アテナ
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アテナ(アテーナー Αθηνα Atena,Athena,Atene,Athene)は、ギリシア神話に登場する女神。ローマ神話ではミネルウァ(ロマンス語読みでミネルヴァ)に相当する。
平和のための戦いの神であると同時に戦略、芸術、建築、陶芸、工芸、知恵、平和、造船や家具の製造と行った工業の分野でも祭祀を受ける神である。しかし、血気盛んで好戦的な軍神アレスとは趣を異にし、知性を重んじ戦いの主な防衛を目的とした神である。オリュンポス十二神の一柱。ヘスティアやアルテミスと共に、「ギリシア神話三大処女神」のひとりとされる。古代における崇拝の中心地はアテナイであった。ヘパイストスとの間にエレクトニオスと言う子がいる。そして、そのヘパイストスから足に大量の精液をぶちまけられた女神としても有名(下記参照)。 オリーブ、フクロウがアテナの象徴。
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[編集] 由来
イオニア方言系ではアテナイエという。別称として、パラス・アテネもしくは単にパラスと呼ばれるほか、トリトゲネイア、トリトニス(どちらもトリトの神を意味する)とも言われるが、その由来については明らかではない。ローマ神話ではミネルウァ(ロマンス語読みでミネルヴァ)に相当し、すでにエトルリア時代から習合され、崇拝されていた。
戦いの神アレスと異なり、アテナの戦いは聖戦とされ、英雄たちの庇護者として登場するが、これはアテナがポリウコス(都市の守護神)と呼ばれ、ミノア文明にまで遡る都市の安全を司る神であったことに起因するものと考えられている。その傍らには常に勝利の女神ニケが付き従ったとされるが、彼女はまた、アテナの権化であるとされることもある。
また、特にフクロウを伴うこともあり、これがアテナの使いとして信仰された。添名グラウコピスは「輝く眼を持つ者」「灰色の眼を持つ者」と解されるが、語源からは「梟の顔をした」「梟の眼の」の意味をもつ。
アテナ崇拝の中心地は、彼女がポセイドンと支配権を争ったとされるアテナイで、7月にはパンアテナイア祭が執り行われていた。この祭りは4年に一度大祭が行われ、パンアテナイア祭はとくにこの大祭を指すことがある。このときはパルテノン神殿にあるアテネの神像の衣が取り替えられ、乙女たちが新しく織った衣を着せた。アテナイのアクロポリスのパルテノン神殿のメトープには、この衣を運ぶ行列の模様が彫られている。
[編集] 物語
[編集] 誕生
ヘシオドスによると、ゼウスの最初の妻であったメティスが懐妊したが、これに関してウラノスは「もし生まれる子供が男の子なら、彼はゼウスの権力を奪うだろう」と予言した(ギリシア神話では、神々の予言はある種の強制力を持つことに注意)。そのため、これを恐れたゼウスはメティスを飲み込んだ。しかし、胎児はゼウスの中で生きており、ゼウスに激しい頭痛をもたらした。ゼウスが痛みに耐えかねてプロメテウス、もしくはヘパイストスに命じて斧で頭を叩き割ると、中から鎧で武装し既に成人している女神が飛び出した。これがアテナで、ウラノスの預言通り、聡明で気丈な女神となった。
[編集] パラス・アテナ
また、異説によれば、アテナは若い頃にトリトンの娘パラスと一緒に育てられ、二人は親友であった。だが、ある時に武術の訓練をしていた折に、ゼウスがちょっかいを出して盾を落としてパラスを驚かしてしまう。そのため、バランスを崩したパラスをアテナが誤った場所を撃って彼女を死なせてしまう。それを悲しんだアテナは、以後「パラス・アテナ」と名乗ったという。アテナとパラスは、元々同一か双子の女神だったとする説もある。尚、フランスのトランプでは、パラスの名前でスペードのクイーンのモデルとされていて、一般的なカード(インターナショナル・フェイス)では、クイーンの中で唯一武器を所持している。
が、別の説では、パラスという怪獣の皮で盾をつくったため、そう呼ばれた、という説もある。
[編集] ギガントマキア(巨人戦)
ティタン族をタルタロスに幽閉したクロノスに対して、ガイアは怒り、多くの巨人たちを生み出してゼウスを脅かし、戦をけしかけた。これがギガントマキアである。この時、アテナは巨人たちの中で最も強力なエンケラドスと戦い、シチリア島を投げつけて、これを圧殺した。また、トラキアにあっては不死であったアルキュオネウスをヘラクレスとともに引きずり出し、打殺したとされる。
[編集] エレクトニオス
ある日、アテナはヘパイストスの元に武器の発注に訪れる。ところが妻アプロディテと不仲だったヘパイストスは、欲求不満だった事もありアテナに迫ったのである。処女の誓いを立てているアテナは逃げだし、ヘパイストスは足が不自由で女神の敏捷な動きにはついていけなかったが、何とか追いつきアテナの足に精液をぶちまけたのである。何とか逃げ切ったアテナはその場にあった羊皮で汚れた部分を拭いて地面に投げ捨てた。すると、その場所が盛り上がりそこからエレクトニオスが生まれたのである。エレクトニオスは大地から生まれた者の証として下半身が蛇であったと言われる。望んでもいない相手との子供だったが、アテナはエレクトニオスを育てる事にする。アテナはエリクトニオスを箱に入れて、アテナイ王の3人娘に『決して、開けてはいけません』と念を押し預けた。しかし、3人の娘たちは好奇心に勝てず、箱を開けてしまう。びっくりして悲鳴をあげる娘たちの声に気付いたアテナはアテナイにある自分の神殿で育てエリクトニオスは成人後アテナイの王になった。そして父ヘパイストスについて鍛冶場でも修行し、馬で引くギリシャ戦車を発明した。
[編集] 関連項目
- 聖闘士星矢
- アイギス(アテナの防具)
- かみちゃまかりん
- Saint October(葉山小十乃のモチーフ?)