カタロニア讃歌
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カタロニア賛歌(かたろにあさんか、原題 Homage to Catalonia)は英国の文学者ジョージ・オーウェルによる一人称で描かれたスペイン内戦のルポルタージュ。彼自身のスペイン内戦での人民戦線への従軍体験を描いたもので、フランコ将軍指揮下の反乱軍(ファシスト軍)との戦いの模様や、バルセロナで起きた人民戦線内部での内紛・市街戦などを自らの経験を元に語っている。戦争の現実を飾らない文体で克明に描写し、また人民戦線側を内紛へと導いたスターリン主義と非人間的な政党政治への強烈な批判が語られている。また、同時にそんな中でも人間味を失わないスペイン人とカタロニア人への愛情と尊敬も語られている。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] あらすじ
英国の社会派エッセイストであったオーウェルはスペイン内戦の勃発のニュースを耳にして、ファシストの反乱軍と戦うためにスペインのカタルーニャ地方へと赴き義勇軍に志願する。しかし彼がそこで体験したのはロマンティックな英雄譚とは程遠い、退屈で物資に事欠く悲惨なで汚臭にまみれた塹壕戦であった。だが、数ヶ月ぶりに休暇で前線からバルセロナに戻ってきたオーウェルが目にしたものは本来一体となってファシストに立ち向かうべき後方の人民政府(共和国政府)内で繰り広げられる愚かな権力争いであった。ソ連のコミンテルンの支持の元、政府内の主導権を握った共産党は政府内の他の政党をトロツキストと決め付けて敵視し彼らへの締め付けを強化していた。休暇を終え、再び前線に戻ったオーウェルだが、負傷によりバルセロナへと後送される。しかしそこで彼を待っていたものは彼の部隊が所属していたPOUM(マルクス主義統一労働者党)の政府による非合法化、そして共産党とPOUMやアナーキストとの間で繰り広げられる市街戦と政府による逮捕・投獄などの恐怖政治だった。オーウェルの身の上にもその手が及ぼうとするが・・・
[編集] 登場人物
オーウェルの一人称により語られている。
[編集] 日本語訳
- 早川書房・訳者新庄哲夫・ISBN 4150500975
[編集] その他
この体験は社会主義者でありヒューマニストであったオーウェルに大きな影響を及ぼし、オーウェルがより人間の顔をもった社会主義を志向し、非人間的で全体主義的なスターリン主義やソ連政府への批判を行うようになるきっかけとなり、後のスターリン批判の寓話である「動物農場」や全体主義国家への批判であるSF小説「1984年」を執筆する動機ともなった。
また本書は、スターリンや共産党への批判を含むために当時はオーウェルの属している左翼・リベラルの知識人たちからも非難され決して高い評価を得られなかったが、彼の死後その評価は高まり、現在では20世紀後半のジャーナリズムに大きな影響を与え、ルポルタージュ文学の金字塔として今では高く評価されている。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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