国民体育大会
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国民体育大会(こくみんたいいくたいかい National Sports Festival)は、毎年1月のスケート&アイスホッケー競技会、2月のスキー競技会、9月~10月の秋季大会の3つの節に分かれて行われる、日本のスポーツの祭典。国体と略される。
目次 |
[編集] 概説
以前は水泳競技を中心とした夏季大会と陸上競技を中心とした秋季大会が存在したが、2006年の兵庫県での大会から夏季と秋季の大会を一体化して3大会制に変更された。第64回大会(2009年9月26日-10月6日予定、新潟県)以降の水泳大会については、日本体育協会は2006年12月20日の国民体育大会委員会で9月中旬までに先行開催する方針を決めた。これは、水泳の競技特性を考えた措置であるという。このため実質的には再び4大会に戻される格好となる。
(過去の)夏季・秋季大会は基本的に同一都道府県での開催。冬季2大会も合わせて同一都道府県で開催すると、「完全国体」となる。(特に北海道、東北、甲信越、北陸といった寒冷地で秋季の大会が行われる時に冬季2大会も同時に開催するケースが多い。まれにスケート&アイスホッケー大会がさらに分離して行われるケースもある)また秋季大会終了後には「全国障害者スポーツ大会」も行われる。
- スケート&アイスホッケー競技会ではフィギュアスケート、スピードスケート、ショートトラックスケート、アイスホッケーが開催される。
- スキー競技会は大回転競技とジャンプ競技、ノルディック複合競技、クロスカントリー競技、モーグル競技が行われる。
- 秋季大会は競泳、水球、ボウリング、サッカー、陸上競技、柔道、剣道、フェンシング、レスリング、バレーボール、バスケットボール、軟式野球(社会人のみ正式種目)、高校野球(硬式、軟式 何れも公開種目)等が開催される。以前夏季と秋季に分かれていた頃は競泳、水球、ボウリング、サッカーなどは夏季に開催された。
- このほか1988年の2巡目最初・京都国体から「デモンストレーションとしてのスポーツ行事」(デモスポ)が行われている。体力づくりを目的に実施されるコミュニティースポーツを開催都道府県に在住・若しくは在勤・在学している人を対象に競技が行われる。
大会は正式種目の順位を得点に置き換えて争い、4大会の通算で男女総合順位の1位に「天皇杯」女子の総合1位に「皇后杯」が贈呈される。
近年は開催都道府県の選手強化や大会運営に資金を注ぎ込むことが問題視されていること(特に総合ポイント争いでは常に開催都道府県が優勝し続けていたが、2002年のよさこい高知国体で1977年以来24年続いた男女アベック優勝と1963年からの天皇杯優勝がストップし、男女とも東京都が優勝した)から、国体のスリム化が段階を追って行われている。高知国体からサッカーを秋季から夏季に移行したり、陸上競技を秋季大会開会式前に行って日程を10日間ほどに延長したりした。
当初、夏季大会と秋季大会は恒久的に関西地区で開催される予定であったが、第一回大会終了後石川県が、第二回秋季大会の開催地として立候補した事が契機となり、各県持ち回りとなった。
[編集] 参加資格・年齢区分
- 参加資格は競技によって異なるが、原則として当該開催年度において中学3年生以上であることが条件となっている。
- 年齢区分も競技により異なるが、陸上競技と競泳の一般的な例を示す。他の競技もおおむね、これに準じたものとなっている。
- 少年B:当該開催年の16年前の4月2日~当該開催年の14年前の4月1日の期間に生まれた者(高1・中3)
- 少年A:当該開催年の18年前の4月2日~当該開催年の16年前の4月1日の期間に生まれた者(高3・高2)
- 成年:当該開催年の18年前の4月1日以前に生まれた者
[編集] 大会シンボルマーク
第2回石川大会に制定した。マークは、30度右傾斜した赤色の火炎を青色の円帯(幅はマーク全体の直径の1/10)で囲んだもの。
[編集] 大会の歴史
- 創始
1945年12月26日、岸記念体育館にて平沼亮三(大日本体育協会理事)、末広厳太郎(大日本水上競技連盟会長)、清瀬三郎、久富達夫、石田啓次郎ら戦前から競技団体の要職にあった人たちが会合し、戦後のスポーツのあり方と競技団体の組織と事業について話し合うなかで全国体育大会の開催が提案された。
1946年、平沼、清瀬らは春日弘(関西スポーツ連合会長)と懇談し、理事会を結成。実施要綱が検討され、GHQの全国的な承認、政府から40万円の補助金を得て第1回国民体育大会がスタートした。
- 開催地
回 | 年 | 開催地 | 回 | 年 | 開催地 | 回 | 年 | 開催地 | 回 | 年 | 開催地 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1946年 | 京阪神地域 | 21 | 1966年 | 大分県 | 40 | 1985年 | 鳥取県 | 60 | 2005年 | 岡山県 |
2 | 1947年 | 石川県 | 22 | 1967年 | 埼玉県 | 41 | 1986年 | 山梨県 | 61 | 2006年 | 兵庫県 |
3 | 1948年 | 福岡県 | 23 | 1968年 | 福井県 | 42 | 1987年 | 沖縄県 | 62 | 2007年 | 秋田県 |
4 | 1949年 | 東京都 | 24 | 1969年 | 長崎県 | 43 | 1988年 | 京都府 | 63 | 2008年 | 大分県 |
5 | 1950年 | 愛知県 | 25 | 1970年 | 岩手県 | 44 | 1989年 | 北海道 | 64 | 2009年 | 新潟県 |
6 | 1951年 | 広島県 | 26 | 1971年 | 和歌山県 | 45 | 1990年 | 福岡県 | 65 | 2010年 | 千葉県 |
7 | 1952年 | 福島・宮城・山形 | 27 | 1972年 | 鹿児島県 | 46 | 1991年 | 石川県 | 66 | 2011年 | 山口県 |
8 | 1953年 | 愛媛・香川・徳島・高知 | - | 1973年 | 沖縄県(本土復帰記念特別国体) | 47 | 1992年 | 山形県 | 67 | 2012年 | 岐阜県 |
9 | 1954年 | 北海道 | 28 | 1973年 | 千葉県 | 48 | 1993年 | 香川・徳島 | 68 | 2013年 | 東京都 |
10 | 1955年 | 神奈川県 | 29 | 1974年 | 茨城県 | 49 | 1994年 | 愛知県 | 69 | 2014年 | 長崎県 |
11 | 1956年 | 兵庫県 | 30 | 1975年 | 三重県 | 50 | 1995年 | 福島県 | 70 | 2015年 | 和歌山県 |
12 | 1957年 | 静岡県 | 31 | 1976年 | 佐賀県 | 51 | 1996年 | 広島県 | 71 | 2016年 | 岩手県? |
13 | 1958年 | 富山県 | 32 | 1977年 | 青森県 | 52 | 1997年 | 大阪府 | 72 | 2017年 | 愛媛県 |
14 | 1959年 | 東京都 | 33 | 1978年 | 長野県 | 53 | 1998年 | 神奈川県 | 73 | 2018年 | 未定 |
15 | 1960年 | 熊本県 | 34 | 1979年 | 宮崎県 | 54 | 1999年 | 熊本県 | 74 | 2019年 | 未定 |
16 | 1961年 | 秋田県 | 35 | 1980年 | 栃木県 | 55 | 2000年 | 富山県 | 75 | 2020年 | 未定 |
17 | 1962年 | 岡山県 | 36 | 1981年 | 滋賀県 | 56 | 2001年 | 宮城県 | 76 | 2021年 | 未定 |
18 | 1963年 | 山口県 | 37 | 1982年 | 島根県 | 57 | 2002年 | 高知県 | 77 | 2022年 | 未定 |
19 | 1964年 | 新潟県 | 38 | 1983年 | 群馬県 | 58 | 2003年 | 静岡県 | 78 | 2023年 | 未定 |
20 | 1965年 | 岐阜県 | 39 | 1984年 | 奈良県 | 59 | 2004年 | 埼玉県 | 79 | 2024年 | 未定 |
- ※1959年の東京国体秋季大会で、愛知・三重・岐阜県は伊勢湾台風の影響により参加せず
- ※1964年の新潟国体は東京オリンピックの開催の都合もあるため、秋季大会を春季(6月)に繰り上げて開催。また夏季大会はその直後に発生した新潟地震の影響で取りやめとなった
- ※1973年の沖縄国体は、本土復帰記念の特別国体
[編集] 歴代総合優勝チーム
年度 | 回 | 天皇杯(都道府県) | 皇后杯(都道府県) |
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1948年 | 3 | 東京 | 京都 |
1949年 | 4 | 東京 | 東京 |
1950年 | 5 | 東京 | 東京 |
1951年 | 6冬 | 北海道 | 北海道 |
1951年 | 6夏秋 | 東京 | 東京 |
1952年 | 7冬 | 北海道 | 北海道 |
1952年 | 7夏秋 | 東京 | 東京 |
1953年 | 8冬 | 北海道 | 北海道 |
1953年 | 8夏秋 | 東京 | 東京 |
1954年 | 9冬 | 北海道 | 北海道 |
1954年 | 9水泳 | 奈良 | 奈良 |
1954年 | 9夏秋 | 東京 | 東京 |
1955年 | 10 | 東京 | 東京 |
1956年 | 11 | 東京 | 東京 |
1957年 | 12 | 静岡 | 東京 |
1958年 | 13 | 東京 | 東京 |
1959年 | 14 | 東京 | 東京 |
1960年 | 15 | 東京 | 東京 |
1961年 | 16 | 東京 | 東京 |
1962年 | 17 | 東京 | 東京 |
1963年 | 18 | 東京 | 東京 |
1964年 | 19 | 新潟 | 新潟 |
1965年 | 20 | 岐阜 | 岐阜 |
1966年 | 21 | 大分 | 東京 |
1967年 | 22 | 埼玉 | 埼玉 |
1968年 | 23 | 福井 | 東京 |
1969年 | 24 | 長崎 | 長崎 |
1970年 | 25 | 岩手 | 大阪 |
1971年 | 26 | 和歌山 | 大阪 |
1972年 | 27 | 鹿児島 | 鹿児島 |
1973年 | 28 | 千葉 | 東京 |
1974年 | 29 | 茨城 | 茨城 |
1975年 | 30 | 三重 | 三重 |
1976年 | 31 | 佐賀 | 東京 |
1977年 | 32 | 青森 | 東京 |
1978年 | 33 | 長野 | 長野 |
1979年 | 34 | 宮崎 | 宮崎 |
1980年 | 35 | 栃木 | 栃木 |
1981年 | 36 | 滋賀 | 滋賀 |
1982年 | 37 | 島根 | 島根 |
1983年 | 38 | 群馬 | 群馬 |
1984年 | 39 | 奈良 | 奈良 |
1985年 | 40 | 鳥取 | 鳥取 |
1986年 | 41 | 山梨 | 山梨 |
1987年 | 42 | 沖縄 | 沖縄 |
1988年 | 43 | 京都 | 京都 |
1989年 | 44 | 北海道 | 北海道 |
1990年 | 45 | 福岡 | 福岡 |
1991年 | 46 | 石川 | 石川 |
1992年 | 47 | 山形 | 山形 |
1993年 | 48 | 香川 | 香川 |
1994年 | 49 | 愛知 | 愛知 |
1995年 | 50 | 福島 | 福島 |
1996年 | 51 | 広島 | 広島 |
1997年 | 52 | 大阪 | 大阪 |
1998年 | 53 | 神奈川 | 神奈川 |
1999年 | 54 | 熊本 | 熊本 |
2000年 | 55 | 富山 | 富山 |
2001年 | 56 | 宮城 | 宮城 |
2002年 | 57 | 東京 | 東京 |
2003年 | 58 | 静岡 | 静岡 |
2004年 | 59 | 埼玉 | 埼玉 |
2005年 | 60 | 岡山 | 岡山 |
2006年 | 61 | 兵庫 | 兵庫 |
[編集] 記念発行物
第1回を除く国体において特殊切手(記念切手)が発行されている。第2回~5回までが4種類(第3回のみ5種類)、第6回~21回までが2種類、第7回以降は1種類の発行である。他の記念切手が封書(定型25g以下)の料金であるのに対し、国体切手は葉書の料金であるのが特徴である。
[編集] 開会式
第2回の秋季大会から大会歌として作詞・佐伯孝夫、作曲・高田信一の『若い力』が開・閉会式で歌われ、併せてマスゲームが行われたりする。なお、開会式には、今上天皇・皇后両名(秋季大会)・皇太子(総合開会式)・秋篠宮文仁親王(冬季スキー競技会)が出席する。なお、秋季大会には炬火(きょか)リレーが行われ、開会式で炬火台に点火され、総合閉会式で納火する。
[編集] 関連項目
- 国体道路
- マスコットキャラクター一覧
- 全国青年大会(国体出場経験者等は出場できない青年層のスポーツ・文化の祭典)
[編集] 外部リンク
国民体育大会 | |
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1946, 1947, 1948, 1949, 1950, 1951, 1952, 1953, 1954, 1955, 1956, 1957, 1958, 1959, 1960, 1961, 1962, 1963, 1964, 1965, 1966, 1967, 1968, 1969, 1970, 1971, 1972, 1973, 1974, 1975, 1976, 1977, 1978, 1979, 1980, 1981, 1982, 1983, 1984, 1985, 1986, 1987, 1988, 1989, 1990, 1991, 1992, 1993, 1994, 1995, 1996, 1997, 1998, 1999, 2000, 2001, 2002, 2003, 2004, 2005, 2006, 2007, 2008, 2009, 2010 |
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若夏国体 | |