め組の大吾
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め組の大吾 | |
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ジャンル | 少年漫画 |
漫画 | |
作者 | 曽田正人 |
出版社 | 小学館 |
掲載誌 | 週刊少年サンデー |
発表期間 | 1995年38号 - 1999年27号 |
巻数 | 20冊(単行本) 10冊(ワイド版) 11巻(文庫版) |
映画: め組の大吾 火事場のバカヤロー | |
監督 | 西澤晋 |
制作 | 小学館・サンライズ |
封切日 | 1999年7月27日 |
上映時間 | 42分 |
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『め組の大吾』(めぐみのだいご)は、曽田正人の漫画作品、及びそれを原作としたアニメ映画。
1996年に第42回小学館漫画賞、1998年に第2回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞している。 同じく1998年に主人公の朝比奈大吾が東京消防庁のイメージキャラクターに選ばれた。 なお、雑誌連載中に消防官の採用試験の倍率が跳ね上がったことでも知られる。
1999年夏には「おかげサマー!日本全国サンデー祭り!!」において『め組の大吾 火事場のバカヤロー』としてアニメ映画化された。
2004年にはフジテレビでドラマ化された。ドラマ版についてはFIRE BOYS ~め組の大吾~を参照。
目次 |
[編集] 概要
週刊少年サンデーで1995年38号から1999年27号にかけて連載された。単行本は全20巻。後にワイド版で全10巻、文庫版で全11巻として出ている。
週刊少年チャンピオンで1991年35号から1991年40号にかけて連載された自衛官のレスキュー漫画『FIRE AND FORGET』がプロトタイプになっている(作者曰く、「この時描ききれなかったものが大吾の原型になった」)。
番外編として週刊少年サンデー1996年6月増刊号に掲載された、本編の主人公・朝比奈大吾の高校時代を描いた読み切り『C組の大吾』がある。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] あらすじ
幼い頃に巻き込まれた火災で消防士に助けられた朝比奈大吾は、自らも消防士になる事を目指し、見事採用試験に合格。神奈川県消防学校での研修を経て、地元の千国市消防局めだかヶ浜出張所に配属される。ところが大吾が配属されためだかヶ浜は、開発の初期段階で、住民の防災意識もあり、めったに火事が起きず出動もほとんど無い平和な地域。それゆえに隊員たちの士気も低く、“めったに火事が起きない「め組」”や“目出度い「め組」”と揶揄される出張所だった。若く血気盛んな大吾は、その現状に我慢ができず、ストレスを溜める毎日を過ごすことになる。ところが、度重なる出動を経験することで、大吾は自らの所属するチームが、最高のプロフェッショナル・チームである事を思い知る。そして、出動を重ねていき大吾自身も災害の恐怖と闘いながら成長していく。一方で度重なる都市の乱開発により、めだかヶ浜も変わりつつあった。変わる都市。変わる自然。人間が作り上げた街が人間に牙を向き住民を襲う。そんな中で大吾は、時に問題児扱いされながらも持てる力を駆使して災害に巻き込まれた人々を救っていく事になる。
[編集] 主な登場人物
[編集] 消防関係者
- 朝比奈大吾(あさひな だいご)
- 主人公。幼い頃に自宅の火事で死にかけた際、消防官に助けられ自身も目指す事に。
- 高校生の頃は悪ガキでケンカばかりしていた(後にこの時期のことを自己嫌悪している)が、当時新任だった落合先生の進路指導により幼き日の目標を思い出し、見事消防官となる。
- 危機に瀕した命を発見する常人離れした勘と、常識外のアイデアで要救助者の元へ向かう行動力を持つ。要救助者を助けるためなら手段を選ばなかったり、命令違反、部署放棄も厭わない事から、たびたび問題を巻き起こしたが、人命救助に対する情熱と実績は本物で(描写されている限りでは)死者を1人も出していない。自らの消防官としてのアイデンティティを何度も見失いそうになり、時には退職を考えることもあったが、それらの壁を乗り越える度に飛躍的な成長を遂げていった。中央署めだかヶ浜出張所所属。後にハイパーレスキュー所属。「世界最高のレスキュー隊員」と称されるほどのレスキュー隊員になる。落合先生と結婚し、萌という娘も生まれ親バカと化してもいる。
- 甘粕士郎(あまかす しろう)
- 大吾の消防学校時代の同期。東署鯨台出張所所属。成績優秀で努力家であるがイヤミな性格で、消防学校時代から大吾とは度々張り合ったり、喧嘩を繰り広げているが、実際はいいライバルのようである。茶髪で何故かレンズの入っていない伊達メガネをかけている。視力は両眼ともに2.0。物語が進むたびに車を所有していたり、彼女がいたりする(本編の大筋に関係ないからか、名前も顔も判明せず)ことが判明したりもする。大吾のライバルでありながら、彼をいち早く「天才」と評価した理解者でもあったが、自分の信念と相容れない部分をも併せ持つ大吾の「才能」に取り込まれつつ事を恐れ、苦悩し、一時は自分が自分であるために大吾との絶交も宣言した。後にハイパーレスキュー所属(消防士長・副隊長)。大吾との間に絶大な信頼が築かれた後は、大吾と甘粕で「2人のA(エース)」(AmakasuとAsahinaで)と呼ばれている。
- 五味俊介(ごみ しゅんすけ)消防司令
- めだかヶ浜出張所所長。競馬が趣味で仕事中競馬新聞を読みながらラジオを聞いている。帽子を常に被っているが、これは15年前の重火傷による古傷を隠すためである。幼い頃の大吾を救った張本人。好物は甘いもの、特にタイヤキ。被っている帽子『GLOBE』は防火服などのメーカー名。最終巻で消防局長に就任。
- 植木(うえき)消防司令補
- めだかヶ浜出張所副所長。五味所長とは長い付き合いの様である。規律に厳しく、大吾をよく説教するも、温かい目で見守っている。
- 大野(おおの)
- 大吾のよき先輩。機関員。レスキュー試験を受けるところを見ると比較的若手(神田よりは年下の描写をされている)のようである。ピカピカに磨いた愛車であるポンプ車(ポンピー)を大吾に破壊され、謹慎にされることもあった。
- 平一馬(たいら かずま)
- 大吾の一年先輩で関西弁を話す。優れた消火技術を持つ。自称『筒先の芸術家(アーティスト)』。中央署ポンプ車小隊員。始めは、め組には補充要員として来ていた。大吾のことを『ボン』と呼ぶ。
- 忍足ミキ(おしたり みき)消防司令補
- 千国市消防局本部警防部救急救助課救助係長。通称『マザーコンピューター』。積極的防災を進め、防災ヘリやインパルスなどの防災対策装備の充実も進める。幼い頃、病院火災で五味に救助されるも、その火災で母を失う。最終巻では消防司令長に昇進。
- 近藤純(こんどう じゅん)
- 大吾の高校時代の後輩。大吾のことが好きで度々め組に顔を出す。大吾をめぐって落合先生を敵視する。大吾に惹かれ自身も消防官を目指す。後に見事消防官になり、忍足にも認められる存在に。「マザーコンピューター2代目」になるのではと周囲から囁かれている。しかし大吾への恋は報われることはなかった・・・。
- 神田恵(かんだ けい)消防士長
- 臨港署特別救助隊(レスキュー)副隊長。優れた救助能力を持ち『千国のエース』の異名を持つ。熱血漢。五味所長を尊敬している。最終巻ではハイパーレスキュー隊長・消防司令補。
- バンジャル(ばんじゃる)
- インドネシア・ランプンの消防官。山火事を憎み、大吾達からインパルスを強奪しようとするが、大吾達と協力することになる。
[編集] その他
- 落合静香(おちあい しずか)
- 大吾の高校時代の担任。毎日ケンカに明け暮れていた大吾に消防官の夢を思い出させ、その道に進む事を決意させる。何事にも動じない穏やかな性格だが、大吾の事では感情的になることも。純とお互いの大吾に対する考え方をぶつけ合うシーンは本作の名場面の1つ。口癖は『あらー』。理科教師で幼い頃から昆虫に興味を持ち、大吾の生き方に影響を受け小さい頃からの夢である昆虫の学者を目指す事に。趣味はクワガタ採り。初めは気がかりな元生徒である大吾の身を案じていたが、彼が決して他人の命のためだけに身を投げ出す聖者ではなく、自分の生きる意味を見出すために戦い続ける一人の人間であることを知って以来、徐々に大吾が気になる様子が描かれる。後に大吾と結婚し、萌という娘を出産。作中では大吾と食事の約束、もしくは会うたびに(主に大吾が)災害に巻き込まれ、反故になっている。
- 朝比奈萌(あさひな もえ)
- 大吾と落合先生の娘。大吾がベタ惚れで、まだ生後7ヶ月にも関わらず、嫁には出さないと決められている。観衆の大歓声にも動じない肝の据わった赤ん坊。
- ジル(じる)
- 大吾の愛犬。大吾の初めての要救助者。大吾が幼い頃に拾われた。普段はほとんど寝ている。
- 丘野(おかの)
- 陽光新聞社千国支局消防番の記者。始めは、大吾の無茶な救出方法に怒りを覚え、敵視するも、自身も大吾に救出され、大吾の才能に気付く。
[編集] 作中の災害/事故
- 千国市立病院火災
- 15年前に起きた大規模火災。五味や植木も出場している。幼い頃の忍足がこの病院に入院しており被災者となるが、五味に救助される。五味の出場したこの火災は、千国市消防局の消防士の間で『伝説の出場』と語り継がれる。
- えび谷・熱泉寺火災
- 15年前に五味の休暇先で起こった。住民総出のバケツリレーで、奇跡的に全焼を防いだ。
- めだかヶ浜・民家火災
- 12年前に起きた民家火災。ある消防官に救助された少年は、その消防官に憧れて、自らも消防官を目指す事になる。
- なぎさ町・民家ガス漏れ事故
- 大吾が初出場した。現場はなぎさ町5丁目1番地3号。
- 神奈川県立めだかヶ浜高等学校火災
- あけぼの町・雑草火災/連続放火事件
- 現場はあけぼの町2丁目7番地2号、2丁目11番地9号、4丁目など。
- 中央街道車両追突事故
- 鮫肌市・民家火災
- 管外出火。現場は鮫肌市青葉5丁目5番地1号鷺沼宅。
- 煮干野・廃屋木造アパート火災
- 管外出火。
- しらす台・民家火災
- 千国川異常増水
- 大吾は非番招集。
- めだかヶ浜商店街・アーケード内蕎麦屋「大黒庵」ボヤ
- めだかヶ浜商店街・アーケード火災
- 鯨台・トラ脱走事件
- 市条例を違反してトラを飼っていた男性宅からトラが脱走。鯨台町の吉田さんの通報で、消防と警察、猟友会のハンターなどが出動し、30分後に麻酔銃で捕獲。トラは千国市保健所に収容され、近日中に都内の動物園に引き取られることになった。
- めだかヶ浜・ナカジマビルトラ侵入事件
- 鯨台の事件の深夜。現場は町名不明3丁目ナカジマビル。
- 東条マート火災
- 現場はめだかヶ浜駅前、東条マートめだかヶ浜店。
- ホテル火災
- めだかヶ浜出張所1部20人の慰安旅行先のホテル。
- めだかヶ浜・民家火災
- 現場はめだかヶ浜町2丁目1番地12号
- あさり第一中学校転落事故
- 大吾が救急隊の職務中。現場はあさり町2丁目2番地2号、あさり第一中学校。
- 交通事故3回
- 大吾が救急隊の職務中
- 千国峠・土砂崩れ/交通事故
- 大吾が救急隊の職務中
- 千国バイパス車両衝突事故
- 千国バイパス交通事故
- 管外出動。
- GVビル屋上大型クレーン倒壊事故
- 昆布山・山林火災
- 現場は昆布町2丁目昆布山。
- 市民会館ホール火災
- 管外出火。
- 千国サウスイースト火災
- 現場は千国市緑区サウスイーストビル。
- 栢野台・団地ガス爆発事故
- 現場は栢野台6丁目の栢野台団地507号室成田宅。
- 千国街道タンクローリー横転/塩化水素ガス発生事故
- 大吾は非番。
- 土砂崩れ
- もずく町・病院火災
- 現場はもずく町太田病院
- 臨海地区埋め立て地・ヘリコプター墜落事故
- えび谷・山林火災
- スーパー・ハマチ堂駐車場車両炎上火災
- 管外出火。現場は緑区はまち町2丁目3番地。千国市立病院跡地。
- 千国沖国際空港建設現場火災/崩落事故
- 千国市・民家火災
- インドネシア・スマトラ島南部森林火災
- 北海道トンネル火災
- ワルシャワビル倒壊事故
- グルシア地震
- マンハッタン地下鉄7号線地盤崩落事故
- 最後の出場
[編集] サブタイトルリスト
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[編集] アニメ映画『め組の大吾 火事場のバカヤロー』
『め組の大吾 火事場のバカヤロー』は1999年夏に「おかげサマー!日本全国サンデー祭り!!」において『からくりの君』(藤田和日郎作の読切漫画が原作、後の連載漫画『からくりサーカス』の原型)と同時上映されたアニメ映画。その後、この二つは東京都内の劇場でも公開された。2000年1月22日よりこのアニメ映画が新宿ピカデリー3にて東宝の配給で土日モーニングショー公開された。
[編集] 内容
原作の東条マート火災爆発事故と市民会館ホール火災のエピソードを中心に、原作の美味しいエピソードを繋ぎ合わせている。サンライズによる迫力ある炎のCGがみどころ。
[編集] キャスト
- 朝比奈大吾・・・高木渉
- 落合先生・・・井上喜久子
- 五味所長・・・屋良有作
- 甘粕史郎・・・一条和矢
- 植木・・・堀部隆一
- 丘野・・・内田直哉
- 猪俣・・・巻島直樹
- 大野・・・石塚運昇
- 山岸・・・菅原淳一
- 白石隊長・・・花田光
- 大吾の母・・・園田恵子
- カメラマン・・・千葉一伸
- 要救助者・・・麻丘夏未
- 女子高生・・・小池亜希子
- 無線の声・・・小上裕通、横尾博之
- オペレーター・・・矢薙直樹
[編集] スタッフ
- 原作・・・曽田正人
- 監督・・・西澤晋
- 脚本・・・稲荷昭彦
- キャラデザイン・・・本橋秀之
- 音楽・・・浜口史郎
- イメージソング「それぞれの朝」(作詞:渡辺なつみ 作曲・編曲:岩崎文紀 歌:井上喜久子)
- エンディング「Red Darkness」(作詞:佐藤ありす、西澤晋 作曲・編曲:工藤隆 歌:きただにひろし)
浜口史郎作曲、ワルシャワ・フィルハーモニック・オーケストラ演奏によるサウンドトラックが出ている。上記2曲も収録。
[編集] テレビドラマ『FIRE BOYS ~め組の大吾~』
原作無視のドラマ版についてはFIRE BOYS ~め組の大吾~を参照。
[編集] こぼれ話
- 作者の曽田正人はモータースポーツ愛好家として知られ、2003年からレース漫画『Capeta』を執筆中しているが、本作の人物設定においてレース関連からの引用が見られる。その傾向が顕著なのはめだかヶ浜出張所所長の五味俊介で、容姿や出動中の事故で大火傷を負った経歴はニキ・ラウダをモデルにしたものと思われる。ラウダは頭部の火傷跡を隠すために常に現役時代のスポンサーパルマラット社のロゴ入りの帽子を被っていた。その他に、荒=アラン・プロスト、救急隊の運転手影山=影山正彦(もしくは影山正美)、大吾の愛犬ジル=ジル・ヴィルヌーヴ、阿部まどかの愛犬ジャック=ジャック・ヴィルヌーヴなど。出てくる車もランチア、プジョー、スバルとラリー系。
- 英語版で「め組」はどう訳されているかというと、mercifullyで(慈悲深く)、merryな(陽気な)「The Company Of M」。うまい訳である。