岩徳線
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
岩徳線(がんとくせん)は、山口県岩国市の岩国駅から周防高森駅を経て山口県周南市の櫛ヶ浜駅に至る西日本旅客鉄道(JR西日本)の鉄道路線(地方交通線)である。
列車運行上は、山陽本線櫛ヶ浜駅から山口県周南市の徳山駅の間を含む。そもそもは山陽本線の短縮線として旧山陽道沿いに建設されたため、やや急な勾配と長いトンネル区間を有する。
目次 |
[編集] 路線データ
- 管轄(事業種別):西日本旅客鉄道(第一種鉄道事業者)
- 区間(営業キロ):岩国~高水~櫛ヶ浜 43.7km(川西~森ヶ原信号場間(1.9km)は、錦川鉄道錦川清流線と重複)
- 軌間:1067mm
- 駅数:15(起終点駅含む。他に信号場1)
- 複線区間:なし(全線単線)
- 電化区間:なし(全線非電化)
- 閉塞方式:単線自動閉塞式
- 最高速度:95km/h
- 運転指令所:広島総合指令所
なお、山陽本線の岩国~櫛ヶ浜間、山陽新幹線の新岩国~徳山間を通過する場合の運賃・料金は岩徳線経由の営業キロおよび対応する運賃計算キロで計算する(経路特定区間)。これはかつて岩徳線が山陽本線の一部だった名残といえる。
また、全区間とも西日本旅客鉄道広島支社徳山地域鉄道部の管轄である。広島支社独自で与えられているラインカラーは青緑。
[編集] 運行形態
普通列車のみの徳山~岩国間折り返しの運転であり、1~1時間半に1本程度である。昼間時間帯に奇数月の第2水曜日に運休する列車がある。一部を除きワンマン運転を実施している。
岩国~川西(森ヶ原信号場)間には錦川鉄道錦川清流線の列車が乗り入れている。
[編集] 歴史
1920年代に建設が始められた岩徳線は、1934年に完全開業に到った。全通後はただちに山陽本線の一部とされ、元の山陽本線部分は柳井線と改称された。しかしその後、山陽本線の複線化が計画された際、勾配やカーブが多く、長大トンネル(欽明路トンネル)をもう1本掘らねばならないことから、複線化は元の山陽本線である柳井線経由で行うこととなった。複線化完了後は、柳井線は山陽本線に再編入され、こちらは岩徳線に改称し地域輸送路線となり、現在に到る。
戦前、山陽本線の一部だった影響で全通時に開業した駅の構内は幹線級の有効長となっており、とても長い。現在では最長でも朝夕に2~3両編成の気動車が発着するだけで、その機能を持て余している。
山陽本線は海側の柳井経由に戻ったが、現在は山陽新幹線と山陽自動車道が距離の短い岩徳線に並行するルートを通っている。
[編集] 岩徳東線
- 1929年(昭和4年)4月5日 【開業】岩徳線 麻里布~岩国(3.7km) 【駅新設】岩国(2代) ガソリン動車(キハ5000形式)を運行[1]。
- 1932年(昭和7年)5月29日 【線名改称】岩徳線→岩徳東線(岩徳西線開業にともなう)
[編集] 岩徳西線
- 1932年(昭和7年)5月29日 【開業】岩徳西線 櫛ヶ浜~周防花岡(3.9km) 【駅新設】周防花岡
- 1934年(昭和9年)3月28日 【延伸開業】周防花岡~高水(11.0km) 【駅新設】周防久保、勝間、高水
[編集] 全通後
- 1934年(昭和9年)12月1日 【延伸開業・全通】岩国~高水(25.1km) 【駅新設】柱野、玖珂、周防高森、米川 【路線編入】山陽本線の一部 (全通と同時に山陽本線に編入。山陽本線麻里布~柳井~櫛ヶ浜間を柳井線に分離)
- 1942年(昭和17年)4月1日 【駅名改称】麻里布→岩国(3代)、岩国(2代)→西岩国
- 1943年(昭和18年)3月31日 自動信号を導入[1]。
- 1944年(昭和19年)10月11日 【路線分離】岩徳線 岩国~櫛ヶ浜(43.7km) (柳井線を山陽本線に再編入し、岩国~周防高森~櫛ヶ浜間を分離)
- 1956年(昭和31年)4月16日 気動車(ディーゼルカー)が運転される[1]。
- 1960年(昭和35年)4月16日 【駅新設】川西
- 1960年(昭和35年)11月1日 【信号場新設】森ヶ原(岩日線開業による)
- 1965年(昭和40年)11月1日 自動列車停止装置(ATS-S)の使用開始[1]。
- 1971年(昭和46年)2月28日 岩徳線での蒸気機関車の運転を終了(翌日よりディーゼル機関車および気動車(ディーゼルカー)による無煙化)[1]。
- 1974年(昭和49年)10月1日 【貨物営業廃止】全線(-43.7km)
- 1987年(昭和62年)3月27日 【駅新設】大河内、生野屋
- 1987年(昭和62年)4月1日 【承継】西日本旅客鉄道
- 1990年(平成2年)9月27日 【駅新設】欽明路
[編集] 駅一覧
駅名 | 営業キロ | 接続路線 | 所在地 | |
---|---|---|---|---|
岩国駅 | 0.0 | 西日本旅客鉄道:山陽本線 | 山口県 | 岩国市 |
西岩国駅 | 3.7 | |||
川西駅 | 5.6 | 錦川鉄道:錦川清流線 | ||
森ヶ原信号場 | (7.5) | (錦川清流線との実際の分岐点) | ||
柱野駅 | 8.5 | |||
欽明路駅 | 15.2 | |||
玖珂駅 | 17.1 | |||
周防高森駅 | 20.6 | |||
米川駅 | 24.4 | |||
高水駅 | 28.8 | 周南市 | ||
勝間駅 | 31.1 | |||
大河内駅 | 33.3 | |||
周防久保駅 | 34.7 | 下松市 | ||
生野屋駅 | 38.0 | |||
周防花岡駅 | 39.8 | |||
櫛ヶ浜駅 | 43.7 | 西日本旅客鉄道:山陽本線 | 周南市 |
[編集] 備考
なお、まったくの余談ではあるがMS-IMEでは、単語登録をしていない状態で「がんとくせん」と入力しても、「岩徳線」と変換しない。面白いことに「いわとくせん」と入力すると、「岩徳線」と一発で変換する。