JIN-仁-
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[編集] 概要
「スーパージャンプ」2000年9号より連載開始。当初は半年1回の頻度で2〜3話連続掲載されるシリーズ連載形式だったが、2006年13号より毎号連載となった。2007年2月現在も連載中(単行本の既刊は7冊)。
現代から幕末の日本にタイムスリップした脳外科医・南方仁が、過去の人間の運命を変えていることを自覚しつつも、20世紀末の医療技術を用いて江戸の人々を救おうと努力する。抗生物質や近代的な医療器具の無い時代に出来ること出来ないことの線引きをうまく考えた歴史SF作品。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 登場人物
[編集] 主な登場人物
- 南方仁
- 東都大学附属病院脳外科医局長。34歳(2000年当時)。頭蓋骨内に奇形腫瘍を持っていた謎の男との接触により文久2年の江戸にタイムスリップ。歴史を変えることになると自覚しつつも、医者としての使命感から江戸の人々を近代医療で救う。西洋医学所と虎狼痢の対策を行ったり、原始的な方法によるペニシリンの抽出・精製を行うなど幕末の医療技術を飛躍的に進歩させる。緒方洪庵死後、医学所と距離を置き仁友堂を開業した。
- 橘 咲
- 旗本橘家の娘。兄・恭太郎の命を救った仁に興味を持つ。やがて麻疹にかかり仁に命を救われたのを機に看護婦となり、虎狼痢にかかった仁を救うなど、彼の右腕としてなくてはならない存在になる。野風の手術を守るために縁談を破棄したため栄から勘当され、仁友堂に身を寄せる。
- 橘 恭太郎
- 咲の兄。安政の虎狼痢で亡くなった父の跡を継ぐ。微禄(150石の小普請組)ながら勝海舟に洋学を学ぶなど向上心が高い。そのため攘夷派浪人に襲われるが、タイムスリップしてきた仁の近代医療により命を救われる。
- 橘 栄
- 恭太郎と咲の母。典型的な武家の未亡人だが、子供達を救った仁に信頼を寄せている。
- 坂本龍馬
- 勝を通じて仁と知りあう。当初は仁の正体を訝るが、すぐに打ち解け親友となる。
- 野風
- 吉原の鈴屋彦三郎抱えの呼び出し花魁。鈴屋の命を救った仁に心酔するも、彼の心に咲がいることを悟り身を引く。さる大名の隠居に落籍される予定だったが、乳癌の手術により破談となる。術後は吉原を出て仁友堂の雑用をこなしている。
[編集] 市井の人々
- 喜市
- 茜
- 浜口儀兵衛
- 江戸で醤油工場を経営する実業家。緒方洪庵の遺志を継ぎ、醤油倉を使って醤油職人にペニシリン精製をさせるなど仁に協力する。
- 澤村田之助
- なじみの花魁・初音が堕胎に伴う敗血症に倒れた際、仁による治療のための資金提供を当初は渋るが、最終的には提供し、田之助の名を上げる結果となる。その後も仁に間接的な援助をしている。
- 新門辰五郎
- 江戸火消し「を組」を束ねる人物。消火活動中に煙を吸った同僚を仁に救ってもらったことでが縁で、仁友堂の建設など協力するようになる。一介の町人ながら徳川慶喜と親交があったことでも知られる。
[編集] 医師
- 緒方洪庵
- 西洋医学所頭取。仁の医療技術が江戸に広まるよう協力する。仁の正体(未来から来たこと)を半ば見抜いていたが、その秘密を他人に漏らさぬままこの世を去った。
- 伊東玄朴
- 西洋医学所取締役。緒方同様、仁の医療技術を認めていたが、伊東失脚後の医学所内部抗争が仁を医学所から遠ざけることになる。
- 山田順庵
- 西洋医学所勤の蘭方医。虎狼痢で命を救われてからは仁に心服。主にペニシリン精製の陣頭指揮を行っている。
- 松本良順
- 緒方洪庵の遺志を継ぎ、仁に協力する。
- 福田玄孝
- 奥医師(漢方医)。胃潰瘍で倒れるが仁の手術で一命をとりとめる。のち、奥医師を辞して仁友堂の内科医となるが、多紀に内情を伝えるスパイでもある。
- 多紀元琰
- 奥医師(漢方医)。医学館督事。仁の手術を目の当たりにし、彼の持つ近代医療に驚愕。のちに福田をスパイとして仁友堂に送るが、一医師としての知的好奇心によるものが大きいと思われる。
- 佐分利祐輔
- 華岡流の若き医師。経験を積むための総嫁の検診が悪評を呼んでしまい、軍艦の船医に転ずる。事故による肺気胸を仁に救われたのが縁で仁友堂に移籍。全身麻酔の技術で仁に貢献する。
- 三隅俊斉
- さる御家門の藩医(蘭方医)。野風の癌を見抜けず、仁によって面目を潰されたことを怨んでいる。
[編集] 武士
- 勝海舟
- 市井の噂や恭太郎との繋がりから仁と知己を得る。その後、神戸海軍操練所の設立で江戸を離れるが、要所で重要人物と仁との縁を取り持つ。
- 佐久間象山
- 京で攘夷志士らに斬られたところを仁に治療してもらう。手術中に現代の情景を妄想し仁を驚かせた直後、死去する。
- 三浦啓之助
- 象山の息子で当時は新選組に所属。
- 沖田総司
- 禁門の変での負傷兵士を治療中の仁の元へ攻め込んでくるが、人を斬ることよりも生き返らせることは難しいと言い残し去っていく。
- 近藤勇
- 沖田からの報告により仁を呼び出すが、医者として患者の元へ戻りたいという仁の意志に感服する。
- 西郷隆盛
- 新選組より戻された仁を奇妙な腹痛を治療してもらうために呼び出す。原因は虫垂炎と判明するが、開腹手術を武士の恥と思い躊躇する。
- 一橋慶喜