もやしもん
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『もやしもん』は、2004年8月よりイブニングに連載されている石川雅之の漫画作品。菌・ウイルスと農業大学生活をテーマとしている。英語表記では「TALES OF AGRICULTURE」(農業物語)。2006年12月22日発売の4巻が最新。
目次 |
[編集] 概要
作者の説明によると「農大で菌とウイルスとすこしばかりの人間が右往左往する物語」である。
東京にあるとされる「某農業大学」に入学した、「菌の存在」を知覚できるという不思議な能力をもつ主人公・沢木惣右衛門直保をめぐる学園ドラマである。沢木が知覚する「菌」の存在は、かわいらしくデフォルメされたキャラクターとして描かれており、その造形で女性や若年層のファンも多く惹きつけている。実際に、作者のHPにあるBBSには「子供も読んでいるので成人向けの描写は避けて下さい」というような内容の投稿も確認されている。
舞台となる「某農大」のモデルについては、実学を重視する建学の精神、東京の他北の方にもキャンパスがあり、沖縄に実験農場があるなどの共通点や、担当編集者宅の近所にあり、しばしば取材に訪れていることから東京農業大学であると多くの読者が認識しているが、作者はあくまで「フィクションであり、実在の農業大学とは関係ない」としている。なお相違点としては、東京農大には存在する醸造科学科が某農大にはないという点が挙げられる。
本作品では、菌たちが発する「かもす(醸す)」(繁殖する(発酵、腐敗させる)ことを意味する言葉)が作品のシンボル的フレーズとなっている。
単行本2巻の第23話に登場した「大吟醸生原酒 龍神丸 中どり無ろ過」はネット注文のみ限定10本(応募者多数と予想されたため抽選)で販売された(作者と同じ名字の「石川さん」が入手に成功している)。 ちなみに、単行本第2巻13話に登場した「大吟醸生原酒 龍神丸」は、限定品ながら高垣酒造で一般販売しているが、2006年3月31日に発売された2006年度産は10時間ほどで完売した。関連品として同社では,純米吟醸生酒「かもすぞ」を発売している。これには作者がデザインしたラベル(黄麹菌(A.オリゼー)と酵母菌(S.セレビエンシエ)とロゴが描かれている)を使用している。2006年度産はわずか13分で完売。
脚注を作画・作話へ有効に盛り込む手法は、同じ講談社の攻殻機動隊を彷彿とさせる。基本的には「菌」に関する記述は作者、それ以外は「担当さん(=担当編集者氏)」が担当している。
また、人間以外の生物(ウイルスを生物に含めるかについては異論があるが)に明確な人格が与えられ雄弁に喋る、特色あるキャンパスを舞台にしている、メインキャラクターに個性の強い教授、大学院生がいるなどの共通点からしばしば動物のお医者さんと比較対照されることがあり、共通のファンも多い。
余談だが、本作の知識が本格的であることから、近畿大学工学部では、著者に許可を取った上で、本作を正式に実験科目の「教科書」として利用している。
[編集] 既刊情報
講談社より単行本1~4巻が発売中である。1巻は他社の氏の作品集(人斬り竜馬、リイド社刊)と同日販売であった。1巻帯は古紙100%再生紙であり、インクは大豆由来のものを使用している。単行本2巻第1刷には「もやしもんシール」が付録で付いてくる。2巻と3巻の装丁には、ちょっとした仕掛けが隠されている。さらに単行本の次巻予告は「※内容は予告なく全然変更になる事があります」と書きながら全くのデタラメが書かれている。3巻は通常版と特装版の2つが売られているが、ジャケットのみの変更で内容はほぼ同じである。4巻は通常版と限定版の2つが売られており、限定版には携帯ストラップとフィギュア(製造元:海洋堂、製作:榎木もとひで)が同梱されている。
なおタイトルは、第1話が「農大物語」であり、第2話が「農大物語 もやしもん」、第3話は「農大物語改め もやしもん」、第4話は「新タイトル覚えてくれた? もやしもん」、今のロゴデザインになったのは、第5話「ロゴデザイン変えてみました。(農)もやしもん」からである(農は丸の中に稲穂と共に描かれている)。なお、単行本表紙のロゴデザインは統一されていない。
- 1巻 2005年5月 ISBN 4063521060
- 2巻 2005年10月 ISBN 4063521265
- 3巻 通常版 2006年5月 ISBN 4063521516
- 3巻 特装版 2006年5月 ISBN 4063721531
- 4巻 通常版 2006年12月 ISBN 4063521710
- 4巻 限定版 2006年12月 ISBN 4063582345
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 登場人物
[編集] 人間
- 沢木 惣右衛門 直保(さわき そうえもん ただやす)
- この物語の主人公。「某農大」農学部1年生。「もやし屋」こと種麹屋の息子。「惣右衛門」は実家の屋号。普段は「沢木 直保」と屋号を省略する。一見背の低い、どこにでもいる金髪の学生だが、空気中の菌が目に見えるという不思議な能力を持つ(手に取り、会話することもできる)。子供の頃気味悪がられたり、嘘つき呼ばわりされ続けたため、本人はこの能力をあまり好ましく思っていない。菌が見える能力と、彼のどっちつかずな性格が原因で、様々な騒動に巻き込まれていく(または起こす)。割と小心者の一面があり、とある事件(第41話)で、びっくりすると一時的にその能力が消失することが確認されている。しかしそれをきっかけに、菌たちに対する自分の愛情を実感することになる。いつも菌(黄麹菌)が頭や肩に乗っている。
- キャラが強烈な先輩たちにいつも振り回されている。美里や川浜といつも一緒にいるため、結城の他に友人がいないらしい。本人も気にしている様子。イブニング誌上最も影の薄い主人公であり、連載一年後に初めて沢木に対するファンレターが来た。なお、作者は「髪の毛が書きにくい」とぼやく。
- 結城 蛍(ゆうき けい、現在1~15話、46話~。第34話で欄外に登場)
- 「某農大」農学部1年生。沢木の友人であり彼の能力の理解者。中性的な顔立ちの男だが、「女のような顔立ち」というのは禁句らしい(沢木談)。家は造り酒屋であるが、幼い頃のヒオチに関わる事件が原因で日本酒の現状を憂い、その改革を考えている。またそのためヒオチを憎んでいる。酒屋の子のためか、醗酵品についてかなり詳しい。第14話で休学すると宣言し、第15話を最後に1年近く出番が無かったが、第47話でとんでもない再登場を果たした。
- 樹 慶蔵(いつき けいぞう、第1話~)
- 沢木達が入学した菌を研究する「某農大」教授で、菌について語りたがる老人。語りが非常に長いため、語りが始まると沢木達は逃げ出している。研究を妨害する者にはきつ過ぎる制裁を加える。テラフォーミングの思想を支持している。私生活はかなりミステリアスで、実年齢すらわからない(戦時中、航空燃料についての研究職にあったことから考えると、80歳は下らないと思われる)。自身の研究施設である「発酵蔵」が先頃完成した。小泉武夫がモデルと思っている読者がいるが、作者は否定している。
- 長谷川 遥(はせがわ はるか、第1話~第54話。現在日本に不在)
- 「某農大」の大学院生(博士課程在学)。艶っぽい容姿、威圧的なダブルの白衣の下にボンデージ風の服を着込んでいる。武藤は「化粧してない方がかわいい」と言っていたが、しかめっ面で暴力的、時には鞭を振り回す女王様気質の女性。川浜曰く「女の形をした爆弾」。美里・川浜の言動にイライラしている。家は資産家で、過保護気味とのこと。また、酔うと特殊な酒癖が出る。本人は「甘え癖」と言うが…。
- 大学を出ると不本意な結婚をしなければならない為か、やたら研究に没頭したりするなど、自分を追い込む傾向がある。樹の家来と思いきや、実は野望を持っている(第36話)。沢木によって水虫が発達している事をバラされ、それ以来長い戦いを続けていたが、現在は完治。第52話で父親に強引にフランスへ連れて行かれる。
- 美里 薫(みさと かおる、第2話~)
- 「某農大」農学部2年生の関西弁男性。偶然なのかどうかわからない(作者の担当編集員は知らなかった)が、笑い飯の西田幸治にそっくり。酒が大好きで、口噛み酒を自ら造ったことがある。川浜と一緒に酒の密造をして失敗し、一時は莫大な借金を背負う(これは樹先生が肩代わりしてくれた)。大学生活については仲間と楽しく過ごそうと考えており、長谷川とは対称的な考えをしている。沢木たち後輩に何か奢ろうと川浜とのコンビでバイトに合格したが、長谷川のせいですぐにクビにされてしまった。ちゃらんぽらんな性格だが、沢木が能力を失ったのを知られたとき、川浜とともに長谷川からかばった。色っぽい話になると、暴走する傾向あり。
- 川浜 拓馬(かわはま たくま、第2話~)
- 美里と同じく「某農大」農学部2年生の男性。ドラえもん顔と体型。かなりルーズな性格。虫の研究に異様な熱意を燃やす。虫入りチーズを披露し、口噛み酒に卵鞘を勝手に足した事もあった。美里と共に日本酒の密造を行って、素人ゆえか失敗し、一時膨大な金額の借金を背負った。容姿とは裏腹にメキシコからの帰国子女であり、英語・スペイン語を話すことができる。なお、美里・川浜は学生寮の同じ部屋に住んでいる。特技は水泳。納豆が嫌い。前述通り沢木が能力を失ったのを長谷川に知られたとき、美里と一緒に男気を見せ、ファンレターが増えたという。
- 及川 葉月(おいかわ はづき、第6話~)
- 沢木と同じクラスに所属する「某農大」農学部1年生。樹にナンパ(?)されて来たところから知りあう。除菌マニアで潔癖症気味であり、電車のつり革につかまるのも嫌がり、部屋は沢木曰く無菌室状態である(ただし、これは沢木が菌を見る能力を失っていた為)。沢木同様、教授や先輩に振り回されている。ちなみに沢木は彼女に「菌が肉眼で見える」能力を教えていない(除菌マニアの彼女に嫌われたくないため?)ので、具体的には彼の能力を知らない。沢木は「ただのクラスメート」と言っているが、彼とよく一緒にいるため、周囲は仲良しと認識している。蛍によると沢木は彼女のような女の子がタイプらしいが、本人はオヤジ好き。次期ミス農大候補と目されているらしい。講談社刊「週刊石川雅之」収録の「フランスの国鳥」に登場する「はづき」との関連は不明。愛車の原付はベスパのビンテージシリーズ。現在樹ゼミにおける己の立ち位置を模索中。
- 武藤 葵(むとう あおい、第13話~第33話、第35話、第38話~)
- 「某農大」農学部3年生の女性。樹研究室の唯一のゼミ生。かつてはミス農大だったらしい。長谷川に地球の裏側においてかれるという「電波少年」の企画のようなひどい目に遭わされても平然としている。樹先生の超高級ワインコレクションを及川と一緒に飲んでしまい、悪気を感じて発酵蔵の現場責任者となった。ふられやすくいじられやすく、酒に飲まれやすい哀れながら笑えるタイプ。彼氏に振られた事が信じられず、UFOにさらわれたと考え(彼氏の方に非があると思えるが、沢木に「現実逃避じゃ…」とつっこまれた)発酵蔵の責任者になるまではUFO研に所属していた。彼女の初登場時における鼻絆創膏姿を好む読者がおり、何度か復活した。
- 宏岡 亜矢(ひろおか あや、第16話~)
- 「某農大」農業経済学部3年生の女性。武藤の親友でかなりの腕のバーテンダー。ただ、客が未成年と知りつつも酒を飲ませるなど、職業意識については疑問の余地がある。まだ6回(第16、20、32、47、53、55話)しか出ていないが、沢木・及川に自説を語ったり適切なアドバイスをしたり、樹と(学生なのに)タメ口で話したりするなどその存在感はかなりのもの。月刊アフタヌーンの「出張版」にも登場。チアリーダー部に所属している。登場人物中、唯一人のたれ目。
- 日吉 菊二(ひよしきくじ、第12話~)
- 「日吉酒店」の隠居。菌に好かれており、外出する際には酒屋に棲みついている菌がくっついてくる。菌が見える沢木はその様子を「菌のオバケ」「巨大な粘菌」と例えた。樹慶蔵と同期(どこの同期かは不明)。酒屋の店主をしているケンドーコバヤシに似た「兄」と、ゴスロリファッションをした、人形のような容姿の「妹」(実は蛍)の2人の孫がいる。
- 金城 優(かねしろゆう、第33話~37話)
- 沖縄にある、某農大南の島実験農場の管理人。外見は色黒になった結城蛍といった感じだが、こちらは女性。沖縄の未来を憂えている様子。
- UFO研の面々
- かつて武藤が部長を務めていたサークルのメンバー。現在のリーダーは蒼井という男性。いかがわしい知識は豊富だが、反面一般的な知識には乏しく、インフルエンザウイルスが増殖・変異するのに好適な環境を偶然作り出した上で共同生活を送ったり、土を真空パックしてボツリヌス菌が毒素を作り出す環境にするなどし、そのつど除菌されている。
- 武藤を奪われた恨みから、樹が密かに育てていた田んぼの稲を倒して人工ミステリーサークルをつくる、という報復を行うが、樹によってすぐに制裁を受けた。そしてついに廃部となる。廃部となっても大学には一応通っている模様。
※登場人物の名字の共通点 - アダルトビデオ女優の名前を元にしている説がある。
[編集] 細菌・菌・ウイルス
もやしもんに登場する細菌・菌類・ウイルス達。かわいくデフォルメしたデザインで登場する。「かもすぞー」が口癖(危険な菌は「かもしてころす」と言う)。『もやしもん』以外の漫画作品にも登場したことがある(高梨みどり『銀座の番ねこ』、やぶうちゆうき『警視正 椎名啓介』、二ノ宮知子『のだめカンタービレ』、寺沢大介『喰いタン』)。作者には彼らのオリジナルストラップ製作の夢があったが、単行本第4巻の限定版付録として実現した。なんと近年では大人の事情の壁を越えて【スクウェア・エニックス出版のヤングガンガン(ヤンガン)創刊2周年記念サプライズ】で応援出張出演もする(その時は金田一蓮十郎『ニコイチ』をかもした)。なお実際とは多少異なるため、詳細は文献やリンク先を参照のこと。アルファベット順に示す。また、菌類と細菌とウィルスがごっちゃになっているので注意が必要。
- A.アセチ(Acetobacter aceti)
- 酢酸菌。こいつがビールや薄めた日本酒などの酒をかもすと酢ができる。いわゆる酢酸発酵。
- A.アルテルナータ(Alternaria alternata)
- ススカビ、あるいはアルテルナリア。至る所に存在する。プラスチックが好物でコンタクトレンズを曇らせる。作中では涙滴型の頭部が3つ連なった姿をしており、それぞれが別々に喋る。。
- A.アワモリ(Aspergillus awamori)
- 温暖な気候に適し、名前の通り泡盛など南方の酒をかもす。
- A.オリゼー(Aspergillus oryzae)
- コウジカビの一種、黄麹菌。いつも主人公の肩や頭に乗っかっている、菌側の主役的存在。合体して巨大化することも。デンプンを糖に分解する。温暖な気候を好む。第38話ではメインキャラである。
- A.カルコアセティカス
- 表皮常在菌。
- A.キシリナム
- 酢酸菌。ナタデココはこいつが作り出す。
- A.ソーエ(Aspergillus sojae)
- コウジカビの一種。事実上、自然界には分布していない。高濃度の塩分にも強く、醤油や味噌をかもす。うまみについて語らせると長いらしい。A.オリゼー同様第38話の主役。
- A.パシラティクス
- アスペルギルス属の一種で、A.ソーエそっくりに描かれる。色んなところで見つかる。強力な発ガン性物質アフラトキシンを作る。
- A.フミガーツス
- オリゼーと似た姿をしている。抗ガン作用を持つ可能性があるためスゲー見られて(観察されて)いる模様。
- A.フラブス(Aspergillus flavus)
- アスペルギルス属の一種で、A.オリゼーそっくりに描かれる。あらゆる物をかもして強力な発ガン性物質アフラトキシンを作る。
- A.ニガー(Aspergillus niger)
- 黒コウジカビ。米をかもしてもろみ酢を作る、クエン酸ブームの陰の立役者。しかし、体に入ると厄介な病気の原因となる
- A.レータス
- 第40話で長谷川のワキや指の間をかもそうと狙うが、水虫予防が完璧なためとりつけずにいる。
- B.シネレア(Botrytis cinerea)
- ハイイロカビ。貴腐ワインを作る。
- B.サブチリス
- 枯草菌。
- B.ハロデュランス(Bacillus halodurans)
- バチルス属、好アルカリ細菌。公園のトイレやホンオフェなど、アンモニアがある場所を好む。
- B.ビフィダム
- ビフィズス菌の一種。
- B.ブレビス
- 第13話で武藤と一緒にドイツからやってきた。
- B.ナットー
- 納豆菌。アジアには親戚がいる模様。
- C.トリコイデス(Cladosporium trichoides)
- クロカビの一つ、クラドスポリウム。マンガではサザエさんの様な髪形の真っ黒な姿で描かれている。風呂場のクロズミはこの菌によるもの。
- C.ボツリナム(Clostridium botulinum)
- ボツリヌス菌。嫌気性菌で空気のある場所では芽胞に包まれているが、真空になると芽胞が割れ、地上最強の毒素を生み出す。なお、その凶悪な毒素は美容整形に利用可能。悪そうな顔が出てくる様子が描かれている。
- C.パーフリンゲンス(Clostridium perfringens )
- ウェルシュ菌。どこにでもいる土壌細菌だが、芽胞を持つため熱に強く、本作他のだめカンタービレでもカレーをかもして食中毒の原因になった。
- C.シネンシス(Cordyceps sinensis)
- 虫草菌。コウモリガの幼虫の死骸から冬虫夏草を作る。借金返済のために美里と川浜が飼っていた物は及川の除菌攻撃の前に全滅。。
- C.ジフテロイド
- ワキガの原因となる。
- C.グロボーサム(Chaetomium globosum)
- ケタマカビの一種。セルロース分解菌。木、繊維、紙をかもす
- C.テタニ
- 破傷風菌。
- C.マリティマ
- 海中や砂浜によくいる。
- E.コリ(Escherichia coli)
- 大腸菌。糞と一緒に出ると、表皮常在菌に駆逐される運命。体内以外にも湿潤な場所に存在している。高梨みどり『銀座の番ねこ』をかもした。度々でしゃばっては、よく喋る。
- E.クロアカ
- 土壌菌。水、土、腸内にいる。
- F.ロゼウム(Fusarium roseum)
- フザリウム。この菌の繁殖を妨げない商品も「防カビ」と銘打ってもいいとされているほどありふれた、いわゆる雑菌。作中では3つのバナナの房が連なったような頭部をしている。
- F.パシンフェクタム
- アカカビの仲間。
- ゲオトリクム(Geotrichum spp.)
- 分節胞子を作る分生子形成菌。白っぽいコロニーを作る。酵母に近い性格。
- G.エツニカタム
- アーバスキュラー菌根(作品中ではVA菌根と表記)を作る菌。
- H.ピロリ
- ピロリ菌。
- I.オリエンタリス
- 第26話欄外にのみ登場。酸に強くワイン作りにも参加する。
- インフルエンザウィルス(influenzavirus)
- UFO研部室で大繁殖していた。
- L.ガゼイ
- L.サケ
- 植物性乳酸菌。日本酒をかもすのに使われることがある。
- L.フルクチボランス(Lactobacillus fructivorans)
- ヘテロ型乳酸菌の一種で「火落ち菌」と呼ばれる。日本酒の発酵で用いる、コウジカビが生成するメバロン酸が好物であり日本酒を腐敗させる。日本酒醸造の現場ではこれを「火落ち」「腐造」と言う。
- L.ヨグルティ(Lactobacillus yogurti)
- 日本で作られるヨーグルトによく入っている。作中では日本産ヨーグルトに使われることから、ちょんまげがついたデザインで描かれ、語尾に「ござる」とつけて喋る。現在は菌の分類が変わり、学術的にはこの名前は使われていない。
- L.エドデス(Lentinula edodes)
- 椎茸菌。エドデスとは「江戸です」が語源と作中にあるが、これは誤解の模様。詳細は椎茸の項を参照。
- M.フルフル(Malassezia furfur)
- 癜風菌。フケの原因菌であるが、表皮常在菌の一員として皮膚に病原菌が付くのを防ぐ働きもする。
- M.ムセド(Mucor mucedo)
- ケカビの一種。大型のもの、獣糞などに出現。
- M.プシルス(M.プルシスとあるのは多分勘違い Mocor Pusillus)
- ケカビの一種。好高温菌。チーズ作りに利用。
- M.カニス
- イヌ小胞糸菌。
- M.マグネタクティカム
- 走磁性細菌。
- M.ラクナータ
- 常在菌。
- O-157(Escherichia coli O157:H7)
- 腸管出血性大腸菌。少しだけ悪そうな顔で描かれている。「かもして、ころすぞ」と危険性を自らカミングアウトしている。
- P.アクネス
- ニキビ菌。毛根を好む。
- P.オパーレ
- 常在菌。
- P.クリソゲヌム(Penicillium chrysogenum)
- 青カビの一種。抗生物質ペニシリンの原料となるが、非常にありふれたカビなので、純粋培養したところで売り物にはならない。作中ではA.オリゼー、S.セレビシエと共に出番が多く、新聞広告などにも良く組んで登場する。
- P.シゲロイデス
- 食中毒の原因となる。
- フィザルム・ポリセファルム(Physarum polycephalum)
- モジホコリ、変形菌の一種。もっともよく実験に使われる種。作品中では迷路実験をさせられている。
- ライノウイルス(Rhinovirus)
- ライノとは鼻のこと。上気道炎を起こす。潜伏期間が1-3日と短く、吸い込んだら翌朝風邪をこじらせる可能性がある。
- R.ジャパニクス(Rhizopus japanicus)
- クモノスカビの一種。中国で酒を造るのに利用。
- R.オリゴスポラス(Rhizopus oligosporus)
- クモノスカビの一種。テンペを作るのに使われる。。
- S.アウレウス(Staphylococcus aureus)
- 黄色ブドウ球菌。様々な病気の原因になるマルチプレイヤーであるが、基本的には日和見感染菌であり、健康であればあまり害を及ぼすことはない。雪印乳業食中毒事件の原因菌でもあるが、毒素産生株と非産生株があり、食中毒の原因菌となるのは毒素産生株のみ。毒素=エンテロトキシンはA,B,C,D,E型の5種類がある。菌は熱に弱いが、毒素は熱に強いため、一旦毒素が産生されてしまったら加熱しても無駄。
- S.ウパルム
- ビールをかもす。
- S.エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis )
- 表皮ブドウ球菌の一種。表皮常在菌の一種で、体が健康な場合は善玉菌として皮膚に雑菌が付くのを防ぐ。
- S.サケ
- 清酒酵母。日本酒をかもす。
- S.セレジン
- パン酵母。いわゆるイースト菌。
- S.セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)
- 酵母の一種(出芽酵母)。糖をアルコールに変える。親戚にはパンや醤油の製造に活躍するものがいる。ビール酵母はやぶうちゆうき『警視正 椎名啓介』をかもした。「かもすぞ」という台詞を最初に言った菌でもある。
- S.ディゼンティリイエ
- 赤痢菌。
- S.ラクチス(Streptococcus lactis, Lactococcus lactis)
- 乳酸菌の一種。牛乳加工に役立つ。現在は後者の学名が使われる。
- S.ルーキシィ
- しょうゆをかもす。
- S.ルテア
- 湿ったところを好む。
- T.アクラスポルム
- 流木からよく採取される。
- T.コニンギ
- 木、繊維、紙をかもす。
- T.トンズランス
- 中南米の土着の白癬菌だが、近年は日本でも見られるようになってきた。
- T.ハルジアナム
- 落ち葉をかもす。
- T.マツタケ(Tricholoma matsutake)
- 松茸菌。DNA解析によりヨーロッパ産のT.nauseosumと同一種であることが判明している。
- T.メンタグルフィティス
- たむし菌。
- T.ラディアータ
- 糸状菌。
- T.ルブラム(Tricophyton rubrum)
- 真菌の一種である白癬菌の一種。上記T.メンタグルフィティスの近種。水虫の原因となる。かつて長谷川遥の足の指をかもしていた。
- V.コレレ
- エトール型コレラ。いわゆるコレラの病原菌とは別物。
- V.パラヘモリティカス
- 腸炎ピブリオ菌。
- X.キャンペストリス
- 土壌菌。除草剤代わりとしても使われる。
[編集] それ以外の生物
- デモデクス・フォリキュロラム(Demodex folliculorum)
- デモデクス・ブレビス(D. brevis)
- 前者がニキビダニ、後者がコニキビダニ。いずれもヒトの顔の汗腺に寄生。両者わずかに棲み分ける。いずれも普通は害を与えるものではないので怖がる必要はない。
[編集] 発酵食品
もやしもんに登場する発酵食品たち。
- キビヤック
- 海鳥をアザラシの腹の中に詰め、地中に埋めて発酵させる。イヌイットの知恵による。
- 日本酒
- 大人の事情により極めて密造することが困難な、日本が世界に冠たる発酵食品。
- ホンオフェ
- 韓国・全羅南道の発酵食品。エイを甕に入れ、常温で放置して発酵させる。
- どぶろく
- 糟を濾さない日本酒。一般家庭でも醸造可能だが、法律違反。韓国のマッコリも登場する。
- 口噛みの酒
- 口嚼ノ酒。上記の通り、美里が披露した。作中ではそれに川浜が卵鞘(ゴキブリのものと思われる。第九話参照)を入れていた。
- チーズ
- 牛乳を酵素で凝固させ、場合によっては乳酸菌やカビなどで発酵させた食品。作中ではラクレット、カズ・マルツウ〔正式名称フォルマジョ・コン・ヴェルメ(Formaggio con verme)〕(ウジ入りチーズ)、ミモレットが登場。
- ヨーグルト
- 乳酸菌発酵させた牛乳。沢木は菌が見えてしまうので苦手。
- カルピス
- 乳酸菌飲料。作中に登場するのは某農大オリジナルのカルピス風飲料。腹を壊した沢木に長谷川が飲んでいた物を勧めた。
- ワイン
- 葡萄酒。現在発酵蔵完成年記念ワインをかもし中。また、武藤が発酵蔵責任者にされた原因にもなった。
- 納豆
- 日本が世界に誇る発酵食品の一つ。
- シュールストレミング
- スウェーデンが誇る世界最強の発酵食品。現地では「レ」と「ロ」の間の発音をする。武藤がこれのせいで酷な目に合わされた。
- 泡盛
- 沖縄県の焼酎。3年以上熟成させれば「古酒(クース)」となる。作中ではほぼ現存していないと思われる二百年(に相当する熟成を人工的に促進させた)ものが登場する。
- 鰹節
- 鰹を燻製にした上で発酵させたもの。世界で一番堅い発酵食品。
- パン
- 小麦などで作った生地を発酵させ、焼いたもの。
- 味噌
- 大豆に麹や塩をまぜあわせ、発酵させた日本古来の食品。
- ビール
- 麦から作られたアルコール飲料。麦酒とも表記する。現代日本では酒類としては最も多く消費されている。
- バニラ
- ラン科の植物。未熟な鞘を自身の持つ酵素によって半発酵(キュアリング)させ、バニリンを主に含む香り成分を得る(第三十三話参照)。
- チョコレート
- 発酵させたカカオの種子から得られるカカオマスやカカオバターを主原料とした菓子。健康食品、媚薬としても有名。「樹慶蔵特製媚薬セット」の中の一品(第十九話参照)。長谷川と及川が摂取したが、効果は定かではない。
- ピクルス
- 漬け物の一種。発酵させるものと、発酵させずに酢やワインなど保存性のあるものに漬け込むものとがある。
- クワス
- ライ麦・麦芽または黒パンを原料に作られるアルコール飲料。