アントニオ・ネグリ
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アントニオ・ネグリ (Antonio Negri, 1933年 - )は、イタリアの哲学者。パドヴァ大学、パリ第8大学で教える。
スピノザ研究、マルクス研究で知られており、またアウトノミア運動の指導者として知られていたが、1979年4月7日、赤い旅団によるアルド・モーロ元首相誘拐暗殺を含む多くのテロを主導した嫌疑で逮捕・起訴された。その後、事件への直接の関与や赤い旅団との関係は無かったことが明らかになるも、1960年代から逮捕に至るまでの言論活動や過激な政治運動への影響力の責任を問われる形で有罪とされた。裁判中の1983年、ネグリはイタリア議会選挙に獄中立候補し当選、不逮捕特権により釈放されるも数ヵ月後に特権を剥奪され、直後にフランスに逃亡・亡命した。フランスで活発な研究・執筆活動を続けていたネグリは、1997年7月1日、刑期を勤めるために自主的に帰国し、監獄に収監された。その後、数年をかけて所遇が緩和され、2003年4月25日に釈放となった。
マイケル・ハートとの共著『<帝国>』では、グローバリゼーションの進展に伴い出現しているこれまでとは異なる主権の形態を<帝国>と捉えた。<帝国>の特徴は、その脱中心性かつ脱領域性にあり、アメリカが現代世界で特権的地位を占めていることを認識しつつも、世界はアメリカによって支配されているといった「アメリカ帝国」論とは一線を画する理解を示している。
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[編集] 著作(邦訳)
[編集] 単著
- 『未来への帰還――ポスト資本主義への道』(インパクト出版会, 1999年)
- 『構成的権力――近代のオルタナティブ』(松籟社, 1999年)
- 『転覆の政治学――21世紀へ向けての宣言』(現代企画室, 2000年)
- 『ネグリ生政治的自伝――帰還』(作品社, 2003年)
- 『マルクスを超えるマルクス――『経済学批判要綱』研究』(作品社, 2003年)
- 『〈帝国〉をめぐる5つの講義』(青土社, 2004年)
- 『ヨブ――奴隷の力』(情況出版, 2004年)
[編集] 共著
- (フェリックス・ガタリ)『自由の新たな空間――闘争機械』(朝日出版社, 1986年)
- (マイケル・ハート)『<帝国>――グローバル化の世界秩序とマルチチュードの可能性』(以文社, 2003年)
- (西谷修・酒井直樹・遠藤乾・市田良彦・酒井隆史・宇野邦一・尾崎一郎・マイケル・ハート)『非対称化する世界――『<帝国>』への射程』(以文社, 2005年)
- (マイケル・ハート)『マルチチュード――<帝国>時代の戦争と民主主義(上・下)』(日本放送出版協会[NHKブックス], 2005年)
[編集] 関連
[編集] 外部リンク
- "Empire" 原著(英語,PDF)