アルト・サクソフォーンと弦楽オーケストラのための協奏曲 (グラズノフ)
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アルト・サクソフォーンと弦楽オーケストラのための協奏曲(-げんがく-きょうそうきょく、Concerto pour saxophone alto et orchestre à cordes)は、ロシアの作曲家アレクサンドル・グラズノフによるアルト・サクソフォーンと弦楽オーケストラのための協奏曲。登場年代が新しく、古典派・ロマン派の作品に恵まれないサクソフォーンにとって貴重なロマン派のレパートリーである。
目次 |
[編集] 概要
早熟の天才として知られたグラズノフだが、1900年代の初頭を境に急速に創作意欲を衰えさせてゆき、ロシア革命を経てのパリ亡命後はその傾向が著しい。しかしながら、それでも作曲活動は中断されることなく続き、死去前年の1935年のオルガン独奏曲『怒りの日による幻想曲』作品110まで作品リストは続いている。
この異色の作品も、そうした最晩年に属する作品である。作曲の時期は明らかではなく、1934年から1936年にかけてと推定されている。作品はドイツ系のサクソフォーン奏者シガード・ラッシャー(en:Sigurd Rascher、1907-2001)に捧げられている。
[編集] 出版
アルフォンス・ルデュック(パリ、1936年)
[編集] 編成
アルト・サクソフォーン(まれにヴィオラによって演奏される場合あり)、弦楽5部
[編集] 演奏時間
約15分
[編集] 楽曲
切れ目なく演奏される単一楽章の作品だが、大きく3つの部分に分かれている。それら3つの部分が急 - 緩 - 急の構成になっていることを考え合わせると、古典的な協奏曲の形式の再構成と考えることができる。以下ではそれぞれの部分を便宜的に楽章と呼ぶ。
[編集] 第1楽章
アレグロ・モデラート、変ホ長調、4/4拍子。弦のユニゾンが直ちに第1主題を演奏して楽曲が開始される。引き続いてサクソフォーンが主題を変形させつつ反復する。この主題に含まれるいくつかの要素は、変形されつつ全曲の主題に登場し、展開が図られることになる。第2主題ではアレグレット・スケルツァンド、ト短調に転じる。第2主題の音階的なパッセージの要素が次第に拡大し、急速に下降する音形で半ば唐突に曲は打ち切られる。
[編集] 第2楽章
アンダンテ、変ハ長調、3/4拍子。第1楽章第1主題の要素から発展した主題から始まり、サクソフォーンのカデンツァにつづく。カデンツァの末尾からは、第2主題の変形の断片が繰り返されるうちに12/8拍子のフーガ主題に発展し、最終楽章に移行する。
[編集] 第3楽章
サクソフォーンにあらわれたフーガ主題は弦楽に引き継がれ、次いで第2楽章の主題も組み合わされて、対位法のテクスチュアを織りなす。今までに現れた主題の再現と回顧を繰り返すうちに、第1楽章第1主題の要素が優勢になり、曲が閉じられる。