ツッコミ
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ツッコミ(突っ込み)とは、
- お笑い(特に漫才)における役割のひとつである。対義語はボケ。
- 強姦の隠語。警察用語であり、事件記者の間でも使われる。
- 自動車やオートバイのレース等で使われる言葉。直線路からカーブ(コーナー)へ(勢いよく)進入する行為。
本項では、1について詳述する。
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[編集] 概要
- 面白いことをする(おかしなことを話す)役割であるボケに対し、ツッコミはその間違いを素早く指摘し訂正する役割である。
- ボケから話題を引き戻すことによって次のボケがやりやすくなり結果的にテンポを良くすることができる。
- 従来はボケ役の印象に比べてツッコミ役の印象は薄かったが、近年はツッコミが注目されてブレークする事が多い。
- ダウンタウンの浜田雅功は、「見る側に(相方である松本人志の)ボケをなぞって分かり易くしてやる」とツッコミとしての自分の役割を定義している。
- 明石家さんまは、「見ている人よりちょっとだけ先回りして、ボケの笑いを引き立てるのがツッコミ」と語っている。
- さまぁ~ずの三村マサカズのツッコミは「三村ツッコミ」と呼ばれ、また、「関東一のツッコミ」とも形容され、ナインティナインはラジオ番組で(勝手に)フィーチャーしていた。これら、三村のツッコミに対する注目は、さまぁ~ず(バカルディ)の再ブレイクの要因になった。ちなみに、ネタにおける三村のツッコミの台詞は相方の大竹が書いていた。
- このやり取りは、報道・情報系番組でアナウンサーが行うこともある。NHKニュースおはよう日本で歴代の女性アナウンサーがメインキャスターらにツッコミを入れるのは、その例である。
[編集] ツッコミの種類
[編集] どつき
- おかしな事を言ったボケ役の頭や体を手や道具で叩いたり押したりし、その間違い(おかしさ)を強調する。ボケ役が自分の身体を使って叩いたり押したり(ぶつかったり)するほか、ハリセンやピコピコハンマーなどの道具が用いられる場合もある。日本(特に大阪などの関西圏)では、お笑い芸人だけではなく一般人同士でも軽いどつき行為を行う例が見られるが、海外ではツッコミの概念自体が存在しない国が少なくないため、どつきを行うと大問題に発展する恐れもある。もちろん日本人同士でも度を過ぎたどつきは好ましくなく、節度やどつく相手との上下関係・信頼関係などを判断すべきなのは言うまでもない。例として中川家礼二がツッコミ感覚で一般人を叩いた(とされる)行為が暴行問題に発展した事がある。俳優の今井雅之は、自作の舞台「THE WINDS OF GOD」を海外で上演した際に、劇中で演じる漫才師のどつきを伴うツッコミには拒否反応があったと語っている。
- 「みのもんたの朝ズバッ!」(TBS)でいじめ問題についてコメンテーターが「お笑いタレントが人をバカにしたりするのも、イジメを助長すると思う。」と述べると、みのもんたが「ある関西出身の芸人がね、人の頭を平気で叩いて笑いを取っている。私はその芸人の番組には出演しないようにしているんですよ。」と批判。ネット上で、この関西出身の芸人が誰なのかという意見が飛び交い、同時に、お笑いにおける“どつき”は「愛」があってのものなのか、単なる「暴力」なのかという論争が起こり、週刊誌で取り上げられるまでに事は大きくなった。因みに今のところ、みのもんたがあげた関西出身のお笑い芸人は、ダウンタウンの浜田雅功だと言われている。
[編集] 例えツッコミ
- ボケを「○○じゃないんだから」「お前○○か!」などと何かに例えてつっこむ。パイオニアはビートたけしと言われている。くりぃむしちゅーの上田晋也はそれをさらに昇華させ、例えば「遅いよ! 1月3日の中央高速か!」などのように独特の芸にしている。現在はタカアンドトシのトシのツッコミ(例:「欧米か!」)が有名。
[編集] ノリツッコミ
- ボケ(ツッコミ役の身体的特徴や私生活を引き合いに出したボケが多い)を一旦肯定した後にツッコミを入れる。肯定してすぐツッコミを入れる手法もあれば、ボケを肯定しさらにそのボケから話題を広げた後でつっこむ手法もある。例えば、「おまえの彼女、亀なんだよな?」「そうそう動くのがとっても遅いんだよー、って違うわ!」などのように。中田ボタン(中田カウス・ボタン)によるものが代表的。「ダウンタウンのごっつええ感じ」の有名コント「Mr. BATER」は、今田耕司が無言で演じるキャラクター「マスター」のボケに対して松本の「Mr.BATER」がベタなノリツッコミをする、という構造で作られている。
[編集] ユニゾンツッコミ
[編集] 海外のツッコミ文化
ツッコミという文化はアジア特有のコメディスタイルと見ることが出来る。それは頭を叩いたり、言葉を返したりするから、という具体的な言動作から派生するものではなく表現の問題である。日本ではボケとは「ファニーな状況を創造し表現すること」であり非現実性が非常に高い。一方、アメリカのボケは基本的に「ファニーな内容を創造すること」であり表現力が日本ほど重要視はされず、内容が比較的現実的で笑いがストレートだ。例えば「僕はこないだトム・クルーズの結婚式に行ったんだ。そしたらウェディングケーキが凄くてね。高さが50センチくらいで、幅が・・・・ちょっと待て・・・そりゃトムだ」(トム・クルーズは身長が低いことで有名ということを揶揄している)(「The LATE SHOW with David Letterman」より)。尚、英語のリスニングができなければ生でその表現を理解することが出来ないため、単純につまらないと判断することは危険だ。そして欧米のコメディはツッコミがないし、必要がない。上記の発言に関して言えば、この言葉で観客が笑って一つのトピックは終了する。これにツッコミを入れるのはアメリカの場合、蛇足的だ(なぜなら既に笑っている)。だからスタンダップ・コメディというものが発達している(それがメインストリームである)。彼らは笑いの感性がブレにくい為、「間」が悪くても笑うし、内容がつまらなければいくらパフォーマンスが優れていても笑わない。逆に日本の笑いは「間」が非常に重要で、パフォーマンスしか取り得の無い芸でも人気が出る。松本人志は電波少年の「アメリカ人を笑わせに行こう」という企画でLAのコメディシアターを見学し「彼らは面白いものがあれば笑う、というダイレクトな部分がある」と評した。
まとめると欧米のスタイルは「おもしろい⇒笑う」であるが、日本は「おもしろい+言葉・行動の表現力(パフォーマンス)⇒笑う」というステップを必要とする。なので例えコメディアンが言った事を素人が話しても面白くはならない、しかし欧米はそれが比較的容易である。つまり欧米人にとっては「おもしろさ=ボケ」でありツッコミは蛇足だ。なぜなら「ツッコミはボケではない=おもしろさではない」という部分に帰着するからだ。日本はツッコミを「笑いという表現の一形態」と考えているから使用度が高い。
その為、外国人がボケてもツッコミをすることは基本的に好ましくない。その行為は「邪魔者」と捕らえられる可能性が高く、また体を叩くのは日本特有のコミュニケーション手段であるということを認識する必要がある。比較的近いお笑い文化を共有する韓国でさえ頭を叩く行為は許されることではなく、日本のコメディを観賞した外国人は欧米やアジアに関係なく、頭を叩くという行為に嫌悪感を覚える人が非常に多い。