キビヤック
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キビヤック、キビャック(kiviakやgiviakと音写されることが多い)は、グリーンランド、アラスカ、カナダなどのエスキモーが作る漬物の一種で伝統的な発酵食品。海鳥をアザラシの中に詰めこみ、地中に長期間埋めて作る。
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[編集] 材料
キビヤックの材料となるのは、アパリアスと呼ばれる海燕の一種とアザラシである。北極圏の短い夏の間、飛来したアパリアスの群れを捕虫網のような道具で捕獲する。
[編集] 製法
- アザラシの腹を裂き、皮下脂肪のみ残して内臓と肉をすべて取り出す。
- 空になったアザラシの内部にアパリアスを(羽などをむしらず)そのままの形で数十羽から多い場合には700羽程詰め込み、アザラシの腹を縫い合わせる。
- これを地面に掘った穴に埋め、上に石を置いて2ヶ月から数年間放置・熟成する。
- アザラシを掘り出し、中からアパリアスを取り出して賞味する。
[編集] 賞味法
食べるときはアパリアスの尾羽を除去した後、肛門に口をつけて発酵して液状になった内臓をすする。肉も、皮を引き裂きながらそのまま食べる。
また、液状になった内蔵を調味料として焼いた肉などにつけて食べることもある。発酵により生成されたビタミンを豊富に含むため、加熱調理で酸化・分解してしまった生肉中のビタミンを補う機能があるとされ、かつては極北地域において貴重なビタミン源の一つであった。
美味だが非常に強い臭気があるとされ、シュールストレミング、くさや、ホンオフェと並び、世界の異臭料理として有名である。誕生日、クリスマス、結婚式や成人式などの祝宴の席でよく供される。
[編集] 参考文献
- 『発酵食品礼賛』小泉武夫(1999、文芸春秋) ISBN 4-16-660076-1
- 『植村直己の冒険学校』植村直己(1986、文藝春秋) ISBN 4163407804
- 『エスキモーになった日本人』大島育雄(1989、文藝春秋) ISBN 4-1634-3500-X
[編集] 関連項目
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