スペースマンボウ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ジャンル | シューティングゲーム |
対応機種 | MSX2、携帯アプリ |
開発元 | MSX2:コナミ |
発売元 | MSX2:コナミ |
人数 | 1人 |
メディア | MSX2:2Mbitロムカセット |
発売日 | MSX2:1989年12月21日 |
価格 | MSX2:6800円(税抜) |
スペースマンボウは1989年にコナミがMSX2用に発売したシューティングゲームである。
コナミのシューティングゲームといえばグラディウスシリーズが有名であるが、MSX用グラディウスシリーズの展開が一段落した後に発売されたこのゲームは当時のコナミがMSXのゲーム開発において高い技術力を発揮した典型的なゲームとなっており、隠れた傑作として評価されることも多い。
目次 |
[編集] ストーリー
星歴189年、銀河辺境星域”アルファード4”で、人類を遙かに超える古代超文明の遺跡が発見された。ところが調査が進むうち、遺跡の防衛システムが突如として目覚めた。
調査団を敵と見なした防衛システムは、調査団の母星、太陽系に向け最終兵器の巨大宇宙船「SUN-FISH(マンボウ)」を発進させてしまう。
マンボウは強力な装甲とバリアーで外敵を寄せつけないばかりか、恒星をも破壊する巨大なビーム砲を備えている。太陽系に近づきつつあるマンボウを食い止める方法はただ一つ、アルファード4地下にあるワープゲートよりマンボウのバリア内に侵入し、マンボウを直接破壊するしかない。
元エース・パイロットで異星考古学者のクリーバー・ミューは、マンボウを阻止するため、アルファード4より発掘された小型宇宙船「マンボウ-J(ジュニア)」で出撃する。 クリーバーは、果たしてマンボウの太陽系破壊を食い止めることができるのだろうか?
[編集] 作品解説
基本は横スクロールシューティングゲームであるが、ステージの途中で斜め前方、上、下、斜め後方に スクロール方向が変わる特徴がある(自機の攻撃方向は一定)。また高速スクロールステージも存在する。
グラディウスに比較するとパワーアップシステムは比較的シンプルで、自機の上と下に固定位置のオプション、 地形を這って移動するミサイル、自機のショットが二種類(エネルギー蓄積によるパワーアップあり)、 スピードアップなどが存在する。 ミスをして装備を失っても復活が容易なので、当時のグラディウスシリーズなどに比べるとゲーム全体としての難易度は比較的低い (若干ゲームの展開でムラが感じられる部分はある。また複雑な地形はグラディウス譲りである)。
その分、グラディウス譲りのステージごとに特化したギミックを楽しませる点ではより進化しているといえるであろう。 特に最終ステージの「巨大レーザー」(「奥様うっとりレーザー」という俗称もある)は当時プレイした人を驚かせた。
[編集] 技術的な詳細
このゲームは、横スクロール機能の無いMSX2で、VDPの画像表示位置を補正する機能を画面書き換えによる8ドット単位スクロールに併用することで、スムーズな横スクロール(画面更新30枚/秒)を実現している。
この方法でスクロールさせるため場合、一定量(8ドット)のスクロールを行った後には、画面全体をまるまる書き換える必要がある。そのため、ドット単位に色指定の出来る(代わりに全てのドットを逐一更新しなければならない)ビットマップグラフィックモードを避け、MSX2で新規搭載された中では最も制限の多い、キャラクターモード(8x8ドット単位のキャラクタで各キャラクタの横8ドットに2色のみが使える)にカラーパレット・多色スプライトが使える画面モード(MSX-BASICで言うところのSCREEN4)を使用している。このことによりVRAMの更新量が抑えられ、満足の行く処理速度が得られている。
MSX用グラディウスシリーズと同様に、キャラクタの一部はバックグラウンドに直接描画し、表示キャラクターの多さを確保しながらスプライト特有の画面のちらつきを軽減している。当時のコナミの技術とセンス(グラディウス2も参照)も相まって、一目見た限りではゲームの画面はその制限を感じさせないグラフィックになっている。
なお、同様の技術を使用し横スクロールを行ったMSX2用のゲームには、ヘルツの「サイコワールド」(アクションゲーム、画面更新60枚/秒)、「ハイディフォス」(シューティング、画面更新60枚/秒)や、コナミの野球ゲーム「激突ペナントレース2」(画面更新60枚/秒)などがある。また、スクロール機能のないMSX1(TMS9918)でスムーススクロールを実現したタイトルとしては「テセウス」などがある(PCG書き換えによって、ドット単位のスクロールをしているかのように見せている)。
音楽の面ではコナミが独自開発したサウンドチップSCCを搭載。サウンドトラックも発売された。
[編集] キャラクター
自機の他にも、ゲーム中にはほとんど出てこないそのパイロットの設定が用意されてある。
- マンボウ-J
- 自機。アルファード4から発掘された設計図を元にして作られた強力な戦闘機。小型ながらマンボウとほぼ同じ力を持っている。パワーアップ可能なニードル・ワイド二種類のショット、対地用ミサイル、任意で上下左右にニードルショットを放つオプション(最大二基)、画面内の敵を一掃するブラックホール爆弾といった武器が使用できる。
- クリーバー・ミュー
- マンボウ-Jのパイロット。異星考古学者であり、元星間連合のエース・パイロット。アルファード4から発掘された古文書を解読し、マンボウ攻略の鍵を見いだす。
[編集] パワーアップの方法と種類
パワーアップは編隊や特定の敵を倒すと現れるアイテムカプセルを取ることで各種武装が得られるというもの。 対応するアイテムによるパワーアップという点では、同社の「グラディウス」より「沙羅曼蛇」に近い。また、アイテムの種類は各所のアイテムキャリア毎に固定されているわけではなく、出現順で固定されている(例えば次でミサイルを出すはずのキャリアを撃ち逃しても、その次に登場するキャリアを破壊すればミサイルアイテムが出現する)。 アイテムカプセルの出現順は
スピードアップ - パワーカプセル - ミサイル - オプション - ワイド(もしくはニードル)ショット - ブラックホール爆弾
のループで、スピードアップ・ミサイル・オプションはそれぞれパワーアップレベルが最高になると、次周以降は代わりにパワーカプセルが出現する。 各アイテムの説明は以下の通り。
- スピードアップ
- 「S」と表示されたカプセル。自機の移動速度が上がる。最高6段階。それ以上取っても変化はない。自機が破壊される以外に下げる方法がないため、取りすぎに注意。
- パワーカプセル
- 赤色のカプセル。ショットの威力が上がる。ストックする毎に画面上部に表示されている16個のパワーレベルゲージが1つずつ点灯していき、一定数(0段階・1~8段階・9~16段階)ごとに威力が3レベルまで上がる。また、パワーレベルは一定時間毎に減少するのでショットレベルを維持するためにはパワーカプセルを常に回収していく必要がある。
- ミサイル
- 「M」と表示されたカプセル。未装備時のみ出現。下方に地上攻撃用ミサイルを撃つ。ミサイルは地形の種類によって地上を這って前方に進む。
- オプション
- 「O」と表示されたカプセル。二基装備しているときは出現しない。1レベルニードルショットを二連射可能なユニットが装備される。「グラディウス」のように自機の軌跡を追従せず、位置は自機に対して常に固定されている。一個取る毎に一基ずつ装備され、最大二基が装備可能。一基目は自機の上、二基目は下に装備される。トリガー2(またはM・Nキー)を押すごとに「前方」「上下」「後方」に随時攻撃方向が切り替わる。本作では状況に応じたこの攻撃方向の切り替えが重要となる。本作攻略の要。
- ワイドショット
- 「W」と表示されたカプセル。ニードルショット装備時にのみ出現。前方三方向に広がるショットを撃つ。パワーレベルに応じてPULSER I・II・IIIの3レベルに強化される。単発の攻撃力はニードルより高いが、三発全てが画面上から消えないと次が発射できないため連射性に劣る。広範囲に攻撃できるため複雑な地形で、また耐久力が高い敵に対しては超接近戦(いわゆる張り付き)で威力を発揮する。
- ニードルショット
- 「N」と表示されたカプセル。ワイドショット装備時にのみ出現。スタート時に装備されており、前方へ直線的に三連射可能なショットを撃つ。パワーレベルに応じてVULCAN・BIT LASER・RING BEAMの3レベルに強化される。攻撃範囲は狭いが連射性が高いため、ボスなど耐久力が高く集中攻撃が必要な敵に威力を発揮する。本作ではニードルとワイドの随時切替はできないので、地形や場面に応じて効果的なカプセルを取る必要がある。
- ブラックホール爆弾
- 青色のカプセル。画面内の敵を全滅させる。略称BH弾。一般シューティングでいうところのボムに相当する。一個取る毎に一発発射できるがストックすることはできない。取った後ショットを撃つと前方にBH弾が一発発射され、静止した後に炸裂・発動する(地形に当てると発動時間が早まる)。発動まで少し時間がかかる点は「グラディウス」の全滅アイテムと異なる。ちなみに炸裂する前のBH弾にも敵や敵弾との当たり判定があって、敵を貫通しながら進む。また、BH弾発射中はBH弾も弾の1つとカウントされるため自機ショットの連射性が落ちる(ワイドは発動終了まで発射不能になる)。
[編集] ステージ構成
全8ステージ。最終面をクリアするとエンディングの後、難易度が上がった状態でステージ1よりゲーム再開。
ゲーム開始時の持ち機数は3機。5万点ごとにエクステンド。自機が敵や敵弾、地形と衝突するごとに1ミス。全ての持ち機を失うとゲームオーバーだが、回数制限なしのコンティニューが可能。
ミスおよびコンティニュー時はそれまで獲得したアイテム類を失い、ショットパワーが二段階落ちた上で、直前の復帰ポイントよりゲーム再開。
- ステージ1
- 地上エリア。巨大地上戦車がプレイヤーを待ち受ける。ボス・シャタラー。
- ステージ2
- 外壁エリア。地表を覆う外壁層をくぐり惑星内部に侵入。上下するリフトが行く手に立ちふさがる。ボス・スタグヘッド。
- ステージ3
- 空洞エリア。外壁と内核の間にできた岩石地帯。幾多の砲台がプレイヤーを阻む。ボス・ルアンモー。
- ステージ4
- エネルギー変換エリア。巨大な変換器のすき間を縫って深部に侵入する。ボス・ライガー。
- ステージ5
- エネルギー炉。高速スクロール面。放出されるエネルギーの壁を突破して進む。ボス・ナーガ。
- ステージ6
- ダストエリア。要塞内部の廃棄物処理エリア。地形は複雑に入り組んでいる。ボス・ゴルディツ。
- ステージ7
- 遺跡洞窟エリア。遺跡中心部にあるワープエリアよりマンボウに接近する。ボス・ワープマシン。
- ステージ8
- マンボウバリア内。巨大ビームをくぐり抜けたその先にマンボウが待つ。ボス・マンボウ。
[編集] 細かな知識
当初はアーケードゲーム「サンダークロス」のMSX移植版として開発されていたことが後のスタッフの コメントなどで明かされている。サンダークロスによく似た仕掛けが随所に現れるのはその名残。 また、最終ステージの「巨大レーザー」連射場面は「サンダークロスII」に引き継がれている。
ニンテンドーDSソフト、「がんばれゴエモン東海道大江戸天狗り返しの巻」はGBAソフト「がんばれゴエモン傑作選! ゆき姫とマッギネス」と同時にニンテンドーDSに挿入するとニンテンドーDS上でこの「スペースマンボウ」が1ステージのみ遊べる。もともと「スペースマンボウが遊べる」とだけ言われていたので、ファンが買ってプレイし、1面だけだった事実に対して不満の声も多い。
コナミ自社製作アニメ「極上生徒会」第14話「極貧生徒会」にて、「スペースマンボウ」の最終ボス、スペースマンボウそのままの着ぐるみが登場した。
2006年にi-revoゲームにてダウンロード販売およびレンタルが始まっている。
また、2006年9月1日には、コナミデジタルエンタテインメントが提供する携帯電話向け有料サイト「コナミネットDX」にて、『コナミ名作シリーズ』の第6弾としてiアプリへ移植された(FOMA90xシリーズ専用)。2007年3月1日からはSoftBank 3G端末向けメガS!アプリとしても登場し、通常の月額料金だけでなく、1アプリ315円(税込)での売り切り購入もできる。