HR (テレビドラマ)
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HR(エイチアール)は、フジテレビのテレビドラマ。三谷幸喜の脚本・総合演出により、2002年10月-2003年3月に、水曜日のバラパラで放映された。
HRとは「ホームルーム」の略で、夜間学校を舞台に喜劇が繰り広げられた。学園ドラマ。
当時の放送枠の「バラパラ」ではバラエティ番組のみを扱っているが、この番組のみ放送枠としては異例のドラマを扱っていた。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
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[編集] 登場人物
- 轟慎吾:香取慎吾
- 日暮里定時制高校の英語教師で、1年A組の担任。元々は全日制の教師希望だった。
- 熱血・情熱・根性…というようなパワフル教師ではなく、職場でも髪をシルバーに染めているような、要するに今時の若者。誰とでも適当に付き合うが、揉め事は嫌いでケンカもダメ。仕事も遊びもバランスよく、できれば楽しく一日を過ごしたいという日和見の八方美人タイプ。だが生徒のことは多少は考えているようで、部外者に授業の邪魔をされたり、生徒をバカにされたりなどすると激怒するといった教師らしい行動も見せる。
- 淡島涼子に好意を寄せており、頻繁に彼女にちょっかいを出しているが、そのたびに玉砕されている。
- 1年A組の引き起こすトラブルに常に巻き込まれており、そのため授業はなかなか進まず、リーダーにいたってはベニスの商人から先に進む様子が全くない。
- 村井朋彦:今井朋彦
- 日暮里定時制高校の社会科教師。性格は現実主義で極めてクール。
- 1年A組の引き起こすトラブルに、いつもいいタイミングでツッコミを入れてくる。
- ホイの気孔術・『人体浮遊術』により宙に浮かばされたのが原因で腰を痛めて入院していたため、物語中盤から後半にかけて出番がなかった。
- 元ホステスである淡島を最初はやや危険視しており、頻繁に彼女にちょっかいを出す轟にも忠告を送っていたが、入院中に淡島が見舞いに来てくれた事をキッカケに、村井自身もその気になってしまった。
- 須磨武彦:小野武彦
- 58歳。後にホイの代わりに1年A組級長となる。一見教頭先生本人と間違えてしまうほど、教頭の机をいつも我が物顔で座っていて、教頭の湯飲みを使っている。
- 親分肌で面倒見のいい性格なのだが、要領が悪いため時に余計なことをして迷惑をかけることもしばしば。また後に引けない状況に陥ると冷静な判断が出来なくなり、卑怯な手段に走ってしまう傾向がある。
- 前妻との間に中学生の直列、30歳の妻・信子との間に赤ん坊の並列の2人の息子をもうける。父親の代から続いた電気屋『ピッカリデンキ』の店長だったが、近所にディスカウントショップ『サンチョ・パンサ』ができたことにより経営難に陥り、それ故怪しげなビジネスに手を出して失敗し店は倒産。家族は妻の実家のある山形に帰省。本人だけは学校を卒業するために残る。
- 高校を中退した後、役者を志したことがあり、劇団に所属していた経歴がある。
- 八木田旬一:國村隼
- 職歴30年のベテラン大工。
- 良く言えば、昔気質の曲がったことが大嫌いな一本筋の通った男。悪く言えばガンコ者。でも実は涙もろく繊細な性格でリーダーシップもあり、ひょんなことから立候補した級長選挙では多くの票を集めるなど、クラスの皆には慕われている。
- 父親を亡くしており、年老いていながらも元気いっぱいの母親と二人暮らし。それ故マザコンと呼ばれることも。
- 鷲尾と真剣勝負をして以来盟友関係にあり、母性を感じる宇部恵子に好意を抱き付き合うようになる等、クラスメイトとのエピソードは大変多い。
- 演技の才能があり、クリスマス会ではホイの強い希望によりハムレット役を熱演。本人は舞台に立つことを嫌がっていたが、クリスマス会以降はすっかり乗り気になり色々とやりたがるように。なぜかカラスが大好きで、カラスについての知識は豊富。
- 和久井晃:白井晃
- 印刷会社勤務。かつて家庭の事情で高校を中退したが、それにより出世が望めないことと、大卒者へのコンプレックスから大学受験を決意し、定時制へ入学。
- 生真面目な性格で、曲者揃いの1年A組の中では一番の常識人。ただ気が弱く、立場が上の人間には逆らうことができない。
- 出席番号が近いという理由で鷲尾の隣の席となり、彼の悪さに巻き込まれて常に悩まされている。しかし本当はお互い友情を感じており、周りには鷲尾の家来という扱いになっている。
- 中学生時代のあだ名は、「顎の辺りがローレンス・オリヴィエに似ている」と言う理由で「ローレンス」。母方の祖母(故人)の誕生日が、神野の誕生日の一日後。
- 出張が重なり授業に出られないことも多かったが、何とか仕事と学業の両立をこなし成績はクラスでトップであった。しかし、将来の管理職候補の部下・黒崎の鷲尾達への横暴な態度に怒り、ケーキをぶつけてしまったことが原因で沼津へ左遷され、中退することになってしまった。
- 鷲尾幹弘:中村獅童 (2代目)
- 大変な素行不良のため全日制を退学となり、定時制へ移ってきた問題児。
- 万引き、器物破損、九官鳥に変な言葉を教え込む等の様々な悪事を行っており、目つきの悪さも災いして、一部の教師達にターゲットにされているが、本人はナイーブで傷つきやすく照れ屋な性格。
- 家は裕福で兄や姉がおり、父・姉とは外見が瓜二つ(獅童三役)。姉・弥生には頭が上がらない。
- 出席番号の関係から隣の席になった和久井に目をつけ、何かといじめていたが本心では友情を感じており、和久井が中退してしまう日には誰よりも悲しんでいた。
- 八木田との決闘に敗れてからは、彼を「おじき」と慕うようになる。ある日夢の中で神野と仲良くして以来、無性に神野のことが好きになり「エッチしよう」と誘うが、無論玉砕。
- 演技に関しては、ホイをキレさせてしまうほど下手。エロ本を読みながらでないとご飯が食べられない。
- 鰐淵和之:浅野和之
- 中退した和久井と入れ違いに編入してきた転校生。転校のキッカケは前の夜間で問題を起こしたため。
- 40歳の時、流れるプールで溺れかけたことをキッカケに人生について考えるようになり、学ぶことに目覚めた。それ以来陶芸、太極拳、モダンダンス、パントマイム等、様々な特技の持ち主である。カクカクダンスが持ちネタで、それにより淡島に気に入られる。
- 勉学に対する態度はかなり熱心で、それ故授業がなかなか進まない1年A組には呆れ果てているが、学校の選択を間違えたとは思っていない。
- 淡島涼子:篠原涼子
- クラスのマドンナ的存在。元々は歌舞伎町でホステスをしていた。
- 物腰や態度が思わせぶりで非常に女っぽい一方で、どこか冷めている「大人の女」というような印象。
- 大学に入るのが夢で、店を辞めてから再び勉強を始め定時制高校に入学。勉学への態度は立派だが、あまり成績はよいとはいえない。
- 轟に惚れられており、何かとちょっかいをかけられるが本人にその気はない。ちなみに本人の男性の好みは田淵に鰐淵等、かなりマニアック。
- 男性経験はそれなりに豊富だが男運がない。ホステス時代から元ボクサーの田淵ジョーと交際しており、いわゆる「ヒモ」状態であった。彼を養うため学校を中退しようとしたこともあったが、8年間の交際の末破局。ショックで自暴自棄になったが、クラスメイト達との触れ合いで立ち直る。
- ホステス時代は様々な店を転々としていたため暗黒街には顔が広く、黒崎やロングロングフェイスとも顔見知り。
- 神野美紀:酒井美紀
- 元々は全日制に通う普通の女子高生だったが、極度の対人恐怖症のため登校拒否となり定時制に移った。幼少時代に母親を亡くしており、八木田とは逆に父子家庭。
- 最初は他人とのコミュニケーションがうまくいかず、登校してきても教室で授業を受けず職員室に入り浸って自習をしていたが、誕生日を迎えたのを期に授業に出席。紆余曲折を経て正式に1年A組の一員に。
- 轟に憧れているが、彼が淡島にばかり夢中なのでジェラシーを感じる事もしばしば。
- 授業に出席できるようになってからは宇部と特に仲良くなり、化粧のテクニックや衣装を貰っており、それにより宇部と同じまでとはいかないが段々と服装が派手に。
- 宇部恵子:戸田恵子
- 元主婦で現在は独り暮らし。昼間はパートの仕事をしている。
- どうしようもなくそそっかしいため、トラブルを起こすことが多い。自分に自信が無いので、常に厚化粧に加えカーニバルに着ていくようなド派手な服装をしており、その規模は1話から最終話まで回数ごとにグレードアップを続けていった。
- クラスでも1、2を争うその強烈な個性からか友人が少なく、クラスの人間以上に親しい人間は皆無で、常に寂しがっている。
- 独り暮らしだが料理は苦手で、ゆで卵を電子レンジで作ろうとして大爆発を起こしたことがあるらしい。
- 大変惚れっぽいがモテないので、チェッキーやジェームズ小早川など数々の男性に騙されることも。クラスの中では男らしい八木田を前から気に入っており、紆余曲折を経て付き合うことに。
- 鼻から牛乳を出すことが特技。非常用のサイレンを聞くと我を失ってしまう。
- ホイ:生瀬勝久
- 中国・ウイグル地区出身の留学生。
- 普段は片言のおかしな日本語を操るが、他人にツッコミを入れる時のみ非常に流暢になる。
- 気孔術による整体をやっていたが、悪い噂が流れ店は倒産、妻は愛人を作って駆け落ち、さらに事故、飼い犬に頭をかじられ入院を繰り返すなどの踏んだり蹴ったりの生活を送り、長い間休学していた。現在は餃子屋で見習いをしている。
- 梅津:宮地雅子
- 通称・食堂のおばちゃん。するどいツッコミが持ち味で、好き嫌いを決して許さない。献立のことで揉めたことがあるため、校長とは仲が悪い。
- 寸原:斉藤清子
- 生活指導の先生。問題児である鷲尾に目をつけている。
- 黒崎:相島一之
- 和久井の部下。高学歴に加え頭も切れるため、将来の管理職候補とされている。それ故和久井は上司でありながら彼には逆らえない。態度は非情に横暴。
- 代議士秘書と偽ってキャバクラに通っており、それ故淡島とも面識がある。
- チェッキー(神野正親):市村正親
- 美紀の父親。生活の匂いをさせるのがイヤだという理由で、自分の事は「チェッキー」(正親の「ちか」から)と呼ばせる。
- 芸能プロダクションを経営しているが、所属俳優は一人もおらず収入もゼロ。そのため女性と仲良くなりお金を貢がせることによって生計を立てており、宇部も騙され印鑑と預金通帳をスられた。
- しかしそんな中ロングロングフェイスの情婦・シャロンに手を出してしまい、ロングロングフェイス率いるヤクザに追われる身となってしまい…
- 田淵ジョー:古田新太
- 淡島が歌舞伎町でホステスをしていた頃から同棲している彼氏。元ボクサーだが現在は無職でいわゆる「ヒモ」状態。淡島曰く家では「一日テレビゲームやってる」との事。
- 見かけによらずハーフで、それゆえ英語はペラペラ。
- かなりの女好きで、外に作った女の所に転がり込むこともしばしば。どちらかと言うと淡島への愛は冷めつつあり、夕食代を借りるためだけに1年A組に乗り込んできたことも。その後8年間の交際を経て淡島と別れた。
- ドミソ・ピザ店員:大倉孝二
- 鷲尾が授業中に注文したピザを配達に来た。落ち着きがなく、常にくねくね体をうごかしている。ピザ屋のくせにチーズの匂いが嫌い。
- 小仏:小日向文世
- 鷲尾が万引きしたディスカウントストア「サンチョ・パンサ」の店長。鷲尾は万引きの常連なので、顔なじみ。鷲尾の姉・弥生に惚れている。
- 須磨信子:池谷のぶえ
- 30歳で、夫・須磨武彦との年の差はなんと28。夫から1年A組生徒に関してはあることないこと吹き込まれている。
- 山形に実家があり、須磨が失業してからは息子2人と共に実家に帰る。幼少時代に熊と戦って殴り殺したことがある。
- 須磨直列:浅利陽介
- 15歳。古代エジプトマニアで、エジプト展で購入した3万円のスカラベ・ラムセス一世を飼っている。父から1年A組生徒に関してはあることないこと吹き込まれている。学力は父よりも上。
- 『ピッカリデンキ』閉店に伴い転校することになったが、自分だけは学校に残る父に対し憤りを覚え、衝突する。
- 八木田の母:岸田今日子
- 文字通り、八木田の母親。八木田の事は「旬」と呼ぶ。長い白髪のまるで妖怪のような老婆。80過ぎにも拘らず元気いっぱいで、750ccのバイクを乗り回し、家ではよく息子と取っ組み合いのケンカをする。大変惚れっぽく、轟にもちょっかいを出した。
- 最近になって料理を習い始めたが、手際が悪い上に味付けが濃いのが特徴で、梅津には「料理やったことあんの?」とまで言われてしまったほど。
- ジェームズ小早川:川平慈英
- 宇部の大好きなVシネマの俳優。生粋のフェミニストだが人の顔を覚えていられないので、女性関係でトラブルが絶えない。性格は結構横暴で、女性の気持ちもそれほど考えない。
- 鰐淵とは、以前彼が角川映画『天と地』のエキストラ俳優をやっていた頃競演したことがあり、何度も2人で飲み明かした仲。鰐淵はジェームズの性格を熟知しているほど親しかったが、無論ジェームズは彼の事を全く覚えていなかった。
- ロングロングフェイス:野仲功
- 日暮里界隈では指折りのヤクザ。顔があまりに長いので「ロングフェイス」→「ロングロングフェイス」と呼ばれる。
- 情婦・シャロンがチェッキーに言い寄ったため、チェッキーを狙って部下と共に学校まで乗り込んできた。淡島とも面識があり、よく遊んでいたらしい。
- 武藤輝夫:伊東四朗
- 校長先生。村井のアイディアにより、始業式の日にぎっくり腰で出られず夜間の生徒に顔を知られていなかったことを利用して、転校生に扮し生徒の生の声を聞こうと潜入捜査を計画する。生のニンジンは好きだが、カレーに入ったニンジンが嫌い。
- 轟の兄:一橋壮太朗(三谷幸喜)
※出演者の役名は本名をそのまま使用したものやもじったものが多い。鷲尾の下の役名は中村獅童の本名からきている。また、時々この番組の前説を兼ねている号泣が脇役として出る事がある(宅配業者の役etc...)。
[編集] 特徴
シットコム(シチュエーション・コメディ)を強く意識したドラマである。毎回、約30分間ほぼノンストップで撮影された。シットコムだけあってストーリーも舞台セット内のみで展開され、TVドラマでは新鮮であった。スタジオには100名の観客を入れ、その笑い声もそのまま放映した。
この作品では三谷幸喜は総合演出・監督も兼ねており、舞台脚本を数多く手がけた三谷幸喜ならではの演出が見られる(映像演出は三谷と長年の付き合いである河野圭太が担当)。また本編には登場しないが毎回冒頭部分で学校の教室などに現れ「HR」とタイトルを言っていた。
※三谷は当初「日本初の本格的シットコム」を謳い文句にしていたが、小林信彦が週刊文春の連載コラムで「日本初の本格的シットコムは1960年代に放映された『スチャラカ社員』である」と物言いをつけた。
[編集] スタッフ
[編集] 主題歌
- 奥田民生「まんをじして」(作詞・作曲:奥田民生)
フジテレビ系 水曜バラパラ枠(2002年10月 - 2003年3月) | ||
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