源静香
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源静香(みなもと しずか)は、藤子・F・不二雄の漫画作品「ドラえもん」に登場する架空の人物。同作品のヒロイン役である。
漫画でのセリフなどでは「しずか」と呼ばれている。根拠はまったくないが名前が似ていることから、名前の由来は源義経とその愛妾静御前といわれている。
あだ名は「しずちゃん」または「しずかちゃん」。
誕生年月は昭和39年(1964年)5月(方倉設定では12月2日)。原作の誕生日に関する場面は、こたつがあったり、半袖だったりと一定でない。
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[編集] 設定
野比のび太が憧れるクラスメイト。しかし、単なる級友というよりはのび太の相手役的演出をされることも多い。
美容には気を遣っており、「顔の美容体操」を行っている。[1]
現在のテレビ朝日版アニメは原作に忠実になるようドラえもんを「ドラちゃん」、のび太を「のび太さん」、スネ夫を「スネ夫さん」、ジャイアンを「たけしさん」等と「さん」付けて呼んでいるが、テレビ朝日版アニメ初期は「さん」付けではなく、「くん」付けだった(例:「のび太くん」)ジャイアンのことも「ジャイアン」、「たけしくん」と呼んでいた。ドラのことも「ドラえもんさん」と呼んでいた(ちなみに2巻『ロボ子が愛してる』では「野比くん」と呼んでいる)。その他にも、原作中に、ジャイアンを「ジャイアンさん」などと呼んでいた時期もあった[2]。また逆に原作中では「しずちゃん」と呼ばれているが、実際に発声すると響きがよくないという理由から、アニメでは長く「しずかちゃん」と呼ばれていた。
歌手の郷ひろみ1巻[3]、天野星夫[4] 、西条ひろみ[5]、郷ヒデキ[6]、タレントのトシちゃん(または田原のトンちゃん、[7])の大ファン。
[編集] 学業および運動神経
成績はよい。しかし、出木杉よりはやや劣るようで、しずかが出木杉に勉強を教わることはあっても、その逆はない。テストで85点を取って母親に叱られたこともある[8]。スネ夫のように学習塾には通っていないが、家庭教師がついている[9]。
運動をする場面が描かれたことは少ないが、ひみつ道具でのび太の体と入れ替わったときには、野球で活躍したり木登りにチャレンジしたりするなど[10]、もともとの運動神経は悪くないよう。ときにはのび太以上に快活な振る舞いを見せることもある。
[編集] 性格
性格は優しく寛大な心の持ち主。困った人を見かけると放っておけない[11]。ひみつ道具の妨害をはねのけてのび太を助けたことすらある[12]。
しかし、他のキャラに比べて現実的で、かなりドライな一面も見せる。
出木杉の存在を級友以上のものとして意識しているのか、のび太を嫉妬させることが多いが、実際は出木杉に向けての感情を出す描写は少ない。
おしとやかなイメージが強いが、ひみつ道具でしずかの姿となったのび太が、行儀の悪さをしずかの母親に厳しく叱られていることから、普段の振る舞いは母親の教育によるもののようだ[10]。実のところ周囲の目の届かないところでは、ピーナッツを投げ食いしていたり[13]、寝転がって物を食べたり[14]と、少しはしたない姿も見られる。あるときは、親の不在の夜で大っぴらに夜更かしできることを喜んだりもしている4[15]。
[編集] 性格の変化
連載初期のしずかは後期とかなり違う性格であり、ジャイアンやスネ夫の意地悪に対して一緒になってのび太を嘲笑したり仲間はずれにすることがある。
たとえば「クラスで一番わすれんぼのあんたが? ホホホ」と、のび太を「あんた」と呼び、腹を抱えて大笑いするシーンがある[16]。そのほか「あんたの家が火事よ!」[17]、「あんたが生き返らせるって言ったでしょう」[18]、「あんたはクラスでも有名なへたくそなのよ」[19]がある。
後期の作品では、スネ夫がのび太を仲間はずれにしようとすると「それなら私も行かないわ、仲間はずれする人きらい」と言うことも多くなった[20]。先述の『テストにアンキパン』での嘲笑場面も、水田わさび版アニメ『テストにアンキパン』では、クスリと笑うだけとなっている。
このような連載後期のイメージを作者が意識的に形成した顕著な例としては、34巻『水たまりのピラルク』の書き換えがある。この話の初出(『小学五年生』1982年1月号掲載)においては、スネ夫がしずかとジャイアンだけを遊びに誘った際、しずかはのび太を置き去りにしてスネ夫の方へ行ってしまうが、単行本に収録された際には話がほぼ全面的に書き換えられ、のび太を思いやって気遣うようになっている。
[編集] 趣味
入浴シーンの登場が何度かある。風呂が好きで、1日に3回は必ず入浴するという(『最新ドラえもんひみつ百科』)。ドラえもん映画作品などで、悪人に捕まるなど身の危険が迫っているときや宇宙のテーマパーク(しかも早朝)ですら風呂に入れないことに不平をもらすほど。それが災いして、のび太に覗かれることも何度かある。ここまで風呂にこだわるのは、のび太と体を入れ替えた時に、彼女の体になったのび太が、「明日入るなんて不潔なこといけません! 」としずかの母親に叱られたことから、母親の影響であることがわかる[1]。
[編集] 習いごと
バイオリンをたしなむが、その腕前は極めて下手。しずかのバイオリンを聞いたのび太があぶら汗をかくほど。のび太曰く「ジャイアンの歌といい勝負」。過去には美しい音色を出していたこともある[21]。
ピアノも習っており、そちらは上手だが、本人はバイオリンの方が好き。しかし母親はしずかをピアニストにするのが夢なので、母と衝突することもある[22]。
[編集] 嗜好
好物は焼き芋(方倉設定ではふかし芋)だが、のび太やドラえもんもひみつ道具「アンケーター」で本心を探るまで、好物のことを知らなかった。擬似人格からむりやり聞き出して大量の焼き芋をプレゼントした2人に激怒したが、彼らは「何で怒るんだろう。」と女心に気付かなかった。
ちなみに2番目の好物はチーズケーキ、3番目は寿司[24]。ホットケーキもしくはパンケーキを好んで食べることがある(大長編)。
カエルやクモなど、女の子が嫌がりそうな生き物は嫌がる。[25]
[編集] 血縁
父親は源義雄、母親(専業主婦)の名前および旧姓は不明。
親戚には、美術評論家のおじさん[26]、のび太が一目惚れするほど美少女の従姉妹[27]、鉄道ファンで北海道に住むいとこがいる。
[編集] 将来
将来はのび太と、大学時代の雪山での遭難事故がきっかけで(本当は未来ののび太が肺炎を起こして雪山に行けなかったので、代わりに過去ののび太が大人になって助けた)結婚し、息子としてノビスケをもうけることとなる。
[編集] 22世紀の源家
しずかそっくりの少女が登場する[28]。セワシと交流があり、剛田家、また骨川家の顔を持つ少年たちも登場することから、源家の子孫と思われるが、詳細不明。
豪華な旅行に出ており、しずかの代で野比家と合流した源家は22世紀までのどこか(ノビスケ~セワシの父の代)で分離したことが推測されるが、詳細は不明。
[編集] その他
アニメでの声優は、1973年の日本テレビ版では恵比寿まさ子。1979年からのテレビ朝日版では、2005年3月までは野村道子、4月からかかずゆみが担当。
野村道子は日本テレビ版にも別役で出演していたらしいが役名は不明。
1969年12月発売の雑誌「小学四年生」1970年1月号の「ドラえもん」連載開始当初は、名前が「しず子」とされており、のび太は「しず子さん」と呼んでいた(「しず子」という表記は、単行本へは未収録)。「静香」の名前に変更されたのは、連載開始から2年後、「小学四年生」1972年2月号掲載の『のび太のおよめさん』(てんとう虫コミックス6巻収録)からである。ちなみに、名字の「源」もこの時が初出であった。
ドラえもんのゲーム内での静香は大抵スモールライトを武器にする(シリーズによってはこけおどし手投げ弾等に変更されている)。
2006年の、のび太の誕生日に合わせた特番のミニコーナーで、のび太がペ・ヨンジュンや南海キャンディーズの山ちゃんに扮したのにあわせて、しずちゃんのコスプレを披露したことも。
フジテレビ系列の「トリビアの泉」の企画「トリビアの影ナレ」で、野村道子がしずかの声で担当した(2006年6月17日前半(後半はおぼっちゃまくんの御坊茶魔役の神代知衣)、9月6日前半(後半は新世紀エヴァンゲリオンの碇シンジ役の緒方恵美))。
[編集] 脚注・出典
- 特記のない「x巻」は、てんとう虫コミックス「ドラえもん」の単行本の巻数を表す。
- ^ 15巻『こっそりカメラ』
- ^ 14巻『ムードもりあげ楽団登場!』など
- ^ 『○○が××と△△する』
- ^ 2巻『出さない手紙の返事をもらう方法』
- ^ 9巻『ジ~ンと感動する話』
- ^ 19巻『影とりプロジェクター』
- ^ 29巻『翼ちゃんがうちへきた』他
- ^ 21巻『ハッピープロムナード』
- ^ 17巻『タッチ手ぶくろ』、藤子不二雄ランド4巻『にっくきあいつ』、藤子不二雄ランド34巻『身がわりバー』
- ^ a b 42巻『男女入れかえ物語』
- ^ 26巻『魔女っ子しずちゃん』、28巻『神さまロボットに愛の手を!』
- ^ 32巻『しずちゃんさようなら』
- ^ 10巻『たとえ胃の中、水の中』
- ^ 17巻『かたづけラッカー』
- ^ 1巻『みえないボディガード』
- ^ 2巻『テストにアンキパン』
- ^ 10巻『ハリ千本ノマス』
- ^ 3巻『ペロ! 生きかえって!』
- ^ カラー作品集5巻『自信ヘルメット』
- ^ 29巻『宇宙探検ごっこ』など
- ^ 13巻『もどりライト』
- ^ 『のび太の日本誕生』ほか
- ^ 2巻『しずちゃんのはごろも』
- ^ 28巻『しずちゃんの心の秘密』
- ^ 34巻『変身・変身・また変身』、カラー作品集1巻『ゴロアワセトウ』ほか
- ^ 8巻『ロボットがほめれば』
- ^ 17巻『見たままスコープ』
- ^ 21巻『未来の町にただひとり』
[編集] 参考文献他
[編集] 書籍
- 藤子・F・不二雄『ドラえもん』全45巻 小学館、1974年 - 1996年