菊池氏
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
[[]] | |
家紋 | 揃い鷹の羽 丸に鷹の羽うちちがい |
門地 | 藤原氏 |
発祥 | 菊池郡隈府(わいふ) |
菊池(きくち)氏は、九州の肥後国菊池郡(熊本県菊池市)を本拠としていた一族である。
目次 |
[編集] 出自
元のモンゴル族に先がけて、1019年(寛仁3年)に金の女真族(満州民族)が襲来した刀伊の入寇の際に奮闘した大宰府府官の藤原政則の子の則隆を出自とする。則隆が菊池と名乗ったわけは、菊の花の形の池があったという説がある。また、古代の鞠智(くくち:山の麓の谷から平野へ出る口)族の後裔ともされ、はっきりしない。
現在の菊池市周辺は和名抄に久々知(くぐち、くくち)と記されており、奈良東大寺の「奴婢帖」の中の「天平勝宝元年大宅朝臣可是麻呂貢賎解」に「右京四条四坊戸主鞠智足人」伝々と記されている。
「菊池」は「鞠智」の佳字である。年代は定かではないが、平安時代に変わる。これに伴い、鞠智城も菊池城に改められた。苗字や地名では使われなくなったが、現在の熊本県の史跡に残っている。
平家の家人として平安時代後期の治承・寿永の乱では平家方に属したが、壇ノ浦の戦いで源家方に寝返り、鎌倉幕府の鎮西御家人に名を連ねる。しかし、元平家方の武家に対する源頼朝の信頼感は薄く、頼朝の代官的意志を帯びて九州の守護となった少弐氏や大友氏の傘下に置かれる。鎌倉時代の元寇においては菊池武房などが襲来したモンゴル兵、高麗兵と戦う。
菊池能運の死後、菊池地方は混乱し続けた。その当時の世の乱れを統一した場合や、勢力がある時は「池」を表示していたが、衰微した場合には菊池の滅亡を怖れ「地」と改めた事もあった。各地に落ちた時は、米良姓などを使っていた。明治維新の際、菊池・菊地が混用された場合もあり今にいたる。
[編集] 南朝
鎌倉時代後期の1333年に後醍醐天皇の討幕運動から元弘の乱が起こると、菊池武時は討幕運動に賛同して九州における北条氏勢力である鎮西探題の北条英時を攻めるが、少弐氏や大友氏により討たれる。
幕府滅亡後に後醍醐天皇により開始された建武の新政から足利尊氏が離反し、京都を追われた尊氏は九州へ逃れた時、少弐貞経の子の少弐頼尚が赤間関へ尊氏を迎えるために赴いたのに対して、宮方勢力であった菊池武敏は大宰府を攻めて少弐貞経を滅ぼす。
新田義貞らと陣を組んだ菊池武重の箱根・竹ノ下の戦いの菊池千本槍の奇功は特に有名である。この頃、関東武士との親交が深まった。
菊池武敏らは1335年に阿蘇惟直、秋月種道、蒲池武久、星野家能らとともに多々良浜の戦い(福岡市東区)で足利方と戦って敗北するが、菊池氏は菊池郡を本拠に勢力を維持する。
[編集] 懐良親王と菊池氏
足利尊氏が多々良浜の戦いの後に再び上洛し、京都に足利氏の武家政権が成立して南北朝時代となり、後醍醐天皇は吉野に南朝を成立させる。1348年に南朝は、征西将軍として後醍醐天皇の皇子である懐良親王を伊予国の宇都宮貞泰に護らせて九州へ派遣し、菊池氏は肥後国隈府城(菊池城)で迎える。
懐良親王を奉じた菊池氏は大友氏時らと争い、1359年(延文4/正平14)に菊池武時の子の菊池武光らが筑後川の戦いにおいて少弐頼尚の軍を破り大宰府を征圧する。しかし、1375年に室町幕府管領の細川頼之が九州探題として派遣した今川貞世(了俊)により大宰府を追われる。貞世の罷免後に九州探題に渋川満頼が派遣されると、菊池武朝は少弐氏と同盟して渋川探題を奉じた大内氏と対立する。
[編集] その後
その後も周辺精力との抗争が続いたが、戦国時代には菊池氏の家運も衰退し、大友氏の傀儡となっていた。大友義鑑は菊池氏当主菊池武包を追放させ、弟の大友重治(菊池義武)に跡を継がせた。しかし義武は義鑑と対立し争うようになる。義武は敗れ、相良氏の元に落ち延びた。義鑑の死後領地を奪還したが、甥の大友義鎮の謀略にかかり殺害された。こうして菊池氏は滅亡した。
菊池氏滅亡後、肥後国豪族米良氏が菊池能運の子重次の末裔を名乗り、江戸時代には交代寄合に、明治時代には菊池への改称を許され、男爵となった。
他の支流に西郷氏があり、将軍徳川秀忠生母および、会津藩家老西郷頼母、薩摩藩下級藩士西郷隆盛は菊池氏の出である。
[編集] 歴代当主
- 藤原則隆
- 藤原経隆
- 藤原経頼
- 菊池経宗
- 菊池経直
- 菊池隆直
- 菊池隆定
- 菊池隆継
- 菊池能隆
- 菊池隆泰
- 菊池武房
- 菊池時隆
- 菊池武時
- 菊池武重
- 菊池武士
- 菊池武光
- 菊池武政
- 菊池武朝
- 菊池兼朝
- 菊池持朝
- 菊池為邦
- 菊池重朝
- 菊池能運
- 菊池政隆
- 菊池武経
- 菊池武包
- 菊池義武
[編集] 支配氏族
- 隈部親永
- 隈部親泰
- 城親冬
- 城親賢
- 城親基
- 鹿子木氏
- 鹿子木親員
- 鹿子木鎮有
- 宇土氏
- 竹崎氏
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
家紋その他(戦国大名一覧:菊池氏)