ジャン・ボードリヤール
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ジャン・ボードリヤール(Jean Baudrillard, 1929年7月29日 - 2007年3月6日)はフランスの思想家である。『消費社会の神話と構造』(La Societe de Consommation 1970)は現代思想に大きな影響を与えた。
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[編集] 経歴
1929年7月29日にランスの小作農の家に生まれる。ソルボンヌ大学でドイツ語を学び、マルクスとブレヒトを翻訳する。後にマルクス主義から転向したとされる。
大量消費時代を迎え、商品が使用価値としてだけでなく、記号として立ち現れることを説いた。アラン・ソーカルらによって、数学・科学用語を不適切に使用しているとの批判を受ける(→ソーカル事件参照)。
1990年代には写真家、写真評論家としても活躍し、写真評論集として『消滅の技法』などがある。
ボードリヤールは映画のマトリックスに大きな影響を与えた。現に映画の中でもハードカバーの著書『シミュラークルとシミュレーション』が登場している。2作目の制作に入ってからウォシャウスキー監督はボードリヤールに映画に関してアドバイスするよう要請した。しかし、ボードリヤール自身は拒否した。
2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件以降、テロの背景にアメリカ自身が持つ問題を積極的に論じた。
[編集] 邦訳著書
[編集] 単著
- 『消費社会の神話と構造』(紀伊國屋書店, 1979年)
- 『物の体系――記号の消費』(法政大学出版局, 1980年)
- 『生産の鏡』(法政大学出版局, 1981年)
- 『象徴交換と死』(筑摩書房, 1982年/ちくま学芸文庫, 1992年)
- 『記号の経済学批判』(法政大学出版局, 1982年)
- 『シミュレーションの時代――ボードリヤール日本で語る』(JICC出版局, 1982年)
- 『シミュラークルとシミュレーション』(法政大学出版局, 1984年)
- 『誘惑論序説――フーコーを忘れよう』(国文社, 1984年)
- 『誘惑の戦略』(法政大学出版局, 1985年)
- 『アメリカ――砂漠よ永遠に』(法政大学出版局, 1988年)
- 『宿命の戦略』(法政大学出版局, 1990年)
- 『透きとおった悪』(紀伊國屋書店, 1991年)
- 『湾岸戦争は起こらなかった』(紀伊國屋書店, 1991年)
- 『消滅の技法』(Parco出版, 1997年)
- 『完全犯罪』(紀伊國屋書店, 1998年)
- 『不可能な交換』(紀伊國屋書店, 2002年)
- 『パスワード――彼自身によるボードリヤール』(NTT出版, 2003年)
- 『パワー・インフェルノ――グローバル・パワーとテロリズム』(NTT出版, 2003年)
- 『暴力とグローバリゼーション』(NTT出版, 2004年)
[編集] 共著
- (吉本隆明)『世紀末を語る――あるいは消費社会の行方について』(紀伊國屋書店, 1995年)
- (マルク・ギヨーム)『世紀末の他者たち』(紀伊國屋書店, 1995年)
- (エドガール・モラン)『ハイパーテロルとグローバリゼーション』(岩波書店, 2004年)
- (ジャン・ヌーベル)『les objets singuliers――建築と哲学』(鹿島出版会, 2005年)
[編集] 共編著
- 『化粧』(リブロポート, 1986年)
- 『デザイン』(リブロポート, 1988年)
- 『声』(リブロポート, 1988年)
- 『恐怖』(リブロポート, 1989年)
- 『ニッポン』(リブロポート, 1990年)
- 『世紀末の政治』(リブロポート, 1992年)