シャカリキ!
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『シャカリキ!』は曽田正人による自転車漫画。1992年から1995年まで『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)に連載された。少年チャンピオンコミックス版は全18巻。小学館より愛蔵版7巻が刊行されているほか、文庫化もされている。曽田正人の出世作。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] 概要
曽田正人の初連載作品。ロードレースの魅力がふんだんに盛り込まれたスポーツ漫画。話の展開は決してうまいものとは言えないが、個性的で魅力あふれる登場人物やレースの熱気が伝わってくるような迫力ある描写から総じて評価は高い。
[編集] あらすじ
自転車を愛する少年野々村輝がロードレーサーに乗り、さまざまなロードレースで個性あふれるライバルたちと戦いながら、日本でも有数のクライマーに成長するまでを描く。なお作中に登場するツール・ド・おきなわは実在のレースである。
[編集] 登場人物
- 野々村輝
- 本作の主人公。作中では「テル」と表記される場合が多い。日の本大学附属亀ヶ丘高校(通称:亀高)1年生。身長161cm。坂にしか興味がもてない坂バカ。
- 脚質はクライマー。鼻水と涎をたらしながら、限界まで突っ走る彼の姿は小学時代からの友人から「70%の力で上れる坂でも100%の力で少しでも早く上がろうとする馬鹿」と評される。坂や向かい風など抵抗するべきものがあるときに最大の力を発揮し、登りの強さに隠れがちだが、下りも人並み以上にこなす。
- 負けず嫌いで、ひたすらわが道を行く性格。普段は無口で、ぼーっとしているのに、いつの間にか周囲に人が集まっているという不思議な一面も。レースのときの闘志あふれる顔と普段の間の抜けた顔のギャップが激しい。
- 8歳で自転車を買って貰った直後、両親の都合で東京から関西の、坂ばかりでほとんど自転車の利用者がいない“坂の町”に引っ越す。そこで地元の少年たちに馬鹿にされながらも数々の坂に自転車で挑み続け、中学生になる頃には街でもっとも長い一番坂を登りきる事ができるまでになっていた。
- 中学3年の夏休み前に、ライバルとなる由多比呂彦に出会い、進学先を「日の本大学附属亀ヶ丘高校」(亀高)に決定。周囲から合格は無理と思われたが、執念で合格して自転車部に入部。
- 以後、部員であるユタ・鳩村らとの切磋琢磨や石渡山レースの体験を通じてロードレーサーとして成長していく。 夏合宿中の事故によって右足副側靭帯損傷および右足首複雑骨折という大怪我を負ったが、不屈の精神によるリハビリで復活。
- ツール・ド・おきなわではビアンキGIRO(シマノ105仕様)と、山岳王の証である赤い水玉ジャージ「マイヨ・グランペール」を着用してライバルたちと戦う。
- その走りは天から授かったものではなく、全て自分の手でわし掴みにして得たもの。天才から最も遠い位置にいる、努力することの天才。
- 名台詞は「勝ちとうのうてチャリンコ乗っとるんか。坂はそんなんやない」「落車はもう怖くなくなった。ビョーインに行ば治してくれるのがわかったさかい」など。
- 由多比呂彦
- テルの最大のライバル。「ユタ」と表記されることが多く、「由多」との表記であってもルビはカタカナで振られていることがほとんどである。亀高1年生。身長180cm。ハイスピードこそが最高に格好いいと考えるスピードホリック。
- 脚質はスプリンター。ゴール前の加速力から「ロケット・ユタ」の異名を持ち、ツール・ド・おきなわではポイント賞を獲得。雨中のダウンヒルでも圧倒的なスピードを見せて「マシンとアドリブでダンスを踊る男」と評された。その一方で、スピードの出ない登りは嫌いで、あまりやる気を見せない(ただし、あくまでも嫌いなだけで、各種レースでは上位で通過しており、こうしたことから実際の脚質はスプリンターよりオールラウンダーと見るのが妥当と思われる)。
- オリンピック候補にもなった亀高自転車部の由多監督の息子。父親譲りの天賦の才能を幼いころからの努力で磨きあげ、その実力はすでに高校生離れしたものになっている。愛車はルック。
- 外見は母親譲りで、線の細い長髪の美形。同世代の女性ファンが多いが、本人はテルの姉であるさゆりに惚れている。ただ最終的には女性より自転車を優先させる性格であり、普段のクールで少し生意気な態度の裏には並々ならぬ激情を秘めている。
- テルを最初は「トーシロ」扱いして、見下していたが、数々のレースを経てその存在を強く意識するようになり、ついにはその実力を認め、ツール・ド・おきなわでテルと死闘を繰り広げる。
- 自分の感性を信じて、ノーブレーキでかっ飛んでいく走りは「天才」と言われるのにふさわしく、テルの走りとは対極の位置にあり、二人はまさに水と油のような関係である。
- 名台詞は「チェーンはでかいギヤにかけたかぁ!?!」「ダウンヒルは自分の力で、自分の意志の力で下るんだ。たぶん人生を切り拓くみたいに!!!」など。
- 鳩村大輔
- 自転車部のエース。亀高3年生。身長164cm。自転車に全てを懸ける炎の男。
- 脚質はオールラウンダー。平地、坂、下り、ゴールスプリントとあらゆる場面で戦えるが、特に登りではテルやハリスといったクライマーたちと互角に渡り合うほどの実力を持つ。
- 本格的に自転車競技を始めたのは、少年時代に由多監督とユタに出会ったことがきっかけ。当初は愛車パナソニックには他人に指一本触れさせない「おっかない人」として描かれていた。闘志をむきだしにした走りで、前年のツール・ド・おきなわ10位など多くのレースで活躍しており、高校生にして、すでに国内有数の実力者。
- 由多監督から亀高自転車部のキャプテンに指名されるが、彼のレベルの高さに周りがついて行けず、テルとユタの入部までは、レース出場のため便宜的に部に在籍している状態だった。2人の加入以後は不器用ながらも徐々に副キャプテンの松任谷と共に自転車部を引っ張るようになる(もっとも実務は松任谷に任せっぱなし)。
- 二重まぶたのタレ眼とタラコ唇が特徴。テルに劣らない猛烈な負けず嫌い。ゴールスプリントでわざとトップギヤを残したまま勝利するという挑発行為をしたハリスに対して「倒す! おきなわを見ていろ! 必ずテメエを倒すぞ!!」と絶叫し、同じ部に所属するテルとユタも、仲間というより倒すべきライバルとみなしている。後日のツール・ド・おきなわでも、山岳賞をめぐってテル、ハリスとすさまじい激闘を繰り広げた。
- 自転車選手としては小柄な体だが、それを補うべく不断の努力を積み重ねてきた男。それゆえ、テルには深い共感を覚えると同時に、近親憎悪にも似た猛烈な対抗意識を燃やす。
- 中盤までパナソニックの“炎のマイヨ”(ジャージ)を愛用。以後は由多監督の着た日本代表ジャージを着用している。
- 名台詞は「あいつは来る!!! 来るサ!!」「自転車に乗れるから地上にいようと思う。この乗り物がなけりゃ生きてみたいとも思わない!!!」など。
- 松任谷譲
- 自転車部の副キャプテン。亀高3年生。身長179cm。キャプテンとしての仕事を放棄している鳩村の代わりに、自転車部の運営に四苦八苦している。我の塊のようなテルや鳩村と周囲とのつなぎ役になったり、インターハイ予選でのチームTTでメンバーの足を引っ張るまいと奮闘したり、怪我をして入院したテルを気にして何度も見舞いに訪れ、リハビリに付き合ったりと、常に他人のことを気にかける面倒見のいい性格。
- 才能的にはテル、ユタ、鳩村の3人に劣るが、ツール・ド・おきなわでは30位に入る走りを見せており、その実力は決して低いものではない。
- 名台詞は「たまらんなー、コイツらのお守りは…」など。
- ハリス・リボルバー
- コロンビア出身の留学生で、MBKに乗るもう一人の「坂バカ」。あさみ野原工業高1年生、身長185cm。テルにとって「レーサーとしてのライバル」であるユタに対して、“主戦場”を同じくするハリスは「山岳でのライバル」ともいうべき存在。登り坂の終わりにあえてシフトアップし、羽ばたくように駆け上がることからつけられた異名がエル・コンドル。
- 脚質はクライマー。トップギアを残したままのゴールスプリントでユタや鳩村を破ったことから回転型の選手と推察される。
- その実力は、幼いころから山の上の町まで、自転車で花の配達をしていたことで養われたものであり、美しいダンシングを武器に、小学生のころから数々のレースで優勝していた。しかし中学校卒業直前、母親に自転車を止めるように忠告され、失意のうちに母の言葉に従って、恋人である鈴子のいる日本へ留学(勉強もできたため、国の留学候補生に選ばれていた)。
- そのため、初登場したインターハイ予選でのチームTTの時には、重度のホームシックにかかっており、コースの下見の際にテルと言葉も通じないまま並んで、ぼんやりカールを齧っているなど、まったくやる気がない状態だった。だが、亀高の走りと鈴子の悔し涙を見て徐々に本来の走りを取り戻し、仲間をおいて一人で独走。その圧倒的な走りでテルに強い印象を残す。
- 以降出場するレースで入賞を重ね、ユタや鳩村たちと競ったレースでも勝利。ツール・ド・おきなわにおいても強烈な存在感を見せた。
- 父親がおらず、母親に育てられたためか、かなりのマザコンであり、母親の悪口を言う人間は許さない。
- 名台詞は「こいつを倒せるならなンにもいらない!!」「お前はぼくの後ろだ!!」など。
- 柘植たつや
- 日の本大自転車部主将で、亀高自転車部OB。日の本大学4年生。身長185cm。普段の生活においてもレーサーとしての視点で判断・行動し、レースにおいては冷静な計算で展開をコントロールして勝ちにいくことから、電算機(コンピュータ)の異名を取る戦略家。自分一人の力で勝つだけでなく、仲間たちとのチーム力で勝利を手にする走りを得意としており、統率力にも優れている。
- 前年の国体ロード準優勝、ツール・ド・おきなわ4位入賞。高校時代にはテルたちが果たせなかったインターハイ出場も成し遂げている。使用している自転車はエディ・メルクス。
- 自分が高校時代に由多監督の目になかなか留まらなかったのに対して、テルたちは目をかけられていることに軽い嫉妬を見せる。しかし夏の日の本大・亀高の合同合宿では、テルの欠点である上半身の弱さを見抜いて的確な練習メニューを用意するなど、基本的にいい人。
- ボサボサ髪で、額に傷があり、前歯も2本欠けているという厳つい風貌にもかかわらず、普段はコミカルな言動が目立つ。おまけに女性にめっぽう惚れ易く、作中でテルの姉のさゆりに不器用なモーションをかけて、ユタからライバル視されるなど、愛すべき性格の持ち主。
- 名台詞は「勝利へのプラン固まった!」など。
- 酒巻玲於奈
- 日本ロードレース界において皇帝と称される日本屈指のロードレーサー。身長185cm。実業団チームの帝都舗道に所属。
- 脚質は不明だが、自ら果敢に先頭を走り、相手をちぎるスタイルであることからスピードマン、ないしTTスペシャリストの要素を持っていると考えられる。前年度ツール・ド・おきなわ優勝。ツール・ド・北海道、全日本選手権2連覇のチャンピョンとして、テルやハリスを初めとした次世代のレーサー達の乗り越えるべき「壁」として存在する。使用する自転車はコルナゴ。
- 海外のレースで名を上げ、海外の実業団チームからのオファーまであと一歩と言う所まで辿り着きながら、重要なレースで情報不足と判断ミスによって勝利を逃して、無念の帰国となった過去をもつ。
- ヒゲをたくわえたダンディな外見とは裏腹に「オレは皇帝(カイザー)ではなく挑戦者(チャレンジャー)だ」と言い切る情熱家。
- ツール・ド・おきなわ開幕直後は、高校生勢を軽視するが、序盤のユタや鳩村、そして山岳におけるハリスやテルの走りを目の当たりにし、倒すべき敵として認識。デッドヒートを繰り広げた。
- おきなわ終了後に現役を引退。帝都舗道の監督に就任予定である。
- 名台詞は「しっかりついて来やがれ!!ひよっこども!!」など。
- 牧瀬健太郎
- 実業団チーム・帝都舗道に所属するレーサー。身長180cm。日本でもトップクラスに入る実力の持ち主で愛称はマッキー。「皇帝」と呼ばれる酒巻に対して「貴公子」と評される。前年度ツール・ド・おきなわ2位。
- 脚質はオールラウンダーで、なかでも登りを得意とする。使用する自転車はコルナゴ。
- 石渡山レースにおいてもその実力を見せるが、テル・ユタ・鳩村による意図せぬ揺さぶりや連携によって山岳賞はテルに獲られ、ゴールでも鳩村に敗れて2位に終わった。
- そのため物語終盤のツール・ド・おきなわでは、先輩であり倒すべき目標である酒巻だけでなく、高校生たちに対しても内心強い対抗心を燃やす。
- 名台詞は「ぼくはこの人に勝ちたい!」など。
- 星カオル
- 実業団チーム・丹波工業に所属するレーサー。前年度ツール・ド・おきなわ3位。使用する自転車はコルナゴ。
- 牧瀬同様、酒巻に憧れつつも倒すべき対象として闘志を燃やしている。
- 由多比呂士
- 亀高自転車部の監督。身長170cm。亀高では体育教諭を勤める。由多比呂彦の父でもある。
- いかつい外見とは裏腹に、テルやユタ、鳩村といった個性の固まりのような亀高自転車部メンバーを安易に型にはめず、その才能を伸ばしていこうとする名指導者であり、部員たちからも尊敬されている。
- 若い頃は、トラック競技出身のロードレーサーとして「ロケット・ユタ」の異名を誇り、非公式ながら当時のアワーレコード世界記録に並んだほどの実力の持ち主。東京オリンピック代表候補にもなったが、強化合宿中のトラックとの接触事故により右脚を負傷。選手生命を断たれ、それ以来自転車には乗っていない(ただし、石渡山ロードレースの後にまた再開したい旨の発言をしている)。
- 沖縄では、テルや鳩村を応援しつつも、息子のユタを勝たせたいと思ったりと、監督と父親の間で揺れ動いていた。
- 亀高自転車部員が将来グランツールで走っている姿を想像したり、テルが山岳賞を獲ったときに雄たけびをあげるなど、熱い気持ちを今なお忘れない、永遠の少年でもある。
- 名台詞は「NICE FIGHT!」など。
- 永田桜
- 自転車部のマネージャー。亀高1年生。テルとはクラスメイトでもある。整形外科永田医院の一人娘でユタとは同じ中学の出身。入学式の日に、自転車の変速機の調子が悪いのを見てもらったことでテルと知り合う。普段は「永田さん」「永田ちゃん」と呼ばれることが多い。
- たいへん女性らしい体つきで、華のある美少女。自転車部員や同級生にもファンが多い。
- なりゆきと勢いで自転車部のマネージャーになったものの、最初はロードレースに関する知識もなく、ほとんど仕事をこなせていなかったが、物語が進むに連れて板についてきた様子で、さまざまな形で部員たちをサポートする。
- 坂に挑み続けるテルに徐々に惹かれていき、ツール・ド・おきなわでその気持ちをはっきり自覚。物語終盤では勢いに任せてキスをしたが、その後それを思い出して悶絶していた。
- 石渡草丸の顔がプリントされたマイヨ・イシワタを「すてき」と言うなど、独特の美的センスの持ち主でもある。
- 東海林さん
- 亀高自転車部のもう一人のマネージャー。亀高1年生。身長158cm。最初はクラスメイトとして登場。永田さんとは友達。
- 夏休みに行われた日の本大学との合同合宿で手伝いをすればタダで海に行けるという理由でマネージャー役を勤め、そのままマネージャーとなってしまった。
- さゆりや永田さんほどではないが、やっぱりスタイルのよい美少女。しかし感情表現が豊かで、コミカルな表情も多々見せるため、あまりそういうイメージを受けない。
- 気が強く、リハビリ中のテルに「一人脱落」と言い捨てたり、無愛想な態度をとる鳩村に最初は反感を抱くが、その裏にある不器用な優しさや自転車に対する真摯な姿勢を垣間見るにつれて、徐々に惹かれていく。
- 小林コーチ
- 亀高自転車部で由多監督のサポート的役割を勤める亀高教諭。
- 由多監督同様、強権的に部員たちを従わせるのではなく、一人ひとりにいま何が必要なのかを考えて行動するよき指導者。練習メニューの管理、終了後の簡易マッサージ、レースでのメカニックサポートまで労をいとわず行う。
- また、普段はあまり自己主張をしないが、石渡山レースで鳩村のアシストとして働くよう指示されたテルたちを好きなように走らせてやろうと進言したり、おきなわで鳩村が倒れたとき、我を忘れて駆け寄ろうとした由多監督を制止して、サポートカーを運転するよう指示して自分がケアに向かうようにしたりと、締めるところは、しっかり締める優れた補佐役。
- 名台詞は「あれがあるからギリギリまでクランクが回せるんだ。いろんなものの助けを借りてロードレーサーは前に進むんだよ」
- 野々村さゆり
- 野々村輝の姉。22歳。167cmの長身にメリハリボディの、大人の魅力をもった美人(テルと全然似てないと言われている)。人前ではお淑やかにしているが、家族の前では、帰省してだらけきっているのを母親に注意されたり、朝起きようとしないテルを電気あんまで叩き起こしたりと、表と裏の顔のギャップが激しい。
- 高校を卒業後、横浜でOLをしており、亀高に合格したテルを自分のマンションに下宿させて生活全般の面倒を見たり、留年が決まったテルに「好きにしなさい。一年や二年の留年くらいなら私が面倒見てあげる」と言うなどたいへんな弟想い。
- 夏のボーナスでテルに最初のロードをプレゼントしたのも彼女であり、テルの自転車に対する情熱にも深い理解を示している。
- 双葉哲平
- “坂の町”唯一の自転車店「双葉双輪館」店主であり、テルの一番の理解者。愛称は「双葉のおっちゃん」もしくは「おっちゃん」。
- 坂の町で5年ぶりに見た「自転車に乗ってる子供」であるテルの坂への挑戦を見守り続けてきた。また亀高入学前には、レーサーシューズを買いに来たテルにジャージやヘルメットを入学祝い代わりにプレゼントして、しっかりやるよう励ましている。
- フレームビルダーでもあり、テルの最初のロードを組んだのは彼。東京オリンピックでは日本代表チームのメカニックの一員であったため、代表候補であった由多監督とも面識があり、テルが石渡山ロードレースで山岳賞を獲得したときには「ワシのフレームの初勝利だったんや」と嬉しそうに語っていた。
- 石渡草丸
- テルにとっての初レースであり、関東ではメジャーな大会とされる「石渡山市民サイクルロードレース」のメインスポンサー・石渡建設のオーナー経営者。身長160cm。
- “ハマのラルプ・デュエズ”と称される石渡山のオーナーでもあり、選手が苦しむ顔が見たいという理由でわざわざコースに組み込んだイヤな奴。かなりわがままで傲慢な性格で自分の思い通りにならないとすぐ激昂する。この性格になったのは、戦後に裸一貫から苦労して今の会社を築いたことが関係している。
- 彼の意向によって、作中の第7回から山岳賞が設定されており、テルがツール・ド・おきなわで着た水玉ジャージはこの山岳賞の証である。
- ちなみに優勝の証である「マイヨ・イシワタ」には石渡の顔がでかでかとプリントされており、あまりのセンスの悪さに、優勝した鳩村はおろか誰も欲しがらず、いつの間にかどこかに消えてしまった(実は永田さんが所有している)。
- 石渡山のレースで最初は牧瀬を応援していたが、途中からテルの走りにほれ込んでしまい、わざわざ合宿先や沖縄までテルの姿を観戦しに行くほどになった。
- 黒沢鈴子
- あさみ野工業高校1年生。自転車部のマネージャーであり、ハリスの恋人でもある(すでに深い仲になっているらしい)。幼いころ親の仕事の関係でコロンビアに住んでいたためスペイン語がペラペラ。ハリスの通訳も勤めている。
- つり眼にメガネをかけた、ショートカットの美少女。ハリスの坂を軽やかに登る走りに惚れ込んでおり、「エル・コンドル」と名づけたのも彼女。
- とても気が強く、ものごとをはっきりと言う性格で、メンタル面で弱いところのあるハリスを叱咤激励したり、時にボディブローを叩き込んで気合を入れている。
- 一方でマネージャーの仕事をテキパキこなしたり、ハリスの「ここではスズコがぼくのママだ」という言葉に顔を赤らめるなど、女性的な面もある。
- 原監督
- 日の本大学自転車部監督。由多監督とは高校時代の同級生。
- 高校卒業後、スポーツ生理学を学ぶために渡欧。そこでスポーツマッサージと出会い、本格的に技術を吸収して帰国する。かなり禿げ気味の頭とサングラスが特徴。「日本でただ一人、本当のスポーツマッサージができる男」と言われ、”マジック”と称される彼のマッサージを受けた選手は、ハードな練習の翌日でもまったく疲れが残らないほどの効果がある。
- 柘植たちからは「ボス」と呼ばれ、直立不動であいさつされるほど敬われているが、本人はいたって穏やかな物腰の人物。
- モデルになったのは、ラリードライバーのディディエ・オリオール。
- 梓・阿部・新田
- 日の本大学自転車部員。日の本大学4年生。美形(梓)、マッチョ(阿部)、メガネ(新田)のトリオで、4年前に亀高がインターハイに出たときのメンバーでもある。
- 状況に応じたペース作りと、正確なフォーメーションで柘植を献身的にアシストする。
- 梓は柘植と特に強い絆を感じているのか、柘植がさゆりにモーションをかけているのを嫉妬の目で見ていた。阿部は寡黙で冷静。新田は柘植に似て、ややコミカルな性格をしている。
- アシストとはいえ、柘植についていくだけあり、3人ともその実力は十分。
- 雄太・淳・悠
- テルの友人で小~中学校の同級生。小太り(雄太)、タレ眼(淳)、メガネ(悠)の3人組。テルが坂の町に越してきた日、坂に挑戦しているのを見て、最初はバカにしていたが、ボロボロになってもひたすらペダルを漕ぐに次第に惹きつけられ、テルの走りの最初のファンになる。
- 雄太は勉強嫌いで3人の中では中心的存在で、淳は美術が、悠は野球が得意である。
- テルが亀高に合格して横浜に移り、ほかの3人も別々の高校に進学したため、会う機会は減ったが、テルの出場するレースを双葉のおっちゃんと一緒に応援に行くなどその友情と応援ぶりに変わりはない。
- オサム
- 神戸から坂の町に引っ越してきた小学生。一番坂を毎日登り続けたテルの話を聞いて憧れている。友達といっしょに、二番坂を自転車で登っていたときに、リハビリで帰ってきたテルと出会う。
- よれよれになって坂を登るテルを見て、本人とは知らずバカにするが、テルが格好悪くも一生懸命に登る様子にいつしか認識を改めていき、テルの正体を知った後は毎日のように声援を送るようになる。
- 双葉のおっちゃんたちに連れて行ってもらったツール・ド・おきなわでテルの激走を見て、いつか真正面からテルに挑もうと固く決意する。
- 早川先生
- 一番坂のてっぺんにある、テルが通っていた中学校の教諭。教育熱心で進路相談役も務めている。バトミントン部顧問。普段からテルに口やかましく小言を言っていたが、それは心配からくるもので、八つ当たりやヒステリー的なものではない。
- 一番坂を登るテルを、笛を鳴らしながらスクーターで追いかける様子は町の一つの名物だった。
- なんだかんだで、テルのことを気にかけている良き先生。
- 鷲尾さん
- アマ車連の職員。いつかサイクルジャーナリストになるのが夢で、「伝説の勇者たち」と題したノートをいつも持ち歩いては、審判として参加したレースでのさまざまな名シーンを書き記している。
- いつもメガネフレームがキラリと光っているのが特徴。
- インターハイのチームTTで、亀高の審判員を務めたことでテルやユタたちを知ることになり、その走りに衝撃を受けた。以来、夏合宿を石渡草丸と一緒に見学しにいったり、沖縄に着いたテルたちに好意で当日のコース案内をするなどして、亀高メンバーに注目のまなざしを向けている。
- ツール・ド・おきなわでは伴走車に乗って、テルたちの戦いを見届けた。
- テルの母
- ちょっと過保護で心配性の気があるお母さん。テルの自転車に対する情熱や生き様が理解できずに悩むことが多い。
- ただ、リハビリを終えて横浜に帰るテルに、ビアンキGIROのフレームをプレゼントしており、自転車に乗ることそのものに反対しているわけではない。「なぜそこまで熱中するのか」が、分からないために悩んでいる。
- 沖縄でテルの走りを見て、テルのことは「これでいいんだわ」と悟り、以後テルの挑戦を見守ることになる。
- ちなみに一度お父さんに怒鳴られたことがあるが、そのときにかなりショックを受けており、その様子から普段は夫婦仲が良いことが伺える。
- テルの父
- 穏やかで優しい性格のお父さん。あまり口に出さないが、リハビリで帰ってきたテルを止めるお母さんがいないスキに「行ってきなさい」とこっそり送り出したり、留年しても一向に気にしないで坂を登っていることを心配するお母さんに「男の子にはああいうものがあっていいんだ」と諭したりと、テルの生き方に理解と憧憬を示している。
- ハリスの母
- 夫とは死別しており、女手ひとつでハリスを育ててきた。花を栽培して、それをアレンの店に卸して生計を立てている。
- 綺麗な顔立ちだが、物憂げな表情を浮かべていることが多い。
- 一人息子であるハリスのことをとても大事に思っている。中学卒業前に「自転車で全てを手に入れられる」と思い留学を断ろうとしたハリスに「お前は戦いをする人間じゃないわ」と言って、自転車より勉強で身を立てるように諭し、日本に留学させた。
- アレン
- コロンビアの町で花屋を営む。自転車レースの大ファンで、有名なプロロードレーサーであるルイス・ヘレラを応援している。若いころにプロのロード選手を目指したが、体重が増えすぎてしまい、断念した経験がある。
- ハリスが初めて花の配達に来たとき、ボロボロになって、花を途中でほとんど落としてしまいながらも延々登ってきた様子に衝撃を受けるとともに、「戦う人間」の姿を感じて、母親に対して「そいつが運んできたときはいつもの倍、花を買ってもいい」と言って、ハリスが配達するよう指名。それによってハリスのしっかりした体は出来上がった。ハリスをレースの世界に誘ったのも彼である。
- 鈴子同様、ハリスの走りに心底惚れ込んでおり、「俺のエル・コンドル」と言ってはばからない。
- 失意のハリスが日本に留学する時には「おめぇはまだ本当のレースをなーんにも知らねぇ!!」という言葉で自転車を止めないように叱咤し、二人で号泣した。
- ハリスにとって、自分の走りと成長をずっと見守り続けてくれたアレンは父親代わりのような存在であり、母親、鈴子とともに、とても大切な人と考えている。
[編集] 作品の特徴
登場人物
- 本作で描かれるテルという主人公は自転車で坂を登ることに対してひたすら情熱を注ぐ。その「熱さ」は周囲にいる人々をも巻き込んで燃え上がらせ、いつの間にかテルの虜にしてしまう。だが、酒巻に「お前は間違いなく10年以内につぶれるよ」と言われたように、その情熱はテル自身を焼き滅ぼしていく業火でもある。
- このように多分に狂気を含んだ、「炎の如きもの」を心に抱え、将来の悲劇を予感させるがゆえにあまりにも魅力的な主人公像は『め組の大吾』の大吾、『昴』のスバル、、『capeta』のカペタにも共通しており、曽田作品の最大の特徴でもある。
- また、テルだけでなくユタ、鳩村、ハリスも程度に差こそあれ、自分には自転車しかない、と考えている熱い男たちであり、鳩村に至っては「自転車がないなら生きてみたいとも思わない」と言い切るほどである。
描写
- 人物については初期のころは、画力不足やデッサンの狂いが目立ち、上手とは言えない画風であったが、徐々に安定していった。一方、自転車については当初から精緻な描写が目立ち、小さなコマでもチェーンやギヤの歯まで、しっかり描かれているのが特徴である(アシスタントはかなり苦労していたという)。
- ただ、左ディレイラーのシフトダウン操作でアウターにシフトアップする描写があるなど一部に描写の間違いが見られる。
- また、骨折後のギブスをはずした直後にいきなり脚を曲げたり、坂でシフトアップしたりアウター×トップで走る、雨の中をノーブレーキでダウンヒルするなど、通常ではありえない(もしくは推奨されない)描写が多々ある。
- ちなみに、本作のファンの間では、これらの行為が間違っていると分かっていても、つい挑戦してしまうケースが多い。
設定の問題点
- テルの人間関係について、さゆりは友達が多いと言っているがテルの母は「あの子は友達もほとんどできなかった」と正反対の回想をしていたり、上記に記したユタの脚質の謎など矛盾が各所に見られる。
- またいくつかの伏線が投げっぱなしになっていたり(ユタと永田さんの関係、柘植のおきなわでの扱いなど)、体が十分に出来上がっていない高校1年生が半年ちょっとで日本一になれるのかといった疑問もある。
- ただし、こうした要素が本作の評価に対してマイナスに働いている様子は、ほとんどないことも併記しておく。
[編集] 続編について
テルたちのその後を描いた続編を望む声が根強くあるが、曽田氏は秋田書店版コミックの最終巻で「テルというでっかい男が、小さい日本にいたころの話しか僕には描けない」と書いているほか、近年ゲスト出演したツール・ド・フランスの番組やWebでも「もうテルたちを描くことはないだろう」という旨の発言をしており、現時点では実現の見込みは薄い。
[編集] 単行本
- シャカリキ!―Run for tomorrow! 1巻:ISBN 4253043011
- シャカリキ!―Run for tomorrow! 2巻:ISBN 425304302X
- シャカリキ!―Run for tomorrow! 3巻:ISBN 4253043038
- シャカリキ!―Run for tomorrow! 4巻:ISBN 4253043046
- シャカリキ!―Run for tomorrow! 5巻:ISBN 4253043054
- シャカリキ!―Run for tomorrow! 6巻:ISBN 4253043062
- シャカリキ!―Run for tomorrow! 7巻:ISBN 4253043070
- シャカリキ!―Run for tomorrow! 8巻:ISBN 4253043089
- シャカリキ!―Run for tomorrow! 9巻:ISBN 4253043097
- シャカリキ!―Run for tomorrow! 10巻:ISBN 4253043100
- シャカリキ!―Run for tomorrow! 11巻:ISBN 4253043119
- シャカリキ!―Run for tomorrow! 12巻:ISBN 4253043127
- シャカリキ!―Run for tomorrow! 13巻:ISBN 4253043135
- シャカリキ!―Run for tomorrow! 14巻:ISBN 4253043143
- シャカリキ!―Run for tomorrow! 15巻:ISBN 4253043151
- シャカリキ!―Run for tomorrow! 16巻:ISBN 425304316X
- シャカリキ!―Run for tomorrow! 17巻:ISBN 425304526X
- シャカリキ!―Run for tomorrow! 18巻:ISBN 4253045278
愛蔵版
- シャカリキ! 1巻:ISBN 4091868010
- シャカリキ! 2巻:ISBN 4091868029
- シャカリキ! 3巻:ISBN 4091868037
- シャカリキ! 4巻:ISBN 4091868045
- シャカリキ! 5巻:ISBN 4091868053
- シャカリキ! 6巻:ISBN 4091868061
- シャカリキ! 7巻:ISBN 409186807X
文庫版
- シャカリキ! 1巻:ISBN 4091936423
- シャカリキ! 2巻:ISBN 4091936431
- シャカリキ! 3巻:ISBN 409193644X
- シャカリキ! 4巻:ISBN 4091936458
- シャカリキ! 5巻:ISBN 4091936466
- シャカリキ! 6巻:ISBN 4091936474
- シャカリキ! 7巻:ISBN 4091936482
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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