瀬戸山隆三
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瀬戸山隆三（せとやま りゅうぞう、1953年 - ）は、大阪市出身の実業家でプロスポーツ経営者。現千葉ロッテマリーンズ球団社長兼代表。
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[編集] 来歴・人物
大阪市立大学卒。1977年ダイエー入社。ダイエー神戸本店室課長などを経て、1988年より福岡ダイエーホークスに出向。球団総務部長となる。1993年シーズンオフに坂井保之球団代表の退団に伴い球団代表に就任。1996年より新設された「球団本部長」に就任。1997年に小久保裕紀らによる脱税事件の責任を取る形で「解雇」処分となりダイエーフロントを去ったが、1999年に球団社長であった根本陸夫の死去に伴う「人材難」を理由に球団代表に再登用。2003年まで職にあったが、球団の実権は球団社長であった高塚猛に握られていた。球団を退団するとともにダイエー本社も退社。福岡県内での企業経営を経て、2004年に千葉ロッテの球団代表に就任。2006年より現職。
[編集] 業績
[編集] ダイエー本社時代
食肉部門などで活躍。その業績を買われ、入社12年目で早くも「神戸本店室」の課長職となる。同年5月に立ち上げられた神戸本店室は球団買収の準備のために設立されたものと言われる。
[編集] ダイエーフロント時代
1988年、ダイエーはプロ野球球団買収の方針を決め、本店室の室長である鵜木洋二らとともに水面下で準備を開始。鵜木の主導で同時期にプロ野球誘致を進めていた「市民球団誘致市民会議」と接触を行い、創業者である中内功のアジア戦略もあり、福岡への球団設置で話が進んでいたが、実務のリーダー格であった瀬戸山はダイエーの経営実態にそぐわないアジア戦略や、いわゆる「スモールマーケット」である福岡でのプロ野球経営はメリットが少ないと考え、リーグ優勝も狙える戦力を擁しながらも身売りが噂されていた阪急ブレーブスを買収し、ダイエーの創業地であり、同年に神戸総合運動公園野球場の開場する神戸市に本拠を置くことを企画していたといわれる。
最終的には南海からのホークス球団買収、福岡市での球団経営が決定し、瀬戸山も「球団総務部長」の肩書きでフロント入りする。ほぼ同時期にオリックスによる阪急球団の買収も決まったが、阪急の買収と神戸移転を企画していた瀬戸山は「内心忸怩たる思い」であったと想像される。
福岡におけるホークス球団の運営は南海時代より観客動員は増えたものの、スモールマーケットゆえの球団経営は予想以上の難しさがあり、他球団と比べて高額となる遠征費用や宣伝・広告費、球団の所有によるダイエー本体への波及効果などが早くも課題となっていた。また阪急球団と比べて戦力的に著しく劣ることから、球団所有初年から苦戦を強いられることになった。これにより瀬戸山の判断は正しいことが証明され、福岡への球団移転の立役者で、初代球団社長となった鵜木は球団設立2年目で早々に球団を去ることになった。ダイエーは1999年にようやく初優勝を成し遂げたが、瀬戸山の案どおり阪急球団の買収と神戸移転を進めておれば、初優勝までに11年の歳月と金銭だけでは換算しがたい多大な労力を費やすことはなかったものと思われる。
1990年に西武ライオンズから坂井保之を球団代表として迎え、同チームの主砲であった田淵幸一を監督としたが、ドラフト指名した元木大介や三井浩二に入団を拒否されるなど、プロを目指す若者にとっては福岡という地理的条件から魅力のない球団の一つと考えられ、有能な選手獲得は困難を極めた。その上、南海時代に獲得した有望な選手で、チームのエース格となるはずだった藤本修二や加藤伸一らが故障に苦しみ伸び悩むという不運も重なった。これに対してリッチ・ゴセージなど現役メジャーリーガーを入団させるなどの「経営努力」は惜しまなかったが、日本球界にマッチングしないなど球団の順位を押し上げるまでには至らなかった。1992年オフには根本陸夫を監督に迎え、さらにスコアラーやフロントに至るまで西武出身者を迎え入れたが、実態としては西武側の余剰人員を引き取ったにすぎなかった。1993年オフから1994年にかけて、「ドラフト1位コレクション」と称し、他球団で伸び悩んでいた高木晃次、吉田修司らを迎え入れたが、放出要員は馬場敏史、岸川勝也らということもあり、かえってチームの戦力を低下させることになった。瀬戸山が球団代表に抜擢された1994年は、こうした球団運営や編成の失敗で壊滅的な状況に陥ったツケを払わされる時期であり、さらにバブル崩壊によるダイエー本体の経営難に伴う資金的な援助も難しい状況が加わり、球団の運営は困難を極めていた。
瀬戸山はいわゆる事務方としての仕事から、編成面に至ってもいわゆる「ゼネラルマネジャー」的な慣れない職務までをこなしていた。原因は球団専務となった根本の働きが「ドラフト1位コレクション」でチームの戦力を大きく損ねるなど期待外れに終わり、戦力に大きな不安を抱えたまま王貞治を監督として迎え入れるに至ったからである。しかし1994年オフには根本子飼いの工藤公康、石毛宏典がFAで入団。1995年オフにはその人件費確保のために人気選手の山本和範を解雇せざるを得なくなったが、瀬戸山は解雇を通告する損な役回りを任されることになり、ダイエーファンの怒りを買ってしまった。 韓国のドラフトで指名され、入団が極めて困難であった林仙東投手の獲得交渉も任され、これも失敗するなど編成面では苦労続きであった。
瀬戸山は反面、球界全体を見渡すことのできるバランス感覚に優れた人物で、球団内部よりも他球団の関係者による評価が高く、当時のコミッショナーである吉国一郎の信望も厚かった。一方でスモールマーケットである福岡に本拠を置くダイエー球団の限界を認識し、現実的な球団運営に終始した。反面、ファンや選手とは距離を置き、契約交渉においては冷徹であることでも知られ「瀬戸際代表」という渾名で恐れられていた。1996年、チームが低迷した年に「朝まで生テレビ（放送地域は福岡地方限定）」に出演。ホークスの低迷を扱うテーマということもあり、パネリストの追及は厳しさを極めたが、「大阪から本拠地を移すにあたっては、福岡ではなく神戸でもよかった」という「毒」のあるコメントなども駆使して巧みにかわしていた。
瀬戸山の不運はさらに続いた。1997年に小久保裕紀らによる脱税事件が発覚。瀬戸山の職務とは基本的に無関係の話であるにもかかわらず瀬戸山は管理責任を取らされる形で「解雇」処分となり、一時的にダイエーフロントを後にした。
1999年には球団社長となっていた根本陸夫がシーズン途中で死去し、その穴埋めの形でダイエーフロントに復帰した。しかし、この頃はすでに高塚猛が実権を握っており、積極的な球団経営を推進する高塚と、スモールマーケットに見合った球団経営を志向する瀬戸山とでは意見がかみ合うはずもなく、球団代表の肩書きには留まっていたが、実態は閑職に回されていた。この年、チームは初の日本一に輝いたが、契約更改では選手側に妥協せず、球団の財政事情もあり厳しい姿勢で臨んでいた。その一方で日本一の立役者ながらオフに肺がんで倒れ、「余命3ヶ月」の末期と宣告された藤井将雄に対しては関係者を介して「ダイエー球団は彼のような人物を簡単に解雇するような球団ではない」と話し、現役続行が厳しい事を知りながら倍増で契約を更新するという人情味あるところも見せた。高塚と意見が合わなくなったことなどから2003年に退団し、同時にダイエー本社からも離れ、独立し福岡県内で会社経営に乗り出した。
現在、ソフトバンクで球団代表を務める角田雅司やCEOの竹内孝規はダイエー時代にいずれも瀬戸山の下でフロントマンとしての実績及び経験を重ねた人物である。
[編集] ロッテフロント時代
2004年に千葉ロッテマリーンズの球団代表に就任。スモールマーケットの福岡で苦労しながら身につけた経営手法は観客動員の伸び悩むロッテでは有効に働いた。チーム力はダイエーの球団代表を務めた当時とは比較にならないほど充実しており、2005年には31年ぶりの日本一に輝いた。2006年からは球団社長を兼任している。 ダイエー時代と違い、今やパ・リーグでもっとも老舗の球団となったロッテはフロント間の対立要素も比較的少なく、一時期は選手会とフロントとの間で確執が見られた時期もあったが、ボビー・バレンタインが監督に就任した2004年頃からは見られなくなり、瀬戸山としてはその実力を発揮しやすい環境であり、一層の活躍が期待される。
[編集] 球界再編問題
ロッテの球団代表として球界に復帰した2004年は球界再編の荒波にさらされた年となった。瀬戸山はダイエー球団代表時代の実績を買われ「プロ野球実行委員会ワーキンググループ」の選手関係委員長という重責を担った。オーナー側、選手側双方の実情を十分に理解している瀬戸山は、世論が選手会側の主張に流されるのとは対照的にオーナー側の立場をぎりぎりまで主張し、冷徹な交渉に徹した。瀬戸山のあまりの冷徹な態度に、当時日本プロ野球選手会の会長であった古田敦也に9月9日の団体交渉終了後、握手を求めたところ、「握手はできません」と断られたことは小学生に真似されるほど有名になった。この他にも「日本プロ野球選手会を労組と認めない」との発言などもあり、瀬戸山はまたも悪役としてその名を高めることになったが、オーナー側の主張を粘り強く続けることは彼の責務であり、当然のことである。また、福岡のようなスモールマーケットの悲哀を長年肌で感じてきた彼の目からすれば、スモールマーケットを増やすことになる仙台での球団新設には諸手を挙げて賛成とはいかなかったことも事実であろう。9月18・19日にプロ野球は初のストライキに突入。世論の盛り上がりと古田ら選手会の尽力もあって9月23日に交渉は事実上妥結し、翌日宮城県をフランチャイズ（地域保護権）とする新球団の加盟申請が行われ、同年11月2日のプロ野球オーナー会議を経て楽天の参入が正式に承認され、現在に至っている。
