版PowerBookである。PowerPC 603eの100MHzを搭載し、5300c/5300ceはTFT液晶、5300csはDSTN液晶、5300はグレイスケールDSTN液晶を搭載し、PowerBook 190/190csの上位モデルに当たる。5300csが一番の売れ筋だった。設計とパーツ選定のミスから、LCD付け根のヒンジ部分及び電源コネクタの弱さが目立ち、破損する5300(含む190)が多かったことから不満が続出し、ハウジングケースとロジックボードの交換を行うリワークプログラムが発売より6年間実施された。一方PowerBook 500シリーズから始まったドライブのモジュール化がこの5300 (190) シリーズからは一層に活発化し、付属の純正フロッピードライブ以外に入れ替えれるドライブとしてZipドライブ、MOドライブ(故障が多く販売直後に中止)等が多くのサードパーティーから発表された。
- Macintosh PowerBook 1400c, 1400cs
- PowerBook5300/190シリーズ全般の不満点を解消すべく開発されたのがこの1400シリーズである。この1400からは安価なグレイスケールモデルは姿を消し、TFT液晶の1400cと、DSTN液晶の1400csの2種類のラインナップに絞られた上、68k CPUは搭載しない完全なPowerPC専用モデルとなった点が5300/190からの変更点である。PowerPC 603eの117MHzもしくは133MHzを搭載し(後に166MHzモデルも登場する)、外装のプラスチックの強度と質が上がり、電源コネクタがDuoシリーズと同様の耐久性のあるものに変更された。5300/190シリーズで採用されたモジュール構造も引き継がれ、1400シリーズから5インチベイにはCD-ROMドライブを搭載しており、フロッピードライブを使用の際はホットスワップが可能となった。CD-ROM内蔵のPowerBookとなったことで、外付けCD-ROMドライブを持ち歩いたり、いちいちSCSIターゲットディスクモードを使用する必要がなく、利便性が向上した。またキーボードのタッチが非常に優れているといわれ、Duoシリーズ、5300、5x0に見られたクリックボタンの埋没も解消されたことから、PowerBookのクオリティーを向上させた立役者と言える。液晶パネルの表側(閉じた状態での表側)に使用するパネルを2種類同梱することで(通常のブラックパネルと透明パネル)、透明パネルを使用の際は中に入れるジャケットを交換することができ、気分によって使い分けることができる「遊び心」をも持たせていた。
- Macintosh PowerBook 2400c
- 日本IBMと共同開発をした小型PowerBookで、日本IBMのThinkPad 535開発チームの設計、日本IBM藤沢事業所製造のモデルである。PowerPC 603eの180MHzを搭載し(後に240MHzモデルも登場する)、1400よりもより一層のパワーアップを果たしながら(1400の後継ではなく、1400と併売)、フロッピードライブを外付けとしたことで(PowerBook 100とはコネクタ形状が違い互換性はない)、日本で好まれるB5サイズの軽量サブノートを目指したPowerBookである。久々の小型PowerBook(Duoを除くとPowerBook 100以来となる)であることから日本では一定の人気を獲得したが、キーボードピッチが狭められたこと(日本人に最適なサイズ)等により米国では良い評価をされていない。基本的に日本とアメリカ等では移動手段の違いが大きく、電車でノートPCを抱えて出勤する日本と、車の移動が主でフル機能を備えた持ち運べるデスクトップ指向が強い米国との違いがある。米国ではフル機能を備えた1400シリーズや3400シリーズが売れ筋で、2400cはあくまで日本市場向けのPowerBookだった。この2400cから採用されたリチウムイオンバッテリは軽量化に対しての役割も担っている。外付けフロッピードライブは、独特の曲面で構成された本体に合った専用デザインを採用し、前面パネルを開くとディスク挿入口が見え、その開いたパネル(ベゼル)自体がドライブを傾斜させるスタンドになっている。クリックボタンに設計上の問題を抱え、故障するユーザが続出した。また初期モデルはネジの脱落やヒートパイプの接触不良も多く、CPUカードやロジックボードの故障に繋がった。この2400cは開発コードネームが百武彗星を記念して「Comet」と呼ばれていたことから、コメットと呼び愛用するファンがいた。
- Macintosh PowerBook 3400c, 3400cs
- PowerBook1400よりも高機能で、1400よりも高品質を目指して開発されたのがこのPowerBook3400である。本機種の発売によりPowerBookには標準モデルは1400、軽量コンパクトモデルは2400、多機能上位モデルは3400と言うラインナップができた。液晶パネル横にはステレオサラウンドスピーカーを搭載し、PowerPC 603eの240MHz(もしくは200MHz)を搭載していることでPower Mac並みの性能をPowerBookに持たせた、603eチップを積む最強のPowerBookだった。5300のデザインを継承していながらも1400以上のクオリティーを追求しており、にも関わらず5300用のバッテリーや拡張モジュール型のドライブを搭載できると言う点が正逆の利点が特筆すべき特徴である。米国では好意を持って迎えられたが、3.0kgを超える重量と高額さが日本では受け入れられず、むしろ軽量な2400cか、オーソドックスな1400の方が売れた。この3400のデザインはPowerPC G3を搭載した初代PowerBook G3にも継承され、G3チップ移行に役立った。
- Macintosh PowerBook Duo 2300c/100
- 最初で最後のPowerPC搭載Duo。(PowerBook DuoはMC680x0の項を参照のこと)2300cは68k CPUを搭載したDuo 280cの後継で、この2300cはPowerPC 603eの100MHzを搭載していることからDuoシリーズの最上位モデルと言える。Duo 2x0とは違いトラックボールを採用せず、PowerBook 500で採用されたトラックパッドを採用している。この2300cのトラックパッドは賛否両論あり、トラックボール愛用者は280c以前のトラックボールに載せ替え(280c等のパネルと基本的に共通なので、パネルをトラックボールごと移植することが可能)、Duoの小さくて扱い辛く、動作が不安定なトラックボールに飽き飽きしていたユーザには歓迎されたという2面性があった。この2300cも2x0シリーズ同様のキーボードを採用していたが、ベースの素材の改良によりキータッチは幾分改善されていた。またクリックボタンの問題も解消されていなかった。この2300cはカラーTFT液晶を搭載したモデルのみが存在し、クロックや液晶等の違いで差別化が図られているPowerBookにおいては珍しい存在。またカラー液晶の厚みが増したことにより厚みが280cより増えてしまった分の互換性を改善したDuoDock Plusが発売され、280cまでは使えたMiniDockが使えなくなるモデルもある等、少なからずDuo同士の買い換えには弊害を残した。
[編集] PowerPC G3以降のMacintosh
[編集] 一体型筐体(iMac/eMac)
PowerPC G3/G4/G5、もしくはCore Duo, Core 2 Duoを搭載したディスプレイ一体型の一般向け低価格Macである。
- iMac
- 初代iMac。PowerPC G3 233MHzを搭載し、それまでのSCSIやADBポート等を廃止し、USB1.1ポートとイーサネットポートに纏め上げたのが特徴である。筐体デザインは、ポリカーボネイトを採用したトランスルーセント素材を用いることで内部構造が透き通って見え、洗練された内部構造を見せることによって今までのベージュだけがパソコンではないことを大きく主張していた。Power Macintosh G3(Blue&White)でもこの試みは継承され、数々の周辺機器メーカがカラフルな半透明の素材を利用した製品を発表した。有名になったこのiMacのカラーリングは初代は"ボンダイブルー"(オーストラリアのビーチの名に由来する)と称する緑がかった青を採用していたが、途中からストロベリー、ライム、ブルーベリー、タンジェリン、グレープの5色に変更され、キャンディーカラーと言われた。5色になってからはクロックも333MHzモデルまで上げられた。ATA規格のハードディスクとATAPI規格のスリム型CD-ROMドライブを搭載し、初代ボンダイブルーには非公式な拡張スロット「Mezzainne(メザニン)」スロットが装備され、SCSIやADB、シリアルポートを持つ追加ボードがサードパーティーから発表された。またこのiMacはマルチスキャンディスプレイと勘違いされるが、実際には水平偏向周波数が60Hz近辺でほぼ固定されたもので、垂直偏向周波数を変化させることによって640×480、800×600、1024×768の3種の表示範囲に変更できるものになっている、特殊なディスプレイだった。
- iMac DV
- 初代iMacのイメージをそのままに、AirMac対応を果たし、自然対流を用い冷却ファンを持たず非常に静かに動作するモデル。5色のカラーリングとSpecial Editionとしてグラファイトカラーモデル、スロットローディングのDVD-ROMに変更し、上位モデルにはG3 400MHzがオンボードで搭載され、FireWire400ポートも追加されたことからiMac DVと呼ばれる。(下位モデルはブルーベリーのみで、CD-ROMドライブ、G3 350MHzでFireWireポートは持っていない)クロックが450〜500MHzに引き上げられ、カラーもインディゴ、セージ、ルビー、スノー、グラファイトに変更され、深みがあるカラーに変更される。(下位モデルはインディゴのみで、CD-ROMドライブ、G3 350〜400MHzとなっている)セージ、ルビーは短期間で終了し、以降はグラファイトとスノー、インディゴがメインカラーになるが、600MHzモデルにはブルーダルメシアンとフラワーパワーの特殊な多層印刷が施されたモデルが発売される。このブルーダルメシアンは青と白の幾何学的模様のカラーリングで、フラワーパワーはその名の通り花を意識したグラフィックを持っており、コンピュータとしては空前絶後のデザインだった。この2色とグラファイトの600MHzモデルからはCD-R/RWドライブを搭載しており、最後の上位モデルではグラファイトとスノーのみになり、700MHzのG3が搭載される。
- iMac G4
- このモデルからCPUがPowerPC G4に変更されている。それまでのシャドーマスクのブラウン管から一新し、TFTのフラットパネル液晶を採用しているのが特徴。この液晶部分は本体と鏡面処理されたステンレスアーム(Apple内部ではDuckneckと呼ぶ)で繋がっており、一見すると本体が見当たらないようなデザインになっている。このモニタは透明筐体に液晶を組み込んだようなデザインで、StudioDisplay等に共通するデザインとなっており、当初は15インチのTFTモデルで登場したが、追加された17インチモデルはワイド型液晶を有しバランスを取るため本体に重りを追加、最終モデル(2003年)になると20インチモデル(更に重りを追加)も登場した。それに合わせるようにUSBが1.1から2.0にようやく変更され、CPUはGHz級のG4チップを搭載して登場した。それまでの一塊のiMacとは違い、液晶サイズの違いでモデルが分けられるのみで、複数カラーのモデルは以降登場していない。このモニタが宙に浮いたようなiMacは、本体の形状から一部のユーザは「大福 iMac」と呼ぶ。
- iMac G5
- それまでスタンドを持った液晶ディスプレイからデザインを一新し、TFTのフラットパネルと本体を一体型としていることから、一見すると液晶ディスプレイにしか見えないような筐体デザインになっている。このiMac G5からは17インチと20インチのTFTの二つがラインナップとされ、iMac G4同様に液晶サイズの違いでモデルが分けられていた。(15インチは廃止されている)このG5からは一見真っ白であるが、実は表面が透明で内側が白の筐体カラーとなっており、その後のiPod shuffleやiPod nanoと同素材のポリカーポネイトが用いられている。このモデルからCPUがPowerPC G5に変更されているが、1.6GHzと1.8GHzから始まったクロックは、最終モデルでは2.1GHz(20インチモデルのみ。17インチは1.9GHz)となった。最終モデルではPCI Expressアーキテクチャに変更されATI Radeon X600グラフィックス、初のiSightとFrontRow、初期モデルではオプションだったAirMac ExtremeとBluetooth 2.0 + EDR等が標準搭載されている。その後にPowerPCからインテルCPUへの移行が発表されると、どのモデルよりも先駆けてIntel Core Duoを搭載して登場し、最後のPowerPC搭載一体型Macとなった。
- iMac Core Duo
- iMac G5と同様の筐体デザインを持ち、17インチと20インチのラインナップは以前と変更がない。17インチは1.83GHz、20インチは2.0GHzのインテルx86系CPUであるCore Duoを搭載し、グラフィック面では、より高速なATI Radeon X1600に変更されている。また、Mini-DVIポートを備え、Apple Cinema Display対応がはかられている。
- iMac Core 2 Duo
- 17インチと20インチに加え、新たに24インチが追加された。17インチには1.83GHzまたは2GHz、20インチと24インチは2.16GHz(BTOで2.33GHz)の、64ビット対応のCore 2 Duoを搭載し、グラフィックスでは低価格向け17インチにIntel GMA950グラフィックプロセッサ(チップセット内蔵)、24インチには新たにNVIDIA GeForce 7300GTグラフィックプロセッサが搭載されている。24インチモデルではBTOにて256MBのGeForce 7600 GTを選ぶこともできる。
- eMac
- 歴代一体型Macintoshの中でも最後のブラウン管モデルで、コスト低減の為17インチCRTディスプレイを持つ。eMacは、iMac G4やiMac G5よりもiMac DVのイメージを踏襲しているかのようなデザインを持つ。当初は米国の教育機関限定で発売された最廉価モデル。当初はNVIDIAだったグラフィックチップは途中からATi Radeonに変更され、それに伴って700MHzだったクロックも800MHz、1GHzと徐々にクロックアップされていく。最終的にはG4 1.42GHzにまで上げられるがG5チップに変更されることはなく、2005年にはiMacと統合する形でeMacシリーズは終焉を迎える。
- Power Macintosh G3 All in one
- Gossamerシリーズと同世代の一体型Macintoshで、主に教育ユース向けとして販売された。初代iMacや、最後のブラウン管一体型モデルであったeMacは、このG3 All in oneから派生したとも言える。日本での正式な発売はなかったが、やはり「Macintosh=一体型」というイメージの強さから根強い要望があり、五州貿易等から並行輸入されていた。
[編集] 超小型デスクトップ筐体(Mac mini)
それまでアップル史上最小のMacだったPower Mac G4 Cubeよりも大幅に小型軽量になった、PowerPC G4、もしくはCore Duo/Core Soloを搭載した超小型のデスクトップMacのことである。
- Mac mini (G4)
- eMacが1.42GHzになった頃に登場したモデル。G4チップの利点を生かした超小型Macであり、ジョブズの理想とする小型モデルと言える。1.25GHzと1.42GHzの2種類のラインナップが存在し、価格も6万円台後半からの設定であったことから、一体型のiMac/eMacには手を出せない人達に好まれた。超コンパクトな筐体からセカンドマシンとして購入する人も多く、その中にはWindowsには飽き気味のIBM互換機ユーザーも含まれていた。前面にスロットローディングのComboDriveもしくはSuperDrive (SuperDriveは1.25GHzではオプション)を搭載しており、AirMacとBluetoothをオプションで選ぶこともできた。電動ファンを採用しているものの、筐体下から吸い込まれる空気が直接的に内部に流入する構造のため、ファンがやかましく作動する程発熱が高いとは言えず、静音と性能を両立していた。後述のPower Mac G4 Cubeよりも更にコンパクトで、ハードディスクはATA100規格の2.5インチを搭載し、PowerBook同様に外付けのACアダプターで外部電源としている。Mac mini登場までは最も小型だったG4 Cubeと比べると、G4 Cubeの中にMac miniがピッタリと3台入ることから考えてもその小ささは驚愕に値する。最終モデルでは1.25/1.42GHz共にAirMacとBluetoothが標準搭載とされた。
- Mac mini (Core Duo)
- 前述のG4モデルの筐体はそのままに、インテルのCore Duo、もしくはCore Soloを搭載して登場したMacである。AirMac ExtremeとBluetooth, Apple Remoteが標準搭載され、SATAハードディスクの搭載、メモリ容量が2GBに、処理能力が大幅に向上したことが特徴。
[編集] ハイエンドデスクトップ筐体(Power Mac/Power Macintosh/Mac Pro)
プロ向けのハイエンドMacで、PowerPC G3/G4/G5、もしくはXeonを搭載した拡張性の高いMacのことである。新規格デバイスを多く採用しており、低価格Macに採用する足掛かりを作っているとも言える。WorkGroupServerと呼ばれるサーバ用Macのベースにもなっており、信頼性の高さは同価格のIBM互換機以上と言える。
- Power Macintosh G3 DT
- ロジックボードには開発コードが「Gossamer」と呼ばれていたものを採用している。筐体はそれまでのPower Macintosh 7600/7300等とほぼ同じものを採用しているが、内部へのアクセスを更に容易にするためのボタンが付いたのが変更点である。外見ではほぼ同じに見えるが、ハードディスクドライブやCD-ROMといった内蔵ドライブの接続にはそれまでのSCSIに換えて、Performaや低価格Power Macで採用されて来たIDEを採用するようになった。しかしIDE (ATA) は内蔵ドライブでのみ使用され、外部接続用のポートにはSCSIが残されている。GossamerはPowerPC互換機規格であったCHRP(チャープ)をベースに設計されており、それまで自社開発であったシステムコントローラーなども汎用品を使っていることから、より安価でなコストで製造することが可能になった。今までは一部の筐体にしか備えられなかったZipドライブ搭載モデルも存在していた。しかし、Yosemiteロジックボードを搭載する新しいG3シリーズが登場したことにより、DTはPower Macとしては最後のデスクトップ筐体となったのであった。
- Power Macintosh G3 MT
- DTと同時期に発売され、Power Macintosh 8600/9600の高さを抑えた筐体デザインを採用している。内部にアクセスすることが楽だった8600/9600の良さも引き継いでいる。しかし、DTと同様にGossamerを採用していることから内蔵ドライブの搭載数が違う点だけしか差別化が図られず、クロックよりもスペースの方を優先するユーザーは、MTよりもDTの方を好む傾向に有った。DT同様にZipドライブ搭載モデルも存在していたが、Yosemiteロジックの新型G3が登場してからは姿を消してしまう。
- PowerExpress
- G3(Blue & White)の登場により、完成を間近にして開発が中止された幻のハイエンドマシン。9600系の筐体を使い、12のメモリースロット、6のPCIスロットなど高い拡張性を備えていたとされている。
- Power Macintosh G3 (Blue & White)
- ロジックボードに開発コード「Yosemite」を採用したシリーズで、先んじて発表されていた「iMac」とあわせたトランスルーセントの筐体イメージを採用している。それまでのパソコンの概念を払拭するような半透明ポリカーボネイト製の筐体は、発売当初は「ポリタンク」などと呼ばれ揶揄されたが、そのデザインの奇抜性はメーカ機や自作パソコン用本体ケースなどPC/AT互換機側にも飛び火し、多くのメーカがトランスルーセントを採用したり、G3筐体を真似る等の事態を招いた。メカニズム面では、「Macintosh II」以来の伝統だった外部接続用のSCSIとシリアルポートがついに廃止されたほか(オプションでUltra2WideSCSIのボードを搭載することは可能だった)、電源とケース規格はATXに準拠したもの(あくまで準拠)に変更され、メモリーも当時のATXの様準であったPC100規格に改められ、内蔵用インターフェイスはUltraATAとし、FireWire400(IEEE1394)とUSB1.0を標準搭載するなど、新規インターフェースを多く採用した。前期型ではこのATAのコントローラーチップに問題があり、ATAドライブが3台しか積めない不具合が有ったが(セカンダリー側のスレーブが機能しなかった)、後期型からはその問題も解決されている。一方、ADBを搭載した最後のMacであり、アップル開発によるシステムコントローラが搭載され、以降のMacのアーキテクチャの基本形となった。Zipドライブを搭載するモデルと、Zipドライブ非搭載の代わりにCD-R/RWを搭載したモデルの2種類に分けられる。
- Power Mac G4
- このシリーズから商標の「Macintosh」が、正式に短縮形の「Mac」のみとなった。G3で採用された高速PCIバスにグラフィックカードを搭載するモデル(通称PCIモデル)と、IBM互換機同様のAGPを搭載したモデル(通称AGPモデル)の2種類が存在している。PCIモデルはG3ベースのロジックを採用し、AGPモデルはデスクトップMacとしては初めてAirMacを採用しており、どちらもADBポートは廃止された。CPUはその名の通りPowerPC G4に改められ(AGPにはデュアルプロセッサ搭載モデルもある)、筐体はPower Macintosh G3 (Yosemite) の形態を踏襲しつつ、クリア素材を多用したグラファイトカラーに変更されている。このG4からは、G3の弱点であった取っ手(または同形状の台座)にヒビが入る問題も解決されている。DVDドライブ、もしくはCD-R/RWドライブのどちらかが標準で搭載され、後期型になると高速ネットワークポートを積んだ、PowerMac G4 (Gigabit Ethernet)と呼ばれるモデルも登場する。<モデル名の内訳は下記に記した通りである>
- Power Mac G4 (PCI)
- ADBポートが存在していた痕跡を残しているロジックを採用しており、Yosemiteベースであることを伺わせる。Yosemite同様の高速PCIバスにグラフィクカードを有し、初期モデルにしか存在しない。
- Power Mac G4 (AGP Graphics)
- 新設計のロジックで、AGPバスにグラフィックカードを有する。Power Mac初めてのAirMac搭載機で、デュアルプロセッサ搭載モデルもある。(AGPモデル以降は、それぞれシングルかデュアルモデルの2種類が存在する。
- Power Mac G4 (Gigabit Ethernet)
- AGPモデルに10/100/1000Base-T Ethernetを搭載したモデル。DVD-RAMドライブを搭載するモデルも存在する。
- Power Mac G4 (DigitalAudio)
- CPUカードが若干変更され、システムバスが133MHzに変更されたことから、PCI133準拠のメモリーを搭載するモデル。SuperDrive(DVD-R/CD-RW)ドライブが搭載されたモデルも存在する。
- Power Mac G4 (QuickSilver)
- 前面パネルのデザインが一新され,シルバーベースのカラーに変更になる。DVD-ROM、SuperDriveに加え、安価なComboDrive(DVD-ROM/CD-RW)搭載モデルも加わった。
- Power Mac G4 (Mirrored Drive Doors)
- QuickSilverのデザインを生かしながら、光学ドライブ搭載位置を中央に変更し2台搭載可能としたモデル。そのドライブ用ベゼルがミラー状になっていることからMirrored Drive Doorsと呼ばれる。Macとしては初めてGHz級のG4チップを搭載したモデルもある。尚、Mac OS Xへの移行が急激に進んだことにより、このモデルがPower Macシリーズでは(Classicではない)Mac OS 9で起動ができる最後のモデルであり、現在でも中古市場において比較的高値で取引されている。
- Power Mac G4 (FireWire800)
- FireWire (IEEE1394) が、より高速のFireWire 800準拠となったモデル。このモデルはPowerMac G4で唯一Mac OS 9での起動が不可能である。
- Power Mac G4 Cube
- GigabitEthernetの少し前に登場したモデルで、G4チップの利点を生かした小型Power Macで、ジョブズの理想とする小型・ハイパワーなモデルと言える。上部にスロットローディングのCD-R/RWドライブを搭載しており、CDが排出されると、その姿はまるでトースターのようにも見える。電動ファンを持たず、内部ロジックを机上設置面から浮かせることによって空気の流れを良くし、静音と性能を両立しているとも言える。(後にこの仕様で一部の出荷モデルでは製造工程の問題によるヒビが入ることも報告されている)スイッチ式の電源ボタンは採用せずにタッチセンサ式(誤動作問題を引き起こした)のものを採用しており、電源部分も外付けとすることで、究極にコンパクトでシンプルな出で立ちを持っており、ジョブズがNeXT Cubeで行ったコンパクト立方体 (Cube) 筐体の最終形態とも言える。Mac miniが登場してからはそのお株を奪われた感があるが、CDを排出する様や独特の形状は未だに多くのファンを持つMacであり、Mac mini以上のスペックに改造する人が多い。
- Power Mac G5
- 64ビット化がなされたPowerPC G5チップ搭載のモデル。シングル (1) プロセッサから始まり、デュアル (2)、クアッド (4) モデルまで存在するPowePCチップ最速のPower Mac。G5チップは従来のG3/G4チップと比べると消費電力・発熱ともに大きく、パンチメタルの筐体を採用しており、(負荷をかけると高速で唸りだすことで悪評の高い)可変速回転するファンで筐体前面から取り込み背面に放出する直線の空気の流れで冷却を行っている。G4チップとは違い、Mac OS X v10.4 TigerのUnix部分の64ビット化へ対応し、クラスタ制御をした多数のG5がスーパーコンピュータとして活躍したこともある。他のMacが徐々にIntelチップに移行する中、最後までG5チップを搭載し続けていたが、2006年8月にMac Proが登場したことによって消滅、最後のPower Macとなったと同時に、Classic環境が使用できる最後のMacとなった。
- Mac Pro
- ワークステーションと銘打った、Power Mac G5の後継機種。CPUにIntel Core2ベースのXeon 5100番台を2機採用し、クアッドコアになっている。筐体の外観はPower Mac G5に似ているが、光学ドライブが2台、HDDが4台搭載可能になる、メモリはドータカードに設置など、内部の構造は大幅に変更されている。また冷却に関しても改善され、ファンの数は四つとなりPower Mac G5と異なり負荷をかけても比較的静かである。基本構成は1通りだが、BTOで各種構成を多様に変更することができるのが特徴。
[編集] 現行機種一覧
[編集] Macintosh
現行のディスプレイ一体型および純正ディスプレイのアスペクト比は16:10(横:縦)で、黄金比の近似値となっている。
Intel プロセッサー搭載機種
- iMac(オールインワンデスクトップパソコン)
- Mac mini(コンパクトサイズデスクトップパソコン)
- MacBook Pro(プロ向けノートパソコン)
- MacBook(エンドユーザ向けノートパソコン)
[編集] ラックマウントサーバ
- Xserve(Mac OS X Serverを採用したサーバ、Intel Xeon5100を2基搭載)
[編集] OS
[編集] Apple社製
- Mac OS
- 元々は固有の名前はついておらず、単にMacintosh付属の「System」と呼ばれていた。(System7.1、System7.5.1など)Mac OSの名が採用されるのは、バージョンが7.6以降である。7.5.5までの日本語版は「漢字Talk」(トーク)と呼んでおり、英語版のSystemの名称変更に伴い、漢字Talkの名は消滅。日本語版もMac OSに統一されている。また中国語などのローカライズ版も「~Talk」とよばれるが、これは日本語版の「漢字Talk」に因んだものであった。Mac OSに付属する日本語入力システムはAI変換に対応しないなど性能的に貧弱で、サードパーティの製品を購入し併用するユーザが多かった。ただし、8.5以降の「ことえり2」以降徐々に性能や機能が向上し、Mac OS X v10.4 Tigerの「ことえり4」においては大幅な改善が見られる。
- Mac OS X
- UNIXから派生したMachカーネルを搭載するBSD系OSで、Mac OS X Server1.2、Rhapsody、NeXTのOPENSTEPを源流とする。堅実なMachカーネルを有することで安定度は飛躍的に向上しているが、Mac OS 9.2以前のOSとは直接的な互換性を持っていない。Mac OS 8.6で採用されたCarbonで作られたアプリケーションは、Mac OS X上でも使えるように工夫してコンパイルされたパッケージが多く(例:AppleWorks)、このCarbonを早くから採用することによってMac OS Xへの移行を少しずつでも進めていたといえる。
- Mac OS X Server 1.0 - 1.2
- 開発版であったRhapsodyベース。Rhapsodyで採用していたYellowBoxとBlueBoxを採用しているのが特徴で、YellowBoxはOPENSTEPのMachカーネルを有した新しいMac OS環境で、BlueBoxはそれまでのMac OS 8.5をそのまま使用し、状況によってYellowBoxとBlueBoxを切り替えて使用できる環境であった。後に登場するMac OS X Server 10.xとは別のOSで、GUIやアイコン、ウィンドウ等はMac OS 8以降のものと似ているが、カーネル内部の構造がまったく異なり、またFinderの代わりのGUIシェルとしてNeXT由来の「WorkSpaceManager」が採用されていた。
- Mac OS X Server 10.0 -
- Mac OS Xベースのサーバ用OSで、前述のMac OS X Server 1.2等とは全く異なる。Mac OS Xのバージョンアップに伴って進化を続けている。10.0以降もWebObjects Unlimited Deploymentが付属する。より手軽に各種サーバを構築することができるようになり、需要に堪えられるようになってきた。
- A/UX
- Apple純正の68kCPUを持つMac用UNIX(ベースはSystem V系統)で、System 7ライクな外観を持ちながらUNIXのコマンドライン処理ができるOSで、Quadra 950ベースにA/UXをバンドルしたApple Work Group Server 95等も用意されていた。
- MkLinux
- マイクロカーネルを核としているLinux。604/604eチップを搭載するPower Macintoshで動作する。アップルによる開発の中止、コミュニティへの移行後は、LinuxPPCの台頭により徐々にシェアを小さくしていった。
- MacintoshApplicationEnvironment
- サンマイクロシステムズのSPARCstationやHPのワークステーションのX Window System上で動くMac互換環境であり、MAEと略されることも多い。漢字Talk 7.5.3に相当する環境MAE 3.0までが存在している。
[編集] その他のMacintosh用OS
- BeOS
- アップルを退社したジャン・ルイ・ガセーが設立したBe社のOS。プリエンティブマルチタスク、メモリ保護機能、マルチプロセッシング等のMac OSでは成し得られなかった高度な要素を持たせようとした。開発途上で十分な機能を備えていなかったこともあり最小限であればZIPメディア (100MB) に収まるOSであった。当初はBeのBeBox専用OSだったが、同じPowerPCを持つPower MacintoshとPerforma(PCIバスを有するものに限る)に移植され、軽快さとMac以上の愛らしいアイコンやウィンドウを持っていることや開発途上で無償で配布されたことから一部のMacユーザに実験的に使用された。後には日本語環境を搭載したバージョンも出るが、前述のNeXTとの勝負に負けた後はAT互換機にも移植される。インテルの支援もむなしく業績不振に陥りBe社は倒産、 Palmにその技術を売り渡して以降は別会社へ移ってZetaと名を変えた新バージョンが存在している。
- Linux
- Mac用ではLinuxPPCやMkLinux、近年ではYellow Dog Linux等がある。
- LinuxPPC
- LinuxPPCはPowerPC搭載のPower Macintosh(603搭載モデルの一部を除く)で動作するLinuxで、近年ではRedHat Linuxの成長が著しいこともあり、RedHatのカーネルを有するバージョンではG3のiMacでも動作する。
- Yellow Dog Linux
- YellowDogLinuxはPowerPC G3搭載以降のPower Macintoshで動作するようになったLinuxで、G3チップの中でも割とハイスペックなもので動作する。
- その他にも、Ubuntu、SUSE、Fedora、Debian、Gentoo、Vine など様々なディストリビューションが対応している。
- BSD
- FreeBSD, NetBSD, OpenBSD, Darwin等が存在する。
- NetBSD
- 古くから使われており、68kチップのMacintoshでも動作するものがある。MC68020以降のMacintoshでは大半が動作する。
- OpenBSD
- MachTen
- カーネギーメロン大学で研究されていたBSD派生のMachカーネルを持ち、Mac用UNIX互換環境としては割と古い部類に入る。当時このMachを用いているOSは少なく、NEXTSTEPとこのMachTenの他は数種しか存在していなかった。
- Windows XP
- マイクロソフト社が開発しているAT互換機向けのOS、Windows XP Service Pack 2以降がIntel社製プロセッサ搭載マシンで動作する。
- Intel社製プロセッサを搭載したMacintoshではEFIというBIOSに代わる仕組みが使用されており、それはAT互換機が現在に渡るまで使用しているBIOSとは互換性がない。そのためそのままではWindowsが動作しなかったが、日本円でおよそ150万円もの懸賞金がかけられ、Intel社製プロセッサを搭載したマシンで開発が行なわれていた。その開発は一応成功を収めたが、直後にアップルがIntel社製プロセッサを搭載したMacintoshでWindows XP Service Pack 2以降をインストール/動作させるためのMac OS X v10.4.x向けとして開発途上のBoot Campというユーティリティの配布を行なった。Boot Campは、Mac OS X v10.5 Leopardで正式に採用される予定であり、Windows Vistaもサポートされる見込みである。
[編集] 関連項目