空想法律読本
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空想法律読本(くうそうほうりつどくほん)とは、ライター盛田栄一(もりた えいいち)のSF科学の法律的考察本。法律面の監修は弁護士の森田貴英と片岡朋行の2人が手がけている。
2巻までがメディアファクトリーから刊行され、1巻が後に文庫化されている。
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[編集] 内容
漫画]]・アニメ・特撮等の空想科学作品内での出来事を科学的に考証していた『空想科学読本』シリーズから一転し、それらの作品内で起きた事件を法的に検証している。
事件としては1作品の1話内で完結した事件(ジャイアントロボ窃盗事件など)から空想科学の世界でよく起きる事件(エイトマンスピード違反事件に代表されるスピード違反関連)等が扱われている。
1巻ではまず宇宙人(ウルトラマン)に対する人権の問題から入り、改造人間(仮面ライダー)やロボット(人造人間キカイダー)等がしでかした犯罪行為などについて検証されている。
2巻ではより立ち入って、最終的には怪奇大作戦「第24話 狂鬼人間」で描かれた心神喪失者の犯罪に関する再考が書かれている。
[編集] 扱っている内容
事件の名称はそれぞれ元本にあるものをそのまま記載し、さらに出典になった作品を記載する。
[編集] 第一巻
- 第1章 メイツ星人惨殺事件(「ウルトラマン」その他ウルトラマンシリーズより)
- 第2章 仮面ライダー連続蹴殺事件(「仮面ライダー」より)
- 第3章 人造人間キカイダー損害賠償事件(「人造人間キカイダー」より)
- 第4章 ウルトラマン建造物損壊事件(「ウルトラマン」より)
- 第5章 モスラの卵カラ売り事件(「ゴジラ」「モスラ」など)
- 第6章 ジャイアントロボ窃盗事件(「ジャイアントロボ」より)
- 第7章 竜ヶ森ビートル機墜落事故(「ウルトラマン」より)
- 第8章 マジンガーZ没収事件(「マジンガーZ」より)
- 第9章 エイトマンスピード違反事件(「エイトマン」「サイボーグ009」「仮面ライダー」より)
- 第10章 ジャミラ放水殺人事件(「ウルトラマン」(第23話 故郷は地球)より)
- 第11章 少年仮面ライダー隊事件(「仮面ライダー」「ジャイアントロボ」より)
[編集] 第二巻
- 第1章 仮面ライダークウガ警視庁利益供与問題(「仮面ライダークウガ」より)
- 第2章 ウルトラセブン地球防衛過労死事件(「ウルトラセブン」より)
- 第3章 ジャイアン・ファンクラブ事件(「ドラえもん」より)
- 第4章 宇宙戦艦ヤマト森雪セクハラ事件(「宇宙戦艦ヤマト」より)
- 第5章 ウルトラマンレオ亡命事件(「ウルトラマンレオ」より)
- 第6章 ウルトラマン怪獣死体遺棄事件(「ウルトラマン」より)
- 第7章 ショッカー怪人再入国問題(「仮面ライダー」シリーズより)
- 第8章 仮面ライダーV3無免許手術事件(「仮面ライダーV3」より)
- 第9章 公明寺ミツ子犯人蔵匿疑惑(「人造人間キカイダー」より)
- 第10章 ナチスの財産発掘事件(「仮面ライダー」「ウルトラマン」より)
- 第11章 シナリオライター外患援助疑惑(「ウルトラマンダイナ」より)
- 第12章 にせウルトラマン事件(「ウルトラマン」より)
- 第13章 ケットル星人民間人殺傷事件(「ウルトラマンレオ」より)
- 第14章 恐怖新聞人格権侵害事件(「恐怖新聞」より)
- 第15章 罪に濡れたふたり恋愛妨害事件(「罪に濡れたふたり」より)
- 第16章 怪奇大作戦にせ心神喪失者殺人事件(「怪奇大作戦」より)
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 本書の矛盾・注意点
本書が発行された当時、2001年(平成13年)時点の法律に基づいて検証されているため、2007年(平成19年)現在の法律とでは大きな差異が見られる(特に刑事法や道路交通法等、ほとんどの法律が厳罰化されたことが顕著に見られる)。
上記のような時代の流れに伴う法律の変遷や間違い、および作品内における科学的な間違いは除くとしても、それ以前に、現実的に考えられない法的な矛盾や間違い、その他の不自然な描写がいくつか見られる(本書では科学的な間違いや、劇中における時代の設定([1])は全て無視して描かれている)。
他の具体例としては、
- 悪人側は、殺人罪は元より逮捕・監禁罪・強盗罪等数えきれないほどの罪を犯しているのは明らかだが、当の悪人側の行為に対する言及が少なく、正義の味方を一方的にこき下ろして犯罪者に仕立て上げ、強引に笑いを取ろうとしている感が否めず、中立性を欠いているのではないか、という批判がある。
- 第一巻・第二章「仮面ライダー連続蹴殺事件」において、「仮面ライダーは多数の怪人(元・人間)を殺してきたため、通常では数十件もの殺人罪で死刑となるが、全て過剰防衛なので刑が軽くなる」という具合に描かれているが、本当に全てが過剰防衛なのかが疑問視されており、現実的に考えてもやはり死刑は免れないとみられる。
等が挙げられる。
[編集] 脚注
- ^ 例:ウルトラマン 第23話「故郷は地球」でウルトラマンが倒したジャミラの没年が1993年(平成5年)である事を確認できる墓標が描かれている。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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