閉鎖都市
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閉鎖都市(へいさとし、または秘密都市)は、かつてのソビエト連邦や現在のCIS諸国において、旅行や居住が制限されていた(いる)都市である。
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[編集] 概要
閉鎖都市には大きく分けて二つのカテゴリーがある。
外国人、および場合によっては自国民や地元住民も閉鎖都市には旅行できなかった。例えば、カリーニングラード州全体が、外国人のみならず、居住者ではないソビエト住民に対しても旅行が制限されていた。セヴァストポリとウラジオストクも海軍基地があったため同様に国内旅行も制限されていた。ゴーリキー(現ニジニ・ノヴゴロド)も軍需産業が集積していたため閉鎖されていた。(アンドレイ・サハロフ博士の流刑先としてこの都市が選ばれたのは、外国人特派員が接触できないようにするためだった。)
閉鎖都市には、ソビエト連邦によって建設された秘密都市「Zakrytye Administrativno-Territorial'nye Obrazovanija (略称ZATO;閉鎖行政地域組織)」が含まれている。これらは学術目的・科学研究目的(主に、核兵器開発・製造やミサイル・宇宙開発のためのもの)で建設され、永らく地図にも載らず、正式な地名ではなく暗号名(近隣大都市の名の後ろに数字が振られる)で呼ばれていた。ソ連崩壊後の現在も特別な行政組織になっており地元住民以外の立ち入りは規制されている。現在約40のZATOが知られ、さらに約15の確認されない都市がある。
学術都市・研究都市などを除き、ほとんどの閉鎖都市はソ連崩壊後開放された。
[編集] ロシア連邦
ロシア連邦における閉鎖都市(ZATO)の数は公式には知られていないが、大体200万人の住民がいると見積もられている。
ロシア原子力エネルギー省の命令で今日に至るまでまだ閉鎖されている都市は、核開発にかかわるZATOが多く、スヴェルドロフスク州のレスノイ市(Lesnoy)とノヴォウラリスク市(Novouralsk)、チェリャビンスク州のオジョルスク市(Ozyorsk)、スネジンスク市(Snezhinsk)とトリョクゴールヌイ市(Tryokhgorny)、ニジニ・ノヴゴロド州のサロフ市(Sarov)、トムスク州のセーヴェルスク市(Seversk)、ペンザ州のザレーチヌイ市(Zarechny)、クラスノヤルスク地方のゼレノゴルスク市(Zelenogorsk)とジェレズノゴルスク市(Zheleznogorsk)である。
ロシア国防省は、30から90の町や市を閉鎖しているといわれるが、公式なリストは機密である。
閉鎖都市のいくつかは外資の投資のためには開かれるが、外国人の旅行は許可が無ければ出来ない。例としては、核技術流出阻止のためにアメリカ合衆国エネルギー省国家核安全保障庁(NNSA)とロシア原子力エネルギー省がサロフ市、スネジンスク市、ジェレズノゴルスク市で共同で行う「核開発都市イニシアティヴ(the Nuclear Cities Initiative (NCI))」などである。
閉鎖都市の数は、1990年代半ば以降急速に減少している。しかし、2001年10月30日より、北方の都市、ノリルスク(Norilsk)、タルナク(Talnakh)、カイエルカン(Kaierkan)、ドゥディンカ(Dudinka)、イガルカ(Igarka)への外国人の旅行が規制された。これらの都市に旅行しようとするロシア人も旅行許可が必要となった。
[編集] ウクライナ
ウクライナでも、セヴァストポリの他に、ミサイルの製造拠点であるドニプロペトロフスクが1990年代半ばまで閉鎖されていた。
[編集] スウェーデン
スウェーデンでは、近年までゴトランド島を中心としたゴトランド県では、一般人の立入りが制限されていた。ゴットランドでは中世以来、要塞であり、冷戦期は軍事基地であった。スウェーデンは東西冷戦では、中立の立場であったが、実態は西側であり、ソヴィエト連邦とは常に対立しており、基地のあったゴトランド島は東側との最前線の場所に位置していた。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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