西部警察 SPECIAL
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西部警察 SPECIAL(せいぶけいさつ-)は、石原プロモーション制作の刑事ドラマである。2004年10月31日にテレビ朝日系で放送された。
目次 |
[編集] 概要
2003年1月20日、このドラマの主演でもあった石原裕次郎の十七回忌、石原プロモーション創立40周年、そしてテレビ朝日開局45周年に合わせて、石原プロの代表作「西部警察」が19年ぶりに復活することが渡哲也から発表された。復活第一弾として『西部警察 WESTERN POLICE 2003』と題した2時間のスペシャルドラマを制作することとなり、同年4月から5月にかけて宮崎県(「シェラトン・リゾート・フェニックス・シーガイア」など)にてロケーションを敢行した。また撮影開始前日の4月12日には、主なロケ地となる「シェラトン・リゾート・フェニックス・シーガイア」の野外広場にて、かつての全国縦断ロケ同様に「西部警察復活1万人コンサート」と銘打ったイベントを開催した。宮崎、東京、ニューヨークにおいて無事に撮影を終了し、後に放映予定日が同年9月6日と決まった。
続いて同年7月17日、まさに石原の十七回忌命日でもあるその日、『西部警察 2003』と題した連続ドラマ(同年10月から12月までの毎週木曜日夜8時からの1時間枠にて全10話を放映予定)の制作を開始することが渡から発表され、同年8月11日早朝、愛知県名古屋市において、市街地でのビル爆破シーンの撮影からクランクインした。
しかし、その翌日の8月12日13時50分頃、同市港区の撮影現場スーパーオートバックス名古屋ベイ店の駐車場内において、松山高之役の池田努が運転する英国製スポーツカー・TVRタスカンのハンドル操作を誤りオーバーステアを起こし、そのまま見物客に突っ込み男女5人を負傷させる人身事故を起こしてしまった。この事故の影響を受け、石原プロモーション社長でもある渡がすぐに入院中の負傷者のもとへ駆けつけ、事故を起こした俳優とともに土下座して謝罪した。
渡は連続ドラマの制作を中止、予定していた10月からの放映を取りやめることを決断する。これには事故で負傷した見物客やその家族から製作を続行すべきという声が上がったが、最終的にはテレビ朝日常務取締役(当時)早河洋もこれに同意、翌日の8月13日に制作の打ち切りと10月からの放映中止を発表した。併せて、既に制作が終了し放映を待つのみとなっていた『西部警察 WESTERN POLICE 2003』についても、この影響により放映を無期限延期とすることが決まり、放映予定日には通常の土曜ワイド劇場が代替放送された。なお、連続ドラマ版『西部警察2003』が放送されるはずだった木曜夜8時の枠では、同枠の後番組として既に製作が開始されていた『新・京都迷宮案内』をスタッフ・出演者の協力の下、前倒しの形で放送された。(ちなみに西部警察2003の代替のテレビ朝日開局45周年記念ドラマとして制作・放送されたのは2004年1月~3月に、木曜ドラマ枠で女優・上戸彩主演のエースをねらえ!)
事故から1年後の2004年8月11日、渡は前年に完成していた2時間のスペシャルドラマを同年10月31日に放送することを発表した。撮影の責任者に対する刑事処分が同年4月に確定、負傷者も既に回復し、放映への了解を得たことを受けて、お蔵入り寸前だった作品がようやく日の目を見ることになった。放映にあたっては再編集の上で15分間延長され、テレビ朝日開局45周年記念作品・日曜洋画劇場特別企画『西部警察 SPECIAL』として放映された(なお、宮崎ロケでの制作協力先であるUMKテレビ宮崎においては、1週遅れの11月7日に放映された)。
なお、本作のストーリーはCORNER ROUNGEが登場する事からも「PART-I」の直接の続編と位置づけられている(PART-II及びPART-IIIはパラレルワールドに位置付けられたことになる)。そのため、放送前に一部で騒がれたように殉職した大門が生き返ったわけではない。
[編集] ストーリー
ニューヨーク市警に研修で派遣されていた刑事、橘数馬はNYでの相棒、ボブと共に西部署から派遣された鳩村、堀内と協力して元警察庁キャリア、新美の逮捕に成功するが、ボブは殉職してしまう。その悲しみが消える間も無く、数馬は新美の護送のため鳩村達と共に日本に一時帰国する。 が、それと前後してチェチェンにおいて正体不明の日本人が大量の武器を購入したという情報が入り、これを睨んでの国際テロ対策会議が宮崎フェニックス・シーガイアで開かれることになった。 しかしその会議場がテロ組織『ブラック・ホーク』によって占拠され、西部署や数馬とも馴染み深い日下警視正を初めとするテロ捜査官が人質にされてしまう。はたしてそのテロ組織のリーダー、『スズキ・マコト』の要求は新美の釈放であった。事件を知った数馬は宮崎へ飛び、鳩村に事件捜査への参加を志願するのであった。
[編集] 反響
同時期は刑事ドラマが多種多様に変革している時期であり、日本のドラマでは『踊る大捜査線』等、海外では『24 -TWENTY FOUR-』等、組織や日常におけるリアル性を非常に重視した作品が登場してきている。そのため、本作品でもテロという非常に大きな事件に対して警察庁官房長が陣頭指揮するシーンが描かれているものの、上層部としては結局瓜生官房長が出てくるのみであったり、本来警備部・公安部担当事案であるテロを(設定上西部署の捜査課が警察組織内においてあらゆる事案においての解決の手腕を認められ特別視されているとはいえ)旧来の刑事ドラマでの描写に沿ったまま所轄警察署の捜査課が中心となって捜査してしまった所に、警察ドラマとしてのリアリティが欠けてしまったことが、現代の視聴者層から離れてしまった観がある。
旧来の西部警察ファンからも往年の大門軍団の活躍を期待していたという声も少なくなく、主人公「橘 数馬」役であり21世紀の石原裕次郎として本作でデビューした徳重聡中心に出来上がってしまったという所に賛否両論があった。
SPECIALは連ドラ版への布石だった面もあるために連ドラ版ないし新たな単発作品を望むファンは多い。
また、アクションシーンや爆発シーンについて旧シリーズ以上のものを期待していたファンからすれば、この21世紀版西部警察は期待にこたえたものとは言えなかった。旧シリーズはフィルム撮影だったのに対し、本作はVTR撮影であったが、VTR映像は写実的で粗が探しやすく、本作のような荒唐無稽さを売りにした作品には似合わないものであった。
更に「カーマニアの憧れるような車によるアクションを見せたい」という思いで外国製スーパースポーツカーを多数導入したが、さすがの石原プロと言えどもこれらの車両(1台1000万円以上する車両も数台ある。その上これらの車は石原プロが自腹で購入している)で旧シリーズさながらの転倒・爆破を含んだ、あまり派手なアクションをするわけにも行かず、更にスーパースポーツカーは余りにも大出力な上操縦も難しい車(俳優が運転しながら演技するどころか、神経を使って運転しないと普通に走らせるだけで危険を伴う程)であるため、カーアクションもスケールがやや小さいものになってしまい、その上前述の事故発生で連続ドラマ版が放送中止に追い込まれ、制作上完全に裏目に出る結果となった。ファンの中には後期のシリーズに登場したスーパーZやマシンRSといった特撮番組さながらのスーパーマシンの現代版(現行のフェアレディZやスカイラインを使用した改造車)を期待していた者もいた。
[編集] キャスト
西部警察の登場人物を参照。
[編集] 使用車両
[編集] 西部署
- 大門 - ブラバスS6.7 (メルセデス・ベンツ Sクラスのチューンドカー)提供のオートトレーディング社長南原氏の愛車である。
- 鳩村 - TVR・サーブラウ 2台用意された。
- 橘 - ロータス・エリーゼ 2台用意された。
- 堀内 - TVR・タモーラ ナンバー「品川300 な 76-81」 2台用意された。
- 松山 - TVR・タスカン ナンバー「品川300 な 76-83」 2台用意された。
- 三上 - モノクラフトGT300 (トヨタ・MR-Sのカスタムカー) ナンバー「品川300 な 76-82」宮崎ロケで爆破された観光バスとの市街地走行シーンでアクシデント衝突し、フェンダーがへこんだ。2台用意されていた。
- 日下 - TVR・タスカン
- 西部署・覆面パトカー
- アルファロメオ・156GTA ナンバー「品川300 さ 72-35」
- アルファロメオ・166 1台目ナンバー「品川300さ86-32」 2台目ナンバー「品川300ぬ63-28」
- なお鳩村がアルファロメオに搭乗する際には、助手席側にフラットビーム(LED式補助警光灯)が取り付けられている。
ちなみに輸入車の車両協力はオートトレーディングルフトジャパンが担当(MR-Sはオートバックスから提供)。幻となった連ドラ編は名古屋ロケからローバー75セダンが追加登場する予定だった。
[編集] 制服警官・白黒パトカー
- 非破壊用
- SY31セドリック後期型V30ブロアム ナンバー「宮崎800さ49-89」
- Y33グロリア前期型グランツーリスモ ナンバー「宮崎800せ59-71」
- C35ローレル前期型メダリスト ナンバー「宮崎800ひ53-72」
- これらはブーメランタイプの散光式警光灯を積載した、破壊を前提としない車両。Y31セドリックセダンは2台で中期型と後期型が存在していたようだ。共にメーカーオプションのアルミホイールを装着。C35は宮崎の採石場でジャンプのデモンストレーション中に誤って破損。エンジンがかからなくなり、廃車となったという説がある。
- 破壊用
- Y32グロリア前期型グランツーリスモ・・採石場で崖から転落。転落途中爆発。
- Y32セドリック前期型ブロアム・・宮崎シーガイヤ駐車場で横転。
- E3#ギャラン前期型2台・・2台とも採石場で破壊。1台はジャンプしてY31セドリック・エテルナに突入。もう1台は、エテルナに衝突して横転。
- C5#ミラージュセダン前期型2台・・1台は宮崎シーガイヤで横転。横転後パトライトをテープで補修して牽引爆破。もう1台は採石場で宙を舞って破壊。2台とも画像が反転処理されており、左ハンドルになってしまっていたり、天井のコールサインが逆さまになっていることからわかる。
- E17エテルナΣ後期型1台・・採石場で二度に渡りギャランに突入され破壊。走行シーンはない。
- これらは一世代前のバータイプの散光式警光灯を積載し、横転・爆破などのシーンに使われている。なお破壊用・非破壊用問わず、全車に前面警光灯を装備。
- ミラージュ・ギャラン・エテルナΣは「ゴリラ・警視庁捜査第8班」製作時に三菱から提供され、「代表取締役刑事」などの後番組に転用されたものである。
なお、連続ドラマで登場予定だった白パトが石原プロ倉庫に保管されている。
- 内訳
- R33スカイラインセダン前期型
- C33ローレル前期型
- S14#系クラウン前期型
- EC#A(EA?)ギャラン
- X90系マークⅡ前期型
などである。「西部警察」やその後の「ゴリラ」などを通しても白パトでトヨタ車が初めて使われる予定だった。
尚、名古屋ロケにはG50インフィニティQ45覆面車も登場予定だった。また、埠頭でF1#A(F2#A?)ディアマンテ、GX81系マークⅡ後期型の破壊シーンがすでに撮影されていた。
またSY31セドリックやY33グロリアグランツーリスモは同じ石原プロ・テレビ朝日制作のドラマ「祇園囃子」やテレビ朝日のバラエティ番組「愛のエプロン」の特番で石原軍団のメンバーがテレ朝玄関前に乗りつける際にも使用されている。
[編集] 宮崎県警察・覆面パトカー
- Y31セドリックセダン
- Y33グロリアグランツーリスモ
- Y31セドリックセダンは黒が2台、一方は旧型の2000cc車で劇終盤、ジャンプしてきたギャランがトランク部分に突き刺さり大破する。
- シーガイアでのY32セドリックの横転シーンにてウォーターグリーンのセドリックセダン(これも2000cc車である)が踏み台車として使用されているが、これは劇終盤にも白パトに混じり覆面パトとして登場している。
[編集] その他の車輛
- ブラックホーク - リンカーン・ナビゲーター3台登場。その後「祇園囃子」にも登場。「まだまだあぶない刑事」の時、舘ひろしが移動用に乗っていた。
- 人員輸送車 - シビリアン W41 バスの追跡と包囲に使われた。
- 白バイ - ホンダVFR750P
- 宮崎市消防局 - 日野スーパードルフィン・プロフィア高所放水車 消防装備儀装メーカーはモリタ。 消火作業用に購入した消防車を、撮影用にリメイクして使用。ちなみにお値段は1台9000万円。
- 宮崎国際観光 - 三菱ふそう・エアロクイーン 爆弾が仕掛けられた観光バスとして登場。元々は「ゴリラ・警視庁捜査第8班」製作時に提供されたスタッフ送迎用バスだったものを文字とマークを貼替えて使用したため塗色は石原プロの業務車両のもの。
[編集] ロケ用車輛
- 三菱ふそう・スーパーグレート - 機材輸送用ウイングトラック
- 日野スーパードルフィン・プロフィア - 上記の消防車の他、機材輸送用ウイングトラックや、劇用車輸送用キャリアカーも購入。
- 三菱・パジェロ - スタッフ用
[編集] スタッフ
- 企画:小林正彦(石原プロモーション)、早河洋(テレビ朝日)
- 監督:村川透
- チーフプロデューサー:五十嵐文郎(テレビ朝日)
- プロデューサー:西河喜美子、大川武宏(テレビ朝日)、福原昇
- 脚本:峯尾基三
- 脚本担当プロデューサー:山口剛
- 撮影:仙元誠三
- 撮影監督:金宇満司
- 監督補:鳥居邦男
- 音楽:根岸貴幸
- 音楽監督:鈴木清司
- 技斗:高倉英二
- カースタント:三石千尋とマイクスタントマンチーム、カースタントTAKA
- ガンエフェクト:BIGSHOT
- 特殊効果:太平特殊効果
- デジタルグラフィックデザイン:ペパーワークス
- CG:アニメーションスタッフルーム
- 編集スタジオ:モイ
- スタジオ:日活撮影所
- タイトル:マリンポスト
- 装飾:高津装飾美術
- 小道具:京阪商会
- 衣装:第一衣装
- 特機:NK特機
- スチール:文化工房
- エキストラ:クロキプロ
- 機材サプライ:小輝日文
- ロケ協力:宮崎県、宮崎市、日向市、フェニックス・シーガイア・リゾート、マリンエキスプレス、矢野産業、木田工業、スーパーオートバックス宮崎南店、富士通川崎事業所、テレビ宮崎
- 協力:ボーダフォン、東京マルイ、東京都、東京ロケーションボックス、横浜フィルムコミッション、朝日航洋、上新電機
- 製作協力:フェニックス・シーガイア・リゾート、オートバックス、オートトレーディングルフトジャパン、日本航空
[編集] 撮影中のエピソード
- 本物の消防車を購入した小林正彦専務が一言。「何かの時に貸してあげる」
- かつては、ロケ中の食事は同じ席で取るのが原則としていたが、役作りの為、ブラックホーク組と西部署組は別々に取っていた。その理由として、「撮影の期間中はずっと敵でいたかった」から。
- 初代団長の大門が、2代目団長の鳩村の事を「団長」と呼んでいるときの舘。「団長は、そちらじゃなかったの?」
- テロリスト・スズキの横向き2丁拳銃の理由。「動きをスムーズにするために、自分で考えた」
- 今回の撮影においても、ブラックホークによって爆弾が仕掛けられた観光バスの乗客、警察官、機動隊員等の役で、多数のエキストラが出演した。撮影中は、「スタッフ・キャストの区別なく同じものを食べる」という石原プロの伝統に倣い、エキストラにも一人前1500円相当といわれる豪華なロケ弁当が配られた。また撮影終了時には、かつて石原プロワールドで販売されていた西部警察グッズのお土産が付いた。
- 制作中止となった連続ドラマ版では、戸田菜穂演じる日下直美刑事に代わって、中山忍が演じる女性刑事が出演することが決まっていた。
カテゴリ: 西部警察 | 2004年のテレビドラマ