最終兵器彼女
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『最終兵器彼女』(さいしゅうへいき かのじょ)は、漫画雑誌「ビッグコミックスピリッツ」で連載された高橋しんの漫画である。略称は、「最彼(さいかの)・サイカノ」。
キャッチコピーは「この星で一番最後のラブストーリー。」
目次 |
[編集] 概要
テレビアニメ化、OVA化及びコナミによるゲーム化もされている。2006年1月28日には、前田亜季の主演による実写映画が公開された。
尚、海外では漫画と映画はThe last love song on this little planet.、テレビアニメはShe, The Ultimate Weapon、OVAはanother love songというタイトルとなっている。セカイ系の作品としても有名。小学館から全七巻+外伝集一巻、計八巻のコミックスが発売されており、累計総発行部数は400万部を記録している。 漫画ではあるが、多くの人を涙させた作品である。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] ストーリー
北海道の田舎町で暮らすシュウジとちせ。ちせは以前から興味を持っていたシュウジに度胸試しとして告白、そのぎこちない交際は交換日記から始まった。
そんなある日、謎の敵に札幌市が空襲される。攻撃から逃げるシュウジが見た物、それは腕を巨大な武器に変え、背から鋼鉄の羽根を生やした兵器と化して敵と戦うちせの姿であった。
国籍不明の軍隊との戦争が激化していくにつれちせは兵器としての性能が向上していくが、故障をきっかけに肉体も精神も人間とは程遠いものとなってしまった。
二人のクラスメイトのアツシは、以前から想いを寄せていたアケミを守る為に自衛隊に入隊。戦場へ赴いていた。
TVアニメオリジナルエピソードで、ちせの親友四人組の一人のゆかりは自警団の白人兵狩りに参加。銃を持ってタケの仇を討つ為、山狩りへ向かう。
そんな中、アケミは大地震に巻き込まれて大怪我をし、シュウジの目の前で死んでしまう。歪んでいく日常。シュウジは再度姿を見せたちせを連れて町を出るが…。
ラストシーンは原作版とアニメ版と映画版では全く違う内容となっている。
[編集] 作品特徴と同一類型(同一ジャンル)内での位置づけ
何故、ちせが最終兵器にされたのか? 何故、ちせなのか? そもそも一体日本はどこと戦争しているのか? また、開戦の動機は? などなどそれらの、本来は主軸となる理由が全く描かれていないことが特徴で、作者の話によるとこれは主人公二人の恋愛描写を盛り上げるのを重視して、方法的に、つまり故意に切り捨てるという大胆なテクニックを採用したことに起因するとのことだった。
この作品において独特の形態で提出された「きみとぼく―世界」の短絡性、中間的媒介たる社会や国家といった共同体の方法的後景化という手法は、本作品から数年後(2004年以降)に「セカイ系」のジャンル名で包括され、さまざまな作品群を先駆するものとなった。「セカイ系」は別名「ポストエヴァンゲリオン症候群」と呼ばれ、事実上、エヴァ現象(第3次アニメ大ブーム)以降発生したものではあるのだが、これが「エヴァ系」という、閉じた非生産的な桎梏を抜け、今日的で生産的な、つまりより開けた「セカイ系」という一固有ジャンルを獲得するにいたる過程には『最終兵器彼女』(以下、『最彼』)が『ブギーポップは笑わない』などと並び、決定的な役割を担ったのであった。
『最彼』にせよ『ブギーポップ』にせよ「エヴァ以降」という制約なくしては成立しえなかった作品群ではあるが(作者一個人のエヴァ受容の深さ浅さは、この場合、時代精神が問題であるから本質的な問題とならないことが多い)、「エヴァ以降」という流れを無碍に台無しにしてしまうことなく、これを10年近くのちの現在に至るまで保存することに成功させ、日本文化の意義を高めえたのは同系列のエヴァ風の作品群の中から、この『最彼』が一等地抜け出、他の「セカイ系」作品群を導いたからだったといわれている。
またその衝撃的なエンディングが議論を巻き起こした『まほろまてぃっく』に対しても本作品は非常に強い影響を与えている。
[編集] 登場人物
登場人物については最終兵器彼女の登場人物を参照。
[編集] テレビアニメ版
- 2002年7月3日~2002年10月9日に、中部日本放送・ファミリー劇場(7/2から放送)で放送され、その後テレビ神奈川・毎日放送・北海道放送・RKB毎日放送でも放送された。全13話。
- CBC初の自社制作深夜アニメ。単独制作では本作が在名局初となる。
[編集] スタッフ
- 原作:高橋しん(小学館「ビッグスピリッツコミックス」刊)
- 企画プロデューサー:藤原銀次郎(東映ビデオ)、瀬崎巌(東北新社)、植田文郎(小学館)、村濱章司(GONZO)
- 原案協力:堀靖樹、小室時恵、奥山豊彦(小学館「週刊ビッグコミックスピリッツ」編集部)
- シリーズ構成:江良至
- キャラクターデザイン:香川久
- メカニックデザイン:神戸洋行
- 総作画監督:佐藤雅将
- 美術監督:東潤一
- 色彩設計:鈴木依里
- 3DCGディレクター:松浦裕暁
- 撮影監督:石黒晴嗣
- 編集:重村建吾、肥田文
- 音楽:見良津健雄
- 音響監督:三好慶一郎
- 音響効果:長谷川卓也(サウンドボックス)
- 録音制作:東北新社
- 音楽プロデューサー:安藤岳
- 音楽制作/協力:radiosonic records、東芝EMI
- プロデューサー:高橋尚子(東映ビデオ)、鶴崎りか(nas)、山根博行(小学館)、加藤直次(CBC)、月野正志(GONZO)
- 監督:加瀬充子
- アニメーション制作プロダクション:GONZO
- 製作:「サイカノ」製作委員会(東映ビデオ、東北新社、小学館、CBC)
- 著作:©高橋しん/小学館、「サイカノ」製作委員会
[編集] 主題歌
- オープニングテーマ『恋スル気持チ』(歌:谷戸由李亜、作詞・作曲:谷戸由李亜、編曲:見良津健雄)
- エンディングテーマ『サヨナラ』(歌:谷戸由李亜、作詞・作曲:谷戸由李亜、編曲:見良津健雄)
- 劇中歌『夢見るために』(歌:杉内光雅、作詞:石川あゆ子、作曲・編曲:見良津健雄)
- (radiosonic records)
[編集] 放映リスト
- 「ぼくたちは、恋していく」
- 「私、成長してる・・」
- 「ふたりで」
- 「ふゆみ先輩」
- 「うそつき」
- 「クラスメイト」
- 「守りたいもの」
- 「みんな変わっていく」
- 『アケミ』
- 「…そして」
- 「2人だけの刻」
- 「ラブ・ソング」
- 「そして、僕たちは恋していく」
[編集] PS2版
- 2003年5月29日発売
[編集] OVA版
- 原作:高橋しん(小学館「ビッグスピリッツコミックス」刊)
- 制作:スタジオ・ファンタジア
- 月野正志プロデューサー
- 監督:加瀬充子
- エンディングテーマ:『真夜中の虹 ~everlasting love~』(歌:麻倉あきら)
[編集] 実写映画版
劇場予告は、バルトの楽園、仮面ライダーカブト、轟轟戦隊ボウケンジャーDVD予告は、ハピネット「天使」、「愛してよ」、アミューズソフトエンタテインメント「変身」、松竹「ギミーヘブン」、その他は東映のDVD作品。
- 制作:東映アニメーション、東映、東映ビデオ、スカパー・ウェルシンク、小学館、シリコンスタジオ、アミューズソフトエンタテインメント、博報堂DYメディアパートナーズ
- 主題歌:『すみか』(歌:メレンゲ)
- 挿入歌:『きみのうた』(歌:MAYUMI)(作詞原案:高橋しん)
[編集] スタッフ
- 製作総指揮:高橋浩
- 企画:森下孝三、黒澤満、坂上順
- 企画協力:遠藤茂行
- 監督:須賀大観
- プロデューサー:北﨑広実、松井俊之、竹本克明、伊藤伴雄
- 脚本:清水友佳子
- 音楽:安西実
- VFX監督:野口光一
- VFXプロデューサー:氷見武士
- 撮影:藤澤順一(J.S.C)
- 美術:中澤克巳
- 照明:豊見山明長
- 録音:湯脇房雄
- 編集:阿部亙英
- 監督補:蔵方政俊
- 製作担当:丸山昌夫
- VE:さとうまなぶ
- B撮影:向後光徳
- VFXアートディレクター:木村俊幸
- 制服デザイン:小篠ゆま
- タイトルデザイン:岡野登
- 装飾:平井浩一
- 記録:増田実子
- 音響効果:柴崎憲治
- キャスティングディレクター:長谷川才帆子
- 音楽プロデューサー:藤田昭彦
- 宣伝プロデューサー:杉田薫
[編集] 設定
- ちせとシュウジの暮らす街は小樽市。
- 原作でちせとシュウジが最終的に暮らしていたのは高橋しんの故郷でもある士別市の駅待合室。
- また、札幌空襲時の兵器としてのちせの初登場シーンは原作、アニメ、映画ともに非常に印象的な場面であるが、それぞれちせの登場の仕方が微妙に異なる。
- 作者の意図によって、メインキャラクター達に苗字は設定されていない(読者がキャラクターに感情移入できる様に作者が配慮した。例外的にカワハラさん、イトウさん、ナカムラ…らがいるが、彼らには名前の設定がない)。
- 漫画内に出てくる展望台のモデルは小樽の旭展望台。作品中では自衛隊施設内となっているが、実際には関係ない。冬季期間中は閉鎖。現場に「巡礼」に訪れたと思しきファンによって最終兵器彼女関係の落書きが書き込まれていた事があった。
- 「敵」の正体の一部はロシア軍、アメリカ軍、フランス軍、ドイツ軍である。シュウジらが遭遇した札幌の空襲で登場する戦闘機などはロシア製であり、OVA版でちせが札幌へ出撃した同刻に登場する、司令室に設置された戦況が表示されているモニターの地図では、敵の爆撃隊は札幌の北側から飛来しているため、敵はロシア軍だということが伺える。その他、それぞれ本州から北海道に上陸しようとするアメリカ軍、仙台を攻撃するフランス軍(兵士はフランス語を話していた)、OVA版MISSION1では福岡を攻撃しているドイツ軍(ドイツ語を話している。DVDの字幕ONでドイツ兵とはっきり表示されている)の描写がある。整理すると、日本の自衛隊は米国、ロシア、フランス、ドイツなどの多国籍軍ともいえる連合軍と戦争していることになるが、敵対するに至った経緯は一切描かれていない。
- ただし、あくまで想像でしかないが、自衛隊が単独で戦っているのではなく周辺の国々と連合を組んでいた可能性はある。根拠として、「敵」の中にアジア人が登場しない。無論、周辺の国が「異変」で壊滅した、あるいは中立をしていた可能性はある、もしくは中国や韓国が敵だと抗議を受ける可能性があるから合えて出さなかったとか、ちせに真っ先に滅ぼされたとも考えられるが。日本に近い中国、韓国といった諸国が「敵」として対立している場面は一切登場しない。また、自衛隊は実戦的海外展開能力を持たないにもかかわらず、第1巻で「自衛隊の海外派遣が決定した」という表記がある。実際の(2006年現在の、現実の)日本はイラク復興支援に見られるように小規模な展開能力は持つものの、実戦レベルでの展開能力は憲法上非常に限定されている。故に、憲法自体に何らかの改正を加えたか、自衛隊の海外派遣を支援した勢力、特に年次演習で対台湾を想定した上陸演習をしばしば行なっている中国が日本と連携していた可能性はある。
- OVA版で日本の自衛軍(『自衛隊』の項を参照されたし。)は敵のことを連合軍と言っている。また漫画版でテツが隠れ家としていたアパートにいた兵士たちは使用している武器(Steyr TMP)から察するにオーストリア軍を参考にしたものと思われる(裏を返せばTMPはオーストリア軍特殊部隊ぐらいしか正式採用していない)。
- また、OVAの最初(福岡上陸)の際に爆撃を行っているのは、トーネードIDSという英・独・伊・オマーン・サウジが採用している攻撃機。よっていずれかの国が参戦しているようだ。
- 原作や映画では、日本の軍隊のことを「軍」または「自衛隊(ジエータイ)」、OVAでは「自衛軍」と呼ばれているが、TVアニメ及びOVAでは「自衛隊」という単語は出てこない。また、OVAでは、隊員の階級も自衛隊独自のものから、旧日本軍や他国で使用されているものへと変更された。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- TVアニメ版公式サイト
- OVA版公式サイト
- 映画版公式サイト
- SINPre.com! - 公式サイト。
- hicbc.com:最終兵器彼女 - CBCのサイト。
- PS2ソフト最終兵器彼女(コナミ)
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