飯島滋弥

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』

飯島 滋弥（いいじま しげや、1918年10月11日 - 1970年8月9日）は、昭和中期から後期（1940年代後半～1960年代）のプロ野球選手・プロ野球監督。千葉県香取郡吉田村（現・匝瑳市吉田）出身。

目次 1 来歴・人物 2 エピソード 3 年度別成績 4 通算打撃成績 5 タイトル・表彰・記録 6 監督としてのチーム成績 7 関連項目

[編集] 来歴・人物

旧制千葉県立千葉中学校（現·千葉県立千葉高等学校）から旧制慶應義塾大学に進学。日立航空を経て1946年にセネタースに入団。1年目から打率.312（7位）、本塁打12本（2位）の成績をあげる。しかし翌年以降結果が出ず、フロントとの確執もあって1949年に大映スターズに移籍。この年打率.293、本塁打25本を放ち主軸に返り咲く。

1951年10月5日対阪急戦（大須球場）では1回表に満塁ホームラン、7回表に満塁ホームランと3ランホームランの1イニング2本塁打の計3本の本塁打を放ち、1試合2満塁本塁打、1試合11打点、1イニング7打点の日本記録を打ち立てた。1952年に打率.336で首位打者のタイトルを獲得。1955年に南海に移籍。同年引退した。

引退後は野球解説者。1967年に打撃コーチとして古巣・東映に復帰。1968年から二軍監督。同年シーズン途中で辞任した大下弘監督に変わり後半からは監督代行。1969年限りで退団。1970年8月9日、胃ガンのため急逝。享年51。契約更改で必ずゴネることから「ゴネ島」と呼ばれた。

ちなみに「1試合11打点」は現在でも単独の日本記録である。「1試合2満塁本塁打」に関しては2006年4月30日に二岡智宏（巨人）が中日戦で飯島も成し遂げられなかった「2打席連続満塁本塁打」で達成するまで、54年5ヶ月の間達成者が出なかった。

[編集] エピソード

ユニークな言動でも知られ、野球評論家・大和球士は自著『プロ野球三国志』で「プロ野球オーバー会名誉会長」と命名した（なお会長は長嶋茂雄との事）。解説者時代にはフジテレビ「プロ野球ニュース」（第1期、1961年～1965年）での軽妙洒脱の解説が人気を集めた。

その極め付けが東映代理監督時代、1968年9月6日対東京オリオンズ戦（後楽園球場）延長11回裏での一言。この試合ノーヒットの大杉勝男に対し、フォームの崩れが打てない原因ではないかとにらんだ飯島は、「あの月に向かって打て」とアドバイス。「これでホームランを打つコツを掴んだ」と大杉が語ったことから、このエピソードは一躍有名になった。

ただ「月に向かって打て」の初出は、1967年に伊東スタジアムで行われた春季キャンプであるとする有力説がある。このように、王貞治の一本足打法と並び最も有名なスイング誕生の秘話(?)である「月に向かって」のエピソードは書籍により時間や場所がまちまちであり、当時の大杉の記憶もやや曖昧なものであった。また、関東で最も訛りがキツいとされる香取郡出身の飯島がこのような綺麗な日本語を喋ったのかどうか等、謎に包まれた部分が多い。ましてや既に両名とも鬼籍入りしており、真相を知る者はごく少ない。球史に遺るミステリーのひとつと言ってもいい。

1962年には、渋谷実監督・松山善三脚本の映画「酔っぱらい天国」に野球解説者役で出演している。

[編集] 年度別成績

• 成績中の太字はそのシーズンのリーグ最高記録。四球欄のカッコ内は故意四球（敬遠）

年度	チーム	試合	打数	得点	安打	二塁打	三塁打	本塁打	塁打	打点	盗塁	盗塁死	犠打	犠飛	四球	死球	三振	併殺打	打率	順位
1946	セネタース	103	378	68	118	23	5	12	187	57	11	4	2	-	72	3	32	8	.312	7
1947	東急	112	386	45	90	20	3	6	134	34	7	4	2	-	75	6	41	9	.233	32
1948	急映	47	155	14	32	6	1	3	49	14	4	1	0	-	24	1	17	4	.206	-
1949	大映	122	423	70	124	29	2	25	232	84	4	4	1	-	67	3	46	16	.293	18
1950		111	423	78	136	20	2	27	241	77	12	2	0	-	52	9	44	19	.322	6
1951		85	313	56	92	14	0	18	160	63	1	0	1	-	44	2	40	6	.294	9
1952		119	411	68	138	19	5	13	206	59	2	1	1	-	78	5	31	15	.336	1
1953		60	156	12	38	6	0	0	44	20	3	0	2	-	29	5	17	11	.244	-
1954		121	418	44	109	18	0	10	157	61	4	6	3	5	58	7	46	12	.261	24
1955	南海	73	133	6	24	3	1	1	32	15	0	1	0	1	28(0)	6	32	5	.180	-
通算		953	3196	461	901	158	19	115	1442	484	48	22	12	6	527(0)	47	346	105	.282	-

• 1946年-1949年の併殺打は太平洋野球連盟年報で発表された記録です。

[編集] 通算打撃成績

• 通算試合 953試合
• 通算打率 .282
• 通算安打 901本
• 通算本塁打 115本
• 通算打点 484打点
• 通算盗塁 48盗塁
• 通算犠打 12個
• 通算犠飛 6本（1954年より公式記録集計再開）
• 通算四球 527個
• 通算死球 47個
• 通算三振 346三振
• 通算併殺打 68個（1950年より公式記録集計開始）

[編集] タイトル・表彰・記録

• 首位打者(1952)
• ベストナイン　3回（1950～1952）
• オールスターゲーム選出　3回（1951～1952、1954）
• イニング最多本塁打　2本(1951.10.5)
• ゲーム最多満塁本塁打　2本(1951.10.5)
• ゲーム最多打点　11打点(1951.10.5)
• イニング最多打点　7打点(1951.10.5)

[編集] 監督としてのチーム成績

年度	年度	順位	試合数	勝利	敗戦	引分	勝率	ゲーム差	チーム本塁打	チーム打率	チーム防御率	年齢	球団
1968年	昭和43年	6位	135	51	79	5	.392	29	118	.248	3.97	50歳	東映

※1968年から1996年までは130試合制

• 監督通算成績　55試合 21勝33敗1分 勝率.389

[編集] 関連項目

• 千葉県出身の有名人一覧
• 藤本定義
• 鶴岡一人
• 水原茂

先代: 大下弘 （1968年途中）

東映フライヤーズ 監督（代行） （1968年途中）

次代: 松木謙治郎 （1969年～1970年途中）

※1　カッコ内は監督在任期間。

※2　1968年は8月5日からシーズン終了まで指揮。