むらさめ型護衛艦
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むらさめ型護衛艦 | |||
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要目 | |||
排水量 | 基準排水量 | 4,550t | |
全長 | 151m | ||
全幅 | 17.4m | ||
深さ | 10.9m | ||
吃水 | 5.2m | ||
機関 | ガスタービンエンジン COGAG方式 4基2軸推進 | ||
LM2500 2基(16,500PS x2) | 60,000PS | ||
SM1C 2基(13,500PS x2) | |||
速力 | 最大30kt | ||
定員 | 165名 | ||
武装 | 76mm単装速射砲 | 1門 | |
ファランクスCIWS | 2基 | ||
90式艦対艦誘導弾 (SSM-1B)4連装発射筒 | 2基 | ||
Mk41VLS | 16セル | ||
Mk48VLS | 16セル | ||
3連装短魚雷発射管 | 2基 | ||
探索装置 | OPS-24 3次元対空レーダー | 1基 | |
OPS-28D 対水上レーダー | 1基 | ||
OQS-5 ソナー | 1基 | ||
OQR-2 曳航ソナー | 1基 | ||
射撃管制装置 | 射撃指揮装置2型31 (FCS-2-31) | 2基 | |
搭載機 | SH-60J ヘリコプター | 1機 | |
言語 | 表記 | ||
日本語 | むらさめ型護衛艦 | ||
英語 | MURASAME type Destroyer |
むらさめ型護衛艦( - がたごえいかん)は海上自衛隊が使用する汎用護衛艦(以下DD)。はつゆき型護衛艦の老朽化に伴い、1991年度予算で初めて導入された。
目次 |
[編集] 船体
船体はDDとしてはかなり大きく基準排水量は約4,550tで、むらさめ型の前に建造されていたあさぎり型に比べると基準排水量で約1,000t上回り、海上自衛隊が保有するミサイル護衛艦(DDG)であるはたかぜ型とほぼ同サイズである。各種兵装などの内容はある程度のバージョンアップがあるものの基本的にはあさぎり型と変わっていないため、あさぎり型に比べると艦内スペースには余裕がある。さらに省力化により乗員はあさぎり型より55人少ない165人となっているため、ベッドはこれまで3段だったのが2段に、部屋は12人程度で一部屋程度と細かく分けられるなど、かなり居住性が向上している。
[編集] 機関
むらさめ型はガスタービンエンジン4基を装備し、このうち巡航時には2基を使用、高速航行時にはそれに加え残りの2基を使用するCOGAG方式を採っている。装備するガスタービンエンジンは巡航用がロールス・ロイス社製のSM1C(1基あたり13,500馬力)、高速用がゼネラル・エレクトリック社製のLM2500(1基あたり16,500馬力)となっているが、このようにメーカーの異なるガスタービンエンジンを採用することは世界的にも珍しい。
[編集] ステルス性
むらさめ型は海自のDDとして初めてステルス性に考慮した艦となっている。具体的には艦橋側面に傾斜をかけてあるほか、全体的に平面的な構造をしている。しかしレーダーなどを装備するマストは強度面での不安があったため、アメリカ海軍のアーレイバーク級のような平面で構成されたマストは採用していない。本型が採用しているのは、同時期に建造された諸外国の艦とは異なり、従来までと同じ骨組みが剥き出しのラティスマストである。但しマストには電波吸収材が装着されている他、その形態自体についても工夫が凝らされており、実際にはRCSはかなり低いとも言われる。
[編集] 装備
[編集] ミサイル
ミサイルはこれまでのDDと同じように個艦防空用の艦対空ミサイル・シースパローと対潜ミサイルのアスロックを装備するが、むらさめ型ではDDとしてはじめてVLSを使用する。VLSは艦橋前部にアスロック用のMk41を、煙突間にシースパロー用のMk48を装備する。VLSのセル数は各16セルで搭載するミサイル数の面ではこれまでのDDと同じであるが、従来は8発撃つとミサイルをランチャーに装填する必要があったがVLSではその必要がなくなり、実質戦闘時に使えるミサイルの数が倍になったといえる。シースパローは発展型シースパロー(ESSM)に換装される予定で、平成16年度から平成19年度までに計8隻分が予算化されている。
対艦ミサイルも従来のDDと同じように4連装発射筒が2基装備されるが、対艦ミサイルは従来までのRGM-84 ハープーンではなく、より射程の長い国産の90式艦対艦誘導弾 (SSM-1B) となっている。
[編集] 砲
主砲は76mm単装砲1門を艦首に装備する。76mm砲は大型の船体から見るとかなり小さく貧弱にも見えるが、対空目標攻撃を主眼に置いた場合127mm砲より76mm砲の方が優れているため一概には言えない。 また新たに開発された76mm砲用の05式近接信管と新型の狭指向性HE弾頭はセットでの使用で、対艦ミサイルへの近接防空能力が大きく改善される事を期待されている。 ファランクスCIWS2基は従来のDDと同じであるが、こんごう型イージス護衛艦と同様に前後に1基ずつ設置され、より射界の広い合理的な配置となった。
[編集] ヘリコプター
艦載ヘリコプターとして、SH-60J対潜哨戒ヘリを装備する。ヘリ格納庫はSH-60クラスのヘリコプター2機を格納可能なスペースがあるものの、通常運用での艦載ヘリコプター定数は1機となっている。また、ヘリ支援装備も1機分しか搭載されていない。
[編集] 同型艦
- むらさめ (DD-101) 1996年(平成8年)3月12日就役
- はるさめ (DD-102) 1997年(平成9年)3月24日就役
- ゆうだち (DD-103) 1999年(平成11年)3月4日就役
- きりさめ (DD-104) 1999年(平成11年)3月18日就役
- いなづま (DD-105) 2000年(平成12年)3月15日就役
- さみだれ (DD-106) 2000年(平成12年)3月21日就役
- いかづち (DD-107) 2001年(平成13年)3月14日就役
- あけぼの (DD-108) 2002年(平成14年)3月19日就役
- ありあけ (DD-109) 2002年(平成14年)3月6日就役
[編集] 登場作品
- 『亡国のイージス』
- DD-101 むらさめ - 架空の護衛艦はるかぜ役
- DD-107 いかづち - 架空の護衛艦うらかぜ役
- DD-102 はるさめ
- DD-101 むらさめ
- 『タクティカルロア』
- DD-102 はるさめ
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
護衛艦の型式一覧
DDH ヘリコプター護衛艦 |
13500トン型 しらね型 はるな型 |
DDG ミサイル護衛艦 |
あたご型 こんごう型 はたかぜ型 たちかぜ型 あまつかぜ |
DD 護衛艦 |
5000トン型 たかなみ型 むらさめ型 あさぎり型 はつゆき型 あきづき型 はるかぜ型 ありあけ型 あさかぜ型 |
DDA 多目的護衛艦 |
たかつき型 むらさめ型_(初代) |
DDK 対潜護衛艦 |
みねぐも型 やまぐも型 あやなみ型 |
DE 護衛艦 |
あぶくま型 ゆうばり型 いしかり ちくご型 いすず型 わかば いかづち型 あけぼの あさひ型 |
PF 護衛艦 |
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